まず、始まりはこうであった。
妖怪に襲われた人間というのは、強弱に関わらず、危険に陥るものである。
昔の幻想が跋扈する日本というのは、危険地帯が多く有ったのである。
その危険地帯から来る、鬼や妖怪は、老若男女問わず人を襲ったのである。
「よし、人間を食おう。」
無名の鬼である、零羽(れいわ)は、人間を襲う前に考えたのである。
と成れば、獲物を見つけるに限る。
さっそく、人里近くに行って小さな二つの角を帽子(趣味の良い鍔(つば)の小さな帽子である)で隠して、人を襲う準備をした。
「人間さん、鬼ごっこしましょう。」
と主に少女を襲ったのである。
20人、30人、いや40人程、殺して食ったのである。
その中には、小さかった頃の十六夜咲夜や少女である、止水京都がいた。
その京都の物語である。
いわば、幻想郷には、旧地獄の他に、地獄と、ジャハンナムと名付けられたもう1つの地獄があった。
それは、そこに、京都と咲夜が行く話である。
「いわば、ジャハンナムというのは、カーストによって成る、制度の地獄なのだ。」
ジャハンナムの解説者・ムスリマ・孤島は語る。
「一番目に一番偉い鬼火(きか)、二番目に二番目に偉い人風(にんふう)、三番目が妖水(ようすい)、一番低いのが悪地(あくち)に成っている。私は鬼火だ。」
「そう。私は?」
咲夜が訊(たず)ねる。
「人だから人風だ。」
孤島が答える。
「私はどうですか?」
京都が訊ねる。
「見込みがある。鬼火だ。」
「そいや!!」
鬼火が率先して、罪人どもをせめたてる。
孤島はそのリーダーだ。
炭火が万遍(まんべん)なく、敷き詰めてあり、妖水と悪地の者どもがせめられるのである。
心を痛めながら、人風が鬼火の手伝いをする。
しかし、まあ、例外がある訳で、咲夜は、手早く、心を動かさずに、燃えたける炭火を追加するのである。
炭火と言えば、火が上らない印象だが、その炭火は、たけっていたのである。
最悪の罪人のゆえにである。
鬼とされた者は最初は心を痛めているが、慣れて来るのである。
その内、鬼の心と成って、率先して、自分よりも罪深い者どもをせめたてるのである。
咲夜はそれらにこう言われる。
「あなたは鬼か?少しは躊躇(ちゅうちょ)してくれ。」
咲夜はそれにも関わらず、せめたてるのである。
恐らく、10年程経った後、咲夜は鬼火に任用される。
休憩時間に京都と咲夜は喋る。
「鬼は大変ですね。毎日欠かさず、罪人をせめるのですから。」
「他人事じゃないわよ。実際やっているのだから。」
ジャハンナムは平和である。
実際反乱も企てる者もいる。
しかし、志しなかばで、苦しさに死んでいくのである。
その為に、鬼火はせっせと働いて、重罪人をせめるのである。
革命者等いない。それがジャハンナムである。
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ジャハンナム(地獄)が幻想入りするお話。