そして俺達は黄巾党の本拠地に向け進軍していた。
「ねえ穏、蓮華たちはいつ合流できるって?」
「兵を集めてから合流するらしいので、目的地についてからになりそうですね~」
と雪蓮と穏は話していた。
「あと蓮華さまがぜひとも紹介したい人材を連れてくる、ともいってましたね~」
「人材?へ~蓮華がそういうのならかなりの人物なのでしょうね。
楽しみだわ♪」
と、雪蓮は笑って言った。
紹介したい人材、ね・・・。甘寧、思春のことかな?
たしか甘寧は始め黄祖に仕えていたけど、なかなか礼遇してくれないから嫌気が差して、
孫権のもとに下ったんだけど・・・・。
史実どおりとは限らないしひょっとしたら別の人物かもしれない。
甘寧以外に有名な武将といえば、周泰、呂蒙、太史慈、凌統・・・・
「か~ずと、ねえ一刀ってば!!」
「うお!いきなりなんだよ、雪蓮」
俺が蓮華の連れてくる人物について考えていると、突然雪蓮に話しかけられた。
「ん~、一刀には話していなかったと思うけど、今回合流する武将はね・・・」
「雪蓮の妹の孫権だろ?」
と、俺は雪蓮に言い返した。
「あれ?何で知ってるの?」
「まあ天の知識、とでも言っておこうかな?
で、その孫権がどうしたの?」
「人の妹の名前までわかっちゃうのね~、すごいわね、天の知識って。
まっ、それはいいとして、蓮華、あの子の真名だけど、ちょっと堅物っぽいところがあるけどいい娘よ~。胸は大きいし、お尻の形は最高だし・・・」
もう知ってます。向こうの世界ですでに深い仲になってます。
うん、確かにあの尻は最高だった・・・。
「おい雪蓮、どういう紹介の仕方をしてるんだ?
ま、とにかく、蓮華様、孫権様は責任感にあふれた、まじめで立派な方だ」
と、冥琳がフォローする。
前の世界では仲が悪かったのにな・・・。
やはりこの世界の冥琳は前の世界の冥琳とは違うらしい。
ひょっとしたら、前の世界の冥琳も、蓮華のことを内心評価していたのかもしれない。
「でね、蓮華は私の後継者、だからきちんと口説いて孕ませてもらいたいのよ」
「・・・口説く、ねえ。・・・・・ま、やるだけやってみるよ」
俺はそう言ってはぐらかした。
なぜって、俺の後ろで愛紗が青竜偃月刀片手に殺気放ってきてるんだもん。
そして俺達は、途中で昼食を挟みながら行軍を続けた。
「そろそろ斥候が戻ってくる頃ね」
と、雪蓮は呟いた。
「だな。ところで雪蓮、自重しろよ」
なにを、と聞かなくても雪蓮には分かったらしく顔をしかめた。
「え~、黄巾党なんて私が突撃すればすぐ片付くのに・・・」
「たとえそうでも、この程度の敵にお前が前線に出てもしかたがあるまい。
万が一おまえになにかあったらどうする」
「そうですよ、策様、そういう事は私達にお任せください」
と、冥琳と六花さんは反対する。
「はいはい、分かったわよ、・・・ちょっと兵の確認をしに行ってくるわよ」
と言いながら雪蓮は歩いてどこかに行ってしまった。
「まったく、あの子ときたら・・・」
「まあまあ、冥琳、そういう所が堅様そっくりなんですよ、あの方は」
と、冥琳と六花さんは話していた。
すると斥候が戻って俺達の前に跪いて報告をする。
「申し上げます、前方に黄巾党の分隊を発見、向こうもこちらに気づいたらしく、迎撃の態勢をとっております」
「ご苦労じゃった、下がるがよい」
と、祭さんがいうと、斥候は、一礼して下がった。
「さて、どうしようかのう」
祭さんが俺達を見ながら言った。
「蓮華様との合流もありますから、兵の損害は最小限に抑えたいですね~」
と穏は相変わらずのんびりとした口調で言った。
「だな、しかし敵はそれなりに多いからな・・・。
どうしたものか」
と、冥琳は敵を打倒する策を考え始めた、が、突然、もう一人伝令が駆け込んできた。
「もっ、申し上げます!!」
「なにごとだ!今軍議中だぞ!」
「はっ!しかし一大事でございます!!
孫策様、一部隊を率いて敵軍に突撃を開始しました!!」
「なっ、なんだと!!?」
それを聞いて冥琳たちは驚いて椅子から立ち上がっていた。
「はっ、孫策様は「ちょっと敵軍潰してくるから♪」と言うやいなや敵軍まっすぐに
突撃して行きましたので止める暇がなく・・・」
「・・・・もうよい、下がってよいぞ」
「はっ!」
祭さんの言葉に従い、伝令の人は下がっていった。
「ええい、何をしているのだ雪蓮は!!
自重しろと言ったではないか!!!」
「・・・まあ策様がその程度で言うことを聞くとは思えませんからね・・・・」
「分かっていたのなら、六花様からも言ってくださればよいではありませんか・・・・」
「私が言ったとしても大して変わりませんよ、冥琳。
まああのようなところが堅様譲りなんでしょうが・・・」
とまあそんなことを冥琳と六花さんは話していた。
「でもいくら雪蓮が強くても敵は一万はいるだろ、
いくら部隊率いててもきついと思うな・・・」
と俺が言うと、さっきまで黙っていた愛紗も
「確かに、いくら雪蓮殿が強くとも、敵軍に僅かな兵とともに突撃するなど
自殺行為以外の何物でもありません。ご主人様」
「何、愛紗」
「私が先行して雪蓮殿を連れ戻すか、援護いたします。
ご主人様達はその後に軍を率いて敵軍に攻撃をしてください。
私と雪蓮殿が一暴れすればいかに大軍でも混乱はしましょう」
と愛紗は提案した。
「・・・しかたがあるまい、頼めるか、関平」
「ふっ、もちろんですよ冥琳殿」
「しかし関平一人はやはり不安じゃ。わしも同行しよう」
と、祭さんも言ってくれた。
いくら愛紗でも相手は一万もの大軍なんだ、たった一人で突っ込んで無事ですむはずがない。
「それでは行くかの、関平」
「はい、ではご主人様」
「ああ、関平、必ず無事に帰ってこいよ」
俺は愛紗に言った。
それを聞いた愛紗は少し頬を赤く染めて
「ありがたきお言葉、では・・・」
「うおい北郷、わしには何も無しかい!」
と、いきなり祭さんがつっこんできた。
「ああごめんごめん、祭さんも無事でね」
「ふん、無論じゃ」
そう言って祭さんは陣から出て行った。
何か顔が赤かった気がするが・・・気のせいか?
それを見た愛紗も俺達に会釈して戦場に向かって行った。
その後、
愛紗達の活躍で混乱した黄巾党に、本隊が攻撃を加えたことで、黄巾党は敗走、俺達は
たいした損害もなく勝利することができた。
ちなみに雪蓮だが、その後目的地につくまで冥琳に延々と説教を食らい続けたとか・・。
「後方に砂塵あり、との報告です。蓮華様たちの軍のようですわ」
報告を受けた六花さんは嬉しそうに告げた。
その後方には、孫、甘、周の旗がたなびいていた。
俺はその旗を見ながらかつて会った蓮華の思い出に浸っていた。
「ご主人様」
隣から愛紗が話し掛けてくる。
「ああ、ごめん愛紗、ちょっと感慨深くなっちゃってさ」
「でしょうね、私も同じ気持ちです。ですがご主人様・・・」
「分かってるよ、あの蓮華は俺の知っている蓮華ではない、だろ?」
俺は愛紗に向かってそう答えた。
そう、いくら姿が同じだったとしても、彼女は俺のことは知らない。
俺がいくら彼女の事を知っていようと彼女、蓮華からすれば俺は赤の他人なんだよな・・。
そう考えると少し寂しくなってきた。
「それが分かっていらっしゃるのならば安心です、
もし不用意に真名を呼んで斬られたら、いかに私でも庇いきれませんから」
と、愛紗はいたずらっぽい笑みを浮かべながら言った。
その言葉を聴いて、俺の気は少し楽になった。
「はは、そうだな、愛紗」
「ええ、さあご主人様、こちらの孫仲謀とはいかなる人物か、見に行きましょうか」
そう言って愛紗は、雪蓮達の所に歩いていった。
ま、ぐだぐだ言ってもしょうがないよな。
そう割り切って俺は愛紗の後をついて行った。
俺が愛紗と本陣に来たとき、雪蓮は蓮華から説教を食らっていた。
「なあ、愛紗」
俺は愛紗に聞いた。
「はい、なんでしょう」
「これ、いったいどういう状況なんだ?」
「おそらく冥琳殿辺りが蓮華に雪蓮殿に敵軍に突撃したことをばらしたのではないかと。
そしてそれについて蓮華が怒っていると思われますね」
と、愛紗が教えてくれた。
まあ大方そんなところだろうな。
でもそうならこちらの孫権もまじめな性格なんだろうな、きっと。
それで俺は改めて孫権に目をやった。
外見は、髪が長い事以外は向こうの蓮華そのものだ。
そういえば、蓮華はもともと髪は長かったけど、孫家の跡を継いでから切ったって言ってたっけ。
そう俺が考えている時、孫権がなにやらうさんくさそうな目つきでこちらに近づいてきた。
「貴様が天の御使いという男か!?」
「なっ!貴様だと?!無礼であろう!!」
いきなり問いただしてきた孫権に対し、愛紗は怒りもあらわに怒鳴りつける。
「?お前は何者だ?」
「わが名は関平、天の御使い北郷一刀様の家臣。わが主に対し、自らの名も名乗らず問いただすなど、無礼ではないか!」
そう言って愛紗は孫権をにらみつける。
それに対して孫権は、さすがに失礼だと感じたのか、
「・・・姓は孫、名は権、字は仲謀だ」
と渋々といった感じで名乗った。
「俺は姓は北郷、名は一刀、字と真名は無い」
「字と真名が無い?胡散臭いな・・」
ますます不審げにこちらを見てくる。
やれやれ、別の人物とはいえよく知っている人物にこんな目で見られるのはきついな・・・。
そう考えながら俺は孫権の周りにいる家臣と思われる女の子達を見てみる。
一人は甘寧、思春だ。やっぱりこの世界でも孫権の親衛隊なのかな・・・。
二人目は背中に長い剣を背負った忍者みたいな格好をした女の子だった。
この子も武将なんだろうか・・・。
そして三人目を見たとき、俺は驚愕のあまり思考が停止した。
(朱里?)
そう、その子は背の高さや髪の長さなど違いはあるが、朱里、諸葛亮にそっくりだったのである。
「?あの、どうかなさいましたか?」
と、その子が俺に話しかけてくる。
隣を見ると、愛紗も同じように驚いたような顔をしていた。
「い、いや知り合いに君そっくりな人がいてね、なあ関平」
「え、あ、う、うむ、あまりにも似ていたのでな、驚いてしまった。
気を悪くしたのならあやまるぞ」
「いえ、特に気にはしていませんから、大丈夫です」
と、その子は笑いながら言った。
・・やっぱり朱里じゃないな。
確かに顔はよく似てるけど髪は長いし背も高い。
それになにより、・・・・朱里より胸が大きい。
星くらいはありそうだな・・・・。
「ど、どこを見ているのですか、ご主人様」
と、愛紗が嫉妬したのかいきなり腕をつねってくる。
っていたいいたい、悪かった悪かったからもうやめて!!腕の肉ちぎれちまうよ、マジで!
「まあまあ蓮華、一刀を疑うのはそれぐらいにしなさい」
「お姉さま!このような男などそう簡単に信用できますか!天の御使いというのも疑わしい・・」
「貴様!言うに事欠いて・・・・」
孫権の言葉に怒った愛紗は俺の腕を放して身構える。あ~痛かった。
「大丈夫よ、一刀と関平は信用できるわ、現に私達5人とも真名を預けたんだし」
「なっ!それは本当ですか!お姉さま?」
孫権は相当驚いているようだ。ま、そりゃそうか。
自分が敬愛している姉がどこの馬の骨か分からない人間に真名を預けたんだから。
「本当よ、ねえ冥琳、祭、六花、穏」
「はい、北郷の知識は我等にとって有益なものです。
関平の武の腕と共に呉にとって有益なものになりましょう」
「二人とも実力もあるしのう、特に関平は、呉でも最強かもしれん」
「それに将としても才もありますし、真名を預けるに値する方たちですわよ」
「おふたりとも面白い方ですしね~」
と、皆俺達の事を評価してくれる。
それに孫権に甘寧、それに二人の女の子も驚いたみたいだ。
「それほどの人物なのですか?」
と、甘寧がこちらを睨みながら雪蓮達に聞いてくる。
「公謹様がそうおっしゃるのでしたら、信用できるのでしょうが・・・」
忍者風の女の子も疑問げに聞いてくる。
「・・お二人とも実力があるのは分かりますけど・・」
朱里似の女の子も疑問そうだ。
「そういえば蓮華、その子は?」
と雪蓮は朱里似の女の子を見て言った。
「あ、すみません。彼女の名は諸葛子瑜、外交や内政ですばらしい意見を出したので取り立てたのです」
「姓は諸葛、名は瑾、字は子瑜ともうします。未熟者ですが、よろしくお願いします」
と、彼女、諸葛瑾は堂々とした態度で自己紹介をした。
しかし、諸葛瑾か・・・。
史実において諸葛亮孔明の兄で、呉に仕えた人物だよな。
なるほど、なら容姿も似ているはずだ。
確か朱里は姉と妹がいるって言ってたし、こちらの世界でもおかしくない。
「それよりも姉様!いくら実力があるといっても真名を預けるのは納得がいきません!
どうか納得のいく説明を!」
と、諸葛瑾が自己紹介を終えるや否や、孫権はすごい剣幕で雪蓮に詰め寄る。
「いや~、だってねえ・・」
と、雪蓮が冥琳と目配せをする。
二人の顔が気のせいか面白そうに見えたんだが・・・気のせいだよな?
「北郷はあなた方の夫になられるかもしれない男だからですよ、蓮華様」
気のせいじゃなかった~~!!!
しばらくの沈黙のあと・・・
「「「「えええええええ~~!!!!???」」」」
陣中に絶叫が響き渡った。
あとがき
・・・ほんと丸写しだな・・・。
まあとりあえず蓮華登場。これからどう一刀デレに変えていくか・・・。
あとオリキャラとして諸葛謹登場。
容姿は朱里の髪の毛を長くして背丈を蓮華並みにした、と想像してください。
朱里よりも冷静で落ち着いた性格です。ただ慌てるとはわわはわわ言いますが。
何か変なところがあったらぜひ言ってください。
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第十話、更新・・・・といってもarcadiaの物をまた丸写ししただけですけどね・・・・。
今回ようやく蓮華登場します!
あとオリキャラ(読んだ人にはわかるか)登場します。