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エルフの里の入り口にいた弓を構えた番人が、木の上から矢を射って来ました。アレクスの足元に矢が飛んで来ます。
「危ねぇ!当たるところだったじゃねぇか?」
「それ以上中に入るな!入れば今度は矢を当てるぞ?」
「今のはわざと外してくれたのね?」
「威嚇射撃だからな。本気で狙えば簡単に当てられる」
「私の名前はアプリコット!お母さんのチェリーに逢いたいの。お母さんに伝えて」
「チェリーの娘だったのか…。ちょっと待っていろ、チェリーを呼んでくるよ」
番人は二人いたので一人に任せて一人は里の方へ、枝から枝に飛び移りながら行ってしまいました。残された一人が話しかけて来ます。
「確かにチェリーによく似てる。チェリーはエルフの里一の美女だからな」
「そうだったの?でもなぜ人間のお父さんと結婚したのかしら」
「みんなそれを不思議がってた。人間なんかと結婚しなければ、チェリーは体中をあんな傷だらけにされずに済んだんだ」
「お母さんが酷い事されてたのは知ってたわ」
「人間は悪い奴ばかりだ!」
「お父さんの事はあまり覚えてないんだけど、優しい人だったと思う。お母さんと私を逃がしてくれた見張りの男性も良い人だったわ」
「その男は晒し者にされた挙句に殺されたよ」
「なんて酷い事を!どうして良い人ばかりが酷い目に遭うの?」
「人間は悪人が多いからさ?良い人がいても殺されてしまうから、悪人だけがのさばる」
「なるほど、小人は悪人が処刑されるから善人が残ってるけど、人間は善人が処刑されるのだね」
「人間の法律は腐りきってる。頭の悪い奴が都合の良い法律を作っているからだ。だから悪人だけが守られているんだよ」
「人間の世界にそんな酷い法律があったなんて知らなかったわ」
…つづく
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昔、初投稿して落選した黒歴史の作品、第22話。