No.981515

呂北伝~真紅の旗に集う者~ 第019話

どうも皆さんこんにち"は"。
えぇ~とりあえずですね、歩闇暗の話を、作り上げまして、現在は誤字脱字の確認をしているところですが、刃照碑編も含め、最終的に7話ぐらいに落ち着きましたww←うぇえ~汗

基本的に僕の作品の投稿分量としては、一つにつき5000~6000字程なのですが、最終話が12000ぐらいになったので、これはもう分けるしかないと思いまして。
それで全7話構成となっております。

続きを表示

2019-01-24 05:45:51 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1315   閲覧ユーザー数:1243

呂北伝~真紅の旗に集う者~ 第019話「歩闇暗(ファンアン) 四 ~闇の執行者~」

 翌日、(ロク)(ラン)に昨晩のことを聞いた。昨晩、呂北は恵と交えて婪に似合う服を考えては彼女を着せ替え人形にし、ひとしきり楽しんだ。やがて呂北は満足して婪を返して恵と大人の楽しみを行なおうとしたが......。

「聞いてよ麓ちゃん。呂北様は本当に優しいお方で、私女にしてもらっちゃたの」

金色の長い髪をなびかせ、彼女は両手で自らの火照った頬を抑え、友人に語り掛けるようにして嬉しそうに答える。

『女にしてもらう』この言葉を聞いて、麓はおおよその察しがついた。概要を話すと、婪を返そうとした呂北は、彼女に裾を掴まれて「女にして欲しい」と懇願した。少女は愛でるもので傷つける物ではないと考えている呂北は躊躇したが、恵が婪の耳元で囁くと、婪は呂北に抱き着いて彼の耳元で囁いた。

「......お兄ちゃんのモノで、私の子宮(あそこ)をいっぱいにして欲しいの......」

この言葉で呂北の理性は一気に瓦解して、婪の純血は散らされたらしい。麓の勤めるこの娼館にいる未だ少女の娼婦の殆どは、呂北によって純血を切られており、(ゲン)もそのことを考慮に入れて娼婦を雇っていたりする。なので、彦の管理する娼館で働くのであれば、処女で容姿が良ければ案外すんなり採用可能であったりする。

それからも麓は呂北の情報を集めた。要人の暗殺に、何故これ程慎重になって行なうかは、標的によっては簡単に()れる相手とそうでない相手がいる。今回の呂北に関しては、常日頃から腐っても都の中央に位置する場所に拠点を置いている人物。無論金持ち連中を守るための金で雇われた傭兵が衛生兵として控えている。普通の相手であればそれらの目をかいくぐって標的を暗殺すればよいが、今回の標的は武にかなり覚えがある人物。自らが舞台で芸を披露している際、その一刀一側全てに視点をおいていた。

油断は出来ず、暗殺に手がかかれば、その間に援軍を呼ばれて返り討ちにあう恐れもある。

なればこそ機会は一つしかない。それは、呂北が自分を閨に呼んだ時。彼の者と二人きりとなった時、人目がないときに暗殺する。念には念を入れて、そっと酒を勧めた際に痺れ薬を混ぜて飲ませ、体の自由が効かなくなった時に頸動脈に刃物を突き立てる。無論そのような状況で標的を殺害すれば麓が真っ先に疑われることは違いない。そこで組織に人間に一役買ってもらうことにする。

呂北の体の自由が効かなくなった時、潜ませている組織の人間に標的を暗殺させるという計画である。麓は一つ悲鳴を上げ、組織の者は逃走。麓はショックで仕事を辞め、洛陽をさる。もし仮に暗殺が失敗しようとも、組織の者を囮として呂北を殺害し、自ら一人で逃走する二重計画を練っており、自身に害が及ぶことはない。いつもの様に冷めた顔で婪の話を聞く。

やがて夜となり、娼館が開かれる。彦が現場に出てきているため、今日は呂北が来る人予想出来た。そこで麓は衣装の趣向を変える。何時ものサーカスのピエロ様な恰好から、膝まで丈が短い赤い着物。厚底の黒いブーツの様な足袋に、厚い白化粧ではなく女性の肌をきめ細やかな肌に見せる薄い白化粧。装飾品に月の髪飾りを付け、小道具に赤い紙傘を用意し、方にハマらない踊りを繰り出す。無論麓に踊りの経験などない為に、適当であるが、それでも客の目を引き付けることには十分であり、芸が終わった瞬間に、拍手が巻き起こった。あらゆる貴族や豪族の客が自らの酒の相手をする様に打診したが、それは全て彦によって妨げられた。

無論ごねる客も現れたが、彼のある一言によって、客の熱は消沈し、やがて彦は麓に娼館のとある一室に向かう様に命じ、麓が入った部屋の椅子に呂北が腰かけて座っていた。

「本日はお招きいただきありがとうございます。麓と申します」

入り口の扉を閉めて社交辞令の様な挨拶をする。

「......さっきは見事な踊りだったな。誰に習った?」

「いえ。誰にも習っていません」

「ほう。我流というか?」

「はい。生きる為にあらゆることを学びました。いうなれば、あの芸は副産物です」

「なるほど。......酌を頼めるか?」

麓は一つ了承して呂北に近づいて酌をする。酒が進みやがてなくなると、代わりの酒を持ってくると言って部屋を出て、彦より新しい高級酒を貰い部屋に戻った。改めて呂北の盃に酒を注ぎ始める。注いだ酒には組織の人体実験の成果で出来た痺れ薬が混ざっており、数秒すれば神経麻痺を起こし、やがて全身痙攣を起こす。呂北は麓の注がれる酒を次々と飲み干していく。だが未だ呂北に効果が表れない。彼女は内心戸惑いを隠せなかった。麓は今まで何事においても失敗をしたことがない。学ぶことも仕事も狩りも全て効率よく狡猾にこなしてきた。だが焦ることはない。仮に毒が効かないことを想定し、屋根裏で控えている組織の人間と共謀して呂北を殺害すればいいだけの話だ。ごり押し気味となり、顔が割れているために、洛陽に出入りし辛くなるが、想定した一例であるので、焦る必要はない。

「麓といったか、お前も飲め」

呂北の提案に麓は了承する。このような事態も想定していなかったわけではない。彼女は歯の奥に解毒薬を潜ませている。仮に標的の体質的に毒が効かないことを想定して準備していたものだ。麓は注がれた盃の酒を飲み干すと、その瞬間彼女の体が熱くなる。その瞬間体が震え、盃を落としてしまい、胸を抑えてうずくまる。【何が起こったのか?どうしてこうなった?】そんな思考が頭の中を駆け巡る。

「......どうした?流石に毒の対策をしていようとも、それ以外の対策はしていないだろう?」

見上げる視線の先の呂北は、これ見よがしにひけらかす小瓶を手に持っており、それは標的の酒に入れる、痺れ薬の入った小瓶である。

「『何故!?何故お前がそれを!?』っといった表情だな。さっきすれ違った時にスッた。そして代わりに違う物を混ぜさせてもらった」

そう言って呂北が取り出したのは、色違いで同じサイズの小瓶であり、色はピンク色だ。

「どうだ?だんだん子宮や乳房が疼いてきて、性器が痒くなってくる感覚に見まわれないか?」

そう聞かれると確かに感じる。全身をまさぐらなければどうにかなりそうであり、膣道に何かしらの物を入れたくなるような感覚。初めて襲われる事態に麓はどうにかなりそうであった。

「お前に飲ませたのは、強い高濃度の媚薬だ。そのままの状態でも身体に影響は無いし、後遺症も残ることはない。......だが—」

そういうと、呂北は麓の胸をはだけさせ、突発した乳首を摘まみあげると、今までに味わったことのない衝動が脳天に電流が突き刺さるようにして流れ、声にならない声が麓の口から出てくる。

「味わったこともないだろう?その若さだ。今まで痛みに耐える訓練は強要されてきたかもしれないが、快楽に帰る訓練は受けたこともないだろう。さて、俺の質問に答えてもらおう」

呂北は麓を寝具へと投げ捨て、彼女の上に覆いかぶさると、冷ややかな目で質問を続ける。

「お前は何処の者だ?」「どこから来た?」「誰に雇われた?」

そんなありきたりな質問を淡々としてきた。しかしそれだけで終わりではなく、羽のついたペンなので彼女の体を撫でまわし、もどかしい快楽を与えていく。しつこく念入りに、同じ質問を何度も。やがて二刻程経った後、媚薬の効果が切れてきたのか、彼女から出てくる発汗が薄れてきた。羞恥を交えていた麓の瞳に眼光が戻ってきた時に、麓は寝具から飛び出した。現在呂北の上半身は裸で、どこからどう見ても装備を付けていない。そんな彼に向って屋根裏から麓と示し合わせたかのように、組織の人間が呂北に襲い掛かる。無論彼も手練れ。武器を持たない人間に後れを取るわけも無しと思うのが普通であるが、普通の相手であればそれで事足りるが、相手は普通ではない。呂北は襲い掛かる暗殺者の腕を強引に掴み取り、片手で両手首を掴んで、もう片手で頸動脈を締め上げて相手の呼吸を遮断して、脳に酸素を送れなくする。呂北は男を窓際まで連れてきて尋問する。

「......濁った目だ。貴様の様な奴は生かす価値もない。しかし俺は慈悲深い。一つだけ教えてくれれば、お前をこの痛みから解放しようじゃないか。......お前は何処の組織の者だ?」

男の挑発するような眼光は変わらず、呂北は男の顔面を持つ右手に力を込めると、鈍い枯れ枝を砕いたような音が響く。

「顎の骨でも砕けたか......次は何処がいい?」

「い、言わせていただきまふ(す)。わ、わでわで(我々)は『毒蜘蛛』の者でございまふ(す)」

「そうか。ありがとう」

呂北は床に男を叩きつけ、体を拘束してから男の首を持って半回転させ絶命させた。そして窓を開けて外に男の死体を放り出して、何事も無かったかのように麓に向き直る。打つ手がない麓であるが、その眼光は未だに抗おうという意思が見受けられる。

「お前はまだ諦めないか。お前のような女は嫌いではない......が、もうすぐ夜も明ける。場所も移したいから......とりあえず絶頂()かせるか」

【生かせる?】言葉の意味が解ら無かった。暗殺を企てた自分を生かして一体何の得があるのか。しかし彼女も暗殺者。快楽による拷問は今耐えたばかりである。経験したので、次は上手く抗って見せると思いきや、呂北は麓の膣道に指をねじ込み、奥をかき回して快楽を与える。味わったこともなく、もどかしい状態の中、今まで欲しかった謎を解明できたことで、麓は女性として初めての性の絶頂を迎える。

そして彼女の意識は飛ばされた。

 

 麓が目覚めた時、彼女は寝具の上だった。娼館の一室ではない。自身が拠点としている宿舎でもない。一般人の住まう部屋にしては、家具や装飾品の質が良すぎる。となれば、昨晩のことを考慮に入れても、想定できるのは、自身は攫われたのだろう。事実部屋の窓には鉄格子がはめられており、扉には鍵がかけられており、屋根裏に上れそうな場所もない。

服装は何の変哲のない一般的な就寝時の寝間着。戸棚もあり、中には同じ服・同じ種類の色違い下着が数着。武器になりそうな物は無く、体に潜ませていた暗具も取り上げられている。こういう時は、無駄な体力は使わず、ただジッと待つしか出来ずに、とりあえず寝ることにした。

やがて体内時計の感覚にて目覚めると、窓の外は夕方となっており、麓は寝具の下に潜り込んだ。体を丸くして息を潜ませて気配を遮断させ、次の来訪者の到着を待った。やがて日が完全に落ち、部屋の扉の鍵が開く音がし、蝋燭の明かりを灯して、何者かが入ってきた。コツリコツリと乾いた音を鳴らし、寝具に近づいてくる。麓の狙いは相手が寝具の下を覗き込んだ時である。その時相手の眼球を指で潰し、視界を遮断してもがいている間に脱出しようという考えだ。もし手が先に入ってくれば、指を噛み千切り、相手が痛みを感じている隙に、視界を奪い脱出する。かつて誤って捕まった際に、何度も使った手だ。今度も同じ具合に行く筈であった。覗き込んでくるか。それとも入ってくるのは右手か左手か。そんなことを考えていると、一瞬乾いた音が聞こえたと思ったら、麓は上より何かに掴みかかられる予想もつかない強襲にあう。そしてそのまま寝具を通して、首を掴まれ引きずり出された麓は、息を吸おうと自分の首を掴む者の手を、何とか振り払おうと必死に抵抗する。

閉じた瞼を開けると、そこには昨晩の冷めた目の呂北が自分を捕らえていた。

「殺気が駄々洩れだ。今すぐ収めなければ、この手を離すことはない」

呼吸困難に陥りかける麓は呂北の手を降参の合図で軽く叩くと、彼は麓を解放する。彼女は必死に呼吸を肺に送り込むと、呂北は入り口の扉を閉めて再び密室状態に持ち込んだ。

「安心しろ。殺しはしない。今日は食事を持ってきただけだ」

呂北は机に料理を置くと、麓の嗅覚から食欲を掻き立てる芳醇な香りが襲ってくる。

「いいか。よく見てみろ」

彼は机に置かれた料理を、それぞれ一つまみごと軽く口に含んで食して見せる。毒ははいっていないという証拠だ。

「まずは食え。話はそれからだ」

そう言い残すと呂北は部屋を立ち去っていく。机には温かい豚の背油でダシを取ったスープと野菜炒め。饅頭(まんとう)に喉を潤す水が置かれている。全て出来立てであり、麓の食欲を掻き立てるのに充分であった。彼女も暗殺者であるので、食事に毒が盛られているかいないかは匂いで判別出来る。呂北自身が毒見をしたとしても、自らを捕らえている相手を簡単に信用できるわけもなく、彼女は慎重に料理に鼻を近づけたが、味わったこともない香ばしい香りに、彼女の嗅覚は殺された。殺されながらも精神力で耐え忍び、毒が入っていないことを確認すると、食事を口に運ぼうとするが、蓮華を持つ自らの手が震えた。

何故震えるのかが理解できなかったが、片手で手の震えを止めながら、蓮華で料理を掬い、一口口内に含めると、何やら温かい液体が頬を伝った。やがて食欲の衝動が崩壊し、堤防が瓦解するほどに掻き立てられ、次々に料理を口に含むと、それと同じように熱い液体が頬を伝った。視界は眼球の水分で遮られ、前が見えないながらも、食べずにはいられなかった。彼女にとって食事とは、生きる為の栄養摂取に他ならない。ただ腹を満たすだけの行為、それだけである。無論、組織より空腹に耐える訓練は受けているが、何故だか初めて口にするその温かい料理には、抗えなかったのだ。麓は全ての料理を食べえると、穴の開いた寝具にて泥の様に眠った。

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
5
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択