関平side
「全く、たとえ雑魚でもここまでいるとさすがに鬱陶しいな・・・」
私はそうつぶやきながら迫り来る賊を叩き斬った。
確かにろくに訓練を積んでいないため、一人一人相手にするのはわけもないが
さすがにこれが集団になるとやっかいだ。
どうやら私は敵陣に少々深く入り込みすぎたらしい・・・。
周りには文字通り敵しかいない・・・。
さてどうやって抜け出したものか・・・。
「ぐぎゃっ!!」 「ぐはあっ!!」
と、突如後ろで悲鳴が聞こえた。
私が振り向くと、そこには明らかに撲殺されたであろう黄巾党の死骸と、巨大な鉄扇を二つ持った六花殿が立っていた。
「関平、遅れて申し訳ありませんわ。
よろしければ助太刀いたしますが、いかがですか?」
「助かります!六花殿」
私は六花殿に礼を言いながら再び冷豔鋸を構えなおし敵軍を見据えた。
一刀side
「お、敵軍が退却し始めたみたいだぞ。」
俺は冥琳と穏にそう言って知らせる。
自慢ではないが俺は視力には自信がある。
「うむ、そろそろだな・・・。それにしても・・」
冥琳は愛紗がいる方角を見た。
「圧倒的だな・・・。関平の武は」
「本当ですね~。模擬戦でも雪蓮様に勝っていましたし・・」
「うむ、私もそれなりに武には自信があったが、関平が相手では一合も打ち合えずに斬られるのが関の山だろうな・・・」
冥琳は眼鏡に指を当てながらそうつぶやいた。
「でも冥琳も結構強かったじゃないか」
「その私に勝ったお前も相当の腕だと思うが?」
「はは・・・、まあ天の世界で修行したからね・・・」
俺は冥琳にそう返した。
まあ実際あそこまでやられりゃ強くもなるって・・。
実家での地獄の修行(史上最強の弟子 ケンイチの梁山泊の修行参照)を思い出しながら俺はおもわず身震いした。
「あ、敵軍が本陣に退却を始めましたよ~」
「頃合だ、弓隊、火矢構え!」
『応!!』
「放て!!」
冥琳の号令と共に無数の火矢が敵軍に降り注ぐ。
火は瞬く間に敵本陣を覆いつくし、敵兵は慌てふためいて逃げ惑う。
「お~、いい勢いでもえひろがってますねえ~」
「よし!前線の孫策に突撃するよう伝令を・・・「あ、雪蓮突撃してるぞ」・・・」
冥琳は俺の言葉を聞くと、頭をおさえてため息をついた。
「はあ・・・、時々あの子の軍師をしている自分に疑問をもってしまうわ・・・」
「苦労してるんだな・・・、冥琳・・・」
なんか冥琳から、向こうの世界で秋蘭や顔良さんが放っていたのと同じオーラを感じるぜ・・・。
その後、戦は俺たちの勝利で終わり、雪蓮達が戻ってきた。
「ただいま~冥琳」
「おかえりなさい雪蓮、ずいぶんと早かったわね、兵の損害は?」
「ほとんどないわ、文字通りの圧勝ってところね」
「うむ、我等の勝利だな」
そんなことを二人は話している。
俺はそれを聞きながら、じっと戦場を見つめた。
人の死は、前の世界で見慣れている、だから戦など平気だと考えていた。
しかし、やはり敵であろうと味方であろうと、人が殺しあうのを見るのはとてもつらい。
そして、人が次々と殺され、焼け死んでいく様を見ると、胸に悲しみが込み上げてくる。
情けないな・・・もう前の世界で慣れたと思ったんだけど・・。
「どうしたの?一刀」
突然、雪蓮が聞いてくる。
「いや、人が死ぬのを見るのはつらい、と思ってな・・・」
「そうか・・・。気持ちは分かるが慣れておかないともたんぞ」
「ああ・・・そうだな・・」
俺は冥琳の言葉にうなずいた。
確かにこんなところでつらいなんて言ってたらこの後の戦場ではもたないだろう。
前の世界でも乗り切れたんだ、しっかりしないとな・・・。
と俺が考えていると、突然雪蓮に抱き寄せられた。
「ちょっ、雪蓮!」
「余り無理しないでっていったでしょ、一刀」
「えっ・・・」
突然の雪蓮の言葉に俺は沈黙した。
「人が死ぬところをみるのがつらいんでしょ、わかるよ一刀。
私もね、初めて戦場に出たとき、とてもつらかった。
次々と人が死んでいくのを見て、泣き出しちゃったこともあったわ」
「え・・・泣いたことあるの?」
俺には雪蓮が泣いているところなんて想像がつかない。
「あのねえ、私だって人間よ、戦場で人が死ぬのを見て怖くないとでもいうと思った?
そりゃあ今は孫呉の為と割り切れているけど、
子供の頃はもういやだったわよ~。夜に泣き出したこともあったわ。
だから一刀の気持ちも理解できるわ。
でもね、それでも私達は戦わなくちゃならない。
孫呉の民達に真の平和をもたらす為にも、ね」
「・・・うん」
俺は雪蓮の言葉にそう答えた。
そうだ、雪蓮たちだって好きで戦をしているわけじゃない。
自分たちが守る民のため、大陸の平和のために戦っているんだよな。
「でもね、もしつらくなったら、私達を頼ってね。
あなたと関平は、もう孫呉の一員なんだから」
「・・・ああ、ありがとう」
雪蓮の言葉に俺は感謝の言葉をもらす。
そうだ、俺は一人じゃない。
雪蓮や冥琳、祭さんや六花さんに穏、
それにいつも俺の傍にいてくれる愛紗がいるから・・・・・。
「あ~二人とも、抱き合うのは結構だが、いつまで抱き合っているつもりだ?」
と、突然冥琳の声が聞こえた。
って、俺たちあれからずっと抱き合ったままじゃん!
俺はあわてて雪蓮から離れる。なんか雪蓮が「あ~ん、一刀のいけず~」とか言ってるのは無視して、
「悪いな冥琳、戦場で不謹慎だよな」
「いや・・・私はべつにいいんだがな・・・」
と、冥琳が俺の後ろを指差す。
俺が不審に思って後ろを振り向くと
そこに、背中に嫉妬の炎を燃やした愛紗がいた。
「・・・ご主人様、雪蓮殿と抱き合うとは、随分と楽しかったでしょうね・・・・」
「あ・・・いや・・・これは・・・その・・・・」
俺はしどろもどろになりながら愛紗の誤解を解こうした、が・・・。
「んも~一刀ったら、いきなり私に抱きついちゃって、
襲いたいんだったら私いつでも準備できてるのに~」
って雪蓮!そんな事言ったらやばい・・・・・。
「ゴ・シュ・ジ・ン・サ・マ?」
・・・遅かった・・・。
なぜだ・・・気のせいか愛紗の後ろにヘラクレスオオカブトに似た仮面の
某特撮ヒーローの姿が見えるよ・・・。
って、何雪蓮達逃げようとしてんだよ!
「いや~巻き添え食いたくないじゃない?」
「じゃあな北郷、・・・死ぬなよ?」
ふっ・・・これがホントの四面楚歌、か・・・。
「ご主人様・・・・」
愛紗が青龍刀片手に近づいてくる。
ああ、俺の人生もこれで終わりか・・・。
頭の中を思い出が走馬灯のように駆け巡る・・・。
「オンドゥルルラギッタンディスカァァァァァ!!!!!」
「ギャアアアアアアアアア!!!!」
その後、俺が全身包帯で巻かれたミイラ男状態になったのは言うまでもない。
あとがき
なんか久しぶりの更新です。
なかなか思うように戦闘シーンがかけなくて・・・。結果的にこんなに長い間ほったらかしになってしまいました・・・。
ようやく終了初戦闘。
このあといくつか拠点フェイズみたいなものをはさみながら黄巾党本拠地戦を書きたいと思います。
ではこれにて・・・。
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・・・長い間投稿できずすみませんでした~!!
ようやく初陣編ラストです!