No.967665

スマブラ Abandon World 21「ハオスの秘密?」

Nobuさん

この物語の悪役、ハオスについてちょっと迫る? なお話。
余談ですが、ハオスの要素は新ソニのメフィレスを参考にしています。

2018-09-19 09:17:31 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:526   閲覧ユーザー数:526

 マルス達はラストホープに戻り、アスティマに挨拶と自己紹介をした後に錆びた武器を直してもらった。

「それにしても、アスティマは本当に凄いね。こんな時間のかかる作業をたった1分で終わらせるなんて」

「いえ……今の私にできる事は、これくらいです。あなた達のように、戦ったりはできませんから」

「前線で敵と戦うだけでなく、それを後ろから支えるのもまた、戦いなんだよ」

 アスティマはどこか自分を卑下しているように見えたため、マルスは彼女を励ました。

「ところで、君はハオスを知ってるかい?」

 ルフレは、ハオスという女性をアスティマが知っているか聞いた。

 すると、アスティマの眉がぴくっと動いた。

「ハオス……?」

「ん、どうしたんだい?」

「いえ……ここで話したらハオスに感付かれると思うので」

 その時、アスティマはハオスの事を知っているような言動を見せたが、

 彼女に感付かれると思い口に出さなかった。

「うーん、話したくないならいいけど……でも、感付かれない程度になら話してくれないかな」

「ええ、それならいいですよ」

 アスティマは口を開き、ルフレ達にハオスについて簡単な情報を話した。

 

「ハオスはこの世界を滅ぼそうとしている人物です。

 他者を操る能力を持っており、魔物はもちろん、どんなに強い心を持つ人であっても

 心に少しでも穢れがあるならば彼女に意のままに操られてしまいます」

「それで、ハオスはあの凶暴な魔物をペットと呼んでいたのか……」

「はい。恐らくは、この世界の各地に彼女の『ペット』がいるでしょう。

 全ては彼女の悲願、世界滅亡のために、あなた達の仲間に牙を剥くでしょう」

 ハオスの能力を聞いたルフレはごくりと唾を呑む。

 あれを受ければ、かつての仲間に殺され、また自分も仲間を殺してしまう。

 それだけは絶対に避けたいとルフレは思い、どうすればいいかをアスティマに聞いた。

「アスティマ、一体どうやったらその能力に対抗できるんだ?」

「能力がかかってすぐなら救い出せますが、完全に操られればもう救い出せません。

 ですが、絆が強ければ強いほど、ハオスの能力に抵抗できる確率が高まります」

「絆、か……」

「そうです。あなた達の絆さえあれば、この世界を救う事ができます」

「あ、あはははは……;」

 自信満々にアスティマが言う。

 それほどまでに彼女はこの世界を救いたがっているんだ……とルフレは苦笑した。

「というわけで、私から話す事は以上です。後は、皆さんにこれを伝えてください」

「分かった」

 ルフレは頷き、まず、マルス、ロイ、アイクにハオスについて伝えた後、他の人にもそれを伝えた。

 

「え~っ!? それってダークマターみたいだよ!」

 ハオスの能力を聞いて、最初に驚いたのはカービィだった。

 カービィが言う「ダークマター」とは、彼の故郷に存在する闇の精霊で、

 他人に乗り移る「ゴースト」のARTSを持つ。

 何度かその一族が侵略を仕掛けてきたが、全てカービィにより阻止されたという。

「とりあえず、操られてるのをやっつければ元に戻るんじゃない?」

「あのね、カービィ……忘れてない? 今は治す手段がないってアスティマが言ってたんだよ」

「えー……」

「でも、対抗できないわけじゃない。強い絆さえあれば弾き返せるんだって」

「そうか。みんなを信じれば、操られる心配はないんだな」

 大切なのは、仲間を信じる心と、どんな脅威にも屈しない心。

 それが失われれば、この世界で生き残る事ができないのだ。

「……にしてはよくクッパ耐えられたな」

「我輩があんな術にかかって思うように操られるわけがないのだ!」

「ないのだー!」

 実はクッパはマリオ達に助けられるまではハオスの能力を受けていたのだ。

 しかし、ジュニアの絆が極めて強かった彼は操られず、代わりに辺り構わず暴れ出したという。

「で、お前達はこれからどうするのだ?」

「しばらくは仲間探しだな。これが終わったら、本格的に世界を救う事にする」

「ハオスのペットに気を付けつつ、操られないように気を付けるぜ」

「いいかマリオ、絶対に死ぬなよ! お前が先に死ぬのはゴメンだからな!」

「ああ! くたばるつもりはねぇよ!」

 クッパとマリオは、お互いにガッツポーズをした。

「……」

 その頃、ルカリオはこの世界に散らばった仲間の波導を感じるために精神集中をしていた。

 この世界では力が大分落ちており、長く精神を集中させなければ波導を感じる事ができないのだ。

「……?」

 5分後、ルカリオの体が少し震えた。

「どうした?」

「2時の方向に、3つの波導を感じる」

 という事は見つかる仲間は3人なんだな、とマリオは思った。

 ちなみに、2時の方向というのは北東の事を差す。

「行って来てもいいか?」

「だが、私が感じた波導はかなり弱かった。恐らく、仲間はかなり遠くの方にいるだろう。

 故に、水や食糧は持って行った方がいい」

「でも、ここにあるのか?」

「安心しろ、ゲッコウガとサムスが集めてきた」

 そう言って、ルカリオはゲッコウガとサムスを呼びに行った。

 

「干し肉とまだ飲めそうな水を持ってきた」

「お、サンキュ」

 ゲッコウガとサムスは、散策した時に見つけた水や食糧をマリオ達に渡した。

 この世界では貴重だが、あれば大分探索が楽になるだろう。

「だけど、飢えた人がこれを狙ってくるかもしれないから、その人達には気を付けてね」

「えっ」

 この世界にいるのは、スマブラファイターや魔物だけではない。

 水や食糧を狙う、飢えた人間もいるのだ。

 同じ人間である以上、できれば避けたいとマリオ達は思ったが、絶対に出会わないという保証はない。

 特に、カービィはどう対処したらいいのか分からずに困っている。

「嫌だよ、僕、その人に会いたくない。傷つきたくないし、食べ物を簡単に渡したくないよ」

「カービィにとっては嫌な相手だろうな。安心しろ、俺達が何とかしてやる」

「ありがとう、ピカチュウ!」

 ピカチュウに励まされたカービィは元気を取り戻した。

 

「それじゃあ、行ってくるぜ」

 そして、スマブラ四天王はアスティマ達に見送られてラストホープを出ていこうとしていた。

「マリオ、無事に帰ってこなかったら承知しないからね」

「リンクは、こんな環境にも屈せず生き残れると私は信じていますよ」

 二人の姫君も、大切な人を心配する目で言う。

「ああ……ピーチ、絶対に俺達は生きて帰ってくる」

「そして、必ずこの世界を救って見せるさ」

「お土産待っててねー!」

「俺達を信じて、待つんだぞ!」

「「「いってらっしゃい!」」」

 ピーチ達に見送られながら、スマブラ四天王はラストホープを出ていった。

 

「……ハオス……私は……あなたを……」

「ん? どうしたの、アスティマ?」

「ああ、いえ、何でもありませんよ」


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択