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九番目の熾天使・外伝~マーセナリーズクリード~番外編 エクササイズプログラム

okakaさん

リハビリ第5弾、夏は暑くて忙しかったのでサボってました。(反省)
※いくつかに偏見とみられるかもしれない描写があります。ご注意ください

2018-09-18 02:20:55 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:975   閲覧ユーザー数:844

番外編【エクササイズプログラム】Gun that suits you

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楽園内にある露天射撃練習場、全長800m程の長さのその施設に、今日も多種多様な銃声が木霊する。しかし、普段から銃を撃つメンバー以外に、今日は珍しい面子が増えていた。

 

 

「だからフルオート垂れ流すなっつってんだろ、3発ずつ指切ってかないとすぐ弾切れするっての」

 

「そんな簡単に言われてもできないですよ!それに発砲の間隔が長くなっちゃって隙ができるじゃないですか!」

 

「そもそも実戦でフルオート垂れ流しなんて今時機関銃でもやらねぇよ。世界的に有名なM16A2にはフルオートが無くてセミオートか3点バーストしか無かったぐらいだぞ・・・あれはあれで欠陥があったから更新されてフルオートで指切りするようになったけどな」

 

「じゃあ間隔はどうするんですか?」

 

 

射撃ブースで不満な顔を向けるディア、この度彼にもAS等の脱出時装備にアサルトライフルが支給される事になり、銃に関してはド素人である彼が最低限新兵並みに扱える様になるための訓練が行われることになったのだ。

 

そんな彼が不満そうに見ていたのは銃の選定と訓練を一任された教官役のokakaだ。いままで自分が映画やドラマ、アニメ等で見てきた撃ち方を全否定され、それとは全く違う理論を吹っ掛けられて不満満載の顔を向けられていたokakaは深くため息をつくと、座っていたパイプ椅子から立ち上がり、ディアの銃をもぎ取った。

 

 

「はぁ、良いか?見てろよ?」

 

 

そう言うとokakaは弾切れになっていたディアのアサルトライフル【AK-101】に新しい弾倉を装填、右側にあるコッキングハンドルを銃を寝かせて左手で素早く操作し、初弾を装填すると練習場に乱立するメタルターゲットに銃口を向けた。

 

 

「お前が指摘するのは指の動作が遅い状態のことだ、素早く正確に操作すれば・・・」

 

 

そこまで言ったokakaがトリガーを引き絞る。同時にAKから3発の5.56x45mmNATO弾が吐き出されメタルターゲットに叩き込まれる、そして瞬時にトリガーを再度引き直し、また3発を別のターゲットに素早く命中させる、まるでフルオートで引きっぱなしにしているかのように銃声が聞こえるほどの速度だ、しかし、その銃声が響く時間はディア以上に長い。これならば限られた弾数でも長時間連射しているような発砲音で敵を威嚇することもできるだろう。

 

 

「きちんと撃てば同じ弾数でもっと長い時間撃てる。常にトリガーにかかる指が動いてるイメージだ」

 

 

全弾を標的に命中させ、弾倉を抜き、薬室内に弾が無いことを確認しながらこともなげに言ってのけたokakaは唖然とするディアにイヤーマフを投げ渡すと銃を置いてブースを変わった。

 

 

「・・・常に指が動くイメージ・・・こう?いやでもどうやって3発でうまいこと切るんだろう?「慣れだ、銃声と発射間隔で覚えろ」・・・はーい」

 

 

独り言にまで突っ込まれたディアは若干の不満を抑えながら、台に置かれた自分の銃を手にとった――――――――――――――

 

 

 

 

 

―――――――「うーん、タイムが縮まらない・・・」

 

 

ディアから少し離れたブースで唸っているのは朱雀だ、特殊作戦訓練を修了した彼も支給された銃を持ち込んで射撃練習を行なっていた。

 

 

「どうした?なんか問題か?」

 

 

銃を置いて唸る朱雀にokakaが話しかける、それに気付いた朱雀がちょうどいいとばかりにストップウォッチを差し出した。

 

 

「ああokakaさん、実は標的制圧までにかかる時間をもう少し短縮できないかと思って練習してたんですけど、どうもイマイチで・・・」

 

「ふむ・・・ちょっと一回撃ってみろ、後ろで見てるから」

 

 

そう言うとokakaは朱雀の後ろに陣取り、左目のアナリティカルエンジンの録画モードを作動させた。

 

 

「じゃあ、俺の合図でスタートな・・・構えろ・・・撃て」

 

 

okakaの号令と同時に朱雀が彼に支給された【H&K MP7A2】を素早く構え、範囲内のターゲットを右から順に次々と撃ち抜いていく。全弾を撃ち終え、すべての標的に3発ずつ当てた朱雀は弾倉を抜きながらokakaに振り返った。

 

 

「こんな感じなんですけど・・・」

 

「ああ、確かにまだ遅いな。でも改善点はすぐにわかったぞ・・・見てみろ」

 

 

そう言ってokakaが左目で撮影した映像をタブレット端末に映し出す。

 

 

「お前はさっき一人ずつ狙いをつけて撃ってたろ?それじゃあ遅すぎるんだよ」

 

「そうなんですか?でもしっかり狙わないと無駄弾撃っちゃうんじゃ・・・」

 

 

朱雀の指摘に対して答えるようにokakaが自分の銃を取り出すと隣のブースに入った。

 

 

「良いか?銃口で標的をスーッとなぞるんだ。交わった瞬間だけトリガーを引けばいい。・・・隣から見てろ」

 

 

そういったokakaは自身の銃【H&K HK416A5】に特殊作戦用弾丸【6.8x43mmSPC弾】を装填、イヤーマフを着け大きく深呼吸をすると瞬時に構え発砲した。

右から順に全てのターゲットに穴が増え、撃ち終わるまでのタイムは朱雀よりも格段に早かった。

 

 

「敵は常に動いてるからな、追いつかなきゃ当たんねぇぞ」

 

「わかりました、やってみます!」

 

 

眼の前で実演された事に触発されたのだろう、朱雀は意気揚々と弾倉を交換し、練習を再開した。

 

 

「少しは休ませないと銃身や薬室が異常加熱するから、適度に休息挟めよー」

 

 

色々あったせいか、強さへの貪欲さが正しい方向への努力に変わっていく朱雀の成長に感心を覚えながら自分も昔はああだったなぁと精神的に老け込みそうなことを思いながらokakaはもう少し離れたブースへと歩を進めた―――――――

 

 

 

 

―――――――「ようお三方、調子はどうだ?」

 

 

「ああ、okaka、これ良いなぁ、気に入った」

 

「・・・俺の方は少し不満があるな」

 

 

三つのブースに連なって入っているのは支配人と二百式そしてガルムだ。okakaの話しかけに応じた支配人と二百式はそれぞれ違った返答を返した。(ガルムは一心不乱に撃ち続けていた)

 

 

「なんか不満か?それ」

 

「ああ、正直に言って俺には合いそうにない」

 

 

そう言って二百式はブースを離れ、持っていた【XM8】を休憩用テーブルに置いた。

 

 

「どのあたりが気に入らなかった?」

 

 

近くの氷バケツで冷やしていたスポーツドリンクを二人に手渡しながらokakaが聞き返すとそれを受け取りながら二百式が答えた。

 

 

「この多機能先進サイトっていうのか?こいつは覗き込まなきゃいけない。片目の俺が使うと視界がかなり狭まる。接近戦の多い俺には死活問題だ」

 

「あー確かに、視界が狭いなぁ」

 

「何か良いオプションって無いのか?」

 

 

スポーツドリンクの蓋を開けながら聞く支配人の意見にokakaは思案を巡らせた。

 

 

「うーん・・・できれば大量配備予定のこいつを使って欲しいところだが・・・流石に死活問題となると・・・」

 

「あースッキリした!銃身と薬室の冷却休憩!・・・ってどうしたよ?なんか問題か?」

 

 

話に入ってきたのは先程まで撃ちまくっていたガルムだ、銃のオーバーヒートを避けるためだけの休憩ということはまだ撃つのだろう、バケツからスポーツドリンクを取り出し、椅子に座るガルムに支配人が答えた。

 

 

「二百式の目だと視界が狭まる多機能サイトは死活問題になるんだとよ」

 

「あーたしかに、俺のモデルなら遠距離一択だから気付かなかったわ」

 

 

そう言うガルムがブースに置いている銃はXM8のオートマチック・ライフルモデルだ。軽機関銃などと同じ分隊支援火器としての使用を前提としたタイプのモデルで長銃身に内蔵型バイポッドと完全に遠距離や支援射撃を前提としたタイプだ。そのモデルしか撃っていなかったガルムでは確かに気付きようがなかっただろう。

 

(まぁタイプが違ったし仕方ない・・・ん?待てよ?・・・)

 

「そうか、それだガルム!」

 

「え?俺?」

 

 

唐突に立ち上がったokakaにスポーツドリンクを一気に飲み干したガルムがわけがわからないといった顔を向ける。しかし、okakaはそれを意に介さずワームホールを展開し、そこに上半身を突っ込んだ。

 

 

「そうだよなんで気付かなかったんだよ、モデルをいっそ割り切っちまえば良かったんだ!ってことで二百式、こいつならどうだ?」

 

 

そう言ってokakaが引っ張り出してきたのはXM8を限界まで切り詰めたPDW(個人防御火器)仕様のコンパクト・カービンモデルだ。しかもストックまで取り外した完全に近接仕様に特化したタイプ。

 

 

「短いな、だが確かにこれならサブマシンガン感覚で撃てるわけか」

 

 

確かにここまで短ければ有効射程もかなり限定される。しかし、そもそも接近戦の多い二百式にはそれはさしたる問題ではない。単純に【それ】と銃口で指し示したところに撃てば良いだけなので腰だめに撃っても十分だろう。

 

 

「なるほど、もう完全に接近戦に特化させてしまえば多少精度が落ちようが問題ないってことか」

 

「そもそも人間なら最初の数発が胴体に当たりゃあ無力化できるしな、普段から右手にヤッパ持って戦闘してるんだから、邪魔にならないサイズですぐに撃てるしちょうどいいだろ」

 

 

確かに、このサイズなら肩にでもスリングで掛けておけば邪魔にならない上にすぐに切り替え可能だ。何度か持って振り回してみた二百式は満足そうにうなずいた。

 

 

「これなら使える。俺はこのモデルで頼む」

 

「OK、じゃあ発注しておこう」

 

 

そう言ったokakaがタブレット端末で生産元に発注書を送信していると支配人が呟いた。

 

 

「そういやXM8ってたしかドイツの武器輸出法の改正でドイツ国内で設計された全ての兵器の販売輸出制限がかかった時に生産をほぼ終了してたはずなんだが・・・」

 

「・・・世の中にはライセンス生産って言葉もあってだな」

 

「「「結局お前の儲けかよ!!」」」

 

 

okakaがボソッと放った一言に三人が声を荒げた。

 

 

「まぁ、平行世界には輸出やライセンス販売をしてる世界もあるってこった。そうじゃなきゃラインメタル社のAS用狙撃砲も入ってこないしな」

 

「お前のコネの広さには心底驚かされるよ」

 

 

圧倒的なコネクションと技術力でのし上がってきた新興企業のCEOという表の肩書にも嘘偽りがないことを改めて実感した支配人達は呆れ半分の表情でokakaを見送った――――――――――――――

 

 

 

 

 

―――――――『まだまだだなぁルカ君は、射撃制御ソフトを更新してみたら?』

 

「うるさいよ、この銃改良して貰ってそんなに経ってないんだからまだ慣れてないんだって。それに僕は義体化も電脳化もしてない生身なんだからそんなものあるわけ無いでしょ」

 

『もうしょうがないわねぇ、私が弾道計算を手伝ってあげるからさっさとデータ揃えなさいよ!』

 

「うう・・・ありがとうアリカ、君だけが僕の味方だよ」

 

「こりゃまた珍しい組み合わせだなぁおい」

 

『あ、一城さんだ!わーい!一城さーん!』

 

「あ、お疲れ様です」

 

「おう」

 

最奥にある長距離射撃訓練専用のロングレンジブースにいたのは銃を構えるルカとokakaが運用している多脚型思考戦車【タチコマ】だ。伏せ撃ち用のマットレスの上にはルカのニューロデバイス端末である【アリカ】も置かれていた。

 

 

「新しいやつの使い心地はどうだ?」

 

「416の方も思ったより悪くないです。これなら500までの相手を確実に仕留められます。でもG28Eの方は少し重いですね。仕様変更で名前が変わるんでしたっけ?」

 

「ああ、M110Aって名前になる。まぁこれでも軽量化されたモデルだ。マークスマンライフルとしてはこれ以上の品はなかなかお目にはかかれんぞ」

 

「ですよねぇ。トリガーのトップスクリューでかかるロックがまだ少し慣れてない感じ以外はアリカのおかげで調整が効きそうです」

 

 

そう言ってルカが構えたのはH&K146の7.62mm×51mmNATO弾仕様モデル【H&K417】のセミオートオンリーモデルに改造を加えたマークスマンライフル【M110A】だ。特殊作戦訓練時に射撃訓練の成績が良かったルカはマークスマン(選抜射手、分隊後方から中距離の精密射撃で支援するポジション)の資格を授与された。その彼に416A5やMP7A2と一緒に支給された銃で今も改良が続けられている最新鋭のモデルだ。

 

 

「まぁ、そっちのはもう使いこなしてるんですけどね・・・」

 

 

そう言ってルカがジト目で睨む先にはokakaにまとわりついてくるタチコマがいた。普段その生き物で言う口にあたる部分には50mmの大型グレネードランチャーが搭載されているが、今日は少し違った。【AS50】を元に改造された12.7mmのセミオート対物狙撃銃をぶらぶらと動かしているタチコマをokakaは軽く撫でた。

 

 

「お前は規定数の射撃終わったのか?」

 

『やだなぁokakaさん。ちゃんと撃ち終わりましたって』

 

「で、終了報告が一切来てないんだが?」

 

『あ゛っ』

 

 

今まで忘れていたことを思い出したようにタチコマが一瞬固まった。

 

 

「ルカからかってねぇでさっさと終了報告出さんかい」

 

『す、すみません今から送りますぅ~』

 

 

うなだれながらタチコマの言葉通り、okakaの左目によって視界に表示されたARウィンドウの【12.7mm狙撃銃試射試験】の欄に終了を示すマーカーが表示された。

 

 

「で、からかってるからには自分はしっかり当てたんだろうな?」

 

『もっちろん!僕の射撃管制プログラムにかかればこれくらい楽勝ですって!』

 

「そりゃあ頼もしい限りだ。じゃあさっさと戻ってみんなに並列化してこい」

 

『はーい』

 

 

そう言うとタチコマは4本の足の先を車輪に変形させて訓練施設を出ていった。

 

 

「やっぱりかなり個性が出るんですねぇ。この前見たタチコマは紙媒体の本で読書してましたし、哲学や人間の感情について議論してる子達もいましたし」

 

「本来は個性を出さないための並列化だったんだがなぁ。逆に個性の分化が激しくなったのは流石に驚いた」

 

 

練習を切り上げた朱雀に話しかけながら練習場を出ていくタチコマ(と朱雀)を見送ったokakaとルカは入れ違いに入ってきた人物を見て顔をしかめた。

 

 

「げっ、竜神丸」

 

「開口一番それですか?いささか失礼過ぎはしませんかねぇ?」

 

「普段の言動と行動鑑みてみろってんだ」

 

「・・・じゃあ僕はもう少し調整するんで工房に行ってきますね」

 

 

okakaと竜神丸、二人の毒舌の応酬に飛び火することを恐れたルカがそそくさと立ち去ると、二人はブース脇のテーブル席に腰掛けた。

 

 

「で、私の注文の品は?」

 

「この後届けに行く予定だったのに、まさか自分から取りに来るとはな。すっかり忘れてるもんだと思ってた」

 

「いやぁ、割と愛着あるんですよその銃。それにB.O.W.の戦闘試験やるんで念の為に持っておきたかったんです」

 

「ああ、そういうことか・・・ほれ」

 

 

そう言ってokakaがテーブルの上に置いた小型のキャリーケースを竜神丸が開く。そこには彼の拳銃である【デザートイーグル Mk.XIX】だ。豪奢な金のメッキ加工と流麗なエングレービングが施されたまるで飾って楽しむためのコレクションアイテムのようなデザイン。パーツの一つ一つが丹念に磨き上げられ美しい輝きを放つそれを竜神丸は手にとった。

 

 

「見た目はそんなに変わりませんねぇ。・・・で肝心のあの機構は?」

 

「サムセイフティがセレクターになってる。一番下まで下げれば3点バーストだ」

 

「ほうほう。いやぁ、あなたに頼んだのは正解でしたねぇ。実績があるのは知ってましたが、まさかデザートイーグルでもやってくれるとは」

 

 

実際に手にとってセレクターとカチャカチャと動かしながら新しいおもちゃを手に入れた子供のようにはしゃぐ竜神丸にもう一つの箱を差し出した。

 

 

「バースト射撃にはこのマガジンを使え。装弾数を2発増やしてあるから3回のバースト射撃でちょうど空になるようになってる。通常のマガジンはあくまでセミオートのみを推奨しておく」

 

「はいはいどうも、マガジンの追加はあなたに言えば?」

 

「もうじき製品化されるからそこで買え。元々マガジン自体は一般の流通ルートに乗せるためのものだしな」

 

 

okakaの話を聞きながら竜神丸は受け取った箱から少し伸びたマガジンを取り出し、装填する。スライドを引くと撃鉄を起こし、引き金を引いた。

 

 

「トリガープルも軽くなってますね、まぁ私としてはあなたのその拳銃みたいな奴が欲しかったんですけど・・・」

 

「やめとけ。一からこいつを設計した人間は少なくとも武器の起こす騒乱を忌避してたんだ。設計データももう俺の頭の中にしか存在してない」

 

「感情論ですねぇ・・・ま、これで満足なんで良いですけど。ああそうそう報酬は実験の後で誰かにあなたの部屋に持っていかせますんで」

 

 

そう言ってokakaの腰に吊るされた二丁の拳銃【コルトM45A1改】から視線を外すとケースと箱を抱えて練習場を出ていった。

 

 

「・・・流石にこいつの機構を流通させる気はねぇよ」

 

 

竜神丸を見送ったokakaは立ち上がるとブースに入り、イヤーマフを装着し腰に

吊るされたもう一つの拳銃に意識を集中させる。

 

(ま、たまには良いか。練習時間も取らないといけないし)

 

鷹の目で全ての人間の意識と視線が自分に向いていないこと、カメラなどの録画機器も確認し、左目でセキュリティにアクセス。監視カメラの位置を自分から意図的に外れさせると大きく息を吐いた。

 

(不可視の弾丸【インヴィジビレ】、金一さんよくこんなの連射してたなぁ)

 

心の中でぼやきながら意識をターゲットに集中させる。次の瞬間、射撃場のメタルターゲット6つが同時に甲高い着弾音を立てた。

 

 

「!?何だ今の!?」

 

「なんかすっげぇ音したぞ!?」

 

 

一発の銃声と共に響き渡ったいつもよりも激しい音にその場にいた人間がどよめくのを尻目に、okakaは誰にも見られないように既にホルスターに収納された【スタームルガー ブラックホーク】を服の裏側に隠して発生させたワームホールに押し込み、M45を二丁ともホルスターから引き抜いた。

 

 

「【ウェアラブルマガジン】一回分、200発くらい撃ってから帰るか」

 

 

そう言い放つと袖口から飛び出した.45ACP弾が連なる特殊マガジンを装填。セイフティをフルオートに切り替え、両方の引き金を引いた――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

はい、ということで多人数さばく練習を兼ねて書いてみました。多人数さばくのはやっぱり難しいですねぇ。もう少しうまいこと書ければ良いんでしょうけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

銃器図鑑

 

 

AK-101

世界で最も人を殺した銃、AK-47の後継にあたるAK-74の輸出用口径変更モデル。

NATO加盟国を含む世界市場への輸出を考えているため、使用弾薬が5.56x45mm NATO弾に変更されており、M16、M4、XM8等と同じ弾薬を使用するようになっている。

AK-74と同じ要領で分解整備が可能でAKシリーズ全体に言えることだが、非常にシンプルかつ頑丈な作りをしている。

ディアに支給されたのは本来okakaが反管理局のレジスタンス組織に供与する為に調達していた銃のうちの一丁。

銃に対する基礎知識が足りていないことや、扱いが雑になる可能性を考慮し、ド素人でも使えるこの銃がディアに供給された。(このことについて本人は「もっとかっこいい銃が良かった」と非常に不満)

最近の流行であるカービンではなくフルサイズのアサルトライフルで、銃身も長いため精度はそんなに悪くない。

しかし、照星から照門までの距離が短く、照準は安定しない。

光学サイトを付ければ改善可能だが、okakaは「教育時間の無駄」として光学サイトを取り付けられないモデルしか調達していなかった。(専用のオプションキットを購入していなかった)

フルサイズのため、結構でかいが、ストック(銃床)を折り曲げて畳めるため、ASのコックピットに入れてても問題ない。

 

余談:もう一つの理由はセーフティでもあるセレクターと初弾を装填するコッキングハンドルが右型にしかなく、しかも大きいため手に持った時に向かい合った相手がセーフティの状態をひと目で確認できる上に、一度トリガーから手を離さないと切り替えができないため下手くそでも暴発を起こしにくいことも採用の一端だったりする。

 

 

H&K MP7A2

ドイツの名門ヘッケラー&コッホが開発したPDW(ピーディーダブリュー、Personal Defense Weapon、パーソナルディフェンスウェポンの略)で専用弾薬である4.6x30mm弾を使用する。

特殊作戦訓練を修了した全員に支給されており、朱雀は体格上や反動の関係でメインウェポンとしても使えるように改良を加えている。

最新モデルのA2型は特徴的だった銃身下部の折りたたみ式フォアグリップが廃止されており、置き換えるようにピカティニーレールが搭載されていることで拡張性が向上しているのが特徴。

朱雀はここにフラッシュライトを内蔵したフォアグリップを搭載し、射撃安定性の向上と視界確保を同時に行えるようにしている。

また、特殊作戦訓練修了者に支給される装備にはEOTech(イオテック)社製のホロサイトが同時に支給、搭載されており、広い視界の確保と素早いサイティングが可能になっている。

 

余談:ディアがこのコンパクトな銃を欲しがるも、内部構造が複雑で整備も簡単ではないため「すぐ壊すからダメ」と却下されたらしい。

 

 

H&K HK416A5

okakaが愛用している416シリーズの最新モデルである特殊作戦用アサルトカービン。

M4カービンの問題点を解消しつつ、性能を向上させた銃で【エンハンスド・カービン】とも呼ばれている。

小改造で特殊作戦用に開発された【6.8x43mmSPC弾】への切り替えが可能になっているため、okakaと特殊作戦群に配備、支給された分は全てSPC弾への切り替えを行なっている。

この弾は5.56mm弾の射程、威力不足との意見から7.62x51mmのような高威力の弾を開発する目的で開発された弾で、5.56mm弾に比べて衝撃力は大体30%上昇している。

反面、反動も強くなり、マガジンに入る弾数も減る(通常の30発弾倉に28発までしか入らない)ため、一般部隊向けではない。

また、最新モデルであるA5は現行のモデルと比べて

1、ガスブロック先端にガスレギュレーターが装備され、サブソニック弾(装薬量を減らし、音速を超えないように調整された弾)にも対応。

2、ハンドガードの固定用ネジが独自規格のものから一般的なものに変更され、ロアレシーバーはセレクター、マガジンキャッチ及びボルトリリースが全てアンビタイプ(左右両方の側で操作可能)となった。

3、ボルトキャッチのボタンが大型のものとなり、周囲にL字型のガードが追加されている。

4、トリガーガードは手袋を填めていても引き金を引きやすいように下方に湾曲した形状のものに変更された。

5、弾倉装着部がM4カービンに準拠したものになった他、弾倉は同社のHK417やG36同様に、半透明プラスチック製の弾丸が見えるタイプのものがラインナップに加えられている。(ただし、okakaはMAGPUL社製のものを愛用)

等の大幅な改良が行われており、非常に優秀なカービンとなっている。

また、バッファチューブとボルトキャリアに水抜き穴があり、機関部内に水が侵入した場合に素早く排水できるようになっているだけでなく、銃身基部に僅かな突起が設けられており、銃身内に水が入ったまま発砲した場合に規定値以上の腔圧が加わることによる作動不良と破損に備えており非常に水に強い。(軽く振るだけで普通に撃てるようになる)

 

特殊作戦訓練を修了した一部ナンバーズに支給されたタイプはそこから更に個人に合わせた銃身変更や機能拡張が行われており、完全に個人の私物装備となっている。

改装内容

okaka:通常の14.5インチ(368 mm)銃身を装備。FN SCARのFN40GL(MK13)40mmグレネードランチャー(EGLM)を搭載、偵察用カメラや赤外線投光機の打ち上げ等の特殊な弾頭を使用可能に調整されている汎用指揮官仕様。

 

ロキ:コンパクトモデルの11インチ(279 mm)銃身を装備。マスターキーの後継に当たるアンダーバレルショットガン【M26 MASS】とCQBハイダー(先端がスパイクになっており、格闘戦に使用可能)を装備した接近戦仕様。

 

ルカ:16.5インチ(419.1 mm)銃身を装備。長射程に対応するためにホロサイトの後部に3倍ブースター(ヒンジで固定する小型の固定倍率スコープ)を搭載、バイポッドが内蔵されたフォアグリップ(グリップポッド、バイポッドは使用時にグリップから引っ張り出す)を装備している簡易マークスマンライフル的な中遠距離仕様。

 

朱雀:okakaと同じく14.5インチ(368 mm)銃身を装備。フラッシュライト付きのフォアグリップとCQBハイダーを装備した前衛寄り汎用仕様。

 

余談:旅団全体で使用している5.56mm弾が使えないので、その場合は別に支給されている【MAGPUL MASADA】を5.56mm弾仕様に組んで使用する。

 

 

H&K XM8

H&K G36を基本設計に、強化プラスチックなどの新素材を多く使用し、未来を先取りしたような先進的なデザインをしているのが特徴の次世代アサルトライフル。

プラスチック素材は自由な形に成型できるので、銃の形を人間工学的にデザインし、使用者の体に丁度良くフィットして自然な姿勢で射撃できるように工夫されている。そのうえ、銃の問題点である反動を軽減して命中精度を向上させることが可能であるため、ある程度なら片手でもフルオート射撃が可能。

銃上部に付いたISM(多機能先進サイト・モジュール)は、ドットサイト式赤外線ポインター(倍率は1倍)、光学サイト(4倍)、赤外線照射装置を装備する。

コッキング・レバー、マガジン・レバーは両方とも左右どちら側でも操作が可能で、機関部両側にモード切替レバー(安全装置/射撃モード)が取り付けられているなど、左利きの射手にも対応可能な造りとなっている。

銃床は、5段階に伸縮が可能なバットストックで、取り外しが可能。

ハンドガードは人間工学に基づいた設計をしており、対高温であるため銃身の熱を遮断する他、内部には銃剣を装着する部分が収容されている。

PCAP(ピカティニー・コンバット・アタッチメント・ポイント、Picatinny Combat Attachment Pointsの略)と呼ばれるアタッチメント・ポイントは、各種アクセサリーを付け替えてもボアサイト機能を維持可能。

箱型弾倉はポリマー製で、金属製のマガジンよりも重量が30%軽くなっている他、箱型弾倉以外に100連装ドラム型弾倉も存在する。

銃身はコールドハンマー製法で作られており、長時間射撃・連続発射を繰り返しても命中精度への影響は少ないとされる。

また、XM8の銃身下部には40mm グレネードランチャー【M320 グレネードランチャー】や、マスターキー仕様の12ゲージショットガン【レミントンM870】などが工具なしで装着可能。

さまざまなオプション部品を取り付けても、同じ条件のM4カービンより2割ほど重量が軽いとされる等、まさにいたれりつくせりな未来の銃。

しかし、アメリカ陸軍が次期制式アサルトライフルとして同銃を発表したが、M16の製造元であるコルト社はロビー活動を展開、海兵隊や特殊部隊からの猛反発も重なり決定が覆され、同年4月に採用は保留とされた。

その後、10月31日には正式に採用を中止し、今後の動向は未定になった挙げ句ドイツの武器輸出法の改正でドイツ国内で設計された全ての兵器の販売輸出制限がかかった時に生産をほぼ終了してしまうという悲劇に見舞われた不遇の銃。

旅団への配備はokakaが立ち上げた軍需メーカー【G.A.S.】(グランダー・アーマメント・セーフテック)によりライセンス生産されたモデルの製造元と製造番号を偽造したものが支給されている。(そのため、捨てたものを回収されても密造品として扱われるため、足が付かない)

この銃が従来の銃と異なる一番の特徴は、部品交換によりアサルトライフルからカービンや分隊支援火器として使用できるように改造が可能な点、部品交換を容易に行える設計になっており、道具を使わず素手で行える。

支配人によると、ライオトルーパー隊、ゼクトルーパー隊共に好評であり、それまでの装備の欠点を十分に補いつつ、円滑な作戦行動が可能になったらしい。

 

カスタムバリエーションと使用者は以下の通り。

ベースライン・カービン(Baseline Carbine):アサルトライフル型。標準的なモデル。12.5インチ(318mm)バレルを使用。初期支給状態であり、支配人、及びライオトルーパーがこのモデルを主に使用。

コンパクト・カービン(Compact Carbine):PDW型。携行性を重視した小型モデル。9.5インチ(241mm)バレルを使用し、ストックを装備しない場合もある。二百式がストックを外したタイプを、ゼクトルーパーがストックを装着したタイプ使用。

シャープシューター(Sharpshooter):狙撃銃・マークスマンライフル型。20インチ(508mm)バレルと改良型のスコープを装備。現行で使用している人物はいない。

オートマチック・ライフル(Automatic Rifle):分隊支援火器型。連射のために耐久性の高い20インチ(508mm)バレルを採用。また、折畳式のバイポッドを装着し、給弾は100発ドラムマガジンで行う。ガルムがトリガーハッピー目的でこのタイプを愛用。

 

余談:ベースライン仕様に取り付けて使用可能なアクセレイガンの改良品【SB-RT-H2 アドバンスドアクセレイガン】(Aアクセレイガン)を現在okakaが試作開発中。

 

 

H&K M110A

HK416の7.62x51mm弾仕様であるHK417のセミオートモデルを徹底改良して作られたマークスマンライフル。

基本は416と同じだが、精度を重視し、セミオートのみの発射になっている狙撃銃仕様。

モジュラー式のサプレッサーを装着可能。

 

 

 

IWI デザートイーグルMK.XIX アルファ・リバインズスペシャル

 

竜神丸が自身の銃をokakaに依頼して強化改造を行なったオリジナルモデル。

セーフティにセレクターレバーとしての機構が加わり、内部機構の改造により3点バースト射撃が可能になった。

また、その際にシングルアクションからダブルアクションに変更されており、セミオートでの射撃間隔も短くなっている。

使用弾薬は自動拳銃弾のなかでは最大のサイズを持つ【.50AE弾】を使用。

この大口径のマグナム弾はなぜか【B.O.W.に対してはライフル弾より効く】らしいとのこと。(当然だが、本来はライフル弾の方が高威力、おそらく大口径で体組織を広く破壊可能だからではないかとokakaは予測している)

装弾数は本来7発なのだが、2発追加された増設マガジンを使用することで3回バースト射撃を行えるようになった。(3回発射でちょうど弾切れ)

また、グリップ内部にレーザーサイトが内蔵されており、正確な射撃のサポートの他にレーザーを体に当てることで対象を威嚇する【脅し】にも使用可能。

 

余談:okakaの受け取った報酬は【M92F サムライエッジ スタンダードモデル】と【アルバート・ウェスカーモデルのクローン】それぞれコレクションアイテムとして保持されるが、後の時代に意外な人物の手に渡ることになる。

 

 

コルト M45A1改

okakaの持つ45口径の拳銃でM1911A1ガバメントを現代仕様に改装したモデルをベースに更に改装を加えたオリジナルモデル。

右手用と左手用の2種類があり、どちらにもフルオート機構が搭載されている。

最大の特徴はアンダーレールに装備するアタッチメントによって性格がガラリと変わる汎用性の高さと特殊給弾システム【ウェアラブルマガジン】を使用可能なこと。

ウェアラブルマガジンはかつてokakaの出身世界でokakaのいとこがイタリアで引っ掛けた現地妻(語弊あり)に作ってもらった【着るマガジン】のコピー品。

袖口から特殊な弾倉を装填し、極細の化繊ワイヤーで繋げた弾帯ベルトで給弾することができるいわば拳銃用ベルトリンク給弾システム。

ベルトは防弾服の背中側から袖にかけて通る構造になっており絡まない工夫がされている。

それぞれの弾薬をつなぐ化繊ワイヤーは薬室装填時に閉鎖されることで切断される。

当然通常のマガジンも使用可能で、こちらを使用する場合予備マガジンはウェストポーチ型の弾倉ケースに入れておき、先端を差し込むことでバネ仕掛けで給弾できるようになっている。(二丁持った時の最大の弱点であるリロードを克服するための必須装備)

 

アタッチメントは以下の通り

銃剣:ダイヤモンドの6倍の硬度を持つS30-V鋼製の銃剣型ナイフと銃身を保護するためのストライクフレームが一体になったモジュール。銃を接近戦用の武器にするためのモジュールで、よく使われる。

 

サプレッサー:レールとフレームを一体化させたベースに大型のサプレッサーが着いたタイプ。.45口径は亜音速までしか出ないため、非常にサプレッサーとの相性が良い。

 

ライト:500ルーメンのフラッシュライト。鷹の目があるので無くても困らないが、目潰しにはなる。

 

ランチャー:最近追加したモジュール。20mmグレネードを発射できるようになる。okakaはこれで小型の圧裂弾を発射する。

 

余談:割と45信者の多い旅団だが、それとは別にokakaは必要に迫られて.45口径を使用している。というのも前述の通り音速を超えないこの弾はサプレッサーと非常に相性が良く、【暗殺に適している】ため、ターゲットに限界まで近付いた上で発砲しても気付かれにくいという特性を隠し持っているこの弾薬をチョイスした。

 

 

スタームルガー ブラックホーク

okakaが隠し持っているSAA(シングルアクションアーミー)のコピーモデルのソリッドフレームリボルバー。

様々な口径があるが、okakaは.45口径モデルを使用している。

SAAを欲しがる団員もいるが、それよりも後期に作られたため安くて使いやすく射撃性能も変わらないため、okakaはこれを使っている(後、名前に鷹が入ってるのが気に入ったらしい)

本来、リボルバーの使用弾薬はリム(薬莢下の出っ張り)が出た専用の物でなければいけないが、この銃はなんと.45ACP弾(オートマチック用弾薬)を使用できるコンバーチブルモデル。(実際に存在する)

okakaはこれを使って視認速度を超えた視認不可能な早撃ち【不可視の弾丸】(インヴィジビレ)を行う事ができるため、早撃ち専用にチューンされている。

okakaの早撃ち速度は旅団最速の0.02秒(ボブ・マンデンと同等)。瞬きよりも早く、ファニング(トリガーを引きっぱなしにしてハンマーを手のひらで叩くテクニック)を使えばほぼ同時に複数のターゲットを撃ち抜く事が可能。(音が一発に聞こえる速度)

この技も【誰にも見せるな見せたら殺せ】のルールで縛っているため、誰にも教えず、誰にも悟られていない。(元々はokakaのいとこが使っていた技)

 

余談:そもそも、早撃ちに戦術的アドバンテージは【皆無】なので旅団内で早撃ちを行う人間が殆どおらず、やっても競技練習くらいの中、okakaのケースにおいてだけは早撃ちが有効となる作戦が数多く存在していたため、この技を磨いてきた。(薬莢が落ちずに弾倉に残るリボルバーでの早撃ちは群衆に紛れて【暗殺】を行うのに非常に適している。銃声に驚いた群衆に紛れて離脱することで敵に悟られず、発射地点の特定を遅らせることが可能なため)

 

 

 

キャラ(装備紹介)

タチコマ

かわいい。(詳しくはググってね)

 

 

 

 

 

 

 


 
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