No.938901

英雄伝説~灰の軌跡~ 閃Ⅲ篇

soranoさん

第16話

2018-01-25 21:49:30 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1786   閲覧ユーザー数:1623

パルムへと向かい始めたリィン達はパルムに向かう途中で脱線事故の現場を見かけた為、状況を確認する為に事故現場に近づいて現場を指示しているミハイル少佐から情報を聞いた後再び、パルムへと向かい始めたがその様子をある人物達が遠くから見ていた。

 

~南アルトリザス街道~

 

「フフン……大事な時期に面倒な連中が来ましたわね。1年半ぶりですか―――黒兎もそうですが、随分と変わりましたわね。あの年齢の男子ならば珍しくはないのでしょうが……まあ、まだまだ未熟でしょう。」

パルムへと向かうリィン達の様子を見ていた騎士装束の娘は不敵な笑みを浮かべて呟き

「あはは、なんか嬉しそうじゃん。」

その様子を見ていたリィン達が空港付近で出会った赤毛の娘は面白そうに見ていた。

「う、嬉しそうになんてしていませんっ!」

「ふふっ、さっき話した時も思ったけど……噂で聞いていたよりも更に腕が立ちそうじゃん。ランディ兄とどっちが上かな?1年半前の内戦を終結させた後クロスベルの奪還の際にランディ兄達と合流してそのまま”碧の大樹”にもランディ兄達と一緒に来たそうだけど、”結界”の解除の為の同時攻略でランディ兄達はシャーリィの所に来て、向こうはヴァルドの方に行っちゃったから結局戦う機会は無かったんだよね~。ちょっと愉しみかも。」

「”赤い死神”ですか……なかなかの腕前でしたけど。いずれにせよ、”彼女”も含めてわたくし達の敵ではありませんわね。せいぜい今回の実験の”目くらまし”として役に立ってもらいましょう。」

赤毛の娘の言葉を聞いてある人物を思い出したデュバリィは静かな表情で推測をした。

「そうかな~?1年半前の内戦やメンフィルとの戦争でそっちは何度もボロ負けしたんじゃなかったっけ~?」

「ぐっ……あ、あれは”殲滅天使”を始めとしたメンフィルの卑劣な策や、容姿どころか強さまで”嵐の剣神”とそっくりな人物という予想外の戦力がいたせいですわ!」

赤毛の娘の指摘に対して騎士装束の娘は唸り声を上げた後必死に言い訳をした。

 

「ま、何でもいいけどさー。―――ちょっと、味見するくらいは構わないとか思わない……?」

「っ………まったく貴女たちナンバー持ちと来たら……――――いいですか!我らにとって待ち望んでいた”大いなる計画”の再開です!貴女も衰退したとはいえ、結社入りしたのならば少しは――――」

凄まじい殺気を纏って不敵な笑みを浮かべた赤毛の娘に視線を向けられた騎士装束の娘は一瞬怯んだ後気を取り直して赤毛の娘に注意をしようとしたが

「まーまー、折角だからお互い目いっぱい愉しもうよ♪」

赤毛の娘は笑って軽く流した後、何と一瞬で騎士装束の娘の背後を取った!

「な……!?きゃあっ!ちょっ、何を――――あうん!やあっ、アアアン……!」

「うーん、小ぶりに見せかけてベルお嬢さんくらいはあるよねー。お仲間の二人と比べたら控えめかもしれないけどこれはこれで好きだなぁ♪」

騎士装束の娘の背後を取った赤毛の娘は騎士装束の娘の胸をもむことを楽しみ

「ちょ、ちょっと……!シャレになってないですわよ!?いい加減に――――いやああっ!!?」

騎士装束の娘は離れようともがいたが、赤毛の娘を離す事はできず赤毛の娘が気が済むまで、胸を揉まれ続けた。

 

「はあはあ……この娘……あまりにフリーダム過ぎますわ……ううっ………お母様………マスターぁぁぁぁああっ………!」

「う~ん……さーてと……せっかくのエレボニア再デビュー、派手に飾らせてもらおっかな?相手にとって不足はなし―――”サプライズゲスト”も期待できそうだしね♪」

騎士装束の娘が嘆いている中、赤毛の娘はリィン達が去った方向を見つめて不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

その後パルムに到着したリィン達は、街を見回りながらクルトが昔住んでいたヴァンダール流の道場に近づいた。

 

~”紡績町”パルム~

 

「そうか、ここが――――」

「ええ、ヴァンダール流の道場です。はは……でも懐かしいな。小さい頃はここに住んでいましたし。」

「ふふっ、そうなんだ。でも、ヴァンダール流ってエレボニアじゃすごい流派なのよね?お弟子さんとか多そうだし、どうして閉鎖しちゃったの?」

「それは………大した事情じゃないさ。これも時代ってところかな。」

「へ…………」

「……………」

(……そう言えばヴァンダール家と言えば………)

(恐らく”あの件”とも関係しているのでしょうね……)

ヴァンダール流の道場が閉鎖した理由を言葉を濁して誤魔化したクルトの答えにユウナが呆けている中、事情を知っているリィンは目を伏せて黙り込み、ある事を思い出したアルティナは静かな表情で、セレーネは複雑そうな表情でそれぞれ道場を見つめていた。

 

「とおっ、やあああっ!!」

するとその時道場から掛け声らしき声が聞こえてきた。

「はは、やっぱり誰かいるみたいだな?」

「ええ……知り合いかもしれません。でもこれは……」

「せい、はあっ!」

「ちぇえええい!」

「閉鎖されたにしては賑やかですね。」

「……というか、声の感じからして道場を再開したようにしか思えないのですが……」

道場から次々と聞こえてくる掛け声にクルトが眉を顰めている中アルティナは静かな表情で呟き、セレーネは苦笑していた。

「……すみません。少し覗いてもいいですか?」

「ああ、もちろん。折角だし挨拶していこう。」

そしてリィン達は道場の中へと入っていくと、道場内では門下生達が鍛錬をしていた。

 

~ヴァンダール流・練武場~

 

「ちぇえい、まだまだーっ!」

「ホラホラ、脇が甘いよっ!」

「わぁ……!ここが剣術の道場……!」

「門下生も少ないなりに熱心みたいですね。」

「ああ……やる気が漲ってる感じだな。」

「えっと……本当に道場は閉鎖したんですわよね?」

「え、ええ………どうなってるんだ?」

門下生達の鍛錬の様子をユウナは興味ありげな様子で見つめ、アルティナの分析にリィンは静かな表情で頷き、苦笑しているセレーネに話を振られたクルトは頷いた後困惑の表情を浮かべた。

 

「おおっ、誰かと思えば……!クルト坊ちゃんではないですか!?」

するとその時リィン達に気づいた門下生の一人がリィン達に近づいて声をかけた。

「あ……お久しぶりです。ウォルトンさん。って、”坊ちゃん”はやめていただけると。」

「ははっ、これは失礼!いやあ、去年の暮れに帝都でお会いして以来ですな!いつこちらへ?ご連絡いただければお迎えしたものを!」

「いえ……実は士官学校のカリキュラムで来ていまして。」

「ほほう、そういえばそちらの方々は……」

「申し遅れました、自分達は――――」

クルトの話を聞いた門下生に視線を向けられたリィン達はそれぞれ自己紹介をした。

 

「なるほど、地方演習で……遠路はるばるご苦労様です!まさか、噂の”灰色の騎士”殿と”聖竜の姫君”殿に教わっているとは知りませんでしたぞ!しかもこんな可憐なお嬢さんたちと同じクラスとは……坊ちゃんも隅に置けませんなぁ!」

「あはは、可憐だなんてそんな~。」

「お世辞だと思いますが。」

「ええい、茶々入れないのっ。」

門下生の賛辞に照れているユウナにアルティナはジト目で指摘し、指摘されたユウナはジト目で反論した。

「はは……こちらこそ名高きヴァンダールの道場を見学できて光栄です。」

「そ、それはともかくどうなってるんですか?こちらの道場は去年の末に閉鎖されたはずじゃ……?」

「ええ、そうなんですが……先週から期間限定で再開することになったのですよ。実は、マテウス様の紹介で臨時の師範代に来て頂きまして。」

「父上の……?もしかして、僕も知っている方ですか?」

「ええ、今は出かけられていますがきっとご存知かと思いますよ。いやはや、お若いのにかなりの凄腕でしてなあ。閉鎖以来、腐っていた我々も久々に奮い立っているところです!」

「へえ、そんな使い手が。」

「……いったい誰が―――」

門下生の話を聞いたリィンが興味ありげな表情をしている中クルトは考え込んだ。

「そうそう、その臨時の師範代の方関連で坊ちゃんに朗報があるんです!」

「”朗報”……ですか?それは一体どのような……?」

「何でもその方のお知り合いで、遥か昔に失われた”ヴァンダールの槍術”を受け継ぎ続けた家系の人物―――坊ちゃんにとっては遠い親戚に当たる方がいらっしゃいまして、本日より数日間、その方から手合わせや先祖代々受け継ぎ続けた”ヴァンダール流槍術”を指南して頂ける事になりましてな。失われしヴァンダールの”槍”を我々の手で復活させる切っ掛けになればと、我々もその方の到着をお待ちしている所です。……ちなみに臨時の師範代の方が出かけられておられる理由は件の方のお迎えに向かっているからです。」

「”獅子戦役”での先祖ロランの死によって失われたヴァンダールの”槍”を………?」

(お、お兄様。もしかしてその方って………)

(ハハ、どう考えてもフォルデ先輩だろうな………という事はもしかしてその”臨時の師範代”という人物は―――)

門下生の話を聞いて若干驚いたクルトはリィンとセレーネに視線を向け、視線を向けられたセレーネとリィンはそれぞれ苦笑しながらある人物を思い浮かべた。

 

「――――ウォルトンさん!手合わせの相手を頼めませんか……」

するとその時別の門下生がリィン達と会話をしている門下生に声をかけたが、リィン達の中にいるクルトに気づくと血相を変えた。

「クルト……!?お前、クルトか!?」

「あらま坊ちゃん!大きくなっちゃって!」

「はは……ラフィ、カティアさん。どうもお久しぶりです。」

その後、クルトは昔住んでいた時の顔馴染みと久闊を叙し……お茶などをご馳走になった後、また顔を出すことを約束してから稽古を再開する彼らに別れを告げた後特務活動を再開した。

 

特務活動を再開したリィン達はパルムにいる人形兵器らしき魔獣を見かけた人物――――トールズ士官学院の卒業生でああるミントに情報を聞いた後、街道へと向かい、ミントの話通り人形兵器達が現れた為、協力して撃破した。

 

~アグリア旧道~

 

「くっ……自爆までするなんて……」

「今のも”結社”の……とんでもない戦闘力だな。」

「ふう……内戦時、”執行者”達が使役したのと同じタイプみたいですね。」

戦闘が終了し、戦闘の疲労によってユウナとクルトが息を切らせている中アルティナは一息ついて静かな表情で呟いた。

「相変わらずサラッととんでもない事を言うな……」

「って、その口ぶりだとあんた、まさか”執行者”とまで戦ったの……?教官達も黙っていないで――――って、教官……?」

アルティナの発言に冷や汗をかいたクルトは疲れた表情で指摘し、クルトと共にジト目で指摘したユウナだったが未だ武器を収めていないリィンとセレーネの様子を見て首を傾げた。

「気を抜くな……聞いた情報を思い出すんだ。本校の卒業生は幾つの影を見たと言った?」

「3つの影……」

「まさかもう一体……!」

リィンの指摘を聞いたアルティナとクルトが呟いたその時、ユウナ達の背後に先程リィン達と共に倒した人形兵器が新たに一体現れた!

 

「ぁ………」

「くっ……」

「クラウ―――(間に合わない……?)」

疲労によってすぐに動けないユウナとクルトが人形兵器の奇襲攻撃を受けようとしたその時

「オオオオオオオッ……!」

「ハアアアアアアッ……!」

リィンは自身に秘められる”力”を解放し、セレーネは膨大な魔力を一瞬で解放して二人同時にユウナ達を電光石火の速さで横切って人形兵器へと向かった!

「!?」

「な――――」

二人の一瞬の動きを見たユウナが驚き、クルトが絶句したその時リィンとセレーネはそれぞれ左右から袈裟斬りを放って一撃で人形兵器を撃破した!

 

「ふう……」

「間一髪でしたが、間に合いましたわね……」

「す、凄い……」

「い、今のは……」

それぞれ解放した”力”を抑えたリィンとセレーネをユウナとクルトは呆けた表情で見つめ

「……撃破後の警戒を怠り、更にサポートが遅れてしまい、申し訳ありませんでした。」

アルティナは二人に近づいて申し訳なさそうな表情で謝罪をした。

「ふふっ、気にしないでください。わたくし達は”教官”として当然の事をしたまでだ。」

「ああ。それに遅れたと言っても、咄嗟にサポートしようとしていた――――って。」

セレーネと共にアルティナに慰めの言葉を言いかけたリィンだったが、自分をジッと見つめているユウナとクルトの視線に気づいた。

「リィン、教官…………」

「…………………」

「はは…………まあ、病気とは違うがちょっと特殊な”体質”でね。気味悪いかもしれないが……極力、見せるつもりはないからどうか我慢してもらえないか?」

「が、我慢って……!そんな話じゃないでしょう!?今のだって、あたしたちを助けるためじゃないですか……!」

「……危ない所をありがとうございました。その、もしかして――――………」

苦笑しているリィンの言葉に対してユウナは真剣な表情で反論し、クルトは感謝の言葉を述べた後リィンにある事を訊ねようとしたが、すぐに訊ねるのをやめて黙り込んだ。

 

「えっと……セレーネ教官もリィン教官みたいに凄い動きをしましたけど、もしかしてセレーネ教官もリィン教官と同じ……?」

「いえ、皆さんもご存知のようにわたくしは”竜”ですから、魔力を瞬時に身体能力に回したお陰であんな動きができたのです。」

「とは言っても、そのような芸当ができるのはセレーネ教官が”特殊な竜族”だからですが。」

「へ……それってどういう事なんですか?

自分の質問にセレーネと共に答えたアルティナの答えが気になったユウナは不思議そうな表情で訊ねた。

「わたくしは通常の竜族とは若干異なる竜族でして。その関係で、あのような魔力の使い方もできるのですわ。……とは言っても、魔術を使う事と比べると魔力の消費が激しいですから、普段は使いませんが……」

「そうなんですか………」

セレーネの答えを聞いたユウナは呆けた表情をした。

 

「まあ、それはともかく、3人とも対応が甘かったな。きちんと情報を聞いていれば残敵を見逃すことも無かったはずだ。初日だから仕方ないが、”次”には是非、活かしてもらおうか。」

「くっ、この人は~……!」

「……今回に関してはまったく言い返せないけどね。」

「まあ、次の課題としましょう。」

「フフ……」

リィンの評価を聞いて様々な反応を見せている生徒達をセレーネは微笑ましく見守っていた。その後、付近を捜索したが人形兵器はそれ以上に現れず―――怪しげな人物にも遭遇しなかったためリィン達はパルムに戻ることにした。

 

その後パルムに戻ったリィン達は残りの人形兵器らしき魔獣の目撃情報があった場所へと向かった――――

 

 

原作ではリィンの暴走しかけが何度かありましたが、この物語ではそんな事は全くない予定の上、神気合一は閃Ⅲ開始時から使用可能です。(そりゃそうだ)問題は原作と異なり、暴走しない事が今後どう影響するかなんですよねぇ……(閃Ⅲは未だに4章夏至祭の最中です(遅っ))ちなみにですが、まだ仮の段階ですが灰の軌跡の設定(つまり光と闇の軌跡、運命が改変された少年を混ぜた設定)で閃Ⅳ篇を書く設定を思いついちゃいました(ぇ)閃Ⅳ篇突入するかどうかは2章のクロスベル到着前後あたりの時期でわかると思います(その頃にはさすがに私も閃Ⅲをクリアしているはず……)


 
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