俺と愛紗が雪蓮たちに保護されてはや1ヶ月、
俺たちはだんだんと呉での生活に慣れていった。
今では俺は文官の仕事を、愛紗は武官の仕事を手伝っている。
俺の場合、前の三国志の世界で習った文字の読み書きのおかげで、
すぐにこちらの世界の書物も読めるようになった。
そこで俺は冥琳に頼んで、文官の仕事を手伝うこととなった。
今では結構仕事を任されており、それなりに忙しい日々を送っている。
愛紗の場合、雪蓮と手合わせした際、雪蓮にその実力を認められて、
武官として働くことになった。
雪蓮曰く「私より強い」とのこと。
まあ女の子とはいえ愛紗はかの猛将関雲長だからなあ。
当然といえば当然だけど・・・。
その後愛紗は祭さんや六花さんの教練の手伝いもするようになり、
2人から「助かっている」と感謝されていた。
そんな中、前の三国志の世界同様、時代は大きく揺らぎ始めていた。
外戚や宦官の専横、さらに度重なる重税や飢饉によって
民衆の不満は極限にまで達していた。
そんな中、民衆より支持を得ていた太平道の指導者張角は、
太平道の信者を率いて漢王朝に反乱を起こした。
世に言う黄巾の乱である。
腐敗しきった漢王朝にこの反乱をおさえる手段はなく
反乱は大陸全土にひろがっていった・・・。
「・・・で、自分の領地に黄巾党の連中が侵入して
暴れているから討伐してくれって袁術から命令が来たってわけ。
まっ、私たちは一応袁術の客将だから、いやとは言えないんだけどね」
と、雪蓮は愚痴をこぼすように言った。
「でも黄巾党による被害は私たちの領地でも甚大ですので、
どのみち討伐はしなければなりませんね~」
そう陸遜(穏)はいった。
ちなみに穏とはあの尋問の後、冥琳に紹介された。
のんびりした性格と、本を読むと発情する性格は、
あっちの世界と同じである。
俺に軍略や兵法を教えてくれてるんだが、
本を読むと発情する性格で、しょっちゅう襲われかけた。
ちなみに、なぜ「かけた」かというと、
穏が俺を押し倒すと同時に、愛紗が部屋に飛び込んでくるからだ。
全く愛紗には俺専用のセンサーでもついているのか?
この前なんて穏が俺の服を脱がしているのをみて、いきなり
「オンドゥルルラギッタンディスカァァァーーー!!!!」
とか叫びながら部屋で青龍偃月刀を振り回したため、
部屋は半壊、授業は滅茶苦茶になった。
まあ穏は発情するところを除けばいい子だし、
有能な軍師であるため俺たちは信頼している。
「確かに穏ちゃんの言うとおり、
現在黄巾党の被害は我が領土にも広がっています。
袁術の命令は抜きにしても、武力討伐は必要でしょう」
と、六花さんは雪蓮に言った。
「ふ~ん・・・一刀、関平、あなたたちはどう思うの?」
突然雪蓮は俺たちに話を振ってきた。
「俺も武力討伐には賛成、かな。
今黄巾党を討伐しなければ、いずれ俺たちにも被害がでてくる。
それに、ここで黄巾党を倒せば、俺たちの名も上がるしな」
「私もご主人様の意見に賛成です。
第一、今黄巾党に苦しめられている人々を、見殺しにはできません」
俺と愛紗は賛成の意見を取った。
「なるほどね、わかったわ。それじゃあこの件は承諾したということで
袁術に話すわ」
「ええ、袁術の命令うんぬんよりも、この討伐は我等の名を高める絶好の
機会だからな」
「まあ、袁術の小童の命令だというのは気に食わんがな」
と雪蓮、冥琳、祭さんは言った。
こうして、黄巾党征伐は全員一致で決定し、出陣は2週間後となった。
軍議の後、俺達は庭で今回の戦に関する会議を行うことになった。
「さて、今回の戦についてだが・・・」
冥琳が切り出した。
「敵の数は約1万、我々の兵はどう見繕っても5千程度だな・・」
「おいおい、数では敵の半分ではないか
大丈夫なのか、冥琳よ」
冥琳の言葉に祭さんが茶々をいれる。
ま、相手は自分たちよりも数が多いんだからしかたないか。
「まあまあ、その数の差をどうにかするのが軍師の仕事ですよ
ねえ、冥琳?」
「六花様の仰るとおりです、
数の差を知略で埋める、そのために我ら軍師がいるのですから」
「あら、頼もしいわね冥琳、
その様子だと、もう敵を一網打尽にする策でも考えついたのかしら?」
「愚問だな雪蓮、相手は数が多いとはいえ烏合の衆、
少々策で補えばなんとかなる」
と冥琳は雪蓮と六花さんに言った。
さすがは呉の名参謀、周公謹といったところか。
愛紗達の世界で俺達が戦った周瑜は、蓮華との仲が険悪だったため、
参謀としての実力は発揮できていなかった。
もしも、蓮華との仲が険悪でなかったなら、
俺たちは勝てていたかどうか・・・。
ま、今はそんなこといいか。
「で、次は・・・」
「資金のことです」
と冥琳が言った。
「金のことはわからん、冥琳と穏に任せる」
祭さんは初めからこの件にはかかわらないらしい。
「商家の皆さんから集めるにしても、そんなには集まらないでしょうからね~」
「ふむ、弱ったな」
と、皆そろって頭を抱えている。ん?だがまてよ?
「なあ」
俺が声をかけると皆、俺のほうを見た。
「いっそのこと袁術に出さしたらどうだ?」
「袁術に?」
「ああ、だって袁術は自分のかわりに出陣するよう言ったんだろ?
だったら出陣する代わりに資金を援助するよう頼めばいいじゃないのか?」
「ほう、もし断られたらどうする?」
冥琳が聞いた。
「そのときは、資金不足で出陣できない、とでも言えばいいのさ。
こっちが出陣できないんじゃ袁術が出陣するしかないだろ?
出陣したくないからこちらに頼んだんだから嫌でものむさ。」
俺が話し終わると周りが静まり返った。
「いいんじゃないの?」
突然雪蓮が言った。
「ええ、たしかにいい案ですね」
冥琳も賛同してくれた。
「まっ、袁術に頼るのは癪じゃがの」
「祭、しかたがないでしょう、今の我らではこれしかないのですから。」
「すごいですね~、一刀さん」
と、皆口々に言っている。
「では、資金の件は雪蓮が袁術に援助するよう頼む、
でいいですね?」
「ええ、ま、なんとか頼み込んでみるわよ。」
そして軍議は解散となった。
「・・・・・」
と、冥琳がこちらをじっと見ている。
「?どうかしたのか冥琳」
「いや、雪蓮もいい人材を拾ったと思ってな」
「別にたいしたことはしてないと思うけど・・・。」
「謙遜することはない。お前の案はなかなか悪くなかった。
関平といいお前といい、雪蓮はいい拾い物をした、と私は思ってるよ。」
と冥琳は柔らかい表情をうかべながら言った。
はい、五章アップしました。
・・といってもarcadiaに掲載されていたのを写しただけですが・・・。
ここでの設定では愛紗は雪蓮と祭より強いという設定にしました。
一応一刀の祖父から技などを教わっていることになっているので・・・。
あと一刀も祖父や父親から剣術を仕込まれたのでとりあえず穏や冥琳よりは強いです。
ではまたお会いいたしましょう。
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みなさんお待たせしました!?
作品更新です!
今回は黄巾党討伐編に入ります。
戦闘シーンはありませんのであしからず。