No.926426 六兆年と一夜物語(オリジナル) No.2 黒色の少年2017-10-16 17:10:47 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:676 閲覧ユーザー数:675 |
歩く。歩く。歩く。。。。
家までの距離が長く感じられる。
ひとつめ、ふたつめの角を右に曲がり、みっつめの角を左に曲がろうとしたとき。
反対側から、何か、気配を感じた。
人々を憎み、世を恨む。
そんな、自分と同じような気配が。
左ではなく、右に足が進む。
行ってはいけないと、そんな気がするのに、勝手に体が動く。
その先には.......少年がいた。
私と真逆の真っ黒な瞳でこちらを睨み、警戒しているようだった。
少年の傷だらけの姿を見ていると、自然と声が出た。
「どうしたの?」
少年は自分にかけられた言葉だと理解すると、目を大きく見開いてからその場に膝を付き、大粒の涙をこぼした。
「ねえ、どうしたの?」
白亜が何度訪ねても少年の涙が頬を伝うだけで、答えは返ってこない。
白亜は、そっと少年の頭を撫でると優しく微笑みかけた。
さっきまで泣いていたその瞳で。
そうすると、少年は泣くのを止め安心したような表情をした。
「a...a........argt. 」
知らない言葉を話す。
「ええと…どうしたらいいのかな?」
困った。
言葉が通じない。
「titkt. bkntkrhkty. anthsmssunkowstirkr.」
そう言うと、私の手を引く。
「待って、私、いけないよ。家に帰らなくちゃ。」
伝わるはずもないのに。
少年は私の手を引き続ける。
仕方がないから、ついていくことにした。
歩いた先には、トンネルのようなものがあった。
どこまで続くか分からない、長い長いトンネルが。
でも、真っ暗ではない。
夜空に星が輝くように、そのトンネルにはたくさんの光が見えた。
行ってはいけない、そう思う自分とこの先の世界を見てみたい、そう思う自分がいた。
でも、私はこの先に行ってははいけない。
そう思ったから、少年の手を振りほどいた。
少年は驚いたように目を見開いたが、私はそのまま駆け出す。
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誰も知らないおとぎ話は夕焼けの中に吸い込まれて消えてった・・・か」
昔_それほど遠くもない昔、おばあさまが歌ってくれた歌。
私にぴったりだからと何度も歌ってくれた歌。
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