No.911519

SAO~帰還者の回想録~ 第11想 槍の研がれる時

本郷 刃さん

烈弥もまた自身の過去と向き合う
今回を機に自分も前に進むべきだと思い…

2017-06-25 14:33:28 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4753   閲覧ユーザー数:4426

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SAO~帰還者の回想録~ 第11想 槍の研がれる時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

烈弥Side

 

和人さんがPoHの襲撃を受けて重傷を負った。

その話しをALOで明日奈さんから聞かされた時、内容を理解した瞬間に頭が沸騰するほどの怒りが込み上げてきた感覚を覚えてる。

思い出したらいまでも怒りが湧いてきそうなほどだから。

 

でも、あの時は傍に珪子(シリカ)が居て、彼女だけじゃなくて他の女性陣も居た。

それに一番辛いはずの明日奈さんが気丈に振舞いながらユイちゃんを慰めて、

僕達に説明する姿を見ていたら、僕は怒りを露わにすることを躊躇うしかなかった。

それは他の『神霆流』のみんなも一緒だったみたいだけど、みんなも明日奈さんの姿を見て無理矢理抑え込んだらしい。

 

そのあと、雫さんの家のSPの人が運転する車が僕達を迎えに来て、みんなで和人さんのいる病院に向かった。

そこで知らされた真実、それはPoH以外に犯行に携わった人物が居て、

その人は和人さんを含めた僕達が奪ってしまった命の関係者だったことだ。

今回の襲撃は和人さんとPoHの因縁を含めて、起こるべくして起こってしまったのかもしれない。

改めて、僕自身や珪子に周りみんなにも起こるかもしれないことかと思うとゾッとした。

 

和人さんが襲撃を受けたのが金曜日の夜、彼が『オーシャン・タートル』に搬送されたのが土曜日、

志郎さんと景一さん達がお見舞いに行ったのが昨日の日曜日。

そして今日が月曜日、学校が終わった後で菊岡さんが学校までお見舞いに行く僕達を迎えに来てくれた。

お見舞いに毎日行く明日奈さん、僕と珪子、それに刻君と直葉さんの五人で行く。

 

自衛隊のヘリで辿り着いた水上に浮かぶオーシャン・タートル。案内された施設内の先で

僕達は『ソウル・トランスレーター(STL)』に覆われている和人さんの姿を見た。

 

 

 

どうして明日奈さんは怒りを抑えられたんだろう、純粋にそう思った。

例の女性もまた被害者というべき立場だったからなのかとも思ったけど、それを知る前も知った後も明日奈さんは変わらなかった。

 

「烈くん、大丈夫?」

「あ、珪子。うん、ちょっと考え事してて…」

 

適当なベンチに座って考えてたし、信頼してる人だから安心しきってることもあるから珪子が近くに来たことに気付かなかった。

色々と考え過ぎていたかもしれないけど、まぁ珪子だから構わないんだけどね。

 

「あの、あたしになにか出来ることない?あんまりできることはないけど…」

「ううん、そんなことないよ。良かったら話しを聞いてもらってもいいかな?」

「うん、あたしで良かったら!」

 

そのまま珪子は僕の隣に座って話しを聞く姿勢になり、そんな彼女の姿に胸が温かくなる。

珪子が傍に居るから落ち着けたのかもしれない、いまならちゃんと話せそうだ。

 

「それで話しってなに?」

「実は明日奈さんのことなんだけどね。どうして、犯人とかへの怒りを抑え込めたのかなと思って。

 僕は和人さん襲撃の話を聞かされた時、頭の中はPoHとかに対しての怒りで一杯だった、珪子達が傍に居たから落ち着けただけで。

 でも、明日奈さんは僕達に確りと落ち着くようにさせてから説明して、

 本当は自分が一番辛いはずなのにユイちゃんのこともちゃんと慰めて、みんなに心配を掛けさせないようにしてた」

「そうだったよね。明日奈さんが一番大変だったはずなのに、でも一番確りしてた…」

「明日奈さんはお母さんに甘えたって言ってたけど、それでも犯人であるPoHと女性のことを聞いた時は冷静でいた。

 僕はその時だって怒りで一杯だったのに、一番辛かったはずの明日奈さんはなんで怒りも悲しみも、

 色んな感情を抑えて和人さんを信じられたのか、気になって……いや、嫉妬したのかもね」

「嫉妬? 烈くんが、明日奈さんに?」

 

珪子が不思議に思うのも無理ないけど、僕だって嫉妬することはあるんだよ。

あ、そこは明日奈さんにってところかな?

 

「僕は結局のところ短気な方だからね、キレ易いって言うか…。

 少し前までの明日奈さんも和人さんのことに関したら僕以上にキレ易くて、結構不安定な人だった」

「そういえばそうだよね。あたしでも明日奈さんが不安定になるところ見たことあるし」

 

それらを踏まえても、先日の明日奈さんは色々な感情を抑えてみんなの前に立っていた。

和人さんの隣に立つ人として、ユイちゃんの母親として、ご両親の娘として、それらに恥じないためにも。

 

「そっか、明日奈さんは和人さんとユイちゃんと一緒に成長したってことなんだね」

「せい、ちょう?」

「うん、三人で一緒に。

 あたしは年下で何を言ってるんだって思うかもしれないけど、ALOの『神々の黄昏(ラグナロク)』で和人さんと明日奈さんとユイちゃん、

 三人の思いを見て聞いたから。きっと、三人で成長した証なんだと思うの」

 

成長。そうか、和人さんと明日奈さんはとっくに“共依存”から抜け出していたんだ。

これまで色んな事件を一緒に乗り越えてきた、時にはユイちゃんも大きな手助けになって。

あの明日奈さんの姿は成長した証なんだね。

 

なら僕も、いつまでも足踏みはしていられないね。

 

「珪子、どうしても聞いてほしい話しがあるんだ。僕の過去の本当の部分と和人さん達と出会って、力を手に入れることになったことも」

「いいの、あたしが聞いても…」

「うん、珪子には知ってもらいたいんだ。僕も一歩を踏み出したい。先に進むためにも」

「……解ったよ。烈くんの話、聞かせて」

「ありがとう」

 

僕が家族を失い、力を求めて、仲間と力を手に入れた話をしよう。

 

 

―――――

 

 

 

十一年前のあの日、僕は家族を、両親を失った。

 

〈僕は元々お祖父ちゃんっ子でありお祖母ちゃんっ子でね。

 当時の僕の家は同じ埼玉県内だったから、よくお祖父ちゃん達のところに遊びに行ってたんだ。

 その日も両親にお祖父ちゃんの家まで送ってもらってから、泊りがけで遊んでた〉

〈じゃあ烈くんがお祖父さん達と仲が良いのは最初からだったんだね〉

 

昔のことだからたくさん覚えているわけじゃないけど、両親とだって仲は良かった。

ただお父さんもお母さんも仕事をしていたら、自然とお祖父ちゃん達と一緒の時間が多かっただけだからね。

 

〈でも、それがお父さんとお母さんが生きてる最後の姿になった…〉

〈え、あ…〉

〈お祖父ちゃんの家から帰る時、いつもなら迎えに来るはずのお父さん達が来なくて、二人の携帯端末にも連絡がつかなかった。

 だからお祖父ちゃんとお祖母ちゃんに連れてもらって自宅に帰った。そこで見たのは…〉

〈……烈くん?〉

 

この先は珪子には辛い内容で思わず口が噤んでしまう。

一歩でも先に進むために僕自身も決心したつもりだったけど、そうじゃなかったみたいだ。

体が震える……けど、震える僕の手を珪子が優しく、それでいてギュッと繋いだ。

 

〈珪子…?〉

〈烈くんが辛いのなら、まだ言わないで。あたし、烈くんが辛い顔してるの見たくないよ。

 でも、あたしは大丈夫だから。どんな話でも、どんな事でも、あたしは烈くんと一緒に居るよ〉

 

止まった、体の震えがピタリと止まった。

珪子が繋いでくれる手の温もりが、彼女の想いが震えを止めてくれた。

一人じゃない、珪子が傍で聞いてくれるのを忘れちゃいけないね。

 

〈また、ありがとうだね。うん、少し辛いけど、珪子にも辛い思いさせちゃうかもしれないけど、聞いてくれる?

 できれば、このままで〉

 

珪子が頷いて応えてくれたから、まずは深呼吸をして自分を落ち着かせる………よし。

 

〈僕が自宅に帰ってきた時、お父さんとお母さんを呼んでも出てこなかった。

 玄関の鍵は開いていたから気にせず入って、リビングに向かった。

 そこで、体から大量に流した血の海に倒れている二人を見つけた〉

〈っ…!?〉

 

珪子が息を呑むのも解る。

大量出血ともなると打撲系の怪我ではほとんどありえない、でもそれが刺し傷や裂傷だったら別だ。

そしてそれは今回の和人さんの一件も同じで刺し傷や裂傷による大量出血だったから。

 

「おとう、さん…? おかあ、さん…? ねぇ、おとうさん、おかあさん…!」

「烈弥、どうし……なっ!? 烈弥、こっちへ来なさい! 婆さん、烈弥を連れて出てくれ! 警察と救急車も!」

「あなたどうし、ひっ……うそ、こんな…!? れ、烈弥君、お祖母ちゃんと一緒にこっちへ! あぁ、110番を…!?」

 

〈お父さんとお母さんに縋りつく僕にお祖父ちゃんが気付いて、お祖母ちゃんと一緒にその場を離させた。

 すぐに警察と救急車が来たけど、二人は既に息を引き取っていた。

 死因は大量出血によるもの、致命傷も数ヶ所あって大動脈も裂かれていたらしい。

 あれは、辛かったなぁ…〉

〈烈、くん…!〉

 

珪子が悲しげな声で呼んでくれて、また手を強く握ってくれたから、それに少しだけ笑うことで大丈夫という気持ちを返せた。

 

〈犯人は金目当ての強盗で家中が荒らされていて、お金や通帳の類は全部無くなってた。

 その犯人、いや犯人達も数日後には逮捕、人数は三人。

 お父さんとお母さんが犯人達に抵抗したみたいで二人の爪から引っ掻いた時の皮膚と血液、それに髪の毛とかも家の中から検出された。

 DNA鑑定と目撃情報から犯人達が割り出され、決め手に通帳とかからお金を引き出したことも確認されて逮捕だね〉

〈いま、犯人達は…?〉

〈犯行そのものは計画的なものだけど殺害に関しては突発的なもの、けど確実に命を奪うための傷を負わせていたこと、

 奪ったお金も使って逃亡もしていたし、全員容疑を認めていた。

 さらに彼らは前科もあり、それ以前の別県での事件も起こしていたみたいでね、全員が終身刑〉

〈そう、なんだ…〉

 

勿論、終身刑とはいえこのまま刑務所で一生を終えるのか、なにかしらの事情で一時的にでも出てくるのかは分からない。

ただ少なくとも、あの事件そのものは数日で終わって、僕とお祖父ちゃんとお祖母ちゃんに確かな傷を残した。

 

 

 

 

〈その後は知っての通り、僕はお祖父ちゃん達に引き取られて一緒に暮らすことになった。

 お祖父ちゃんの家、いま僕達が暮らしている家は和人さん達の家とも近くて、小学校は和人さん達と一緒になったってこと〉

〈もしかして、その時に神霆流を?〉

〈うん、そうだよ〉

 

お祖父ちゃん達には悪いけど、あの時の僕は年齢不相応に惰性で生きていたようなものだった。

それに後になって和人さんにその時の僕の様子を聞いてみたところ、言い難そうで気まずそうにだけど教えてくれた。

曰く、死んだ魚のような眼、濁り腐りきったような眼、

意思が少なく惰性が多分にある眼、目前のことを見ているようで見ていない眼、以上。

 

和人さんには言い難いことを言わせちゃったから申し訳ないし、当時の僕ホント酷いね。

 

〈でもね、神霆流や和人さんよりも先に僕が一歩でも進むきっかけを作ってくれた人が居たんだ。珪子も知ってる人だよ〉

〈え、誰だろう? 和人さん達よりも先、う~ん……あ、もしかして刻くんか直葉ちゃん?〉

〈正解。小学校に入学して、いつも一人だった僕に最初に話しかけてくれたのが、刻君だった〉

 

「キミ大丈夫っすか? 体の調子でも悪いっすか?」

「……えっと、大丈夫、だけど……キミは?」

「ボクは月乃刻っす」

「僕は、神城烈弥、です…」

「よろしくっす、神城君」

「よ、よろしくね、月乃君…」

 

その時はこの子なにを言ってるんだろうと思ったけど、和人さんに僕の眼のことを聞いたあとで納得したね。

 

〈刻君は多分、僕の眼とか見て体調が悪いと思ったんだろうね〉

〈あ、あはは、そんなにだったんだ〉

 

刻君に聞いたら肯定しちゃったくらいだし。

まぁ、あの明るさと志郎さん並みのマイペースっぷりのお陰で孤立しないで済んだ。

直葉さんも刻君と一緒に話すようになったし、

とはいえそれでも二人が居ない時は一人だったから当時の僕はボッチだったといえる。

 

〈一年生の時は二人のお陰でなんとか過ごせて、二年生の二学期になって和人さん達と出会った。

 刻君から和人さん達がスポーツじゃない剣道をやってるのを聞いて、僕は力がほしい、強くなりたいって思ったんだ。

 和人さんの伝手もあって師匠と初めて会って、僕はあの時の僕が強くなりたい理由を話した〉

 

師匠が、八雲さんが家に訪ねてきた時のこともよく覚えてる。

 

「初めまして、神城さん。古流武術『神霆流』師範、時井八雲と申します」

「「「初めまして」」」

「烈弥君、でしたね。早速ですがどうして力を得るための剣道をしたいのか、聞かせてください」

「……僕の、お父さんとお母さんは、強盗に殺されました…」

「っ、まさか復讐、ということではありませんよね?」

「すいません時井さん。先に儂ら家族の事情を話してもいいですか?」

「お願いします」

 

お祖父ちゃんが補足として自分の息子夫婦である僕の両親が強盗殺人によって亡くなったこと、

僕を引き取って一緒に暮らしていること、犯人も捕まって終身刑を受けていることを説明したんだよね。

 

「なるほど、そのような事情が……それで烈弥君の力が欲しい理由はなんですか?」

「お父さんとお母さんみたいなことが、目の前で起きてほしくないから、です」

「ほぅ」

「烈弥…」

「烈弥君…!」

「僕、いまは子供だけど、大人になって剣道とかできたら、僕の目の前の人は守ってあげられるかもしれないから…。

 力があったら、強かったら、犯人とか倒せるかもしれないから…。

 だから、力が欲しいです、強くなりたいです!」

 

あの時はただ力が欲しかった。

両親のことは過ぎたことだと理解しなくちゃいけなくて、でも子供だからそう簡単に納得できるはずもない。

子供の頭で考えて考えて、考えに考えを重ねた結果、力を欲した。

最初の守るは建前だったと思う、犯人を倒せるというのが本音だったはずだ。

 

「烈弥君の気持ちは解りました。ですがその心持だけでは武術を教えることは、ましてや剣道を教えることすらできません」

「っ、どうして、ですか…?」

「キミの誰かを守りたいという思いは間違いなく本物でしょう、それは私でも解ります。

 しかし、それがキミの心を占める割合は大きくはない、割合の大半は……犯人や犯罪者に対する“怒り”です。

 根本は違っていても犯人達と同じ行動を執りかねないならば、教えることはできません」

 

〈その時の僕はただ悪人に八つ当たりしようとしていたことを師匠に指摘された。どこでも教えてもらえないのは当然だよ〉

〈でも、今もいままでも烈くんは神霆流を教えてもらってるよね〉

〈まぁね、そこもなんとかってところかな〉

 

そう、本当ならそこで話は終わりだったかもしれない。

でも、師匠は、八雲さんは僕の気持ちを汲んでくれた。

 

「ですが、私個人としてはやはり烈弥君の周りの人や目の前の人を守りたいという想いを無碍にしたくはありません。

 なので神城さん、お二人がよろしければまずはお孫さんを私に預けてもらえませんでしょうか?」

「どういうことか窺っても?」

「はい。烈弥君の気持ちもありますが、彼に武道の才能があるのを私は認識しました。

 この子の気持ちを無碍にせず、それでいて感情や力を自分で抑えられるようにすることは頑張り次第ですが十分可能です。

 烈弥君が少しでも無暗に力を使ったら、その時は二度と武道に関わらないという約束をする、というのはどうでしょうか?」

 

師匠がこの話を持ち出した時、僕は藁にも縋る思いだった。

お祖父ちゃんとお祖母ちゃんは顔を見合わせてから、師匠に向き合ったっけ。

 

「儂は烈弥が約束できるのなら、構わない」

「でも、あなた…」

「約束をできない、約束を破ってしまったなら、その時は儂らで守ってやるだけじゃ」

「そう、ね……やらせてみることが大切かもしれませんね」

「そういうわけで烈弥や。時井さんとお祖父ちゃん達と約束できるかい?」

「う、うん! 約束する! 頑張る!」

「時井さん。孫を、烈弥をお願いします」

「どうか、力になってあげてください」

「この子の為になるよう尽力いたします」

 

〈そうして僕は三年間、神霆流の仮門下生になったんだ〉

〈そうだったんだ〉

 

僕の気持ちを汲んでくれた師匠にもお祖父ちゃんにもお祖母ちゃんにも本当に感謝してる。

お陰で僕は正式に門下生になって、いまでは準師範代の位を承っている。

 

〈ちなみに門下生になったのは和人さん達の件があったからなんだよ〉

〈和人さん達の…?〉

〈二年が経って和人さんと志郎さんが自分の出自を知って、三年が経った時に景一さんと詩乃さんが巻き込まれた事件が起きた。

 そこで僕は心を守ったり助けたりすることと命を奪ってしまった側の重たさも思い知らされた〉

〈烈くん…〉

〈それを知ったから、僕は門下生になれた。和人さん達の助けにもなりたいから、修行も勉強とかも頑張った。

 何時の間にか準師範代にまでなってたけどね〉

 

準師範代の位を貰えたのは間違いなく和人さん達の件があって、

家族のこととか命のこととか大切なことを教えてもらったからだ。

 

 

お父さんとお母さんを失くした日のことは忘れない。でも、その後でみんなから色々な

ことを教えてもらったこと、大切なものを与えてもらったことも絶対に忘れない。

それがいまの僕を成してるはずだから。

 

 

 

 

―――――

 

 

珪子と出会うきっかけになったSAOまでの粗方の話が終わった。

 

「まぁ、こんな感じかな……なんだか話してみたら、重荷を下ろした気分だよ」

 

スッキリしたとも言えるし、溜めこんでいたものを吐きだせた気もするから、なんだか力が抜けたよ。

でも、珪子に知らせてなかったことを話して、知ってもらえたと思うと嬉しい気もする。

 

「烈くんの知らなかったことを知れて、あたし嬉しいよ。ありがとう、烈くん」

「珪子も僕のことを知ってくれて、ありがとう」

 

繋いでいた手を深く強く絡めて、お互いの思いを言葉にする。

簡単なことだったかもしれないけど、僕にとって踏み出すのが大変だったことを終えることが出来たのは間違いなく彼女のお陰だ。

 

「八雲さんにも和人さん達にもお礼を言わなくちゃ」

「どうして?」

「烈くんと一緒に居てくれてありがとうって。

 八雲さんが烈くんにたくさんのことを教えて、和人さん達やお祖父さん達が烈くんを支えてくれたから。

 だから、あたしが烈くんと出会えたから」

「……そうだよね。はは、僕も和人さんが目を覚ましたら、みんなにお礼を言うよ」

 

そうだ、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんが僕を引き取って育ててくれた。

師匠は僕の気持ちを汲んで力を得るきっかけをくれた。

和人さん達は大切なことを教えてくれた。

みんなのお陰だから、いままでの分のお礼を言わないといけないね。

 

「あ、あとね。今度、よかったらだけど、烈くんのお父さんとお母さんのお墓参り、させてもらってもいい?」

「勿論だよ。僕も二人に珪子のこと、ちゃんと紹介したい」

 

家の仏壇の前ではあるけど、ちゃんとしたお墓参りに彼女を連れていったことはない。

いままで昔の話を詳しくしたことが無かったからかもしれない。

でもいまは珪子と一緒に行きたいと思ってる。

 

「珪子」

「なに、烈く、んっ…///!」

 

彼女の名前を呼んで軽く僕の方を向いた時、その唇に自分のを重ねた。

軽く触れるだけのキスだけど、驚いている珪子に笑みがこぼれる。

 

「もう一度和人さんのところへ行ってから、帰ろう。僕達の居場所に」

「うん///!」

 

握り合う手を恋人繋ぎにして、僕と珪子は和人さんが眠っているSTLの部屋に前に来た。

そこには明日奈さんが待っていて、反対側からは刻君と直葉さんも向かってきている。

落ちあった僕達はガラスを通して部屋の方に目を向ける。

 

―――和人さん。お礼とかたくさん言いたいことがあります。だから必ず、目を覚ましてくださいね。

 

烈弥Side Out

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

あとがき

 

まずは投稿が大幅に遅れてしまい申し訳ないです、最近は執筆の進みが遅くて難儀しております。

なので一度以前のように日曜日である今日に投稿して整えることにしました。

今後も投稿が一日から数日に亘って遅れることがありますが、必ず完結はさせるのでご安心ください。

 

さて、今回は烈弥の話となり、書き方は志郎の時と同じにしました。

彼に関してはSAO編の時に簡単なことは書いておりましたが今回で当時のことを詳しく、

そしてどういった気持ちで神霆流に臨むことになったのかを書くことになりました。

最後のキスはいつものことw

 

少しばかりスランプ気味なところもありますが次回の執筆も頑張ります。

次は刻の番ですが少しだけ本作における直葉のことも書きますよ。

 

 

 

 

 

追記

 

SAOの映画をようやく見ましたが、あくまでも個人の気持ち的ですが半々でした。

漫画版とネットのSAO記事のサイトの情報も含めて、そうなった感じ。

 

キリアスはとにかく良かったです、アスナのために決死ともとれる思いで挑むキリトさんカッコよすw

二人のイチャイチャも良かった、DVDが出たら必ず購入しようと思いましたw

 

一方でエイジ(ノーチラス)とか重村教授にはツッコミたいところが満載でしたが…。

この二人には勿体ないくらいのユナちゃんの良い娘っぷりw

 

そしてどうしてこのことを書いたかというと、黒戦におけるOSは無理だと判断したからです。

何故かって?こういうことさ……、

 

 

そもそも最初の段階で怪しいと踏んで…

 

キリトさん「お前(エイジ)のその動き、普通じゃないな……なるほどチーターか」

エイジ「!?」

キリトさん「システム的におかしい、アクセスさせてもらった、やはりチーターか」

エイジ「!?!?」

キリト「強化するものを使っているな、無効化してやる。物理的にも肉体的にもなぁ!」

エイジ「!?!?!?」

 

 

仮にキリトさんと戦わないでアスナと仲間と友人に手を出した場合…

 

キリトさん「よくもまぁ俺の仲間と友人(風林火山+α)に手を出したな、潰すぞ」

エイジ「ざくっ!?」

キリトさん「しかも大切な娘の想いを無碍にしてるようだな、屑め」

エイジ「ぐふっ!?」

キリトさん「よくも俺の女(アスナ)に手を出したな、本気で潰すぞ!」

エイジ「どむっ!?」

キリトさん「返してもらうぞ俺のアスナの全てを、現実では生かしておくがOSのお前はコロス!」

エイジ「ぎゃんっ!?」

 

 

OSがあって重村教授とアリシゼ編で会った場合…

 

和人「あんたが茅場以下で須郷よりマシな男か」

重村「ぐはっ!?」←精神にクリティカルヒット

和人「明日奈の記憶戻ったからよかったけどさ、戻ってなかったら菊岡とか政府とか無視して社会的に殺してたから」

重村「うぐっ!?」←精神に会心の一撃

和人「ていうか娘の想いを無碍にして恥ずかしくないのか?

   あ、恥ずかしくないし娘のことがどうでもいいから、あ・ん・な・こ・と、したんだったな」

重村「ひでぶっ!?」←精神にオーバーキル

 

 

ということになるw というかそういう感じにしてしまう、自分がw

だから書くのは無理、時系列どうやらユウキが亡くなって割とすぐというかそこら辺みたいですし。

後付け設定のものがこれ以上増えるのも中々大変ですしw

 

その代わりですがそれに関連することを本編中に書くつもりですのでご容赦を。

それではサラダバー!

 

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
7
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択