No.905876

真・恋姫外史 がんばれ一刀お笑い道中~僕が外史に降りた理由~ 第三話

アキナスさん

一刀くんの楽しく学ぼう!

2017-05-16 15:51:58 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:3337   閲覧ユーザー数:2868

天の血を入れるという、要は種馬として迎えられた一刀だったが、それ以外何もしなくても良いという訳ではない。

 

そもそも何もせず遊び呆けているような男に孫呉の女達がなびくはずもないのだ。

 

とはいえ、この世界の事をろくに知らない一刀に今出来る事など無いに等しい。

 

このように理由は多々あるが、結論を言えば、まず一刀は教育を受ける事となったのであった。

 

「と言う訳で、穏が一刀さんの先生を務める事になりました。よろしくお願いしますね」

 

「よろしくな。ノンタン」

 

「の、穏たん?」

 

「気に入らないか?」

 

「い、いえ。ただ、そんな呼ばれ方は初めてだったもので・・・・・・」

 

「俺の知ってる本の主人公にそんな名前の猫がいてな。たしか・・・・・・」

 

一刀は一枚の紙の上に筆を滑らせた。

 

「こんな感じの」

 

そう言って一刀が穏に見せたのは、二本足で立っている白い猫の絵だった。

 

「ほうほう。一刀さん絵が上手いんですね」

 

「まあ、そこそこ自信はある。ところで、呼び方は普通のほうがいいか?」

 

「別に構いませんよ~」

 

「そうか」

 

「では一刀さん。まずは文字のお勉強を始めましょうか・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「飽きた」

 

「まだ一刻も経ってませんよ~」

 

穏は非難ごうごうだ。

 

「何と言うか、もっと楽しい勉強方法は無いものか」

 

腕組みをしながら考え込む一刀。

 

「文字の勉強は読むか書くしかありませんし、楽しいと言われても・・・・・・」

 

「読む・・・・・・書く・・・・・・」

 

一分ほど考え込んだ一刀にふと閃いたものがあった。

 

「あった。楽しい文字の勉強法」

 

「ええ?」

 

「思い立ったが吉日。ノンタンも手伝ってくれ」

 

「は、はあ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「おい雪蓮」

 

時間は昼を回った頃、城の廊下で雪蓮を呼び止める冥琳。

 

「北郷と穏を見なかったか?」

 

「見て無いけど、どうかしたの?」

 

「勉強の様子を見てきたのだが、部屋にいないんだ」

 

「一日目からさぼり?いい度胸してるわね」

 

「雪蓮に言われたくはないだろうな。とはいえ、北郷だけならともかく穏がそう簡単にさぼるとは思えないが・・・・・・」

 

二人の会話に、たまたま通りかかった文官が声をかける。

 

「お二人なら少し前に城下へ行かれました・・・・・・というか、北郷殿が陸遜様を引っ張っていったというか」

 

「本当か?」

 

「はい。なんでも勉強をしに行くんだとか・・・・・・」

 

「「?」」

 

頭上に疑問符を浮かべる二人。

 

「どういうことだ?」

 

「さあ?二人を探して確かめてみればいいんじゃない?」

 

 

 

 

 

 

 

街の広場の一角に一刀と穏はいた。

 

二人の周りには子供たちが集まっており、皆座って一様に二人に目を向けている。

 

そんな一刀の手には、自作らしい紙芝居が・・・・・・

 

「こうして犬、猿、雉と共に悪い鬼を退治した桃太郎は、たくさんの財宝を持ち帰り、おじいさん、おばあさんと幸せに暮らしましたとさ。おしまい」

 

どうやら桃太郎の紙芝居をやっていたらしい。

 

紙芝居が終わると、子供たちは立ち上がり、辺りへ散っていった。

 

「これならいけるな。さっそく次回作に取り掛かろう」

 

「何がいけるんだ?」

 

一刀と穏が声のした方を向くと、そこには冥琳の姿があった。

 

「冥琳様」

 

「いつからいたんだ?」

 

「ついさっきだ。それは何だ?」

 

「紙芝居。絵の後ろに筋書きと台詞を書いて、それを読む。読み終わったら絵を横に引き抜いて裏に回す。それを繰り返していく、簡単な演劇みたいなもんかな?」

 

「ほう・・・・・・」

 

「ちなみに男役は俺が、ノンタンには女役をやってもらった」

 

「ノンタン?」

 

「穏の事だ」

 

「そ、そうか・・・・・・」

 

「これ、やってみると結構難しいんですよ~~」

 

穏が紙芝居を指差しながらため息をつく。

 

「そうそう。絵を引き抜くタイミングとか、演じる人物によって声色変えたり・・・・・・台詞回しも難しくってな」

 

「今回は、子供達もあんまりお話に入り込めてない感じでしたね」

 

「もっと練習しないとな」

 

反省会の様相を呈してきた二人に、冥琳は一言。

 

「それはいいが、今は勉強の時間ではなかったか?」

 

「これが勉強なんだよ。文字の」

 

一刀が絵の裏を冥琳に見せると、そこには一刀が穏に教えてもらいながら書いた文字がつらつらと書き連ねてあり、その横に一刀が現代で使っていた文字が小さめにふってあった。

 

「書いて読む。文字の勉強だろ?」

 

「ふむ・・・・・・」

 

「しかも熱を入れてやるから効果は高い。文句の無い勉強法だと思うんだけど・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

顎に手をやり、少々考える冥琳。

 

「まあ、効率がいいにこしたことはないか。しかし、今度からは一言言っておいてほしいな」

 

「私もそう言ったんですけど、一刀さんが時間が惜しい。すぐにやりたいって無理矢理・・・・・・」

 

「たはは・・・・・・」

 

ばつが悪そうに頭を掻く一刀。

 

「悪かった。今度からは気をつけるよ」

 

「そうしてくれ」

 

「それじゃ、城に戻りましょうか」

 

こうして三人は城へと戻っていった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

どうも、アキナスです。

 

何事もやる気と自分なりのやりやすいやり方を見つけるのが大事と言うおはなし。

 

それでは次回・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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