No.885957

マイ「艦これ」「みほちん」(第参部)EX回 第6話『演習会場』

しろっこさん

半ば強引に現地の提督(大将)との模擬演習となり、あせる美保司令。しかしイベントを潰すわけにもいかず……。

2016-12-29 22:53:27 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:291   閲覧ユーザー数:290

「えーっと……」(呆然)

 

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マイ「艦これ」「みほちん」(第参部)

 EX回:第6話『演習会場』

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 お祭り広場で及び腰な私の腕を大将がぎゅっと掴んでいる。彼は浴衣を着た眼鏡の女性に声をかけた。

「大淀ぉ、この方々と同じ編成で演習やるから。招集かけといてくれや」

 

「はい」

 敬礼をする彼女。

 

「え?」

私は自分の目を疑った。ひょっとして、この人って量産型の大淀さん? ……ま確かに面影はあるけど、ちょっと雰囲気が違う。

 

「あふっ!」

 危うく舌を噛みかけた。大将は私が振り向く間もなくグイグイと背中を押す。ちょっと痛いんですけど。

 

 まさか到着早々に演習なんかしないよな……と甘く見ていた。だから余計に焦る。でもこの大将、身体はガッチリしている上に艦娘並みの力強さだ。もはや有無を言わさない迫力がある。

 

 しかし……うちの金剛と夕立が気になる。心配になって強引に振り返ると、一応ついてきて居るようだ。

でもあの二人も演習に出すのか?

 

 ただ今さら大将に「棄権」なんて言ったら、それこそ半殺しの目に遭いそうだぞ。恐らくは今日のメインイベントだろう。

 仕方がない。私は歩きながら覚悟を決めた。金剛と夕立には泣いて貰うしかない。これも軍隊、私も鬼だ。

 

 やがて演習会場と思(おぼ)しき海を前にして双方の艦娘たちが広場に整列した。

『あー、あー、マイクチェック、マイクチェック』

 

設営準備だろう、どこかからアナウンスの声がする。会場は既にかなり白熱した盛り上がりを見せている。しかも艦娘とはいえ模擬艦隊戦だ。このご時勢の、お祭りイベントしては最高だろう。

 

 だが私は、とても意気消沈していた。未だに勝手が分からないことと本調子でない艦娘たちを駆り出す良心の呵責。さらには相手の顔を潰してはならぬという板ばさみ。はぁ、胃が痛む。

 

 しかも実況は霧島さん。解説には戦艦『武蔵』様だ。遠くのテントに陣取る彼女の威圧感が凄い。いや、正直私も彼女を肉眼で見るのは初めてだ。

 そう、いくら量産型とはいえ何て豪華なメンバーだ? ここブルネイは艦娘の人材が豊富なのだ。

 

 ただこれは、わが国の未来像なのだろうか? そんな印象だ。もしそうなら深海棲艦に対しても十分な戦力が各地に配置できるようになるわけだ。そうか……わが帝国海軍の未来は、きっとバラ色なんだ。私は思わずほくそ笑む。

 

だが……それは何年後の話だろうか?

そもそも、こんな未来にまで私は生き残っているのだろうか? 

 

 あ、ダメ。目まいが……。金剛や夕立は既に地面にへたり込んでいる……可哀想に。だが会場の盛り上がりは、そんな彼女達の心配はおろか、意識すらしていないようだった。

 

 暑さと緊張と混乱。

 

私も油断すれば意識がどこかへ飛んで行きそうだ。

その間にも凛々しい武蔵様が解説していた。良いなぁ、あんな強い艦娘が、うちの鎮守府にも来ないかな?

 

そんな妄想をする私が半分ボーっとしているとはルール説明のアナウンスが始まる。

 

へぇ、負けは全滅または旗艦の撃沈か。轟沈? ……いや、これは演習だ。轟沈判定のことだろう。そうか、それならば弱い艦娘を先頭にして、さっさと終わらせようか……などと不謹慎なことを考えてしまう私。いかん、いかん。反省。

 

『では、ただ今より10分間の作戦タイムとなります』

アナウンスの後、私は艦娘たちのところへ近寄る。

 

盛り上がる演習会場とは裏腹に、ゾンビの群れのような我が艦隊。そこで作戦タイムって言ってもねえ。

 

「えーっと」(呆然)

言葉を失うのはまさに、こういう状況だろう。私の目の前にいるのは魂の抜けたゾンビが2体。金剛と夕立。ついで元気なのが4。これは比叡、日向、赤城さん、龍田さん。とりあえず、うちの鎮守府では錬度も高いメンバーではある。

 

 しかし長旅と変な嵐でシェイクされたこと。そして一時的な受け入れ拒否で焦ったこと。ついでに異質な雰囲気の鎮守府での半ば強引な模擬演習。どう見ても勝ち目は無い。

 

「はあ」

つい、ため息が出た。

 

「司令、私達は大丈夫ですから」

そう言うのは日向。それに同意するように頷く赤城さんと龍田さん。

 

「そうだな」

この艦娘たちは冷静だ。この面々なら何とかなるだろう。

 

戦場は常に修羅場みたいなものだ。私も決意を固めた。

「改めて特別に言うことはない。ただ演習は絶対に沈むことはないから思う存分に戦って欲しい。また相手は友軍ではあるが我々の知らない兵器や戦法でくる可能性は高い。十分用心すること。以上だ」

 

『はい!』と応えたのは4名。精一杯やってくれとしか言えない自分が情けない。許せ! 

 

 新兵器の気配がしたのは直感だ。さっき感じた『未来』というキーワード。それが現実のものとなっている気がする。

 

 数分だろうか、作戦タイムは終了となった。実況の霧島さんが伝える。

「では提督、お互いに握手を……」

 

 相手の大将が再び近寄ってきた。そして力強く私の手を握手をする。私はただボーっとしているから成すがままだ。

 

 だが私がこんな状態だから大将は、とても怪訝(けげん)な表情だ。申し訳ない。せっかくのイベントなのに私がこんなことでは盛り下がってしまうよね。反省、反省。

 

 私は海へと向かう艦娘たちの後姿を眺めるだけだった。

 

「では……演習、始めっ!」

霧島さんの掛け声を号令として、演習が始まった。

 

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中~(^_^;)

http://www13.plala.or.jp/shosen/

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PS:「みほ3ん」とは

「美保鎮守府:第参部」の略称です。


 
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