No.86155

真・恋姫無双外史~沈まない太陽~ 第03話

じぺさん

北郷一刀が弁皇子に憑依転生する話です

書いてるうちにこんな流れに…

おらびっくりだ

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2009-07-24 16:39:49 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:13511   閲覧ユーザー数:10588

時が過ぎ、弁皇子は1歳になろうとしていた

 

「べろべろば~ うふふふ かわいい♪」

「きゃっきゃっ♪」

 

(精神が肉体に引っ張られるというのだろうか?

植えつけられた魂が定着した為だろうか?

なんかわからないけど、最近になってちょっとしたことが楽しくて仕方ないんだよなぁ)

 

「ちょっと! ずるいですわよ かりんさん そろそろわたくしとかわっていただけませんこと?」

「おおごえださないの れいは このこがおびえるでしょ」

「あぅ~」

 

そして涙腺も果てしなく脆い

意志とはほぼ関係なく涙が流れてしまう

 

「よちよち こわくないでちゅからね~」

「きーーっ!」

 

『かりん』『れいは』と呼ばれる美少女?…いや美幼女に遊ばれてる今の状況

どうしてこんなことになってるかといえば少し前に遡る

 

 

<side朝陽>

 

最近になってハイハイが出来るようになった俺はちょっとばかり調子に乗っていた

だって今まで意識がありながら、思い通りに体を動かせない日々だったんだぜ?

それが亀の歩みだとしても!

今の俺に辿り着けない場所などないのだ!

 

その日は珍しく朝から親父が母さんの部屋に来ていた

普段は夜にしか来ないらしく、俺はいつも寝てるので久々に顔をみた

どことなくやつれてるなぁ… あー霊帝って若くして病死するんだっけか?

あーでも毎日後宮の女の人たちと…アレだろうしなぁ

同情することもないよなぁ

 

彼は知らない。魂にまで植えつけられた種馬能力に帝の種馬遺伝子まで備わって将来とんでもないことになることを。でもそれは別の話。

 

親父達が話に華を咲かせてるようだったので、いつものように部屋中をぐるぐる這いまわっていると、ふと一匹の綺麗な蝶が舞い込んできた。

お~ 綺麗だなぁ… などと心では思っているのだが…

体が… この体が疼くんだ

 

俺の体が真っ赤に燃える!奴を捕えろと轟き叫ぶぅるぅぁぁぁあ!

 

動くもの見るとついつい反応しちゃうんです(泣

 

「あぅ~!」

 

気勢をあげて夢中になって蝶を追いまわす俺でした。

この日は幸か不幸か扉が少し開いており、

両親もたまたま目を離しており、

部屋から出ていくちっちゃな存在を誰も気づくことがなかったのでした。

 

 

ええい!この!おとなしく!捕まれというに!

うふふふ 捕まえてごらんなさい とでも言うようにヒラヒラと俺の鼻先で舞う蝶

ふっふっふ この俺を本気にさせてしまったようだな

うおおお いっけぇー イヤッフゥゥウウ♪

両手で蝶に飛びかかった

 

…そう、俺は調子に乗ってたんだ。

考えてみればわかることだ。

ハイハイしてる赤ん坊→両手を挙げて飛びかかる→顔面から着地

蝶はヒラヒラと両手を潜り抜け、どこかへと行ってしまった

俺は直後に目から火花が散るような衝撃を受け、

 

<<べちゃっ>>

 

つぶれた。

 

「うぐ…ぅぅ…ぅああぁ~ ふぎゃ~~~」

 

これは泣き声なんかじゃないったない!そう!咆哮だ!次こそ捕えてやると吠えてるんだ!

目からとめどなく液体が流れるけど、これだって運動したから汗をかいてるだけのことさ!

俺は高校生なんだ こんなことじゃ泣かないんだいっ 

うわーん

 

「あらこのこは? どうしたの? あらおでこがまっかになってるわね よちよち いたいのいたいのとんでけ~♪」

 

「おまちなさい かりんさん! ってあら そのこは?」

 

気がつくと金髪ツインドリル幼女に抱きあげられ、もう一人の金髪くるくるに覗きこまれてるのだった。 

 

<side out>

 

<side華琳>

 

私は今、母である曹嵩に連れ添って洛陽に来ている。

太尉である母は私のことを大きく買っているようだ。

まぁ3歳にして孫子を愛読書にしてる私だ、当然だろう。

周囲の者は「まだ早すぎます」と反対したが、

 

「この娘は私、いや我が父をも凌駕する凄まじい才を持っています。いずれはこの乱れた大陸を導く存在となるかもしれません。中央の現状を知るのに早すぎるということは決してありません」

 

と母は反対する者を押し込めて、私を連れてとっとと洛陽に来てしまった。

 

そして母と共に街の到る所を見て回った。どこへ行っても活気がなく、民の生気が感じられない。

貧民街へ行けば、下劣な男どもが弱者をいたぶる姿や、ボロボロの着物を纏ってフラフラと焦点の合わない瞳であるく女の姿がそこかしこで見られた。

しかしこれは洛陽に限ったことではない。今の時代どの地でも似たような状況だろう。政府が腐りきっているのだから。

 

「華琳、これを見てあなたは何を感じる?何を想う?」

「かあさま、すでにやみはたいりくじゅうをおおっています。ちゅうおうでもこれでは…あらたなるにちりんが、やみをてらすそんざいがひつようです。わたしがそのそんざいになってみせましょう。」

「そう。あなたにそれが出来る?」

「とうぜんです。わたしはそうきょこうのむすめ、そうもうとくなのですから!」

 

舌っ足らずな娘の言を聞き、

(この歳にして娘の覇気は尋常ではないわ。となれば私の役目はこの娘が決して曲がらないように、決して折れないように、土台を築くこと)

母は満足そうに笑みをうかべた。

 

「さて、華琳。私はお爺様に少し用があるから、あなたはこの辺で待っていなさい」

「はい。かあさま」

 

と返事はしたものの、なかなか母が帰ってこない。

となると未来の覇王とはいえ、やっぱりそこは好奇心旺盛な3歳児。

 

(まだ暫く帰ってきそうもないし… ちょっとくらいいいわよね?)

 

そう思い、宮廷探索にのりだす少女なのでした。

 

 

 

……

 

 

………

 

 

…………

 

 

大陸の権力を一同に集めた厳かな宮廷をコソコソと動き回る幼女… なんともシュールな光景だが、彼女はふと思う

(これだけ動き回っても誰も咎めてこない… どの執務室を見ても碌に仕事をしてる人間がいない… 本当に腐ってるわね)

決して子供が考えるようなことではないが、実に彼女らしかった

そうして2刻ほどたっただろうか。

ふと廊下の向こう側に見知った人物が見えた。何やらあちらもコソコソと動いてるようだ。

そこで彼女の悪戯心がむくむくと膨らんできた。

 

ばれないように 慎重に 後ろへまわって…

 

「何者だ!そこで何をしている!」

「ひぃっ!……ちょっとまよってしまったんですの わるぎはないんですの!」

 

脅かしてやると、金髪くるくる幼女が飛び上がってそのままストンと正座で着地するという面白い物が見れた

彼女は袁本初、母親同士が知り合いなので以前会い、その際に真名を強引に預けられ、仕方ないのでわたしの真名も授けてあげたことがある。

 

「あはははは ちょっとおどろきすぎよ れいは」

「ごめんなさいごめんなさ… ってあなた! かりんさん! こんなところでなにをしてるんですの!? あなたのようなかたがいらっしゃってよいばしょではありませんことよ!」

「あなたこそなにをしているのかしら?あなただってこんなところにいていいわけないわよね?」

「う… うるさいですわ!わ、わたくしは…その… それよりなんですの!?さっきのは! しんぞうがとまるかとおもいましたわ!」

 

じと目で睨んでくる麗羽に話を聞いてみれば、まぁなんてことはない。自分と同じだった。

 

「いいかげんきげんをなおしなさいな まぁいいわ ひとりよりもたいくつしなそうだし、いっしょにたんさくしましょ」

「お…おまちなさい かりんさん! わたくしがせんとうですわよ!」

「はいはい すきにしなさいな さきにいくわよ」

「…まったく かりんさんはこれだから …ブツブツ」

 

(何やら頬を赤く染めてブツブツ言っている彼女のことはおいといて、さてどちらに行こうかしらね?)

などと考えながら歩いていると、ふと泣き声が聞こえてきた

 

「なにかしらこのこえ? いってみましょ」

「ちょ… ちょっとおまちなさい ってもう!」

 

(これは… 赤ん坊? どこかしら 近いようだけれど…)

声のもとへ急いで行ってみると、廊下でうつ伏せで泣いている赤ん坊がいた

 

「あらこのこは?」

 

(こんなところでどうしたのかしら? まぁこのままでは可哀そうだし)

と思い抱き上げてみると…

(!!!! っな… なんてかわいい赤ん坊なの!!?)

 

「どうしたの? あらおでこがまっかになってるわね よちよち いたいのいたいのとんでけ~♪」

 

(おでこをぶつけちゃったのね 可哀そうに。あ~でも泣き顔かわいいわね/// 食べちゃいたいくらい)

なんて思ってると、息を弾ませながら麗羽が追いついてきた

 

「おまちなさい かりんさん! ってあら そのこは?」

 

 

<side out>

 

そして冒頭の状況に至るわけである。

(うーん しっかしほんとに美幼女だなぁ 人形より整った顔してるぞ?)

朝陽は呑気にそんなことを考えていた

 

「うふふふ ほんとにもちかえりたいくらい かわいいこね」

「そうですわね そのいけんには さんせいですわ」

「あぅ~」

 

幼女たちは弁皇子を抱いてご満悦の様子であった。危機が近づいてることに気付かずに。

 

 

その幼女たちの背後に… 何者かが忍び寄りつつあった…

 

息を殺し

 

気配を殺し

 

怒りのみをその身に纏わせて…

 

そしてその影が幼女たちと重なり…

 

<<ゴンッ!!!>>

 

幼女たちの頭に衝撃が走った

 

「「いっ……………たぁぁあああああ~~~~~い!!!!」」

「当たり前でしょ!このバカリン!待ってなさいと言ったはずでしょ!心配させて!」

「あなたもよ麗羽!」

 

影の正体は母親ズであった。

 

「って華琳あなた その子はどうしたの?…まさか!?」

「まさかってなによかぁさま!ちがいます なきごえがきこえたからきてみたらこのこが」

「そうですわ ろうかでないてたのをあやしてただけですわ」

「そ、そう… ならいいのだけれど… でもこんな場所にいる赤ん坊っていえば…」

 

と曹嵩が思い至ると同時に近づいてくる人影があった。

 

「ハァハァ… おお!朝陽!こんなところにいたのか、無事でよかった」

「み、帝! 朝陽は、朝陽は見つかったのですか?」

「おお 何皇后よ 朝陽は無事であったぞ」

「はぁはぁ…  よかった… 本当によかった… うぅぅ」

 

ときの帝 霊帝、そして何皇后であった

曹嵩、袁成の母親ズは咄嗟に臣下の礼をとる。

しかし幼女たちは何者か分っていないのか、キョトンと見上げていた。

 

「これ華琳!帝の御前ですよ!控えなさい!」

「麗羽も!控えなさい」

「よいよい曹嵩よ、この子らが私たちの宝を守っていてくれたようだ さて、余が霊帝じゃ、汝らの名は何と申す?」

 

その言葉に相手の正体がわかり、咄嗟に臣下の礼をとりつつ、

 

「っは!そうきょこうがむすめ そうもうとくともうします」

「っは!えんせいがむすめ えんほんしょともうします」

 

はっきりと告げた

 

「そう畏まらんでもよいぞ。それよりも曹孟徳、袁本初よ。改めて礼を言おう。我が子を守ってくれてありがとう」

「「もったいなきおことばにございます」」

「うむ。言葉だけというのも何であるな。褒美をとらそう。何か望みはあるか?」

 

その言葉を受け考える。

(欲しいものなら自力で手に入れるし… 官位なんてこの歳じゃもらえないし… あ!そうだわ!)

 

「しつれいながらもうしあげます できることなら… その… たまにでもけっこうですので… ごしそくと… あわせていただけないかと」 

「か、かりんさん? そ… そういうことでしたら わたくしもぜひ… その…」

 

その言葉に帝と皇后は顔を見合わせ

 

「はっはっはっは 大いに結構! 丁度まだ決めていなかった朝陽の教育係、この二人ではどうかね 麗羅よ」

「はい帝。曹嵩殿と袁成殿の自慢のご息女、どちらも優秀と伺っております。問題ないかと」

 

その言葉に今度は母親たちが顔を見合わせ

 

「帝!そのような大任!娘はまだ幼すぎるかと存じます」

「よいのじゃ まぁ暫くは朝陽の遊び相手になってくれればそれでよい」

「っは!孟徳、本初、大任ですよ。帝のご希望に添える様に誠心誠意励むのですよ?」

 

今度は娘たちが顔を見合わせ

 

「「っは!つつしんでうけたまわります!」」

 

 

 

 

 

 

……

 

………

 

 

こうして、俺の教育係が幼女二人組に決まったわけで…

 

でも俺はといえば…

 

「まったく!心配かけて!朝陽は腕白でちゅね~ 元気なのはいいけどあんまり心配させないでね ちゅ♪」

 

なんて言われつつ母親にもみくちゃにされてたので、話は聞こえちゃいなかった。

 

「あぅ~///」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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