No.853722

ポケットモンスター トライメモリーズ 第46話

フウイさん

前回のラストでピンチになったクウヤのその後は・・・という内容。

2016-06-17 19:38:26 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:293   閲覧ユーザー数:293

第46話:アジトからの脱出

 

「・・・・・・・ん、うぅ」

「気がついたかな?」

「・・・・っ!お前は!」

「久しぶり、カイナ以来だね・・・」

 

アクア団に襲われ意識を失ってしまったクウヤ・・・・気がついたときには鉄の壁が貼られた牢屋に閉じ込められてしまっていた。

そしてそこにはもう1人、アクア団の1人・・・シグレがいたのだ。

 

「お前がオレをここに閉じ込めたのか!?」

「・・・・・まぁ、確かに呼んだのは僕だ」

「なんのつもりだ、お前」

 

シグレはクウヤにあるものを差し出す。

 

「あ、オレのボールベルトにリュック!

それに・・・アクア団の服にポケモンの回復の薬?」

「そのままの姿で行ってもばれてしまう。

それをきて外へ行くんだ」

「・・・・?」

「ごめんよ、キミを捕らえたりなんかして・・・どうしても聞いて欲しい話と託したい事があるんだ。

ここなら外に音が漏れないし特殊な鍵がないと開かない。

だから・・・・・」

「もういいよ、分かった!お前の話聞くぜ」

「・・・あ、ありがとう・・・・・」

 

クウヤをじっと見てシグレは坦々と話し始めた。

 

「キミに託したい事は一つ。

父さんを、止めて欲しい」

「え、その父さんって?」

「僕の父はアクア団の頭領・・・リーダーのアオギリだ」

「えっ・・・・」

 

クウヤは驚き戸惑う。

彼がリーダーと親子である以上に、自分の父を止めろと言い出したことに驚いたのだ。

 

 

「父さんは間違っている、人やポケモンを苦しめてまで自然のため海のためを語るなんて、絶対に・・・。

でも僕は、父の過ちを知っていながら止める事が出来ない・・・。

弱いんだよ僕は・・・・・・でもキミは心も力も強い。

もうこれ以上、父さんに罪をきさせないで・・・・・・・」

「・・・・・・」

「キミじゃないと果たせないんだ、僕の望みは・・・・頼む・・・・」

「わかった、まかせとけよ!」

 

クウヤは手っ取り早くアクア団の服に着替える。

 

「・・・でもお前さ、初めて会ったときから変わったよな。」 

「え?」

「なんつーか、よく話すようになったというか、結構明るくなったというか・・・・・?」

 

そういわれてヒイラギは初めて自分の変化に気付く。

思い出すのはあのときのこと・・・・

 

カイナ造船所を襲撃した時出会った少女。

 

凛としていてはっきり出張し自分にも堂々と意見を述べてきたまるで自分と逆なあの子。

 

「・・・・・・・」

「よーしおわった・・・どうかしたのか?」

「・・・・・・・いや、なんでもない。

着替え終わったならこの袋にリュックを隠すんだ」

「お、おぅ」

「・・・さぁいって!

ここは僕がなんとかするから!」

「おまっ、オレがいないのがばれたらまずいんじゃ・・・」

「そのときの誤魔化しは考えてある。

キミは僕の望みをかなえてくれる・・・・僕もできる事をするよ」

「なぁ、せめて教えてくれ・・・お前の名前は?」

「!・・・・し、シグレ・・・・」

「よしオッケー!

また会おうぜシグレ!

今度は同じポケモントレーナーとしてな!」

 

「・・・うん!」

 

僕、ちゃんと笑えたかな?

 

そう思い、自分なりに明るく返事を返すシグレ。

去り際にクウヤを見ると微笑んでいて

ヒイラギはその姿を見送っていた。

 

「これでいいんだよね母さん・・・・そして・・・・・・・」

 

自分に僅かでも勇気を与えてくれた存在と、

今亡き母に向けてそう呟く。

彼の中にはもう、後悔も恐れも薄れかけていた。

どんな処罰を受け、何が待ち構えていようとも悔いはないのだった。

 

 

シグレの導きによってクウヤはアクア団のアジトを脱出する事に成功した。

今はヒーンにしがみつき自分もできる限り

足を動かしながら海を突き進む。

リュックは防水性に優れているため中の荷物は大丈夫だろう。

だがクウヤはそれ以上に気になることがあった。

 

「あいつ、大丈夫だよな。

オレを逃がしたなんてバレちまったらアイツ、お仕置き食らいそうだけど・・・・・」

「・・・ヒン。ヒンバス」

「・・・・ごめん、心配なんてないよな。

あいつになにかあったらすぐ助けに行けば良いし、なによりもシグレの願い・・・アクア団、そしてマグマ団をぶっとばす事だけを考えよう。

せめてそれだけは絶対に果たしてやらねぇと・・・」

 

そのまま海を進んでいくと、やがて島が見えてきた。

 

「もしかして、トクサネ!?」 

「ヒーヒン」

「ヒーン、もう少し頑張ってくれ!」

 

次のジムが目の前まで来ていた。

 

 

 

一方、アクア団アジトでは、予想通りクウヤがいないことによる騒動が起こっていた。

 

「あのガキが逃げ出したぞー!」

「どうやって抜け出したんだ!?」

「シグレ様ー!アオギリ様ー!

どちらですかぁっぁ!!!」

 

下っ端たちがざわざわと騒ぐ。

そこに現れたのは、幹部と思しき男。

 

「落ち着くのだお前達!

アオギリ様は海神カイオーガの眠るという海底洞窟を発見したったいま旅立たれた!

とうとう我等の望みが叶う時が訪れたのだ!!!」

「「「「「オオオおおおおおお!!!!!!!!!」」」」」

「シグレ様もまた然り、 アオギリ様の護衛として共に向かわれた!

私は送り火山に例の宝玉をいただきに行く!

一部隊は私と共にこい!」

「「「「おおおおおっ!!!」」」」

 

 

 

交差する思惑、

 

望みをかなえるのは誰だ。

 

 

  

 

 

 

 

 


 
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