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ドラゴンクエストⅤ~紡がれし三つの刻~コラボ版・第二十二話

さん

スクエア・エニックスのRPGゲーム「ドラゴンクエストⅤ~天空の花嫁~」を独自設定の上、キャラクターを他の作品のキャラをコラボさせた話です。
それが駄目だという方にはお勧めできません。

コラボするキャラクター
リュカ=タダオ(GS美神・横島忠夫)

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2016-03-05 10:56:39 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1062   閲覧ユーザー数:1038

第二十二話「オラクル屋とブラウニー」

 

修道院を出発して半日ほど経ち、太陽も頭上に輝いている森の中でタダオ達は昼飯を食べていた。

 

「このまま順調に行けば明日にでもオラクルベリーとか言う町に着けそうだな」

「順調に行けば…な」

 

神の施設でもある修道院の近くには聖なる結界が張られていた様で魔物などの襲撃は無かったのだが、距離が離れるにしたがって徐々にその数を増やしつつあった。

魔物の強さ自体ははっきり言って今の彼等相手には大した事はないのだが、何しろ武器自体が貧弱な物しか無いのである。

 

タダオの鉄の剣は子供の頃に使っていた物である為、この10年の間に所々に錆が浮いており、切れ味もかなり落ちていた。

キョウヤが修道院で譲ってもらったブロンズナイフも同様である。

 

「なるべく戦闘は避けながら進むしかないな」

「それしかねーか」

 

腹ごしらえを終え、再び歩き始めると何処からか悲鳴が聞こえて来た。

慌てて駆けつけて見ると案の定、一台の馬車がモンスターの群れに襲われていた。

しかし、其処で見た光景に二人は驚きを隠せないでいた。

それは……

 

「お、おい、タダオ。何だあれは?」

「まさか…、ピエールの時と同じなのか」

 

モンスターの群れに襲われている馬車と一人の男性を守るように戦っている一匹のブラウニーであった。

 

『ガウッガウウーー!』

『ピキャアーーー!』

「あ、あああ…ひいぃ~~~っ!」

「クッ!キエエーーーッ!」

 

そのブラウニーは同属のブラウニーやスライム、ガスミンクの絶え間ない攻撃で傷だらけの体で、頭を抱えて怯えている男を庇いながら戦い続けていた。

そして、その鋭い瞳は少しも濁ってはおらず、青く澄んだままだった。

 

「何であのブラウニーは同じ魔物同士で戦っているんだ?しかも人間を庇いながら」

「魔王の波動に"染まっていない"からだろうな」

「"染まっていない"…か。あのキラーフォックスやお前が言っていたスライム達と同じって訳か」

「それは兎も角、俺達も行くぞ!」

「おう!」

『キシャーーーッ!』

「クアァッ!」

『ピキューーッ』

「グッ、クウゥ」

『『『キシャアァーーーーッ!』』』

「おっと、其処までだ」

 

ガスミンクの吐くすなけむりで視界を奪われたブラウニーはスライムの体当たりで体制を崩して倒れた所に一斉攻撃を受けようとしたが、其処に漸くタダオ達が駆けつけた。

 

「クウウ…ナニ?」

「よく頑張ったな、此処からは俺らに任せんかい!」

「そういう事だ、ゆっくり休んでいろ」

 

襲い掛かってくるモンスター相手に反撃する彼等だったが、肝心のその武器が遂に寿命を迎えてしまった、後数匹だと言う所で砕け散ってしまったのだ。

神殿の中での隠れながらの修行で強くなっているとは言え、奴隷生活が長かった為に今だ戦闘の勘が取り戻せておらず、頼りの綱でもあった武器を失った事で今までの様な余裕が無くなってしまった。

せめてあと一人仲間が居れば状況はもう少しマシだったかもしれないが。

 

「くそっ!後もうちょっとだって言うのに」

「仕方ない、呪文と生身の攻撃だけで何とかするぞ!」

「しかしこうも絶え間なくこられたら呪文を唱える暇も無いぞ」

 

そんな時……

 

「カアアァーーーーーーッ!」

「おわっ!な、何じゃ?」

「お、おい、あれを見ろ!」

 

二人が慌てて振り向いて見ると先ほどのブラウニーが木づちを構え、雄叫びを上げていた。

そして魔物達を鋭い目線で睨み付けると勢いよく飛び掛かり、振り抜いたその攻撃は一撃で地面ごと数匹のモンスターを吹き飛ばしたのだった。

 

「マ、マジかよ…」

「…凄まじいな」

 

辛うじて攻撃をかわした数体の魔物はブラウニーに反撃しようとするが、ブラウニーは魔物達に向かって再び木づちを構える。

 

「マダ…ヤルカ?」

 

ブラウニーが睨み付けながらそう言うと、残っていた魔物達は一斉に逃げ出して行った。

それを見届けると力尽きたのか、ブラウニーは木づちを落として崩れ落ちた。

「お、おい。アイツ大丈夫か?」

「大丈夫な訳ないじゃろが!取り合えずホイミをかけてやらんと」

 

「ちょっと待ってくれ」

「ん?」

 

タダオがブラウニーにホイミをかけようとすると馬車の持ち主の男が待ってくれといって来る。

 

「何だ?まさかアンタを守ってくれたコイツを魔物だから治すなとか言うつもりか?」

 

キョウヤが怪訝な表情でそう言い放つと…

 

「ぶわっかむおおーーーーーーーんっ!」

「うわっ!」

「どわわっ!」

「痩せても枯れてもこのオルタム、たとえ魔物であろうとも命の恩人にその様な事を言うほど落ちぶれてはおわぬわい!」

 

さっきまでの弱々しい姿は何処へやら、怒り心頭でキョウヤに食って掛かる男だった。

 

「だ、だったら何故止めようとするんだ?」

「何、この特薬草を使ってもらいたいと思ったまでじゃ。ホイミよりは回復量は上じゃぞ」

 

そう言って男が取り出したのは特薬草。

滅多に手に入らない回復効果の高い薬草であり、その分値段もかなりの高額になる。

 

「いいのか?たしかこれ一つだけでも200ゴールドはしたと思ったが」

「当たり前じゃ。先ほども言ったが、こやつはワシを守ってくれた命の恩人じゃ。ここで出し惜しみなんぞしたら遠き御先祖様に申し開きが出来ぬわい」

 

そう言われ、特に拒む理由も無いので受け取った特薬草をすり潰してブラウニーの口に流し込む。

するとその高い回復力によって傷だらけだったブラウニーの体は瞬く間に癒えて行き、穏やかな寝息を奏でながら眠りに付いた。

 

「これで取りあえずは大丈夫だな。後はと…、動かす事も出来ないから此処で一泊だな」

「仕方ないか。流石にほっとく訳にもいかねーからな」

「そう言う事ならワシの馬車を使ってくれ。後二、三人位なら余裕で寝泊り出来るぞ」

 

その馬車は見た目と比べて中は広く、他の街で買い付けたらしい道具などを入れても確かに後数人は寝れるであろうスペースがあった。

 

「正直助かる。遠慮なくこの馬車で休まさせてもらうよ」

「だな。そうと決まればまずはコイツを先に馬車に乗せるか…ん?」

 

タダオが眠っているブラウニーを馬車に乗せようとすると、馬車を引いていたであろう白馬に目が行き、よく見ればその白馬も所々に傷を負っていた。

 

「ブルルル、ヒヒン…」

「お前も馬車を守ろうと必死だったんだな。ちょっと待ってろよ、《ホイミ》」

「ブル?…ヒヒヒ~~ン」

 

タダオが唱えたホイミでその体についた傷はゆっくりと癒え、白馬は軽く嘶くとタダオに頬を撫で付ける。

 

「ヒヒン、ヒヒヒン♪」

「ほほう。気難しいパトリシアが傷を治してくれたとはいえ、こうも懐くとはな」

 

馬車と白馬の持ち主、オルタムの言う通りパトリシアはタダオがすっかりと気に入ったらしく、体を摺り寄せたり嘗め回したりとじゃれ付いている。

 

「こ、こりゃ、ちょっと止めんかい。わはは」

「ヒヒ~~ン♪」

「ははは。そう言えばお前さん達は旅の途中の様じゃが行き先は何処なんじゃ?」

「ああ、俺達の取りあえずの目的地はオラクルベリーだ」

「ほほう、ならば丁度良い。ワシが送ってやろう」

「いいのか?」

「かまわんよ、どうせ帰り道じゃ。ワシの店、《オラクル屋》はその街にあるのじゃからな」

 

 

=冒険の書に記録します=

《次回予告》

 

偶然助けた男、オルタム。

彼はオラクルベリーでオラクル屋という謎のよろず屋を営んでいた。

そしてこの街で出会った一人の老人が言うにはタダオには魔物の心を癒す力があるらしい。

 

次回・第二十三話「目覚めよ、秘められし力」

 

全く大した奴だよ、お前は

(`・ω・)何気にパトリシア、ゲットフラグ。

後、特薬草についてはあまりツッコまないで下さい。

 

(`・д・)そして「遠き御先祖様」?一体、誰ネコの事なんだ!

 


 
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