第10話:カナズミジム!岩のバトル!
カナズミシティのカナズミジムについにクウヤはたどりついた。
いかにも、という雰囲気を感じ武者震いをする。
「誰が相手でも、絶対に勝つぞ!
たのもぉー!ジムリーダーいるかぁーっ!?」
扉を力任せに開くクウヤ。
中はがら~んとしていて、目先にはバトルフィールドしか見えなかった。
「あれ? ジムリーダーは今日おやすみ?」
「いえ、私はここにいますよ」
女性が扉の奥から姿を見せた。
「えぇっとぉ?」
「私はツツジ、カナズミジムのジムリーダーです」
「えぇ! あんたが!?」
「貴方は挑戦者かしら?」
「ああ!オレ、クウヤって言うんだ!
じゃあ早速バトルしてよ!」
「うふふ・・・元気なチャレンジャーね。
わかりました。ではクウヤさん、こちらへどうぞ」
「うん!」
クウヤはツツジの後を追いバトルフィールドに立った。
初めてジムバトル本戦・・・クウヤは緊張してると思いきやとても楽しみにしてそうな目だった。
口元も、笑みを浮かべている。
これからのバトルに期待しているのだ、「強い相手と戦える」ことを。
「これより、カナズミジムのジムリーダー、ツツジと!
ルネシティのクウヤによる、バッジを賭けた公式戦を始めます!
使用ポケモンは2体、どちらかのポケモンが一体でも戦闘不能になれば試合終了です!
それでは両者、ポケモンを!」
「おいでなさい!ノズパス!」
「行け!ナーク!」
ツツジはノズパス、クウヤはナークをそれぞれ繰り出す。
自分のポケモンに絶対の自信を持つツツジは相手が自分のポケモンより相性が有利でも負けの姿勢は一切見せない。
「私が岩ポケモンの使い手と知って地面タイプのポケモンであるナックラーを選んだのですね?」
「え・・・?岩ポケモンなの、ここのジム」
「はい?」
「始めて知った・・・。ナークもカンで出したし」
クウヤのおとぼけ発言に目が点になった一同であった・・・
「と・・・とにかく、例え貴方が相性上有利だとしても私は負けませんわよ!」
「よっしゃ!おもっきし行くぜ!」
「ノズパス、がんせきふうじ!」
先手を取ったノズパスが岩をナークの周りに突き出す。
ナークはぎりぎりで攻撃を穴を掘って回避する。
地中から攻撃を仕掛けようとしたがあっさりよけられた。
再びノズパスは岩おとしで攻めてくるが、持ち前のスピードでなんとかよけて、隙を見つけ噛み付くが、あまりの硬さによる防御でダメージは少ない。
「かったぁ!?
見てるこっちにも分かる・・・!」
「これがジムバトルですよ。
そこら辺のトレーナーよりもわたし達ジムリーダーが強いという事、リーグは甘くないという事、理解できて?」
「・・・・・分かる、分かるぜ!
ポケモンの強さ・・・一緒にいるオレにも分かる!」
「良い目をしてきましたわね!
ですがここからも手は抜きませんわよ、ノズパス、いわなだれ!」
「ナーク、あなをほる!」
ノズパスの攻撃を地中に潜り回避する。
ノズパスはその場からほとんど動かないということにクウヤは気付いた。
「ナーク!みぎ!ひだり!みぎ!」
「!?」
「今だ、いけぇ!!」
クウヤの指示通りに地中を移動しノズパスの真下から頭を出す。
その衝撃でノズパスは高く打ち上げられ地に落ちたときには・・・・戦闘不能になっていた。
「ノズパス・・・」
「ノズパス、戦闘不能!ナックラーの勝ち!
よって勝者、ルネシティのクウヤ!」
「やったやったぁ~!ナーク、さんきゅーな!」
飛び掛ってきたナークを体全体で受け止め笑って勝利を喜ぶクウヤ。
ツツジはノズパスに「お疲れ様」と声をかけボールに戻すと、クウヤの元へ向かう。
「ノズパスが一定の方向しか向けないのを知ってたの?」
「いや?ただ移動はしてても同じ方しか顔向いてないし、もしかしたらと思ってやってみたら上手くいった」
「まぁ!」
このバトルの間にも、クウヤはしっかり成長していた。
それを見てツツジは微笑むと金属製の箱をあけクウヤの前に差し出す。
その中にあるのはバッジだった。
カナズミジムを勝ち抜いた証・・・ストーンバッジ。
「貴方の知性を認め。このバッジを授けます」
「知性って・・・オレ勉強は苦手なんだよな。
全然頭もよくねぇしよ、その言葉はオレには・・・」
「いいえ、知性とは勉強し得た頭脳だけではありません。」
「あらゆるものを理解し自分の考えを創り出す事・・・。
先程の戦いで貴方はそれを成し遂げた・・・だから、貴方にはこれを受け取る権利があります」
「・・・ありがとう!ツツジ!」
「うふふ、やっぱり敬語は苦手ですね」
「うっ!」
図星をつかれ、びくっとなるクウヤ。
ツツジはそんなわかりやすいリアクションをとるクウヤにくすくす笑って言う。
「構いませんわ、貴方のやりやすい方法で
人と接すればいいのです。きっと分かってくれますわ」
「・・・ああ!」
クウヤはストーンバッジを受け取るとリュックにしっかりとつける。
「他のジムリーダーも強い人ばかり。
これからの旅でも自分の知らない世界に触れていろんなことを知り、学んでくださいね」
「分かった!
オレ、もっともっとこのホウエン地方の色々なことを知っていくよ!」
ツツジに別れを告げカナズミジムを出るクウヤ。
その先で出会ったのは、昨日クウヤが出会った少年、カズキだった。
「カズキ、どうしたんだ?」
「さっきね、おにーちゃんとジムリーダーさんのバトル見たんだ!
勝ったんだね、おめでとう!」
「ありがとうな!」
「それでね、ぼくおにいちゃんに・・・」
「ははははははっ!!」
「「え!?」」
声がした。
「この荷物はいただいたぜ!」
「まてぇー!その荷物を返せー!」
荷物を抱え走っていく男とそれを必死で追うサラリーマン。
クウヤとカズキは一瞬ぽかんとしていたがすぐにハッとなると2人は男たちを追った。
空は赤みがかかり、黄昏時となっていた。
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ようやくジム戦だよー。