No.821728

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

soranoさん

第144話

2015-12-30 18:01:55 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1101   閲覧ユーザー数:1009

 

~トールズ士官学院・1年Ⅶ組~

 

「それにしてもパント臨時宰相をエレボニアの次の宰相にする事をセドリック殿下がユーゲント陛下に提案した事には驚いたわよね。」

「恐らくパント卿から直々に学んだからこそ、今のエレボニアにはパント卿が必要だと思ってセドリック殿下は提案なさったんだろうな。」

苦笑しているアリサの言葉にリィンは静かな表情で答え

「まあ、あの人が宰相を務めている事でエレボニアが助かっているのは事実だけど、ギリアスのオジサン直属のボク達を冷遇しているとしか思えないんだけど~。あの人が提案した遊撃士協会との和解の為の案のせいで情報局(ボク達)全員当番制でボク達の半数が2年間遊撃士協会に出向して遊撃士達にコキ使われる羽目になったんだからさ~。お蔭でボクも来月から遊撃士達の”協力者”として復活したエレボニアの支部に配属されるんだよ~?」

ミリアムは不満げな表情で答えた。

「フン、それについては2年前の猟兵達による帝国にある遊撃士協会支部の襲撃事件を利用し、遊撃士協会の支部のほとんどをエレボニアから撤退させた事に深く関わっていたお前達”情報局”の自業自得だろうが。」

「それにオズボーン宰相直属の人達を冷遇しているって言っているけど、”通商会議”の件で降格処分を受けたレクター少尉の軍位をエイドスさんによる治療の件の取引を成功させた事やクロスベルの人達と一緒にディーター・クロイス政権を崩壊させた事を功績にして”少佐”に昇格させた上クレア大尉達――――”鉄道憲兵隊”のクレア大尉を含めた将校クラスの人達も内戦終結に貢献した事で昇格させたし、皇族の警護にも関わらせているんだからむしろ好待遇をしているぞ。第一今まで周辺の自治州や自由都市を自国領とする為に暗躍して来たんだから、僕は処罰代わりにもちょうどいいと思っているぞ。エレボニアの遊撃士達を手伝う事で戦後のエレボニアの復興や治安維持に役立つ事になるんだからな。」

ミリアムの不満を聞いたユーシスとマキアスはそれぞれジト目で指摘し

「処罰と言えば……”貴族連合”に所属していた人達―――特に上層部の”四大名門”やオーレリア将軍達に対する処罰はかなり厳しかったですよね……?恐らくあの処罰にはパント臨時宰相の案もあったと思われますし。」

「……”アルバレア公爵家”はメンフィルの”戦争回避条約”通り爵位剥奪と全財産没収、そしてメンフィルに処刑されたアルバレア公爵夫妻の生首を王都ヘイムダルのドライケルス広場に晒し首、”カイエン公爵家”についてはメンフィルに認められてクロスベルに帰属した為”カイエン公爵家”自身に対しての処罰は無しでアルバレア公爵夫妻同様カイエン公とカイエン公の子息であるナーシェン卿の生首の晒し首、そして”ログナー侯爵家”と”ハイアームズ侯爵家”に関してはどちらの爵位も”子爵”に下げて統括領主権限の剥奪並びに全財産の半分を没収だったな……」

不安そうな表情をしているエマの話に続くようにガイウスは重々しい様子を纏って呟いてユーシスに視線を向けた。

 

「その……ユーシスはよかったの?お父さん達が処刑された上、お父さん達の生首が貴族連合に所属していた貴族達の人達に対する”見せしめ”として使われたし……」

「実際父がメンフィルとの戦争勃発の切っ掛けを作り、エレボニアを衰退させた元凶の一人だ。父は当然の”報い”を受けたと思っているし、不敬にも内戦を引き起こし、陛下達を幽閉して利用した愚か者共に対する”見せしめ”になり、戦後のエレボニアの安定の為に役立つのならば望む所だ。」

「ユーシス……」

「………………」

不安そうな表情をしているエリオットの疑問に迷う事なく答えたユーシスをリィンとマキアスは辛そうな表情で見つめていた。

「それにパント臨時宰相はわざわざ俺の為にユーゲント陛下達やリウイ陛下達に交渉して、没収された公爵家の財産の5分の一を俺に返還してくれた上本来”男爵”の爵位が授けられるはずであった俺に”子爵”の爵位を授けるようにしてくださった所かリィン―――”シュバルツァー家”がクロイツェン州の統括領主を務める事によって多忙になる為、別の担当者に与える予定であった”セントアーク地方”の領主権限を与えてくれるようにして下さったのだ。むしろ俺は今でもパント臨時宰相に感謝している。」

「クロチルダさんが自分からメンフィルに投降して来た事で、ユーシスさんがサインした誓約書に込められてあった”エレボニアの誠意”という意味が無くなった為、本来なら誓約書通り士官学院を退学する必要がないにも関わらず誓約書通りに実行するエレボニアとメンフィルに対するユーシスさんの誠意の評価を理由にし交渉した件ですね……」

「もしかしたら処刑されたアルバレア公爵夫妻の遺体を利用した事でのユーシスさんに対する”詫び”の意味で、ユーゲント陛下達やリウイ陛下達に交渉したのかもしれませんわね……」

ユーシスの話に続くようにプリネは静かな表情で答え、セレーネは重々しい様子を纏って推測を口にした。

 

「アンゼリカ先輩やパトリックにとってはショックだろうね……実家の爵位が下げられた上統括領主じゃなくなったし。」

「ですが”四大名門”は貴族連合の中枢部だったのですから、貴族連合に所属していた他の人達よりも処罰を厳しくしないと、内戦に巻き込んだ民達やメンフィルに対する”示し”がつきませんから仕方ありませんよ。」

「そだね。というかエヴリーヌ達からしたらむしろ甘いくらいの処罰だよ。王様に逆らった奴なんて家族みんな纏めて”処刑”で、女達は娼館送りがエヴリーヌ達にとって常識だし。」

複雑そうな表情をしているエリオットにツーヤは静かな表情で指摘し、エヴリーヌの口から出た物騒な発言にリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「……そうなのか?」

「ええ。私達の世界―――ディル・リフィーナは国によっては先程エヴリーヌお姉様が仰っていた処罰を実行している話はよく聞きます。ただメンフィルは余程の事が無い限り一家郎党処刑や娼館送りはしませんが……」

「”殲滅天使”がわたし達の前で発表した”戦争回避条約”を知った時は幾ら何でも理不尽だって思っていたけど、むしろ異世界からしたらあれでも甘い処罰方法だったみたいだね。」

「うむ……遥か昔のゼムリア大陸の国家でもそのような余りにも惨い処罰方法があった話は知っているが、まさか異世界では未だにそのような処罰方法が常識とはな……」

「それも異世界との文化の違いという事なのでしょうね……」

ガイウスの疑問に複雑そうな表情で答えたプリネの話を聞いたフィーは静かな表情で呟き、ラウラとエマは重々しい様子を纏って呟いた。

 

「貴族連合の上層部に対する厳しい処罰方法で言えば、オーレリア将軍とウォレス准将もそうだよね……」

「確かウォレス准将は爵位剥奪並びに”大佐”に降格処分の上ノルド精霊共和国との国境――――”ゼンダー門”の司令官に異動で、オーレリア将軍は爵位は”伯爵”から”子爵”に降格処分並びに”准将”に降格処分、更には今までの武勲によって授かった勲章も全て剥奪され、エレボニアの”百日戦役”に対するリベール王国への賠償で贈与された”パルム地方”との国境―――”パルム門”の司令官に異動でしたね。」

「そして”貴族連合軍”―――領邦軍に関しましてはセドリック皇太子殿下直々の提案によって解体され、全員正規軍に強制異動でしたわね……」

複雑そうな表情をしているエリオットの言葉に続くようツーヤとセレーネは静かな表情で呟き

「まさか”戦争回避条約”等を知らせに来たレン姫が帰り際に答えた領邦軍に対する処罰方法をセドリック殿下が本当に採用して、実行するとは思わなかったよな……」

「しかも”殲滅天使”が助言した時と違って、”強制的に正規軍に入隊させられる”し、ユーゲント国王が王位をセドリック皇太子に譲る5年の間に辞めたら強制労働か牢屋行きっていう処罰まであるからね~。さすがにそんな処罰があったら嫌々入隊させられた正規軍を辞めたくても辞められないから、賢い処罰方法だよね~。」

「ん。それに領邦軍が解体された事で課題になっていたそれぞれの領地の治安部隊を正規軍で結成して、その中に領邦軍の兵士達を入れた事も賢いよね。」

マキアスとミリアムの言葉に続くようにフィーは静かな表情で呟いた。

 

「セドリック殿下は元領邦軍の反発はどうお考えなのでしょうね……?そのような事をすれば、間違いなく元領邦軍の中から反発する者が現れると思うのですが……」

「――だからこそその対策として、元領邦軍の兵士達の配属先には全て元から正規軍に所属している兵士達の元へと分散させたんだろうな。」

「……戦力を分散して反乱を起こさないようにする為と正規軍に見張りをしてもらう為、と帝国―――いや、”王国時報”に書いてあったな。」

「正直今でも信じられないわよね……?幾らパント臨時宰相の教育によって成長したとはいえあのセドリック殿下がそこまで深く考えておられて、提案したなんて……」

不安そうな表情をしているエマの疑問にリィンとガイウスは答え、アリサは不安そうな表情をしていた。

「恐らくその案の中の一部にはパント卿の助言もあったのでしょうけど、”今後”の事を考えて全てセドリック殿下が提案したような記事にするように情報操作されたのでしょうね。」

「―――”戦争回避条約の救済条約”を実行するアルフィン殿下のように次代のエレボニアの国王としての”威光”を民達と貴族達に見せつける事で内戦や”百日戦役”、そしてメンフィル・クロスベル連合との戦争の件で著しく下がったエレボニア皇家の権威や信頼を回復させる為、か。」

「……実際あの処罰方法によってセドリック殿下の評判は更に上がっているそうだしな……」

プリネの推測に続くようにユーシスは静かな表情で答え、ラウラは重々しい様子を纏って呟いた。

 

 

 


 
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