「それでは皆さん、ご一緒に……メリークリスマス!!」
「「「「「メリィークリスマァースッ!!!」」」」」
アザゼル&眼魔事件が解決したその夜。
「あぁ~…去年以上に疲れたぁ~…」」
「…兄さん、去年も人任せだった」
「す、すまんユイ、別の形で礼はするからそんな怒るなって…」
『すまないユイ。今年は色々あってそちらを手伝えなかった』
ちなみに調理班の指揮はユイとフィアレスが二人で取ったらしい。その結果、ユイとフィアレスは完全に疲労困憊であり、とてもじゃないがパーティーを楽しめるようなコンディションではなかった。しかも今回はジンバの助太刀も無かった為、仕事量は去年以上に凄まじかったようだ。
「ふぅ~ん……またフラグを建てたのね、アン娘ちゃん…?」
「少し、O☆HA☆NA☆SHIしなければなりませんわね…?」
「いや、あの、これは別にわざとじゃ……えっと、その……マジすんませんでした」
(((((怖ぇぇぇぇぇぇ…!?)))))
「朱音さ~ん、青竜さ~ん、その辺にしときましょう。そろそろアン娘さんの両足が死ぬでしょうから(つうかどんだけ正座させてんだよこの二人)」
一方でUnknownは、今回の任務でまたしても女性に惚れられてしまった事から、朱音や青竜といったアン娘ラヴァーズの面々に絞られているところだった。流石に見かねた刃が二人に声をかけ、その後は何とか正座状態から解放される(それでも足の痺れはだいぶ来ていたらしく、後でラヴァーズの面々に足を突っつかれて大変な目に遭わされたのは言うまでもない)。
そんなUnknown達の様子を見ながら、ディアーリーズやディアラヴァーズといった面々は全員で食事をしつつ楽しんでいた。
「皆、またこれまで通り楽しんでますね」
「ただし、デルタや二百式の二人は相変わらず自室に籠ったまま(二百式の方には、アリスちゃんも一緒にいるみたいだけど)。げんぶは白蓮さんと一緒にサンタコスして蓮ちゃんの部屋にコッソリ侵入中。ちなみに準備の仕事をサボったkaito、料理に使う食材を勝手に食い荒らそうとしたZEROの二人は、罰として団長の制裁を受けて一時的に再起不能状態」
「何やってんすか後者二名(よし、kaitoさんが再起不能ならば可能性は…)」
「つまり、あんまり羽目を外し過ぎても駄目って事ね。見てみなさいよ、あそこ」
「?」
アキが指差した方向では…
「オラオラーッ!! 酒が足りねぇぞ、もっと持って来いやーっ!! ヒック!」
「おい、勝負だBlaz……どっちが真の酒豪か、ケリを付けようじゃねぇか…!!」
「上等だmiri、かかって来やがれ……うっしゃあ、酒持って来ぉい!! 一気飲みで勝負じゃあーっ!!!」
「へーい!! 一気、一気!!」
「一気、一気、一気、一気!!」
「うっぷ…ヤ、ヤバい、飲み過ぎた…うぇぇぇぇぇぇぇ…」
酒の所為で見事に酔っ払ってしまっている蒼崎、何故か一気飲み勝負を始めたmiriとBlaz、そんな二人を楽しそうに煽るFalSigやガルム、酒の飲み過ぎで酔い潰れてしまったawsといったカオスな光景が完成してしまっていた。これにはディアーリーズも、口がアングリと開いたまま茫然としてしまう。
「あんの酔っ払い共め…」
「うわ、あそこだけ凄い酒臭いなぁ」
「あははは……まぁ、皆楽しそうで何よりですし、そこまで無理が無ければ大丈夫でしょう。ところで皆さん、僕に酒を飲まそうとか考えてませんよね?」
「「「「「…………」」」」」
「何故に無言!? そこは否定して下さいよ!?」
ディアーリーズの言葉に何故か無言になるディアラヴァーズの面々。急にとてつもない不安を感じ始めたディアーリーズだったが、そんな彼の下に咲良が歩み寄って来た。
「ウル兄ちゃん! すーちゃんからプレゼントもらったー!」
「おぉ、良かったね咲良」
「ん? すーちゃんって、もしかして朱雀君?」
「はい、どうやら、僕の事を言ってるみたいですね」
咲良にプレゼントを差し上げた人物の一人、朱雀がそう答える。どうやら彼もいつの間にか咲良にニックネームを付けて貰っていたようだ。
「ありがとうございます、朱雀さん」
「いえ。少し時間が足りなかったので、それほど良い物は用意出来ませんでしたが…」
「そんな事ありませんよ。プレゼントを用意してくれただけでも、咲良にとっては嬉しい事ですから」
「ならば、私からのプレゼントも嬉しく受け取るんだろうな?」
「まぁそれはもちろんで…………え?」
ちょっと待て、今のは誰の台詞だ。ディアーリーズはそんな事を思いつつ、ギギギと後ろにゆっくり振り返る。そんな彼の後ろには…
「…し、師父ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!??」
「久しいな、小僧」
ディアーリーズにとって師父と言える人物であるリョウが、腕を組んだまま仁王立ちしていた。リョウが来るとは想定外だったのか、先程まで楽しそうな表情だったディアーリーズは一瞬にして顔が青ざめていく。
「あ、あははははは……し、師父はどうしてここに…?」
「何、お前にプレゼントを渡そうと思ってな。地獄の特訓プランへの片道切符をプレゼントしよう。どうだ、嬉しいだろう? さぁ、一緒に来い」
「全然嬉しくなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!!?」
リョウに首根っこを掴まれ、そのままトレーニングルームまで引き摺られていくディアーリーズ。ディアラヴァーズはそんな光景をただ見ている事しか出来なかった。それと入れ替わる形で、紫色の綺麗なドレスを身に纏った冥がやって来た。
「あらあら。リョウの奴ったら、相変わらずウルちゃんには手厳しいのね」
「あ、冥さん。それに白夜ちゃんも」
「…こ、こんばんは…」
「こんばんは白夜ちゃん。それからゴモラも」
「ギャウゥ~」
冥の後ろ隠れる形で、実は白夜も一緒にやって来ていた。白夜は両手で小さな怪獣―――リムゴモラを抱きかかえており、リムゴモラもアスナの挨拶に鳴き声で返す。
「残念だったわね、ウルちゃんがリョウに連行されちゃって」
「いえ、問題ありません。疲弊した状態で戻って来たところを全員で美味しく頂きますから」
「アキちゃん、白夜ちゃんが聞いてるよ!?」
「……はぅっ!?」
「きゃあー!? 白夜ちゃんが真っ赤になって倒れたー!?」
「白夜ちゃん、しっかりしてー!?」
「あらあら、白夜も果てしないくらいウブねぇ」
「ギャウ?」
アキの卑猥な台詞を聞いてどんな妄想をしてしまったのか、白夜は顔を真っ赤にしたまま倒れてしまった。そんな白夜を見て面白そうに笑う冥に、リムゴモラは不思議そうに首を傾げるのだった。
「さぁ、今年もやるわよツイスターゲーム!! プレイヤーはキリーとリーリーね!!」
「うぉい!? また俺の番かよぉ!?」
「リーリー……え、もしかして私の事ですか!?」
「今日も星空が綺麗だな、リア」
「そうね。またこうして一緒に過ごせるなんて嬉しいわ、ソー君」
一方で、タカナシ家では相変わらず葵がツイスターゲームでロキやリリィを巻き込もうと楽しんでいた。別の場所ではソラとリディアが星空を見ながら一緒にワインを飲んでいたり、こちらもこちらで充実していた。ちなみにルカは昨年と同じくアリサやすずかと共にクリスマスパーティーを楽しんでいる為、今年は最初から
その一方で…
「…ユウナちゃん、これは?」
「私からのクリスマスプレゼントです。スノーズさんも、同じマフラーばかりしてないで、たまには違うマフラーも巻いてみて下さい」
スノーズはユウナから、手編みの青いマフラーをプレゼントされていた。ユウナはスノーズが現在巻いている白いマフラーを無理やり掴んで外し、代わりにその青いマフラーを彼の首元に巻いていく。
「うん、バッチリ!」
「…良いのかい、ユウナちゃん? 正直に言うと、今回のパーティーには参加するつもりじゃなかったから、僕からは何も用意出来ていないんだけど…」
「そんな心配なら無用です、来年キッチリお返しを頂きますから」
「…それ、つまり来年のクリスマスも参加しろって事かい?」
「そうですけど何か?」
「…やれやれ」
ユウナのしてやったりと言った顔を見て、スノーズは困ったように髪を掻く。
「困ったな……これじゃ来年も、僕は不参加を決め込む訳にはいかないって事か」
「来年、楽しみにしてますからね。スノーズさんからのクリスマスプレゼント」
「はいはい、分かりましたよ」
更に、別の場所では…
「そ、その……どうですか? 手編みの手袋なんですが…」
ルイが用意したプレゼントをハルトが受け取り、その中身をパカッと開けていた。中に入っていたのは、赤い毛糸の手編み手袋だった。
「サンキュー、ルイちゃん! ここ最近ちょっと手が冷たかったからさ、使わせて貰うぜ!」
「! …はい、喜んでくれて嬉しいです!」
「そんじゃ、俺からルイちゃんにはこれをプレゼントだ」
ハルトからは大好評らしく、嬉しそうな顔をしているハルトを見てルイも嬉しそうな表情を浮かべる。すると今度はハルトも小さなプレゼント箱を取り出してルイに渡す。受け取ったルイが箱を開けると…
「! か、可愛い…!」
入っていたのは、小さなスノードームだった。白い雪のような物が舞っている中、ルイとジンバのデフォルメ化した可愛らしい人形を始め、クリスマスツリーや雪だるま、カンドロイドやプラモンスターなどの小さな人形なども入った、非常に完成度の高い仕上がりになっていた。ルイは思わず見惚れてしまい、ちょうど料理を運びに来ていたジンバもその出来具合を見て驚愕する。
『む、私も入っているのか…!』
「そりゃもちろん! お馬ちゃんだって、ルイちゃんにとって大事な家族だしな!」
『感謝する。だが、私をお馬ちゃんと呼んで良いのは…』
「そこまだ拘る!?」
しかし、ここでルイがある事に気付き、少し落ち込んだ表情を浮かべる。
「ん、どしたのルイちゃん。お気に召さなかったか…?」
「あぁいえ。凄くよく出来ていて、私も嬉しいです……ただ」
『ただ?』
「…ハルトさんの人形も入ってたら、もっと嬉しかったなぁって」
「!」
「あ、すみません、こんな我儘言っちゃって! こんな素晴らしい物を貰えて凄く嬉しいです! ありがとうございますハルトさん!」
「…ふむ」
ルイの口から漏れた、小さな我儘。
それを聞いたハルトは少し考える仕種をした後、何かを決意したかのように指をパチンと鳴らす。
「…んじゃ、実行は夜と行こうかね」
各々がクリスマスパーティーを存分に楽しんでいる中、okakaの自室では…
『今年は自室に籠りっきりかね? 一城』
「やかましい。パーティーの料理も、ユイちゃん達にわざわざ持って来て貰ったんだ。それをデータ化した状態で味わえるだけでも、ありがたいと思え」
『うむ、どの料理も最高に美味いぞ』
okakaは今回発生したアザゼル&眼魔事件について、書類の作成で忙しい状態だった。ただしせっかくの料理を味わえないとPDが文句を垂らす為、仕方なくユイやフィアレスに一部の料理を自室まで運んで貰い、現在はその料理をPDと共に味わいながら書類の作成を続けている。腰に装着しているだけで、okakaの食べた料理をPDもデータ化した状態で味わえているらしく、PDは満足そうな声を上げる。
『そういえば、今年も団長殿の姿は見えなかったな』
「確かに、最初に竜神丸の所在を聞いてからそれっきりだな。まぁ、どうせいつもの事だから大して気にするような事でも無いが」
『そんな物かね……しかしそれを除いたとしても、何故団長殿は我々が部屋に入った時、あんなに落ち込んでいたのだろうか?』
「あぁそれな。冥さんに聞いてみたところ……白夜ちゃんが連れていた怪獣達にすら避けられて、動物に嫌われている自分が嫌になるんだと」
『…私はそれにどう反応すれば良いのだろうか?』
「さぁな、それは俺に聞かれても困る……さて」
一通り書類作成を終えたokakaは、首を回してコキコキ鳴らした後……ライドブッカーから一枚のカードを抜き取る。それは『GHOST』とだけ書かれたあの謎のライダーのカードだった。
「少し前、俺の子供達や進ノ介達と一緒に任務をこなした後……コイツと出くわしたんだよな」
『晶葉から貰った不知火のサンプルを、こなたが盛大にぶちまけた事で、そのライダーの姿が見えるようになったんだったな……いやはや、あの時のこなたの反応は見物だった』
「無言でパタリと倒れちまったもんな。一部のメンバーはそんなこなたを見て盛大に笑ってたが」
『…しかしそれ以来、その仮面ライダーとはまだ一度も出会えていない』
「…あぁ。一体どんなシステムを持った仮面ライダーなのか、それを知る為にはまず…」
okakaは懐から、仮面ライダーレイスの写った写真を撮り出す。あの時、okakaがさりげなくバットショットで撮影した物だ。
「仮面ライダーレイス……俺はもう一度、奴に出会う必要があるって訳だ」
okakaは自室の窓を見据える。外の景色は今、雪がキラキラと輝く銀世界と化していた。
そして、翌日…
「―――ん、ふぁぁ…」
この日は
しかし、ルイは気付いた。
「…あ」
昨日のクリスマスパーティーで、ハルトから貰ったスノードーム……その中に新しく、ハルトのデフォルメ化した人形が入っていた事に。
「…ふふっ♪」
ルイはスノードームを手に取り、再びベッドに寝転がって嬉しそうな笑みを浮かべる。バッと手に取ったその影響で、スノードームの中の雪が舞い上がり、ルイやハルト、ジンバの人形がより美しい輝きに満ちていく。
「ありがとうございます、ハルトさん…♪」
ちなみに、そのハルトはと言うと…
「何だ、そういう事ならもっと早く言ってくれたら良かったのに」
「え、えぇ……まさかソラさんから一発貰うとは思ってませんでしたよ……ゲフゥ」
ルイのスノードームに人形を追加しようと部屋に入り、勘違いしたソラから一発のパンチをお見舞いされていたのはここだけの話である。
某次元世界、とある森林…
「はぁ……はぁ……っく…!!」
武将のような恰好をした一人の女性が、森の中を走っていた。その女性は容姿端麗で、プロポーションも抜群の美人だ。そんな彼女は今、何かを恐れているかのような表情を浮かべながら、傷ついた右足を無理やり引き摺るような形で必死に何かから逃走を続けていた。
(耕也…ッ……助けて、耕也…!!)
≪ドラゴンフルーツエナジー!≫
「ッ……きゃあ!?」
そんな女性の背後から、飛来した赤いドラゴンの形状をした一撃が、無慈悲にも彼女の背中に命中。まともに喰らってしまった彼女は勢い良く吹き飛ばされ、木々に叩きつけられてから地面を転がる。
「が、げほ……ッ…!!」
「おっと、逃がしませんよ」
「ッ…ぐ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
うつ伏せに倒れ込んだ女性が血反吐を吐く中、彼女の焼け爛れて血だらけの背中を竜神丸の変身したデューク・ドラゴンエナジーアームズが踏みつけ、女性が痛みで苦しそうな悲鳴を上げる。。
「全く、大人しく死んで貰わないと困るんですよねぇ。なのにどうして逃げるんだか…」
「ッ…許さない……貴様の所為で、他の仲間達は…!!」
「どういう事情があれど、あなた方は“アレ”の許可も無く身勝手な転生を遂げた……その時点で、あなた方に未来は無い」
女性を蹴りつけた後、デュークは手に持ったマンゴーロックシードとキウイロックシードを同時に開錠。近くに開いたクラックからはライオンインベス、セイリュウインベスの二体が出現し、女性をギロリと睨みつける。
「やれ」
「「グルルルルル……グルァッ!!」」
「ひっ……いや、ぁ…嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!??」
ザシュ、グシャ、バリ、ゴキン……と、惨い音を立てながら上級インベス逹に貪られる女性。爪で引き裂かれ、手足の骨をへし折られ、肉を喰い千切られ……数分後、そこには手や口が返り血にまみれた上級インベス逹と、引き裂かれた衣服、ほんの僅かな肉片、そして地面に染まった赤い血だけが残されていた。
「…さて、これでようやく七人目」
上級インベス逹がクラックを通じて帰って行く中、デュークは変身を解除して竜神丸の姿に戻り、バインダーに挟んでいた書類に写っている女性の顔写真に×印を書き記す。たった今殺害された女性を含め、既に七名の女性の顔写真に×印が書かれている。
「全く、どいつもこいつも面倒な女性ばかりですねぇ……
竜神丸は面倒そうな表情を浮かべつつも、すぐにテレポートでその次元世界から姿を消す。
他の旅団メンバー達は、まだ知らなかった。
いずれは
END
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いつものクリスマス(※平和に終わるとは言ってない)