夕刻、風天区某所。歩いているのは宮本久司と不破松次郎。
「いやー、しかしハラ減ったな!」
「そうですねムサシ先輩。どこか寄っていきましょうよ」
「だな。じゃあちょっと電車に乗って白亜亭でも行くか?」
「あー、どういうわけか恐竜が集まるって噂のw」
二人が大通りを歩いていると、遠くからサイレンの音が聞こえてきた。
「…ありゃー、今日もまた事件かあ。警察も大変ですね」
「パトカー2台で現場に急行か…。となると一筋縄じゃ…」
と、近づいてくるパトカーを見ていた久司が一瞬戦慄する。
「なん…だと…?」
「せ、先輩?どうしたんですか!?」
「前のパトカーなんかおかしいぞ!?だってほら!」
「…アイエエエエ!?回転灯!回転灯ツイテナイナンデ!?」
街中を疾走する2台のパトカー。だがこのうちの1台は回転灯も点灯せず、サイレンも鳴らしていない!
いったいこれはどういうことなのか…!?
…さて、場所は変わって天空市内某所の国道。
多少山がちな道はカーブが多い上り勾配の連続だ。
そこを先ほどの2台のパトカー…1台は三菱FTO、もう1台はスズキ・アルトターボRSだ。
FTOのほうはサイレンも鳴らさないばかりか、右に左にワインディングしている。
『そこの車止まりなさい!スピード違反です!』
アルトターボのドライバー、雪天警察署の千葉美恵の怒号がスピーカーから前方のFTOに向けられる。
『うるせーんだよ!こっちは今走り込みの最中なんだ!』
しかし相手もパトカー、負けじとスピーカーから反論の声が響く。
FTOに乗っていたのは、曇天警察署所属の東山佐和子だ!
『走り込みってなんのですか!?』
『わかんねー野郎だな!ヒルクライムバトルの走り込みに決まってるだろうが!』
『わかってたまるもんですか!ていうかあなたのやってることは交通違反ですよ!!』
『ところがどっこい!パトカーは何しても違反にはならないんだよ!!』
『なります!!だいたいサイレンも鳴らさないでそんな爆走、認められるわけないでしょ!』
(チッ…お前と遊んでるヒマはねーんだけどな!)
佐和子は一気にアクセルを踏み込むと同時に、煙幕を発生させる!
「きゃあ!?」
『悪いな!あたしは今
煙幕に阻まれ急ブレーキをかけた美恵のアルトターボを尻目に、佐和子のFTOは夕闇へと消えていった。
…しかしこの爆走劇は長くは続かなかった。
風天区に入ろうとしたその時、佐和子の目の前に強烈な光が照り付けたのだ!
「うおぉぉぉ!?」
慌てて急ブレーキを踏んでしまう佐和子。
それを待っていたかのように、風天署所属のパトカーが次々に佐和子を取り囲んでいく!
「…やってくれたわねぇ~佐和子さん?」
そのうちの1台から降りてきたのは風天署捜査3課の手須蓮子、ご丁寧にバトルスーツ姿での登場だ。
「な、なんだよ蓮子!あたしの走りジャマすると許さねーぞ!!」
すると、後方に止まっていたインプレッサWRXの覆面パトカーから、風天署捜査1課の九重久遠が降りてきた。
「許さないはこっちのセリフだよ。私用でパトカーを乗り回し、緊急事態でもないのに暴走…もしやと思ったがまたお前か!!」
クオンもまた、ご丁寧にアーマージャケットを装備している。
「チッ!なんだよどいつもこいつも!ジャマすんなら力づくで…」
と、佐和子が蓮子に殴りかかろうとした…その時だった。
「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」
「グワーッ!グワーッ!グワーッ!グワーッ!グワーッ!グワーッ!」
蓮子の強烈な連続パンチが佐和子の頬にヒット!
佐和子は警官としてあるまじき行為をしでかした挙句、警察の怒りを買ったのだ!
まさにインガオホー…もとい、因果応報!!
「とにかく今回の失態、本部に報告させてもらうからな!それなりのことは覚悟しとけ!!」
かくして、暴走警官・佐和子の悪行は懲らしめられたのであった…
…かに思えたのだが。
数日後、洋食の店『白亜亭』。
カウンターを挟んで話をしているのはオーナーの高幡美春と都市開発局職員のカイナ。
「…ねえ美春さん」
「あら、どうしたんですか?」
「…この町の警察って本当に大丈夫なんですかね…?」
「あ、あー…」
『…警察によりますと、転落した暴走車を運転していた男性は…』
…ああ、暴走警官・東山佐和子。彼女には警官としての誇りはないのであろうか!?
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あるいは「ほにゃららMIDNIGHT」。
なお、今回は若干忍殺めいたアトモスフィアに毒されております。
ヤンナルネ…
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