昨日の事のように思い出す。
いつの日かのおやつの時間…。
今は、とてもそんな雰囲気で食べる事が出来ない。
今、王女様は国民を苦しめている。
そのため王女様は怯える日々を送っている。
僕は緑のあの子を、あの子を…
殺して、しまった。
取り返しのつかない事になっているのは分かっている。
何故なら今、城の前には王女様を殺しに
国民が我が兵士達と戦う場面が繰り広げられている。
「馬鹿な人達。…さて、あの人達は私の元へ来る事が出来るのかしら。」
王女様は心にも無い事を口にした。
王女様は小さく震えていた。
分かっているんだ。自分の侵した罪の重さが…。
「王女様…。」
僕は何とかして王女様を助けたかった。
けれど、いくら考えても王女様を助ける方法が思い付かない。
いや、思い付いてはいるがそれを実行するかを考えてしまった。
しかし王女様を助けるにはこれしかない…。
「…王女様。此処で少し待ってて下さい。」
「えっ!?レッ、レン?」
僕は心配そうに見つめる王女様を背に自室へと向かった。
★★★★★
「王女様!!」
僕はあるものを手に王女様の元へと戻った。
「レン…。心配したじゃない…。」
王女様は目を潤ませながら僕に抱き着いてきた。
「レン、私…。——レン、その手に持っている服は何…?」
あるもの、それは僕の服。
「王女様、これを着て逃げてください。」
「えっ!?」
「大丈夫。容姿は似ているから皆にはばれないよ。」
王女様は僕から目をそらし強く僕を抱きしめた。
「王女様。いや、リン。僕は大丈夫だから早く。」
リンは小さく、震えた声で僕に言った。
「絶対…。絶対にまた私の元に帰って来てね…。」
服が冷たい。リンの涙で服が濡れているんだと思う。
僕はリンの頭を撫でた。
「絶対にまたリンの所へ戻るよ。だから早く着替えて。」
「…うん。」
僕はリンに服を渡し、後ろを向いた。
「……。」
リンの泣き声が微かに聞こえる。
泣きながら着替えているのだろう…。
「レン…。着替えたよ。」
「では、早く此処から逃げてください。」
リンは走って扉へ向かいドアを開けた。
「じゃあ、また後でね。リン。」
「絶対にまた私の元へ…」
バタン…
ドアが閉まった。
「さて。」
僕も着替えなければならない。
僕はリンのクローゼットを開いた。
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悪ノ召使の続きです。
レンって優しいですよねぇ…。
自分には考えられせん(゜□、゜)
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