No.813356

命一家 5話 みきの友達

初音軍さん

初めて出来た親友くらいの友達を家へ招きいれてお話をするお話。ちょっこり人間関係を構築するのに必要とも思えます。ちっちゃい子のかわいい発言や仕草に癒されてもらえたら幸いです♪

2015-11-12 23:30:16 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:417   閲覧ユーザー数:417

命一家 5話

 

【命】

 

 ある日、みきが友達を家に連れてきた。

説明が唐突だけど本当に唐突だったから私もすごく驚いてしまった。

 

「ただいまー」

「おかえりなさい~、みき」

 

「おじゃまします~」

「!?」

「へへー、ママ。驚いた?」

 

 そりゃ事前に何も言われないまま、いきなり連れたこられたら誰でも驚く。

それでも一緒に来た子はすごく礼儀正しくお辞儀をして挨拶をしてくれた。

みきが連れてきたのは男の子と女の子の二人だった。

 

「そりゃ何も言わないから驚いたよ~。あ、いらっしゃい。中へどうぞ」

 

 私は笑みを浮かべながら居間へと案内をする。そしてお茶を淹れようとして途中で

子供なんだからジュースがいいだろうと思ってグラスにオレンジジュースを注いで

3人のところへ運んでいった。

 

「これでよかったかな?」

「はい!」

 

 私の言葉にいち早く反応が来たのはしっかりしてそうな男の子だった。

見た目は普通に可愛らしい感じなんだけど目から強い意志を感じられた気がしたから。

こういう子がみきの友達になってくれてるのなら安心できる。

 

「あ、ボクはみきちゃんの友達で優と言います」

 

 優くんに続くように隣に座っていた厚着の女の子も慌てて立ち上がって私にお辞儀を

してきた。少し長めのマフラーをぐるぐるに巻いていてちょっと息苦しそう。

 

「わ、わたしは・・・あの・・・儚(はかな)です。みきちゃんには・・・いつも・・・

たすけてもらってばかりで・・・」

 

 髪の毛が長く憂くんと同じくらいの黒髪で、少し茶がかかってる感じだった。

長いのが少し邪魔なのかまとめて結っている。

 すごいどもっていて自信がないのか弱気なイメージとその厚着から病弱そうで

名前の通りの印象を受ける。

 

「優くんと儚ちゃんね。よろしくね、二人共」

 

 それから少し他愛のない話で少し場の空気を和らげてからみきが園内でどんな

感じにしているか気になって話を振ってみる。保護者の間と子供の間とではまったく

違う状況になっているかもしれないから。友達がいる今が知るチャンスだと思った。

 

「ねぇねぇ、二人共。みきって保育園だとどんな感じなの?」

 

 ジュースを嬉しそうに飲んでるみきに聞こえないように二人にこっそり聞き出してみる

ことにした。すると二人は目を輝かせて同じような仕草で語り出した。

 

「すごいですよ、みきちゃん。けっこう複雑な女子グループをまとめるだけでなく

男子グループとのケンカの時も一番早く止めにきてくれて」

「わ、わたしが・・・その時たけ・・・たすけてもらいまし・・・た」

 

「へ~」

「ん、何の話してるの?」

 

「んー、みきが向こうだとどんな感じなのかなってママが聞いてたの」

「は、恥ずかしいからやめてよう・・・!」

 

 恥ずかしがるみきはお返しとばかりに私の耳元で驚くようなことをいきなり

囁いてきた。二人共いい顔をしながら娘のことを褒めてくれるから聞いてる私も

せっかく気分が良かったのに・・・。

 

「優くんね、みことママのこと好きみたいだよ」

「え?そんな、初めて会ったのにそれはないでしょ」

「え~、だってゆうくん。いつもより顔がゆるゆるなんだもん」

 

 普段はもっとお堅い感じなのだろうか、確かに真面目そうな雰囲気は今でも

感じられるけれど。

 

 でも、言われてみると少し視線が合うのが多いなぁと感じてしまう。

言われなければ気付かなかったのに変に気をつかってしまうではないか。

 

 そんな私とみきのひそひそ話に気付いたのか、優くんはどこか少し表情が固くなって

いて、私は慌てて話を元に戻して何があってどういうことが流行ってるのか聞いて

場を盛り上がらせた。

 

 

 ***

 

 そうしている内に気付けば時間もけっこう経っていたから二人がそろそろ帰ろうかと

話して玄関まで見送ろうとした時、玄関から萌黄が仕事から帰ってきた。

 

「ただいまー。おっ、みきの友達かなぁ?」

「あ、お邪魔してます。えっと・・・みきちゃんのお姉さん?」

 

「え!? マ、ママ!わたしはママですー!」

 

 5歳の子にお姉さんと言われて戸惑ったのかうろたえながら自分の立場を言う萌黄が

変な口調で子供たちに言っていたのが可愛かった。よっぽど幼く見られたくないんだなぁ

と思った。

 

「え、お母さんが二人?」

 

 優くんが首を傾げると隣で儚ちゃんがぽわわんとした表情で納得するように頷く。

 

「みきちゃんみたいな天使のような子だったらお母さんが二人いてもおかしくないよね」

「えへへ。あのね、萌黄ママ。これからみんな帰るからみきが送っていくところなの」

 

 みきは両手をぱたぱたさせながら萌黄を上目遣いで見上げながらそう説明すると

萌黄の笑顔が少し緩んで。

 

「へぇ~、でも危ないから私もついていくからね」

 

 と言って私と目を合わせた。確かに時間も少し遅いし小さい子たちだけじゃ

危ないかもしれない。疲れてるかもしれないけれどここは萌黄に任せることにした。

 

 子供たちと話しながら家を出る萌黄とみき達。それから少しして、マナカちゃんと

瞳魅さんが帰ってきて嬉しそうな私の顔を見て何かに気付いて聞いてきた。

 

 だから今日何があったかと楽しげに事細かくお茶を二人に淹れてから話し始めた。

あぁ、こういう平和な日々が本当に幸せなんだなぁと思えた。

 

続く

 


 
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