No.80343

学園の恋姫たち その5

ぴかさん

学園の恋姫たちのその5です。

前回の予告通り、今回は蓮華様のターンとなっています。
ただ、結構ネガティブ状態なのでこんなの蓮華じゃないと思われる方もいるかもしれません。

続きを表示

2009-06-21 23:34:15 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:12116   閲覧ユーザー数:8991

簡単なあらすじ・・・

 

武将が女の子ばかりの三国志の世界から戻ってきた北郷一刀。

また、彼の願いにより一緒にこちらの世界に来てしまった蜀の面々。

聖フランチェスカの理事長の計らいで女子寮に住み学園への入学も出来た。

そして新学期が始まり、北郷一刀のクラスに蓮華が転入してきた。

蓮華とうまく関係が築けずにいた一刀は、部活へと打ち込む。

その帰り今度は華琳と出会うことになる。

華琳は、自分の会いたいと思っていた一刀に出会えず悲しみにくれるが、一刀がその代わりになると宣言しいつもの調子を取り戻した。

その一方で、一刀は未だに蓮華と話も出来ていなかった。

 

 

??(きっと大丈夫。)

 

そう心に思った少女は手を胸元でぎゅっと握る。

ここは、聖フランチェスカ学園。

今日、この少女はここに転入してきた。

腰まで届く長い髪に整った顔立ち。

制服では隠し切れない抜群のスタイル。

そう、この少女は呉王孫策の妹である、孫権こと蓮華だった。

 

あの日、半信半疑であった彼女は、気が付くとこの世界へと来ていた。

そして、その場にいた理事長と名乗る男から、この世界の事を教えられ納得した。

それから2ヶ月ほど、この世界に慣れる為色々頑張ってきた。

おかげで文字の読み書きはもちろん、この世界でのルールやカルチャーなどもあらかた理解できていた。

しかし、関係者以外と会えない状況に居た為、蓮華には常に不安が付きまとっていた。

見知らぬ相手達ときちんと話が出来るだろうかという事である。

さらには、一刀と以前と同じような関係を築く事が出来るのかという事も気になっていた。

 

担任「ここで待っていなさい。呼ばれたら中に入って。」

蓮華「はい。」

 

そう言って担任は教室へと入っていく。

騒がしかった教室が急に静かになった。

そして、担任に呼ばれ蓮華が教室に入った。

 

途端に聞かれる歓声と溜息。

歓声は主に男子から、溜息は主に女子からだった。

 

蓮華「みなさん、初めまして。私は蓮華と言います。よろしくお願いします。」

 

そう言って蓮華は頭を下げながら教室内を見回った。

すると、一点に視線が集中する。

自分が捜し求めていた人物、北郷一刀がそこにいた。

一刀は、蓮華を見て驚きの表情を見せていた。

 

担任「席はそうだなぁ・・・。あそこがいいだろう。」

 

担任に指示され席に座る蓮華。

そこは一刀の斜め後ろで、近すぎず遠すぎず、蓮華にとっては絶好の場所であった。

さっそくの休み時間、蓮華は一刀に話し掛けようとするが、すぐにクラスメイト(主に女子)に囲まれてしまった。

一刀と話したい蓮華であったが、クラスメイトを無下には出来ず、話を合わせていた。

クラスメイトと話をしながら横目で一刀の様子をうかがう。

そこには、桃香を始めとする蜀の面々が揃って一刀の席を囲んでいた。

 

蓮華(そう・・・、彼女達も来ていたんだ・・・。)

 

蓮華は、桃香達もこの世界に来ていたという事を知り落胆した。

 

 

桃香達の存在を確認してからというもの、蓮華は無意識ではあるが一刀を避けるようになっていた。

授業の合間はクラスメイト達が盾になってくれているし、それ以外は逃げ出すように教室を出るようにしていた。

そのたびに、憂鬱そうに溜息をついていた。

そんな事が続いていたある日の朝、さらに事態をややこしい状況にする事が起きた。

 

華琳「華琳よ。みなさん、よろしく。」

 

曹操こと華琳が転入生として蓮華のクラスにやってきたのだ。

しかもその席は一刀の隣。

蜀のメンバーも混じって、事態が悪化していくであろう事は明白だった。

 

華琳が転入して以降、蓮華が一刀と触れ合う時間は皆無となっていた。

それまでも避けていたため、特に話をするという機会もなかったのだが、蓮華さえ素直になれば話は出来るという状況であった。

だが、今は華琳が盾のようになっていて一刀の様子をうかがうのも困難だった。

華琳が蓮華に気付きわざとやっている事は明らかなのだが、蓮華は華琳と張り合う事もなく普段通り過ごすだけであった。

 

華琳(何よ、つまらないわね・・・。)

 

華琳は、そんな蓮華の様子に呆れつつも、そこまで積極的に絡む事もなく、一刀や桃香達と過ごしていた。

 

 

そんな状態が数日続いたある日の事である。

蓮華は、いつも通り下駄箱を開け靴を履き替えようとした。

すると、その中には一通の手紙が入っていた。

 

蓮華(またなの・・・。)

 

実は、今までも蓮華の下駄箱には何度か手紙が入っている事があった。

最初はなんだか分からず読んだりもしたのだが、それが恋文、いわゆるラブレターだと知ると全く興味がないのかすぐに捨てていた。

今回もそれだろうと思い、ゴミ箱に捨てようかと思ったのだが、差出人の名前を見て思いとどまった。

そこには、桃香よりと書かれていた。

 

蓮華(桃香が私に何の用なのかしら。)

 

開けて確認してみると、今日の放課後体育倉庫裏に来て欲しいというものであった。

何の用事かは分からないが、行ってみようと思い、手紙を制服のポケットに入れ教室へ向かった。

ちなみに、桃香はテレビドラマの見過ぎで、下駄箱に手紙と体育倉庫裏に呼び出しという古典的な方法を思い付いたのだった。

 

その日1日、蓮華は落ち着かなかった。

もちろん、桃香からの手紙のせいである。

一体何の用事だろうと色々考えるが、どうしても悪い方向にしか思い浮かばない。

そのせいで、その日の授業内容は全く頭に入らず、受け答えも曖昧な感じで、他のクラスメイトは心配になっていた。

そんなこんなであっという間に放課後を迎えた。

 

気が付かなかったとして、体育倉庫裏に行かないという選択肢もあったかもしれない。

だが理由はなんであれ、あちらの世界では君主として自分以上の立場であった桃香からの呼び出しを無視するわけにもいかず、時間通りに体育倉庫裏に来た。

そこには呼び出したはずの桃香の姿はなく、代わりに居たのは蓮華の想像を上回る人物だった。

 

 

一刀「蓮華・・・。」

 

そう、蓮華が一番話をしたいがずっと避けていた北郷一刀その人である。

 

蓮華「桃香に呼び出されたはずなのに、一刀がなんで・・・。」

一刀「蓮華・・・。」

 

蓮華へと近づこうとする一刀。

その瞬間、蓮華は後ろを振り返り逃げようとする。

 

一刀「蓮華!!」

 

逃げようとする蓮華に駆け寄りその腕を掴んだ。

 

蓮華「離してよ!!」

一刀「いや、キチンと話が出来るまで離さない!!」

 

しばらく押し問答をする2人。

その様子を見ている者達が居た。

 

桃香「これからどうなるんだろう・・・。」

華琳「さあ、一刀の腕。見せてもらおうかしら。」

 

桃香達と華琳である。

蓮華の死角になる場所に隠れ、2人の様子をうかがっていた。

ちなみに彼女達の話し声は、蓮華や一刀には聞こえていない。

 

押し問答を続けていた蓮華と一刀であったが、しばらくして蓮華は逃げるのを諦めた。

 

蓮華「わかったわ。ちゃんと話をするからその手を離して。」

一刀「ああ。」

 

一刀が蓮華の腕から手を離す。

再び向き合う2人。

改めて話そうとする照れ臭さと、気まずさに無言の時間が過ぎていく。

 

一刀・蓮華「あのっ!!」

蒲公英「うわぁ~。何このドラマでよくあるベタな展開は。」

華琳「茶番ね。」

 

2人の声が重なった。

ベタベタな展開に、桃香達はむず痒さを感じた。

 

一刀「蓮華からどうぞ。」

蓮華「いえ、一刀から・・・。」

 

お互いが譲り合うというさらにベタな展開へと進み、桃香達は呆れてモノが言えなかった。

 

 

一刀「じゃあ、俺から。蓮華は俺の事を避けていたよね?なんで?」

 

一刀が最も気になっていたところを直球で聞いた。

 

星「一刀殿・・・。もうちょっとやんわりと聞いた方がいいのではないのか・・・。」

愛紗「いや、あの潔さがいいところだ。」

桃香「そうだよね~。愛紗ちゃんのお気に入りだもんね。」

愛紗「なっ!?と・・・桃香様、それはどういう・・・。」

詠「ちょっと。気付かれちゃうじゃない。」

 

桃香達もなにやら押し問答を繰り広げていた。

 

蓮華「それは・・・。分かっていたけど、やっぱりあなたは私の知っている一刀じゃないって確証を得たから・・・。」

一刀「蓮華も、違う世界から来たんだ・・・。」

蓮華「私もって・・・。それってどういう意味?」

一刀「実は・・・。」

 

一刀は華琳の事を話した。

華琳も、一刀の知っているのとは違う世界からここに来たらしいと。

 

蓮華「そうなの・・・。」

一刀「よかったら、蓮華の居た世界の話を聞かせてくれないか?」

蓮華「いいけど・・・。その前に一刀の話を聞かせてよ。」

一刀「俺の?わかった・・・。」

 

一刀は、桃香達に拾われ一緒に大陸を平和に導いた話をした。

蓮華はその話を聞き驚嘆した。

 

蓮華「一刀の居た世界で曹操は大陸に残ったのね。そして、三国で平和を樹立した・・・。」

一刀「蓮華のは違うの?」

蓮華「私のは・・・。」

 

蓮華は自分の居た世界の話をした。

一刀を拾ったのは、蓮華の姉の孫策こと雪蓮であった。

その頃、雪蓮と蓮華は離れて暮らしていたため、その時の詳細な状況は知らない。

だが、しばらくぶりに会うと見慣れない男性を紹介され、自分達の夫にと言われた時には驚いた。

 

一刀「夫!?」

桃香「えっ!!」

華琳「なるほどね・・・。」

 

一刀や桃香達は驚いたが、華琳だけは雪蓮の意図に気付いたようだ。

 

そして、大陸平和へと進み始めた矢先、曹操こと華琳が攻めてきた。

その時、暗殺者によって雪蓮が暗殺されそうになった。

しかし、その場に居合わせた一刀によって雪蓮は救われ、代わりに一刀が傷ついたが、早めの処置の甲斐もあって一命を取り留めた。

その一件で呉の士気は大いに高まり、圧倒的に不利だったが、華琳を退けた。

だが、まだまだ強大な華琳に対抗するため、劉備こと桃香と同盟を結び赤壁で華琳を再び退けた。

華琳はこの敗戦を機に、東方へと去っていった。

そして、雪蓮の呉と桃香の蜀で大陸を二分にして平和の世を築いた。

 

華琳「私は暗殺なんて卑怯な手は使わないわよ!!」

桃香「まあまあ。蓮華さんの話している華琳さんは別人ですし。」

 

今にも飛び出さんとする華琳を、必死に抑える桃香だった。

 

 

一刀「そっか・・・。全然違うね。」

蓮華「それでね、一刀・・・。私と一刀の間には娘が出来たの。」

一刀「娘!?」

桃香「えっ!?」

華琳「娘ですって!?」

 

さすがの華琳も今回は驚いた。

 

蓮華「ちょうどあれくらいの・・・。ってあれは!?」

 

蓮華が少し離れた場所にいる小さい子を指さした。

だが、その表情が驚きに変わっていく。

一刀もその子の方向を向いた。

その子は手を振りながらこちらに向かってきていた。

そして、声が聞こえた。

 

??「お母様~!!」

蓮華「孫登!!」

 

蓮華はその子の元に駆け寄り抱きしめた。

 

一刀「お母様ってまさか・・・。」

 

一刀が唖然となっているところに、孫登を抱きかかえた蓮華が近づいた。

 

蓮華「そう。この子があなたと私の娘、孫登よ。」

 

そう言って、抱きかかえた娘を満面の笑みで紹介する蓮華だった。

 

 

あとがき・・・

 

蓮華様のターンでしたがいかがでしたでしょうか?

 

ちょっとネガティブモードにしすぎましたかね。

ただ、桃香達も華琳もかなり積極的な部類なので、ネガティブ的なキャラにしないと被っちゃいそうだったので。

 

以前のコメントで、どのルートの蓮華だろうって話がありましたが、基本的に呉ルートになっています。

ただ、本文中でも触れてますが、雪蓮は死んでません。

二次小説によくある、毒矢を一刀が代わりに受けて雪蓮は生き残るというハッピーな展開にさせました。

もちろん、冥琳も死んでません。

これについては、原作の呉ルートが作者的にショックだったので改編させました。

後悔はしていません(笑

 

孫登の登場で、一刀君の周りは混迷の度を深めていく事になると思います。

どんな展開にしていくかは、作者の腕の見せ所なんでしょうけど、特に考えていません。。。

ただ、最近空気状態の蜀のメンバー達のストーリーも書きたいし、他の魏や呉の面々も出したいと思ってます。

流れ的にあっちこっち状態になるかもしれませんが、温かい目で見守ってくれると嬉しいです。

 

今回もご覧いただきありがとうございました。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
113
5

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択