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No.802619
みゆうさん
今年も、毎年恒例のボランティア活動に参加する。私達は港から渡し船で無人島の海水浴場に降り立つ。 「にゃっ、私が一番乗りにゃね!」 リュードラ姉が桟橋へ飛び降りる。それに続いて私も。 「こらこら、船が揺れるから静かに下りるんだよ!」 ミランシャ姉さんが船の上から叫ぶ。
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「あい、…とにかくカーデ濡れたから早く乾かすにゃ。…うっ、塩辛いにゃ。シャワー浴びないと毛がパリパリになっちゃうにゃ…」 「堤防の向こうにトイレとシャワーはあるけど、海開きまで使えないからね」 「…やっぱりにゃ」 リュードラ姉は気にせず腕にかかった海水を舐めとる。アトラクションみたいに波しぶきがかかってくるから私もびしょ濡れになってしまったな。船に乗っている間、手持ちのマフラータオルで身をガードしていたが、いくらかスマートな体型でも細長いタオルじゃ顔を守るのが精一杯だったし。 「…全く。ミドラ、リューに袋と火箸渡しといてね。あと、サボらないよう見張ってな」 袋半分ぐらいゴミを拾って休憩する。ミランシャ姉さんは巨大な丸太や流木を大量に担いで運び、私以上に気まぐれで面倒くさがりなリュードラ姉も割と真面目に拾ってくれた。時々、発泡スチロールを細かく割ったり、石を海に投げたりと遊びながらだけど。 ふと、簡単に割れそうな感じの石見つけたので、拾って岩に打ち付けてみた。何度か打ち付けているうちに石に亀裂が入って私の手から砕け落ちた。小さくなった破片を拾って少し力入れて握ると粉々になる。 「みゃ、この石簡単に割れるよ」 「凄い。ミドラちゃん力持ちにゃね。じゃ、ミドラちゃんが割った石で瓦割りしてやるにゃ。にゃあああ!」 リュードラ姉は私が薄く割った石を積み重ねて、乱暴に叩き割る。石は更に細かい破片へと砕かれる。 「わあっ、ホントに腐った木みたいに脆いにゃね。発泡スチロールでもやってみるにゃ」 辺り一面が石と発泡スチロールの破片まみれになる。 「ふぅ、これで袋の中もスッキリにゃ……これなら弱っちいミーラン君でも割れるにゃ。ちょっとこっち来るにゃ!」 「何だよっ?」 リュードラ姉は、近くにいたミーラン君にも割らせる。ミーラン君がいくら気弱な子とはいえ、並の人間よりは力があるので、当然石を砕き割る事ぐらいは出来る。 「ん、……ゴミを拾わないとダメだよ」 ミーラン君はリュードラ姉が散らかした発泡スチロールの破片を拾い集めたあと、近くに落ちていた流木拾って杖代わりにして足場の悪い岩場を歩いて行こうとする。 「気が向いた時にちゃんとやってるにゃ。せっかく海開き前に来たんだから楽しまないと損にゃよ! …あ、待つにゃ! 私の袋発泡スチロールだけで一杯になっちゃったから船まで持って行ってにゃ」 自分より小さい相手に大人げない猫姉さんみゃ…。 「にぃぃ…じゃあ…」 「ミーラン君は素直で可愛い子にゃね。ミドラの袋も持って行ってもらうにゃ?」 「…まだ大丈夫だよ。リュードラ姉は無理に入れすぎだからこっちにも入れるみゃ」 ミーラン君の袋の中身を、私の袋に移して軽くする。これで運びやすくなったかな? 「ミドラちゃんは優しい子にゃね。さてと、手ぶらになったし、これでまた拾えるにゃ」 「…ん、リュードラ姉、見てて」 リュードラ姉の目の前に野球ボール大の石を岸壁に向かって投げ付ける。割れにくい性質の石でもぶつければ砕けるな。 「にゃっ、大きい石が一撃で粉々にゃ! でも、私はもっと大きい石を投げ飛ばせるにゃよ! ……んにゃあああ!」 リュードラ姉はバレーボール大の石を放り投げた。バレーボール大の石は放物線を描いて数メートル離れた岩場に落下した。石は落下の衝撃で幾つかの破片に割れて四方八方に飛び散った。 「こらこら、危ないじゃないか。回りをよく見て、人のいない所に投げな! ボランティアとは言え、ジュースや弁当出して貰えるんだからミーランばっかり運ばせずにあんたも運びなよ」 リュードラ姉は、背後からミランシャ姉さんのげんこつを食らった。ミランシャ姉さんは10キロ以上はありそうな流木数本を軽々と肩に担いで歩いている。 「うにゃ…木なんかほっといても土に帰るんだから無理に持って行く必要ないにゃ…」 リュードラ姉は否応なしに流木の一本を持たされる。確かに回収するならプラスチックのゴミだけで良いような気もするが…。 「ささくれがあって危ないからその辺に放置したままじゃダメなんだよ。…リューの力じゃそんなちっぽけな石しか砕けないの?」 「荒っぽい山猫の血が入ってるミランシャちゃんと違って、私は繊細でか弱い女子だからにゃ♪」 リュードラ姉は頬を染め、小さい子猫みたいに尻尾をクネクネ踊らせる。 「ん、あたしなら、これくらい片手で握り潰せるよ」 可愛い子ぶるリュードラ姉を無視して 長財布程の大きさの石を片手で真っ二つに握り割る。ついでに割った石で水切りをしてみせてくれた。石は海面を10回は跳ねて沈んでいった。私が投げても大抵は海面で跳ね返らず、すぐ沈むだけなのにな…。 「流石みゃ…」 「にゃああ~ミランシャちゃんはゴリラみたいに筋肉ムキムキで怪力だからにゃね。まるでプロレスラーみたいに固い腹筋にゃ」 リュードラ姉はミランシャ姉さんの腹筋をなでる。 「失礼だな。あんたもこれだけの石を粉々にするだけの無駄な体力があるならもう一袋運びな。ミーランはあんたより力も体も小さいけど頑張って運んでるよ!」 「うにゃ~人使いが荒いにゃ。あ~早く弁当食べたいにゃ~喉乾いたにゃ~」
2015-09-16 23:08:15 投稿 / 全6ページ 総閲覧数:793 閲覧ユーザー数:792
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今年も、毎年恒例のボランティア活動に参加する。私達は港から渡し船で無人島の海水浴場に降り立つ。
「にゃっ、私が一番乗りにゃね!」
リュードラ姉が桟橋へ飛び降りる。それに続いて私も。
「こらこら、船が揺れるから静かに下りるんだよ!」
ミランシャ姉さんが船の上から叫ぶ。
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