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真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第七十三回 第五章A:御遣処刑編②・不死身ノ張郃アタシノことネ!

stsさん

みなさんどうもお久しぶりです!初めましてな方はどうも初めまして!

不死身の張郃、クレイジーゾンビっ娘が今再び舞い戻る、、、!

それでは我が拙稿の極み、とくと御覧あれ・・・

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2015-09-13 00:00:12 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:3722   閲覧ユーザー数:3230

涼州金城郡にある涼州連合の拠点から早朝発った北郷たちは、益州に向かう途中、涼州天水郡にある祁山の辺りをちょうど通っていた。

 

今回は最初から不毛な争いは止めようと陳宮と高順の意見が一致し(北郷の意志はスルーされ)北郷の前に陳宮が背中を預ける形で、

 

後ろに高順が背中から抱き付く形で、一頭の馬に三人もの人間が乗るというシュールな絵になっていた。

 

 

 

陳宮「まったく、一刀殿は鼻の下を伸ばしすぎなのです」

 

北郷「え、オレそんな感じだったか?」

 

 

 

陳宮が振り返ってジト目で見上げながらそのようなことを言うものであるから、北郷は驚きの反応を見せた。

 

どうやら自覚症状はないらしい。

 

 

 

高順「天の御遣いとしての威厳のカケラもありませんでしたよ」

 

 

北郷「そういえば、最終的には馬騰さんタメ口になってたな・・・まぁオレ自身全然気にしないからいいしむしろその方がやりやすくて

 

いいんだけどなぁ」

 

 

 

最初に出会った頃の馬騰は、北郷に対して恭しい対応であったが、宴以来打ち解けたせいか、馬騰は北郷に対して、

 

馬超ら身内や韓遂ら仲間たちと同様の態度で接するようになっていたのだが、北郷からしてみれば、

 

やはり恭しく扱われるのは未だに慣れないことであったし、まして馬騰のような年上の人間からとなれば余計に落ち着かなかった。

 

そのため、今回の馬騰のようにフランクに接してくれた方が北郷自身としてもやりやすいのだ。

 

 

 

高順「(ただでさえ益州だけでも手を出し過ぎているというのに、これ以上範囲を広げられたら手に負えません・・・!)」

 

陳宮「(やはり胸なのですか・・・胸の大きさが全てなのですか・・・!すていたすやらおぷしおんとやらは幻だったのですか・・・!)」

 

 

 

しかし、二人が言いたいのはそういう意味での威厳がないということではないらしく、

 

北郷の言葉とは全く関係ないことを、それぞれ思ったことがそのまま無意識に口から洩れていた。

 

 

 

高順「(一刀様のあの性質、もはや死んでも治らないという域に達していますね・・・)」

 

陳宮「(いえ、それを言うなら死んでも執念で生き返ってまた発動って感じの方がしっくりくるのです)」

 

 

 

そして、無意識の吐露がいつの間にか会話へと変貌するまさかの奇跡。

 

 

 

北郷「ん?何か言ったか?」

 

陳宮「何も言っていないのです!無駄口をたたく暇があったら少しは肩でも揉んでほしいものなのです!」

 

 

 

すると、北郷に自身の吐露を危うく聞かれそうになったことに焦ったのか、

 

陳宮は何の脈絡もない、血迷ったとしか思えないような要求を北郷に突き付けた。

 

 

 

北郷「へぁ?肩ぁ?べ、別にかまわないけど・・・」

 

 

 

そして、意味不明な要求に思いきり頭に?を浮かべる北郷であったが、意味不明ではあっても無理難題というわけではなかったため、

 

また、これ以上陳宮を刺激して、馬上という狭いうえに逃げ場のない空間で、

 

ちんきゅーキックやらなんやらで暴れられては困ると判断し、手綱を肘の裏で挟むと、空いた手で陳宮の肩を揉んでやった。

 

 

 

もみもみ・・・

 

 

 

陳宮「ハフゥ~~~♪」

 

 

 

その刹那、陳宮の顔が昇天してしまうのではないかと心配になりそうな、

 

今まで見たこともないような至福の表情と共に甘い吐息を漏らした。

 

 

 

高順「な、ちょっと調子に乗りすぎではないですか!?私も揉んでほ―――くっ・・・なら私は一刀様の肩を揉んで差し上げます!」

 

 

 

そして、そのような陳宮の様子に憤慨した高順は、自分もと言おうとしたが、

 

北郷の背後を陣取っていることからそれは不可能であると気づき、悔恨の表情を浮かべると、

 

何の対抗心なのか、そしてどうしてそのような考えに至ったのか、高順は有無を言わさず北郷の肩を揉み始めた。

 

 

 

もみゅもみゅ・・・

 

 

 

北郷「ほあぁ~~~、絶妙ぅ~~~♪」

 

 

 

その刹那、北郷の顔が作画崩壊を引き起こし、締まりのない間抜けな声を漏らした。

 

そしてそのような北郷の反応と自身が北郷の肩を揉んでいるという事実から満足したのか、高順はホクホクと幸せそうな表情を浮かべた。

 

 

 

衛兵A「・・・・・・・・・なんなんだこの状況は・・・」

 

 

 

益州国境付近で南蛮族が暴れているという割と緊迫した状況の中、一人の青年(領主)と二人の少女(上層部)が、

 

一頭の馬上で肩を揉み合いながら恍惚の表情を浮かべているという非現実的な光景を目の当たりにし、

 

追従している衛兵たち(恐らく20代~30代前半独身男性と推測)は白い目を向けながら脱力するのであった。

 

 

 

 

 

 

【益州、成都城】

 

 

北郷たちが緊張感なくじゃれ合っていた時と同じ頃、成都では国境付近で暴れていた南蛮族を厳顔・魏延・鳳統らが何とか抑えていたが、

 

やがて呂布と張遼の到着で何とか追い返すことに成功し、一行は成都城に戻って一息ついているところであった。

 

 

 

張遼「いやー、ウチ、南蛮族って初めて見てんけど、とても同じ人間とは思えへんかったな」

 

鳳統「まさか、三角の耳や尻尾まで生えている人間がいるなんて、書物の中だけのお話かと思っていました」

 

 

 

今回初めて南蛮族と対峙した張遼と鳳統は、猫耳と尻尾の生えた、

 

木々を縦横無尽に飛び交う野性味あふれた南蛮族の姿を頭に浮かべながら感想を述べていた。

 

 

 

呂布「・・・・・・恋は2回目・・・可愛かった」

 

 

 

一方、呂布は2度目の邂逅だったためか、驚きという意味では張遼や鳳統ほどではなかったが、

 

また別の意味で心穏やかではないらしく、頬を若干朱に染めながら珍しく夢見心地な様子でボーっと明後日の方を見ていた。

 

 

 

魏延「恋、あれは可愛いなんていう類のものじゃないぞ?」

 

 

 

未だ南蛮族に対するショックの余韻に浸っていたためか、

 

本来ツッコむべき張遼がツッコまなかったため、代わりに魏延がツッコミを入れた。

 

 

 

厳顔「今回は南蛮の主力たる猛獣部隊や藤甲兵が来ていなかったが、その数が異常に多かった。結果、わしらだけでは無勢であったため

 

やむを得ず援軍を求めたのだが、実りに関して不足のないはずの夏に暴れだしたのは、数が増えすぎているのが原因かもしれぬな」

 

 

呂布「・・・南蛮族がいっぱい・・・・・・」

 

 

 

厳顔のいたって真面目な分析に、しかし呂布はその言葉に一部分だけに注目し、さらなる妄想の世界へと旅立った。

 

呂布の頭の中では、呂布が数えきれないほどの南蛮族と押しくら饅頭状態になっており、

 

虎を模した頭巾に顔をうずめながら、モフモフとその触れるものすべてを夢の世界へ旅立たせる魅惑の感触を堪能していた。

 

 

 

鳳統「あわわ、恋さん戻ってきてください・・・」

 

 

 

そのような呂布の普段見たこともないような興奮した姿に、鳳統はどうしたものかとオロオロしながら苦し紛れの一言を告げた。

 

 

 

張遼「戻って来いっちゅーたら、一刀全然帰って来―へんやん。何しとるんやろ?」

 

鳳統「確か、宴に呼ばれたから少し遅れるということでしたよね」

 

厳顔「確か馬騰殿は酒豪だったはずだ。お館様のことだ、飲みすぎで寝込んでいらっしゃるのかもしれぬな」

 

 

 

厳顔は、かつて劉焉や馬騰と一緒に飲んだ時のことを思い出しながら、北郷が馬騰に酒樽を突き付けられ酔い潰される光景を想像した。

 

 

 

魏延「まさか、いつものアレが出て霞が言っていた娘たちとイチャイチャしているのではあるまいな!?」

 

呂布「・・・一刀なら、あり得る」

 

鳳統「あわわ・・・」

 

 

 

魏延の一言に、現実世界に戻ってきた呂布が会心の一言を告げ、その一言に鳳統はあわわと口元に手をやりながら不安げな表情を作った。

 

 

 

一同「はぁ・・・」

 

 

 

そして最後に残ったのはこの場全体を包み込む気怠い雰囲気であった。

 

しかしそのような雰囲気の中、紺の袴・背中に “凡将上等” と書かれた白い羽織を羽織った青年がズカズカと部屋の中に入ってきた。

 

張遼の義弟、張虎である。

 

 

 

張虎「おーおったおった。なんやたいしょーに会いたいって言っとる奴らが城に来とるんですけど」

 

張遼「なんやまたかいな・・・けど、アンタも知ってる通り今一刀はおらへん。いったいどこの誰や?」

 

 

 

張虎の場の雰囲気など気にしないぶっきらぼうな報告に、張遼はウンザリしながら来訪者の名を問うた。

 

 

 

張虎「えーっと確か・・・そーやそーや、りゅーびって言ったました」

 

呂布・張遼「「―――ッ!!」」

 

 

 

張遼の質問に頭をかきながら思い出していた張虎は、やがてこの場にいる者にとって思いがけない名前を告げた。

 

その刹那、呂布と張遼だけがこの場で一際驚きの表情を見せながら息を飲んだ。

 

 

 

厳顔「劉備といえば、確か構える拠を失っては大陸中を転々とする仁の者だったか」

 

鳳統「朱里ちゃんと元直ちゃんが仕官したがってた人・・・!」

 

魏延「ん?恋も霞もそんな怖い顔をしてどうしたんだ?」

 

 

 

厳顔や鳳統がそれぞれ思い思いの感想を口にする中、魏延が呂布と張遼の尋常ならざる反応に目を留めた。

 

 

 

呂布「・・・・・・・・劉備」

 

張遼「・・・劉備は曹操と組んでウチらを下邳から追い出した奴や・・・アイツ、今更何の用や・・・!?」

 

 

 

魏延の問いかけに、張遼は声を若干震えさせ、込み上げてくる怒気を必死で押し込めながら答えた。

 

 

 

張虎「どないしましょ。なんや因縁あるみたいやし、そもそもたいしょーおらんし、とりあえず回れ右してもらいましょか?」

 

厳顔「ふむ、どう思う雛里?」

 

 

 

張虎の言葉に、魏延は呂布と張遼の顔を交互に見合いながらしばし考え込むと、この中で一番頭の切れるであろう鳳統に見解を求めた。

 

 

 

鳳統「そうですね・・・今の話から考えますと、普通であれば劉備さんが恨みを買われている恋さんの所にやって来るはずがありません。

 

にもかかわらずやって来たということは、それ相応の、それこそ、過去の諍いなど吹き飛んでしまうようなことか、或は、過去のことを

 

承知の上での、捨て身の、または恥を忍んでまでの何かがあるのだと思われます」

 

 

 

鳳統は頤に小さな指をチョンと当てながら少し考えると、やがて劉備の行動が簡単に片づけられるようなものではなく、

 

何かしらの深い事情あってのことではないかと推測した。

 

 

 

厳顔「わしも雛里と同じようなことを考えておった。劉備の使者ならまだしも、先方は少なくとも劉備と名乗っておるのだ。国らしい国

 

を持っていないにしても、劉備は一応一軍を率いる者。それなりの事情がなければノコノコと命を狙われるような場所にはやって来ない

 

だろう。どうだろうか、お館は不在だが、用件ぐらい聞いてもいいのではないか?もちろん、恋や霞の気持ちもわからんでもないから、

 

お主らが良ければの話だが」

 

 

 

鳳統の意見を聞き、厳顔は腕を組みながら自分も同じ考えだと告げ、話だけでも聞いてみればと提案する中で、

 

劉備に対して物思うところある呂布と張遼の気持ちも汲み取り、二人の意見を尊重すると付け加えた。

 

あくまで北郷不在の中、決定権はこの場にいる幹部全員にあるのである。

 

 

 

呂布「・・・・・・恋は構わない」

 

張遼「恋・・・」

 

 

 

厳顔の言葉に、真っ先に答えたのは呂布であった。

 

その迷いない即答に、張遼はむしろ不安を覚え、恐る恐る呂布の方を見やった。

 

 

 

呂布「・・・・・・一刀なら、そうする」

 

 

 

しかし、呂布が付け加えた言葉もまた、迷いのない芯の通った言葉であった。

 

呂布の磨き上げたルビーの如く美しく透き通った紅の瞳には、揺るぎない強い意志の炎が灯っていた。

 

 

 

張遼「・・・せやな。よっしゃ、話くらい聞いたろやないか!」

 

 

 

そのような呂布の様子に触発されたのか、劉備に対して一番忌避していた張遼もまた、

 

ぎゅっと握りこぶしを作って気合を入れ、話を聞くことを了承した。

 

 

 

 

 

 

【涼州、天水、祁山】

 

 

北郷「ふぅ・・・もう益州に入ったかな」

 

陳宮「今ここはちょうど祁山ですから、山を越えれば益州に入るのです」

 

高順「ですが、もう辺りも暗くなってきましたし、これ以上進むのは危険でしょう。そろそろ野営の支度をした方がいいかもしれません」

 

北郷「だな。夜の山道は何が起こるかわからないし、野宿するか」

 

 

 

北郷一行は三人仲良く(世間一般ではイチャつきながらともいう)成都目指して順調に馬を進めていたが、

 

夕刻になりこれから益州に入るとさらに山道が続き危険が伴うため、これ以上は進まずここで一晩過ごすことに決めた。

 

しかし、不測の事態とは文字通り予想だにしない事態であり、それは何の前触れもなく突然起こった。

 

 

 

??「きゃははは!」

 

北郷・陳宮・高順「「「!!!???」」」

 

 

 

その甲高い笑い声が上空で木霊したのが耳に届いたのと同時に、北郷たちは声のする方向に目を見やり警戒したが、

 

しかし、視界に映るのは薄暗い曇天と風に揺れる木々ばかり。

 

 

 

北郷「お、おい何だ今の気味悪い笑い声は?」

 

陳宮「さ、さぁ・・・鳥か何かでしょうか・・・」

 

高順「(今のは・・・いや、でもそんなことはありえません・・・だって彼女は私がこの手で・・・)」

 

 

 

気味の悪い笑い声に、しかしその声の主が見当たらないため不安を覚える北郷と陳宮であったが、

 

一方高順は何か思い当たる節があるようで、別の意味で不安げな表情を作っていた。

 

 

 

衛兵A「お、おおおおやおや・・・お館・・・様・・・」

 

 

 

そして数瞬の後、追従する兵士の一人が戦慄きながら北郷を呼んだことで事態が大きく動き出した。

 

 

 

北郷「ど、どうし――――――ッ?」

 

 

 

兵士の方を振り向き、兵士が心ここにあらずの様子で指さす方を見たその刹那、北郷は言葉を失った。

 

 

 

??「きゃははは、空なんか見テ雨でも降るノカ?よそ見する余裕ネ!」

 

 

 

北郷たちの目に映ったのは、北郷に追従する騎馬のうちの一頭、そこに本来跨っているはずの兵士が、

 

体中を滅茶苦茶に切り刻まれ、変わり果てた姿で馬上に仰向けで倒れている姿であった。

 

そして、その兵士の上に立っている一人の怪しげな片言で話す少女。

 

腰のあたりまで無造作に伸びる痛み切った真っ赤な髪に黒の大きなリボンを結わいつけ、

 

黒のゴスロリ衣装に身を包んだその女性は、両手に装着した血の滴る鉤爪を舌で舐めとりながら語り掛けた。

 

その淡いブラウンの、底なし沼の如く粘っこいドロドロとした狂気の瞳からの視線を受け、北郷たちの呼吸は一瞬止まった。

 

 

 

高順「――――――ッか、一刀様お逃―――ッ!!」

北郷「――――――ッみんな逃げ―――ッ!!」

 

 

 

そして、高順と北郷がほぼ同時に我に返り、瞬時に目の前の少女と対峙することを否と判断し、

 

危険を覚悟で夜の山中へ逃避行動に出るよう告げようとしたのだが、

 

 

 

??「きゃははは、どこニ行くネ!」

 

 

 

その一瞬の間が北郷たちの行動に一瞬の遅れを生じさせ、

 

それを見逃さなかった狂気のゴスロリ少女は、兵士の体の上から瞬時に北郷たちの騎乗する馬に跳び移り、

 

陳宮と高順を目にもとまらぬ速さでそれぞれ反対方向に蹴り飛ばした。

 

 

 

陳宮「ガ―――ッ!?」

高順「ぐっ!?」

 

 

 

メシメシという鈍い音と共に蹴飛ばされた陳宮と高順は、数メートル先の木に激突してようやく地面に落ちた。

 

 

 

北郷「ねね!!なな!!」

 

 

 

突然の襲撃によって前後にいた陳宮と高順が一瞬で吹き飛ばされたのを目の当たりにし、北郷は二人の名前を思わず叫んでいた。

 

 

 

??「きゃははは、アンタ五月蠅いネ!大人しくしとくネ!」

 

 

 

そして、陳宮と高順を蹴り飛ばし、見事北郷の背後に降り立った鉤爪ゴスロリ少女は、

 

その濁った瞳をぐるぐると狂気の色でにじませると、手にした鉤爪の峰部分で北郷の首の裏を強打した。

 

 

 

北郷「ガッ!?・・・く・・・そ・・・・・・・・・」

 

 

 

狂気のゴスロリ少女の強打を受けた北郷の意識は見る見るうちに飛ばされ、そしてそのまま気を失い落馬してしまった。

 

 

 

衛兵B「く・・・そぉおおおおおおおお!!!みんな、お館様をお守りしろぉおおおおおお!!!」

 

衛兵「応っ!!!!!」

 

 

 

あまりにも一瞬の出来事のせいでまったく身動きの取れなかった親衛隊たちであったが、

 

北郷が倒されたところでようやく思考停止状態から解放され、これ以上襲撃者の好きにさせまいと勇を振るって次々に襲い掛かった。

 

 

 

??「きゃははは、アンタらアタシ楽しませるネ!?」

 

 

 

その瞬間、片言ゴスロリ少女の狂気に満ちたドロドロの瞳が、一層深く闇色に煌めいた。

 

 

 

 

 

 

辺りは完全に日も落ちた頃合い、ここ祁山は今地獄と化していた。

 

 

 

??「きゃははは、弱い弱い弱い弱いっ!!全然アタシノ相手ならないネ!」

 

 

 

今祁山の大地に立っているのは狂気の雄たけびを上げているゴスロリ少女ただ一人。

 

少数とはいえ十数人いた北郷の親衛隊は一人残らず鉤爪で滅茶苦茶に切り刻まれ、自らの血の海に沈んでいた。

 

 

 

??「きゃははは、やっぱりアンタ面白いネ!」

 

 

 

そして、血の滴る鉤爪をぶらぶらさせながら、カクカクとしたぎこちない動きで首を動かしたゴスロリ少女は、

 

口元を弧状に歪ませながらそのようなことを告げた。

 

視線の先にいるのは、お腹のあたりを抱えながらゆっくりと立ち上がる、

 

黒を基調にした、袖の異常に長い着物に身を包むポニーテイルの金髪碧眼少女。

 

そのきれいなブロンドの髪は、木に激突した際に負傷したようで、出血して赤黒く染まっていた。

 

 

 

高順「なぜ・・・あなたが・・・生きているのですか・・・先日の・・・戦いで・・・確かに・・・射殺したはず・・・」

 

 

 

ゴスロリ少女の耳をふさぎたくなるような声で意識を取り戻した高順は、先ほど蹴られたお腹を抑えながら、息も絶え絶えに尋ねた。

 

そう、潼関で高順が散々に苦戦した後、奥の手である新兵器、多発式連弩「幻獣」で射殺したはずの相手が目の前に立っているのである。

 

 

 

張郃「きゃははは、そういえバ前ハ名乗らなかたネ!アタシは張儁乂、不死身ノ張郃、アタシノことネ!」

 

 

 

張郃は口元を裂けんばかりに弧状に歪ませると、不協和音の笑い声を上げながら奇妙な片言で高らかに名乗り出た。

 

 

 

高順「不死身の・・・張郃・・・」

 

 

 

高順は目の前にいる危険の塊の名前を反芻すると、こめかみ辺りから赤黒く染まった汗を一筋流した。

 

 

 

高順(私としたことが・・・たった一人にここまで・・・最悪です・・・隊は壊滅・・・一刀様は生きておいでなのか・・・ねねは生きて

 

いるようですが、無事ではなさそうですね・・・)

 

 

 

辺り一面は北郷親衛隊の躯。

 

張郃のそばには北郷も倒れているようだが、どうやら出血している様子は見られず、

 

気を失っているものと思われるが、はっきりとした安否はわからない。

 

遠くの木の下では陳宮が倒れていたが、こちらは高順同様頭に出血は見られるものの、

 

お腹をプルプルと抑えながらうずくまっており、意識はあるようであった。

 

しかし、その様子から骨か或は内臓がやられているようであった。

 

 

 

高順「張郃・・・それ以上好きにはさせません・・・!」

 

 

 

高順は腹のあたりの痛みを堪えながら、無駄に長い両の袖をたくしあげ、両腕に装着したものをいじって弩の形に成した。

 

矢の装填部分から次填の矢が垂れさがっているそれは多発式連弩「幻獣」。

 

一度に十本の矢を放つことができ、さらに連射もできるという、潼関の戦いで張郃を討ち取ったはずの高順の新兵器である。

 

 

 

張郃「きゃははは、そんな遅い攻撃二度も喰らわないネ!」

 

 

 

しかし、高順が幻獣を張郃に向けるよりも早く、張郃は跳躍して高順との距離を一気に詰めると、高順の両腕を弾いた。

 

その瞬間、幻獣が発動し、左右あらぬ方向に矢が射出される。

 

 

 

張郃「きゃははは、手負いノアンタトやってモ面白くないネ!」

 

高順「しまっ――――――!!」

 

 

 

そして、無防備にノーガード状態の高順を、張郃は鉤爪で乱雑に斬りつけた。

 

 

 

張郃「きゃははは、きゃははは!」

 

高順「きゃぁああああああああ」

 

張郃のヒステリヤスな笑い声と共に、攻撃をまともに食らった高順の悲鳴が祁山に響き渡り、鮮血が周囲に飛び散った。

 

 

 

 

張郃「きゃははは、アンタ面白いから殺さないネ!」

 

 

 

しかし、張郃はそのまま高順の命を刈り取るということはせず、半殺しの状態で攻撃をやめてしまった。

 

 

 

張郃「きゃははは、コレ貰ってくネ!また今度遊ぶネ!」

 

 

 

そして、地面に横たわっていた、自身の体よりも大きな北郷をひょいと無造作に持ち上げるとそのまま肩に担ぎ、

 

狂気を滲ませた言葉を残すとその場から跳ぶように去ってしまった。

 

 

 

高順「く・・・そ・・・・・・・」

 

 

 

結局、張郃に隊を崩壊させられたうえで北郷をさらわれてしまい、高順は瀕死の状態で何もすることができず、

 

無念の言葉をつぶやきながら気を失ってしまった。

 

 

 

【第七十三回 第五章A:御遣処刑編②・不死身ノ張郃アタシノことネ! 終】

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

第七十三回終了しましたがいかがだったでしょうか。

 

さて、今回はクレイジーゾンビ・チョコによって一刀君が誘拐されてしまったわけですが、

 

(本拠がピンチの時にねねやななとイチャイチャしていた報いと推測)

 

郭嘉が提案した策とどのような関わりがあるのでしょうか。

 

また、この不死身解釈、つまり原作演義ネタをもとに生まれたわけなのですが、この世界ではどういう扱いにしたものか・・・

 

そして、無事南蛮族を追い払った恋たちですが、ついに桃香たちが接触の予感・・・不穏な予感しかしません

 

 

それでは、また次回お会いしましょう!

 

 

 

たくさんの南蛮族に囲まれて懐かれたい・・・そしてモフモフしたい・・・

 


 
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