No.800033

Fate / Grand Order ユーザーコラボ篇

Blazさん

という事で今回は色々と親しみ(愉悦)のあるディアと自分が最近やっているアプリゲーム「Fate/Grand Order」での互いの陣営のコラボの小説となります。

ゲームわかんねーよって人も一応fateを知っていれば大丈夫…なハズ

2015-09-02 22:09:32 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:4428   閲覧ユーザー数:4312

人類継続保障機関”カルデア”

 

そこでは人類の存続を賭け、事象の修正を行う者達が居た。

 

突如として世界は2016年で滅びる。そう告げられた未来を変える為。

過去に跳び、特異点を探し出し修正する時間旅行。

 

 

聖杯探索

 

彼らはこれを”グランドオーダー”と呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

これは、そんな世界の幕間で起こった小さな話―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え。他のマスターが居た?」

 

そう言って意外そうな目で驚いたのは白い制服にやや白さの混じった黒髪の青年Blaz。

ここカルデアにただ一人だけ居る、グランドオーダーを行うマスターだ。

彼がマスターであるという証拠は彼の左の手の平にある刻印、”令呪”と呼ばれるものがそれを物語っている。

これはかつて行われた儀式”聖杯戦争”でもマスターの証として参加者に絶対に配布された物なのだ。

しかし今回、聖杯戦争は各時代で行われているため、彼の場合は聖杯戦争に参加しなくとも別理由で自動的に令呪が宿っていたのだ。

 

そして。彼がマスターたるもう一つの証拠。

それはマスターである魔術師が使役する事ができる最上級クラスの使い魔。

魔術師はそれをサーヴァントと呼ぶ。

 

 

「はい。実はなんです」

 

目を見開いた顔で見つめる彼の言葉に返事をするのは、やや紫のかかった白髪になにやらアーマーのようなものを着ける少女。

彼女が彼がマスターであるという一つの証拠、サーヴァントだ。

七つのクラスに分けられるサーヴァントだが彼女の場合は例外的な立場であるらしく、仲間内からはクラスは「シールダー」と呼ばれている。

その証拠に彼女ことマシュ・キリエライトの武器は唯一つ、盾だけなのだ。

 

「なんでもあの時の爆発で偶然生き残ってたマスターさんらしくって。それも二人」

 

「二人?!」

 

「はい。私も最初聞いて驚きました。まさかあの時(・・・)二人もマスターが生存していたなんて…」

 

 

そう。あの時。

二人の脳裏には彼らがこうした状況に置かれた。その全ての切っ掛けが鮮明に思い出されていた。

全ての切っ掛け。彼女が”デミ・サーヴァント”となったあの日の事を。

 

 

「―――二人のマスター…かぁ…」

 

「で。今日はそのマスターさんたちと顔合わせしてくれ、とドクターが」

 

「ドクターが?」

 

「ええ。何でも今後の打ち合わせと私たちと向こうの陣営の顔合わせをするためだとかで」

 

「………。」

 

顔合わせと打ち合わせ。恐らく戦力強化に有頂天になっている彼が考え付いたことだろう。

別段、顔合わせをするぐらい問題の無い事だが、それで任務が捗るというのは現状の彼にはどうも考えにくい事だ。

 

「…先輩?」

 

「………。」

 

「――心配なんですか?彼らが好意的であるのかというのが…」

 

「…まぁ、な」

 

魔術師というのは、そう簡単に友好を結べる者達ではない。

血統を第一とし、それによる本望へと辿り着くために魔術を用いる者達のことであり、極端に言えば血統と魔術などに関してはかなり敏感な者なのだ。

それ故に自身の血統を盾に上からものを言う輩も魔術師には少なからず存在する。

故に、自身の家柄を前に出し自身の能力を大袈裟に言う者も居る。

本当に好意的な魔術師、魔術使いはほんの一欠けらにも満たないだろう。

その例外。その一例が一応ながら彼でもあるのだ。

 

「ですが絶対に魔術師の家系からというのもあり得ないと思います。今回一般の人も居るわけですし、もしかしたらその一般人かもしれませんよ」

 

「…だといいんだけどね」

 

 

なら。その魔術師に会いに行くか。

寝起きの身体をゆっくりと起こし、Blazは眠たげな顔と頭のまま背筋を伸ばして部屋を出る。先ほどまで寝ていたのでまだ頭の大部分は起きていないがそれでも動く分には十分だ。

 

「皆は?」

 

「もう集まってますよ」

 

マシュの答えによし、と小さく呟いたBlaz。

自分の陣営のサーヴァントたちは既に集まっている。なら後は事情を話すか、知っているなら向かうだけだ。

欠伸をしながら考え、自動ドアを開けるとそこには既に一人のサーヴァントが彼の起床を待っていたようで彼を顔を見ると笑顔で挨拶した。

 

 

「おはよう御座います、主殿」

 

「ああ。おはようライダー」

 

和服の袴を着た身の丈小さな少女の若武者。

彼の陣営の一人であるライダー。

真名は牛若丸。後に源義経と呼ばれた平安時代の武将だ。

今はかつての幼名のまま現界し英霊となった彼女は彼によって始めて召喚されたサーヴァントであり、彼がマシュと同じく信頼を置くサーヴァントだ。

尚、本人の戦闘時の服はかなり露出度が高いため、普段はこうした袴を着用するよう彼に義務付けられていた。

 

「よく眠られましたか?」

 

「ああ。久しぶりに八時間ほど…」

 

「…ところでライダー。他の皆さんは?」

 

「……ええっと…」

 

突然ライダーの様子は一変し頬を掻き気まずそうな表情で目を泳がせ始めた表情に、二人は一度顔を見合わせると脳裏に「まさか…」と二人が思う最悪のケースを鮮明に思い浮かべる。

そして、Blazが恐る恐るライダーに尋ねようとした刹那。

 

 

「い、いえ!違うんですよ!!別にもう既にひと悶着あったとかではないんです!!マスター!!」

 

「………じゃあ……」

 

「……キャスター殿が主殿がまだ起きないから、と言って先に他の皆さんを連れて…」

 

「……キャスターさん……」

 

彼の事だからあり得ることではあるが。そう思っていた二人は最悪の事態は免れたという安心感と同時にこれからそれに近しい事が起こるのではないかという不安さを残しひとまずの吐息を吐いたのだった。

 

「ライダー。それ何時?」

 

「今し方。なので今行けば間に合うかと…」

 

「よし。直ぐに行こう。キャスターの事だ。何が発端でトラブルになるか…」

 

「それは寧ろバーサー…いえ、タマモのほうが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地球環境をリアルタイムで。過去、現在、未来を自在に。

そしてそれを観測する為のシステム。

 

それがカルデアが開発した二つのシステム。

 

“地球環境モデル・カルデアス”

 

“近未来観測レンズ・シバ”

 

 

その擬似地球儀と観測システムの前には、一人の男性と数名のサーヴァントたちが先んじて集まっていた。

男性の名はロマニ・アーキマン。元はカルデアの医師だったがとある事情から本人も仕方なくカルデアの指揮を執ることとなってしまった不運を自称する人物だ。

彼こそマシュが言っていたドクターその人であり、彼は別命「Dr.ロマン」と呼ばれている。

 

「…で。マスターよりも先に来たって…こと?」

 

「ああ。ま、坊主はそろそろ起きてると思うし。ちょっとすりゃ来るだろ」

 

「まぁ…彼にはマシュもついてるし…けどいいの?マスターの事をほったらかしにして」

 

「大丈夫だって。何かありゃ直ぐに気づくさ」

 

「……気楽だなぁ」

 

頭を抱えるロマニに対し、からからと笑いながら答えた男のサーヴァント。

水色のローブを纏い、一本の杖を持つ彼はその見た目で直ぐに彼のサーヴァントとしてのクラスが魔術師(キャスター)であるというのは明らかだ。

かつてとある世界でBlazたちと共に戦いその後偶然にも再度召喚されたサーヴァント。それが彼。ケルトの大英雄クー・フーリンその人だ。

 

「けど意外だね。キャスターは兎も角としてアサシン、君も居るなんて」

 

「ふっ…某も辛抱できなかったのでな。主には悪いが先んじてこのキャスターと来た次第よ」

 

そのキャスターの後ろには紫の袴と長髪が特徴的な侍が一人。

彼もサーヴァントの一人だが、その出自が特殊なのか幾つか意外とも言える点がある。

クラスが見た目は騎士であるセイバーかと思いきや、アサシンであると言う事。

本人曰く、数合わせの為に召喚されたためアサシンとしての能力は「気配遮断」だけという事。

そして。彼の真名がその世界では実在しない(・・・・・)人物、佐々木小次郎であるという事だ。

 

「そんなに気になるの?」

 

「おうさね。一人の剣士として…一度見てみたいと思うのは当然の事よ」

 

「ま。俺は単に興味があるってだけだがよ」

 

「……二人共…好戦的だね……」

 

「…なんだ。俺たちが悶着おこさねーか心配か?」

 

「ま…まぁ……」

 

ロマンの心配ごとと言うのは味方同士で喧嘩が起こらないかという事についてであるが、それ以上に味方同士で共同歩調が取れるかというのが彼は何より心配していた。

彼の知る限り両陣営のマスターは友好的であるので問題はないと思えるが、実の所Blazの陣営はかなり好戦的なメンツが多く、そうでないサーヴァントたちにも感化されてきていたのだ。

 

(Blaz君の陣営はある種バーサーカーみたいな病気があるからなぁ…見敵必殺。話の中で悶着起こらないといいんだけど…)

 

 

 

「……オイ、アサシン。そういや。あの猫何処行った」

 

「ん?猫なら確か人参をたらふく食べていたぞ。当分来まいて」

 

「アイツまだ食べてたのかよ。ったく…自由だよなぁアイツ……」

 

「自由なのは我等も同じよ。主の下を離れ、今こうしている事も…ある種の自由勝ってな行動よ」

 

「……ま。そうだわな。んじゃあ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝手に応戦しても叱られはしねーよな?」

 

「―――応よ」

 

「えっ―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那。

 

 

キャスターは狩人の目となり、アサシンは背中に刺していた得物である長刀を抜刀。

先制に走ったのは右手にルーンの魔術を唱えたキャスターからだった。

 

 

「アンサスッ……!!」

 

 

詠唱と同時に相手が踏み込む。

タイミングはほぼ同時。だが距離と行動から考えるに先制攻撃は明らかにキャスターが有している。

紅蓮の炎が瞬時に集束されると燃え上がった炎は音速の域で弾け飛ばされた。

 

 

「速いッ……!」

 

「フフフ…!」

 

向かってくる炎に一瞬戸惑いはしたが、問題は無い。

その炎を断ち切るだけだ。

 

「おやり…!」

 

「■■■■■■■――――!!!!」

 

 

「ッ…!」

 

「来るか…!」

 

 

そして。先制として放たれた炎は暗闇の中に消えようとした瞬間。何かの一撃によって潰されてしまう。

 

「………ッ!!」

 

斬撃。いや切り落としか?

考える余地は無い。直ぐに次の攻撃に移行しなければ。

吹き荒れた風圧に瞬きもせず、二人は続く第二撃に備えキャスターは次の魔術を、アサシンは足を僅かに滑らせ、応戦した。

 

(見えた……!)

 

 

勢いよく地面を蹴るアサシン。

足を蹴った際にはまだ相手は間合いには入ってなかったが、彼が足を蹴って間合いを詰めた瞬間。既に相手は攻撃する素振りを見せていた。

しかも二人同時、正面からだ。

二人であるなら挟撃も可能なのではと思いたいが、相手が小手調べと思っているのかあえてそう選んだのだろう。

しかしそれでも手を抜く理由にはならない。

 

アサシン。佐々木小次郎は例え暗殺者のサーヴァントとして現界しても剣士としての心構えは失っていない。始めから手を抜くというのを決めていなければ、それ以外は全力で応するのみ。

 

彼の神速の剣はまるで一風の如く、振りかざされた攻撃を制した。

 

 

「ッ!?」

 

「遅いな、女よ」

 

一撃。それだけで十分だ。

彼は相手を倒すのではなく相手を制しその僅かな隙を作り出すというのが目的だった。

それは相手が一人ではなく二人であるから一人を相手にしすぎれば必ずもう一人に攻撃を喰らってしまい自分のペースが崩される。

なので複数人を相手取る時、長刀のリーチと扱いやすさを用い隙を見て一網打尽が妥当な方法だ。

 

アサシンは女との競り合いを一瞬で終えると、若干の余裕があると考えていたもう一人に向かい長刀を振るった。

 

「ッ…!!」

 

 

が。長刀での一撃を読まれたのか。彼の一撃は剣と刀の鍔迫り合いで空しく響くだけだった。

 

「何っ!?」

 

「ふっ…!」

 

小さく口元を釣り上げたもう一人に戸惑いを感じたアサシンは力では押されると判断し受け流すように刀を振るうと、その流れに乗るかのように身体を滑らせ間合いを取る。

 

「ッ……」

 

その間僅か数秒の出来事だが、両者は息を乱さず整った呼吸のまま再び間合いを取るとそれぞれの得物を構えなおし互いに競り合った相手の顔を改めて拝んだのだった。

 

 

「……おうおうおう……まさか喧嘩売った相手がなぁ…」

 

「女子供とは…やれやれ。剣士としてはちとやりにくいものよ…」

 

 

赤髪の少年と白髪のボンテージ姿の女性。

対峙したのは対になるような二人組みのサーヴァントたちだ。

互いに、それぞれ得物である剣と杖を持ち、キャスターたちと同じく余裕げな表情で二人を見る。

 

 

「…うん。伊達に英霊はしてないようだね。おかげで殺されかけたよ」

 

アサシンの剣戟を退けた少年は自身の剣を見つめ、そこから芯まで伝わった衝撃に心震わせた様子で前へと向き直す。

一見して無邪気であり純粋に見えるが彼にも闘気というのが溢れており、それは紛れも無くキャスターたち二人に向けられた物だった。

 

「ええ。けど…あんな英霊見たことないわね。東洋の英霊かしら?」

 

 

「全く…喧嘩吹っかけたのが女子供でよかったぜ。男ならマスターに令呪喰らってたところだ」

 

「接待次第でもそれはあり得る話だぞキャスター。それに…」

 

「ああ。――――まだ、三人目を拝んでないからなぁ」

 

 

「ん…バレてた?」

 

「当然だろ。坊主のような奴でも馬鹿みたいに突風を起こせる一撃なんざ起こせるわけが無い。セイバーであるなら話は別だけどよ」

 

「あら察し良いわね貴方。もしかして大体の予想、ついたのかしら?」

 

「おうよ。事、覚えに関しちゃ良い方だからな………そうだろ?血の伯爵夫人」

 

「………。」

 

眉を寄せる女性サーヴァント。しかし不愉快というよりも逆にそれを良しとするが、訂正を求める、そういった顔で小さく微笑んだ。

キャスターはその反応を見てドンピシャだと確信。彼女が以前会った事(・・・・)のある人物と似ているという考えはそれを糧に彼を答えへと導いた。

彼女が血の伯爵夫人、エリザベート=バートリーその人であると言う事に。

 

 

「ま。あのボンテージのねぇちゃんが分かったとしても…問題はあの坊主だ」

 

「我等が別の場で戦を行っている間に、主が剣を交えた相手…だったか」

 

「おう。で。問題はもう一つ…」

 

 

目を向けた方向。そこには彼のいうもう一つの問題が立っていた。

夫人と少年の後ろに居た、キャスターの攻撃を潰した三人目。

セイバーとも、それ以上とも取れる筋力を持つサーヴァント。

薄々とではあるがそれが何なのか分かっていた。が。同時にそうであって欲しくないという思いもあった。

そんな事があって欲しくない。それだけは無理かもしれない。

 

 

そんな彼らの願いを破却するかのごとく

 

「……どうやってついて来たんだよあいつ…」

 

「さぁな。ただ本能にのみ従い…ここに来たのだろう」

 

 

狂戦士(バーサーカー)は姿を見せる。

 

 

「―――――。」

 

 

「バーサーカー…しかもありゃアタリ(・・・)だ」

 

「狂戦士としての素養を持つ英雄…いや。アレは明の国の武士か」

 

「正解だよ。東洋の剣士。彼は日出つる国の将。名前は確か…奉先…だったかな?」

 

「……三国の武将。呂布」

 

 

戦力比は三対二。しかも一人はバーサーカーの呂布。

夫人と少年だけでも不安要素はあるというのにと思うが、マイナスに考えるほど彼らも後ろ向きではない。

寧ろそれを良しとし好戦的になるのが彼らだ。

 

「相手にとっては不足はないな」

 

「へっ…先に言っとくが俺ぁキャスターだ。あんまアテにすんなよ」

 

「無論。だが戦力にならんというわけでもあるまい?」

 

「………。」

 

 

 

「話。纏まった?」

 

「元から纏まってるっつーの」

 

「元より退くことなどない。この身で果たす本望もあるのでな」

 

「へぇ…数と戦力に差があるのに…退く気はない、と?」

 

「言ってるだろ。夫人さんよ。俺たちは退く気はないぜ」

 

それを分かっていてか、不敵な笑みと共に目を細め満足げに、さも嫌いではないという高揚感に刺激された夫人は不気味に自分の手を、指をなぞるように舌でなめ回す。

まるで獲物を見つけた獣のようにだ。

 

「うっふふふ…いいわよ貴方…男の血には興味は無いけど…貴方の死に様は見てみたいものね…」

 

「……生憎と、血に塗れるっていうのは好きじゃねえ。それに…俺が好きな女は気の強い…無理難題出したり、一緒に乗り越えたりするじゃじゃ馬姫だ」

 

 

 

「…ま。拷問好きの人なんてそうそう居ないよね」

 

「そんなのは天下広しと言えど数える程度よ。童よ」

 

「童なんて酷いな。こう見えて…僕は王子なんだけど」

 

「ほう。これはすまなんだ。まさか一国の皇子と相対するとはな…この世界も中々に」

 

「そうさ。君のような剣士にも、会える筈が無いという英雄とも相対する事ができる…」

 

 

この高揚感が堪らないんだ。

無邪気な子供のように笑みを見せる少年にアサシンも釣られて笑みを見せて笑う。

互いに。英雄とその名を歴史に刻んだ者と、こうして剣を拳を得物を交える事ができる。

これに興奮せずしてなにが悪い。

これを好まずして何が兵か。

高揚感に釣られ、満たされ、余計なことなどは無へと還る。

ただ一心に。全ての技量、知略、筋力あらゆる武に通じる物を使い交える戦い。

 

 

 

「蒼き陣営、暗殺者(アサシン)のサーヴァント。佐々木小次郎」

 

 

「……ッ!…………終焉の陣営、ライダーのサーヴァント。アレキサンダー」

 

 

「……フッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「いざ。尋常に………!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やらせねーよ!!!」

 

 

「ん!?」

 

「な…」

 

 

「あ。」

 

「あら」

 

 

「――?」

 

 

 

 

「令呪を持って命令!!キャスター、アサシン。今すぐ戦闘をやめんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

その刹那。突如として乱入したBlazは問答無用に右手に刻まれた令呪を使用。

紅く光り輝いた令呪の一画はその光が発せられると、刻印が光となったように手に刻まれた一部が消えていった。

そして。今、正に戦いあおうとしていたサーヴァントの内、キャスターとアサシンは彼の強制的な命令に従わされ動きを止められてしまったのだった。

 

「ッ……!」

 

「あーあ」

 

 

「アレは…」

 

「貴方達のマスター…のようね」

 

 

 

 

「今し方戦いのゴングが鳴ろうとしていましたよ先輩!!」

 

「いや、その前から鳴ってたんだけど!?僕死にそうだったんですけどぉ!?」

 

「んな事どうでもいい!!」

 

「酷ッ!?」

 

 

令呪を使用したBlazは酷い息切れをしながら膝に手を置き、呼吸を整える。

全速力で走ったのが幸運だったか、丁度アサシンたちが一戦始めようとした瞬間であったので彼も自身の体力を考えずに走り、大声を張り上げてしまった。

そして、その彼を気遣おうとマシュとライダーの二人。更にその後ろには彼のサーヴァントらしき弓の英霊、アーチャーの男と銀色の鎧を纏ったセイバーが追いつき、肩で息をしていた。

 

「せ、先輩。大丈夫です。令呪で二人とも止まりましたので…」

 

「深呼吸。深呼吸ですよ、主殿」

 

「あ…ありがとう二人共………」

 

 

 

「おー坊主。起きたか」

 

「起きたか…じゃねーよ!!何してんのキャスター!!!」

 

「喧嘩」

 

「喧嘩にルーン使うのか!?」

 

「んじゃ仕合いだ」

 

「言い方替えても駄目ッ!!!」

 

 

 

その後。数分ほど彼の怒りは治まらず、それをマシュとライダーたちが宥める光景がそこにはあったとか……

 

 

 

 

 

 

 

 

その後。

 

「……で。何故お二人は先にココに?」

 

「まぁ他のマスターが居るって聞いたんでな。先遣かねて様子見に…」

 

「………。」

 

「そう顔を膨らませるなって。可愛い顔が台無しだぜ?」

 

 

双方に割って入ったBlazによってキャスターたち二人は強制的に戦闘を中止させられ、すっかりと戦意が治まった二人は、怒りで湯気が昇っていそうな自分たちのマスターを宥めるため言い訳をしていたが、その代わりとばかりに現在マシュに叱られている最中だった。

特に付き合いの長いサーヴァントであるキャスターにはマシュの方もかなり突っかかっていた。

 

「大体、キャスターさんだって先輩が起きるのが遅いのは知っているはずです!だからって起きるまで待つのが面倒だからってここまでの事を……」

 

「あーはいはい。俺が悪かったって」

 

「………本当に?」

 

「ああ。本当さ。次からは自重するさ」

 

「そう言って何度目でしたか。キャスター殿」

 

しかし、キャスターの謝罪が絶対に守られないものだと知っていたライダーは毒を吐く様にキャスターを見ず、言葉を投げつける。

地味にいたい所を突かれたキャスターは苦い顔をして疑いの目を向けるライダーに目で言い返す。

 

―――余計なことを言うんじゃねぇ。と

 

自分の立場が危うくなると思ったキャスターはまたどうにかして宥めねばと思い次の言葉を考えるが、それよりも先にライダーの言葉に一人のサーヴァントが彼にとって余計極まりない事を付け足しする。

 

「確か三度目だな。このヤクザ魔術師がアイツからの叱りを受けたのは」

 

「………なんでテメーが平然とココに居やがる」

 

「悪いか?俺も一応ながらアイツ(Blaz)の陣営のサーヴァントだぞ?」

 

「………。」

 

青い髪をした少年のサーヴァント。しかし見た目に似合わず声はかなり低く成人男性とさほど変わりはないほど。

そのはずであり、彼はある事情から精神年齢と見た目が相反するものとなってしまった。

クラスはクーフーリンと同じくキャスター。

真名は童話作家、アンデルセンだ。

 

「それに。俺はただ事実を言っただけだ。お前にそう睨まれる筋合いも理由もないさ」

 

「人の悪口だけを噴水のように話すテメーには言われたかねぇんだよ。三流」

 

「それは結構。俺はそういうタチなのでな」

 

「………チッ」

 

(ああ…一難さってまた一難ですよ、マシュ殿…)

 

(キャスター陣営はどうしてこう変わり者ばかりなんでしょう…)

 

 

魔術師というのに性格が全く合わないクーフーリン。

やや愛らしい見た目と反し毒舌なアンデルセン。

ナルシストで”物語”の為にはマスターをも利用するシェイクスピア。

 

現在Blazの陣営に居るキャスターのサーヴァントは三人だが、その三人は揃いも揃って同クラス同士の仲は最悪といえる。

特にアンデルセンとシェイクスピアはすこぶる仲が悪く、普段互いに抑えはしているのだろうが、何か切っ掛けがあれば陰口大戦が勃発、というのはザラにあることだ。

 

 

「………やれやれ。相も変わらずだな」

 

「……はぁ………」

 

「マスター。余り気負いなさるな。アレぐらいなら我等でも十分仲裁は出来る」

 

「ああ。そうして貰いたい…」

 

影ながら険悪な空気を漂わせ、舌打ちをしてその場から離れたクーフーリンにBlazは頭を抱えると深く大きな溜息を吐く。

毎度の事ながらと思うが、今回は状況が状況という事で吐く息は深く、肩へはどっしりと重荷が乗せられた感覚が彼を襲い、彼の事を気遣おうと銀色の鎧をまとうセイバーことジル・ド・レェが申し訳無さそうに言った。

 

 

 

「……君の陣営。やたらとキャスターが多いね。面白そうな陣営だ」

 

「ついさっきまでこちらの陣営に仕掛けた者が言う台詞…とは思えんな」

 

それに触発されたアレキサンダーたちもう一つの陣営のサーヴァントたちは宥め、和気藹々とする彼らを見て戦意が治まり、他人事のような物言いで彼らとの会話に交わっていた。と言っても、参加しているのはアレキサンダーが殆どで夫人は呂布の肩に乗り、それを眺めているだけだ。

 

「だって他の陣営のサーヴァントたちだよ?どんな実力か…試してみたいものじゃないか」

 

「だからって奇襲するか。普通」

 

「するさ。サーヴァント同士であっても。人同士であっても。常に周囲の気配は感知していなければね」

 

「……さすがはマケドニアの王子…戦に関しては頭が働くな…」

 

 

「――それより、貴方方の本隊とマスターの姿があらぬが?」

 

「ん?ああ。騒ぎを聞きつけてそろそろ来ると思うよ。何せ、ウチのマスターは朝の身支度が長いからね」

 

「………。」

 

「やれやれ…顔合わせ前に大変だなぁ…」

 

 

ロマンが頭を抱え、騒ぐサーヴァントたちを見てぼやいた直後。自動ドアの開閉音が聞こえ、ソレと共に複数の足音が入ってきたと分かると、ようやき来たと呟き息を吐く。

ようやく揃ったかという安堵。そしてやっと来たかという呆れ。その二人が交わった吐息にBlazたちも反応し、歩く音の聞こえる方へと顔を向けた。

 

「やっと、向こうも来た様だね」

 

「………。」

 

「アレが…もう一つの陣営……」

 

 

「そう。僕らのマスター。ディアの陣営だよ」

 

 

 

そう言って陣営の先頭を歩く二人の少女(・・)の姿。

一人は紅色の髪でまだ少し眠たげな表情をして、もう一人は桃色の髪という風変わりな髪が特徴的だ。そして二人共サイドテールという揃いの髪型をしており、加えてカルデアの制服も揃いとなるといよいよ二人の関係性を疑うべきだと思える。

が。疑うべきはそれだけではない。

 

両者の右手の甲。そこには二人ともほぼ同じ形をした令呪が刻まれていた。

つまり。彼女達二人は揃ってマスターであるという事だ。

 

「マスターが…二人……!?」

 

「驚くべきはそこだけじゃない。あの桃色の髪の女の子。居るでしょ?彼女がバーサーカー。そこに居る呂布を使役している」

 

「一人で…ですか」

 

「…勿論」

 

「………。」

 

 

「遅かったねマスター」

 

「まぁ…昨日どこかの蛇と吸血鬼が夜這いしてきたからね…」

 

「失礼ですね。夜這いではありません。百合の花をさかせに――」

 

「うん。意味合いは同じだよ?」

 

「ま。それは後にしましょ「後にしないでよ、こなた…」…問題は…」

 

「………。」

 

「アレキ。貴方、あいつ等と一戦やったの?」

 

「……やった…というか本番前にとめられたって言えば良いかな?」

 

彼女達の陣営はBlazたちにとっても見覚えのある者から初見であるサーヴァントたちという混成した陣営だった。が、それ以上にメンバーの半数以上が女性というのが彼らには納得がいかなかった。

普通サーヴァントを召喚すれば若干の男女比の差は仕方ないはず。しかし、彼女の場合比率は七:三ほどという明らかに男性サーヴァントが少ないというのがどうしても彼らには気になって仕方なかった。

 

 

 

「じ、女性ばかりですね…」

 

「男が三人しかいねーぞ。まるでハーレムだな」

 

「女人が女を呼ぶか…それとも…」

 

「単に女好きなんではないか?」

 

「アーラシュ殿。それは違うと思いますぞ。運命的なものだと思います」

 

「それも間違ってると思われるぞ、ジル殿…」

 

「ふむ。女に敷かれる男共…いいネタになりそうだな」

 

 

 

「取り合えずまず誤解を解いてくださいます?」

 

 

 

 

 

相手の陣営の反応がどうみても可笑しいと思った少女は彼らとマスターであるBlazに対し訂正を求める。その中で違うのか、と呟いたアンデルセンは少し考え込むと彼女のいう誤解について説明をする。

 

「ではあれか。百合と男女が好みの性格ではないのだが何故か女のサーヴァントが馬鹿に出てくるという変な因果となっている、か」

 

「そうそう。そういう―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「仕様だな」←真顔で言う作家

 

「ああ仕様だ」←便乗するアニキ

 

「同じく」←頷く農民

 

「矢張り運命ではないか」←正しいじゃんと言う騎士

 

「そうか。そう言うことか」←なんか違う事を思う弓兵

 

が。本心は変わりなかったようだ。

 

 

「……あれ、なんか涙が………」

 

「大丈夫ですよ。ディア」

 

「………ッ!メデューサ―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私とディアとは運命の赤い糸で―――」

 

「では私は前世から決まっていた運命の炎の糸で」

 

「誰かこの子達を取り替えてくれませんか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………では改めて」

 

「こいつ等がもう一つの陣営って本当なの、ロマン」

 

「ああ。そうだよ。彼らがもう一つの陣営。そしてそのマスター、Blazだ」

 

未だ引っ張ることがあるが、それでは話が進まないと察したロマンはそのままの状態で話を進めた。一応Blaz陣営の揉め事は収まり、ディアと呼ばれた少女の陣営も彼女の周りに数名のを女性サーヴァントが擦りついてるが、それを気にしないと目は向けずに話を進め、目で助けを請うディアをロマンは見づらそうに無視していた。

そして、それ彼の助け舟かのようにBlazり陣営を見ていたこなたが口を開くとロマンへと尋ねる。

しかし、その態度と言動に違和感を感じた彼の陣営のサーヴァントたちは眉を寄せ、彼女の言動を逃さず耳に入れた。

 

「ふーん……この連中が…ね」

 

「…不満かい?」

 

「いや。ただキャスターばかりね…ってね」

 

眉を寄せ、不快そうな顔をするクーフーリン。

それは同時に他の彼の陣営にも伝わり、アーチャーであるアーラシュとジルの二人は顔には出さなかったが雰囲気が先ほどよりも不快さを感じて怒りを見せていた。

それだけ我等が実力不足という事か。と。

そして。マシュはその中でただ一人その気持ちを露わにしていた。まだ自分が実力不足なんだと、自身を自虐するように。

 

「……ま。キャスター三人と三騎士が二人だけという陣営だ。過小評価するのも無理は無い…がな。小娘」

 

しかし。そこへと一人だけへらへらと笑うアンデルセンが前に躍り出る。

小さく一笑し、自分の事を含めでそれが事実であると認める。

だが。何も彼は全部を認めたわけではない。

寧ろ。彼女の評価が間違っていると。そう言いたげな様子で目を見開き、こなたへと指を刺した。

 

 

「ッ……」

 

「この馬鹿共を甘く見るなよ?馬鹿は馬鹿でも生粋の馬鹿。馬鹿という意味を理解して、敢えてそれを演じている。

 

本物(モノホン)の馬鹿共だ」

 

「……馬鹿ね。それなら私たちも負けはしないわ」

 

「さて。それは如何に…?」

 

その意味を理解して答えるこなただが、アンデルセンの顔は一向にソレでよしと言う顔ではない。恐らく、模倣的回答ではなく、自身が納得するだろう回答が彼はほしかったのだ。

しかしそれを理解できなかったこなたは結局、最後までアンデルセンの言葉の意味をそのままで受け止めたのだ。

 

 

「………。」

 

 

「その辺にしとけよマスター」

 

「……アーチャー……」

 

「残念だが、正直コイツと言葉遊びしても一生俺たちは勝てないと思うぜ?」

 

「ほう。俺に勝てないというその根拠はなんだ?」

 

「……テメーが俺と同じ捻くれた奴だって事だ」

 

緑のフードを被っていた男。男性サーヴァント最後の一人であるアーチャーが、マスターを宥めると共にアンデルセンへと牽制をかけると、かけられたアンデルセンはふふんと笑うと満足げな顔で数歩後ろへと下がっていく。

そして、まるで謝罪の意が込められているかのようにアーチャーはフードを取るとマスターである彼らに向かい軽い挨拶を行う。

 

「アーチャーのサーヴァント。名はロビンフッド。ま。名前だけでも覚えてくれ」

 

「なるほど。イングランドの義賊か」

 

「ロビンフッド…私にとっては一世紀ほど昔ではあるが名は聞き及んでおる」

 

ロビンフッドより後に生きたアンデルセンとジルは聞き覚えのある名に納得げな様子で呟く。ロビンフッドと言えば名前だけでも有名な人物。弓を使う男としてそのイメージはあるはずだ。

 

「そりゃどうも。ま。義賊かどうかは怪しいけどよ」

 

「何言ってんの。緑茶は緑茶でしょ」

 

「それ言うなよ」

 

 

 

「あら。貴方方も日本のサーヴァント?」

 

「え。ええ…」

 

「という事は、主もだな。龍の姫」

 

 

「ええ。清姫と申します」

 

龍のような角を生やしたしとやかな雰囲気を放つ着物のサーヴァント。

真名清姫は、静々と挨拶をすると同じ日本系のサーヴァントであるライダーとアサシンも軽く一礼し、挨拶を返す。

 

「お二方とは…言葉を交わすのは初めてでしょうか」

 

「そうなるな。何せあの時は色々と立て込んでいたのでな」

 

(立て込んでいたって…小次郎殿は竜を斬っていたからでしょうに…)

 

「ええ。ですが今回はゆるりと、親睦を深めるとしましょう」

 

「ふっ…生前女人には恵まれなかったが…さて。どこまで其方のことを思えるか分からんぞ」

 

「構いません。私も姫というのは唯の飾りと思っていますから」

 

「……ところで清姫殿のクラスは…」

 

 

「私は…バーサーカーです」

 

 

 

「…………。」

 

人、見た目によらぬとはよく言うがライダーは彼女のクラスを聞いた瞬間。絶対に下手を踏まないようにしようと心で誓った。

バーサーカーの面倒さは彼女も身にしみて理解していたのだ。

下手を踏めば暴走する。もしくは爆走する。

そして、後始末に苦労する、と。

 

「ふん。どうせ猫被ってるから、その内バーサーカーとしての本性出すでしょうに」

 

「あら。貴方みたいに年中パンチラしてしまいには別に見えても嬉しくないサーヴァントと一緒にされては困ります」

 

そこにまた一人。今度は西洋服でスカートの丈が短いドラゴンの角と尻尾を生やした少女が毒舌と共に割り込んでくる。

それには清姫も何かドスの入った声で言い返し、強気でいる彼女を挑発する。

案の定、短気だったのか清姫の挑発に反応した少女は声を荒げて清姫に突っかかったのだ。

 

「なんですって、このストーカー!!」

 

「違います。「隠密的にすら見える献身的な後方警備」です。何度言ったら分かるんですか。この残念トカゲ」

 

「トカゲじゃないわよ!!」

 

 

「………。」

 

「なんだ。随分といい声する嬢ちゃんじゃねぇか」

 

そこへ暇だったのかクーフーリンが会話に加わり、口喧嘩を行う二人を眺める側に加わり独り言を呟く。確かに、割って入った少女は魅惑とも言える声をしているが、突っ込むところはそこかと、ライダーは無言に辛そうな表情で唸っていた。

 

「あれは西洋の竜の角か」

 

「らしいな。つか、あの得物は…」

 

 

「全く。貴方がバーサーカーだったらまだ五月蝿かったですわね。駄目なランサーでよかったです」

 

「うっさい!!なにが駄目なランサーよ!!スキルの豊富さなめんなよ!!」

 

 

「へー。嬢ちゃんランサーのサーヴァントか」

 

「は?アンタ何?」

 

「いや何。ただランサーになりてーなと思ってキャスターになっちまったサーヴァントよ」

 

そう。クーフーリンはキャスターの他に二人のクラス適正を持つ。

その大部分を占めるのは現在のキャスターと、三騎士と呼ばれるクラス「ランサー」のクラスだ。

本人もキャスターよりもランサーのほうが良かった。と時折ぼやくこともあれば、魔力での戦いが無理だと分かった瞬間、杖での棍術をつかったりと相当ランサーになりたかったのだという本心が見えるほどだ。

 

「……アンタ。どこの英雄よ」

 

「アイルランドだ。ま、ケルトっつたら良いか」

 

「ケルト…ランサー……?」

 

 

 

 

 

「ふーん…ケルトの英雄…クーフーリンねぇ」

 

 

「はい。まさか彼も現界しているとは…」

 

 

「けど前と変わらずキャスターでよかった。ランサーで相手するなら負けてるわ」

 

 

 

「…………あの、皆さん何を…」

 

言い難そうな様子で三人へと尋ねるマシュは、必ずといっていいほど身体のどこかを触る女性サーヴァントたちの行為に頬を赤らめ、恥ずかしくも満更ではなさそうな様子で声を絞り出していた。

喉元を夫人が爪をなぞらせ、薄い紫色の長髪長身の女性サーヴァントはももをなぞり、露出度の高い白い服を着たライダーこと真名ブーディカは他の二人とは雰囲気は違うが手を持ち、笑みを見せていた。

 

「ご心配なく。ただ肌の手入れを手伝っていただけです」

 

「いや、それくらいは自己管理できますので…っていうかカミーラさんは明らかに私の寝首を獲るつもりですよね!?」

 

「あら心外ね。確かに首元に爪を立ててるけど、それで遊ばなきゃ面白くないじゃない」

 

「………あの、ブーディカさんお二人に何か―――」

 

「ん。なんか言った?」

 

味方居らずな状態で絶望するマシュ。

若干二名の目の色が完全に性的なものだと感じ取り、背筋を凍らせるが、それが推進力となってか更にギリギリな事をし始める二人。

そしてそんな彼女達のことを見て見ぬ不利をするブーディカはやや楽しげな様子で彼女を見ていたのだった。

 

 

「せ、せんぱぁぁい………」

 

そして。そんな中では大した力を出す事ができず、マシュの弱々しい声だけが木霊していたのだった。

 

 

 

「あーあ…」

 

「め、メデューサさん。何時に無く目を輝かせるなぁ…」

 

「ほう。アレが噂に聞くゴルゴン三姉妹の末娘か」

 

「アーラシュさんよく知ってますね」

 

 

「……さて。サーヴァントたちが一応和気藹々と交流しているんだ。今のうちに軽い挨拶と今後の方針について話そう」

 

 

「ん…」

 

「はい」

 

「了解ッ」

 

 

 

これは、ある筈だろう物語。

 

しかし、ある筈の無い物語。

 

星の数もある可能性が生んだ一つの小さな奇跡の瞬間。

 

 

何かが違い、何処かが違う。

しかし、されど通ずる物を持つ者たちの物語。

 

 

 

彼らは声を揃え、こう言うのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――さぁ。聖杯戦争へ旅立とう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ。

 

 

 

「……アレ。そういえばBlaz」

 

「はい?」

 

「君の所のサーヴァント。一人足りなくない?」

 

「足りない?誰が………あ」

 

「誰が足りないのよ?」

 

 

「そういえば、マスターよ」

 

「………うん。すっかり忘れてた………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「タマモ。まだ来てないんだ」」

 

「呼んだかご主人?」

 

「………え?!」

 

尚、タマモキャットは今の今まで呂布の肩に乗っていたという…

 

 

 

 

追加のオマケ。

 

両陣営のサーヴァント紹介

 

 

Blaz陣営

 

マシュ

 

佐々木小次郎

 

牛若丸

 

クーフーリン (キャスターver)

 

アンデルセン

 

シェイクスピア(未登場)

 

ジル・ド・レェ (セイバーver)

 

アーラシュ

 

玉藻(タマモキャット)

 

 

 

ディアーリーズ陣営

 

カーミラ(同一人物)

 

メデューサ

 

ロビン・フッド

 

ブーディカ

 

アレキサンダー( 後の征服王(・・・) )

 

呂布

 

清姫

 

エリザベート(同一人物)

 


 
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