No.792052

艦隊 真・恋姫無双 70話目

いたさん

また……続いてしまった。 義輝記お待ちの方、8月に持ち越しになります。 ごめんなさいね。

2015-07-26 11:21:14 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1279   閲覧ユーザー数:1115

【 手を替え品を替え の件 】

 

〖 洛陽 都城内 大広場 高台 にて 〗

 

何皇后「ーーーーー!!!! ーー!! ーーー!!!! ーーー!!!」バタバタッ!

 

楊奉「しっかり! しっかりなさいませ!! お前たち! 何皇后を抑えつけろ! 舌を噛むぞ! 布を噛ませろ!!」

 

兵「は───はいっ!!」

 

大将軍何進の剣技を受け、痛みに悶え苦しむ何皇后!

 

口から血の泡を吹き出し、地面を転げまくる! 

 

楊奉は、近くの兵を呼び何皇后を押さえつけさせ、手首の止血処理を行う!

 

大の男三人掛かりで、動きを封じ込めようとするが、それでも抑えきれずに応援を呼ぶ! この細い女の身で、どこに力があるのか分からない!  

 

苦悶に浮かぶ何皇后の顔には、何進と一刀を呪い殺さんとばかりに……強烈な視線を送る! その業の深さ故か……端正の顔が醜く歪み、鬼女のように目がつり上がり、口許より血を吐き出して唇を朱に染め上げる!

 

何皇后「カ、何……進! 天ノ御……ツカイィィィ───ッッッ!! ユ、許サヌ……許サヌッ! カ、カノ恨ミ……必ズヤ──晴ラサ………ッッ!!!」

 

そして、血を吐き恨み言を述べた後……静かになった。

 

★☆☆

 

ブロロロロォォォォォォ───!!

 

ギュルンギュルンーーーギュルルルルッッ!!

 

ーーー

 

重装歩兵「 Σ(゚Д゚;≡;゚д゚) 」オロオロッ!

 

重装歩兵「うひょおぉぉぉぉぉ!!」

 

重装歩兵「────コワイッ!」バタバタッ!

 

ーーー

 

配下の重装歩兵が、右往左往と蠢き色を失い逃げ惑う!

 

艦載機の編隊飛翔が、『横の集合、散開運動』だけだった動きが、『縦の運動』も取り入れて観る者を魅了……もしくは恐怖を抱かせた! 

 

近付いて急に左上、右上に回避運動をする……『シャンデル』

 

同じく近付いて、上方に回避。 そのままUターンして戻る……『インメルマンターン』

 

エルロン(補助翼)を利用して回転しながら飛行する……『エルロン・ロール』

 

普通に宙返りを行う……『ループ』

 

あまりにも異常な動き、急接近からの転回、もはや動物的動きを超え過ぎているのだ。 この時代の者に……理解が追い付かない状態である。

 

ーーー

 

金剛「Wow! 見事なAerobatics(エアロバティックス 曲芸飛行)ネ!」

 

榛名「金剛姉様! 見とれている場合じゃありません! 私たちも!」

 

比叡「これを見れば、みんな驚いてくれますよぉ!  私たちが空に、パァーッと華を咲かせればぁ! 気合! 入れて! 行きます!!」 

 

金剛「Yeah! 比叡も榛名も準備OKデスカァ!? それではァ───撃ちますネ! Fire~!!!」   

 

シュ───ッ!  

シュ──ッ!

シュ────ッ!

 

──────ドンッ!!

───ドンッ! ドンッ!

 

 

…………パラパラッッ!

 

満天な空の上に、龍が天へ昇るが如く勢いで、翔け上がる物が三つ。 その内の二つは、上空で盛大な破裂音を発すると、赤と黄の色鮮やかな煙を発する!

 

ーーー

 

蓮華「──あっ! 綺麗……」

 

冥琳「蓮華さま、此処は戦場! 油断は禁物です!」

 

蓮華「ご、ごめんなさい。 あまりにも目を引く物だったから……」

 

冥琳「衆人に注目を集めさせ、その隙を突く。 正に兵法『声東撃西』を体現した物です。 私たちが引っ掛かってしまうと、北郷を再度不利な戦いを強いる事になりますぞ? ………特に、小蓮さまは……」

 

小蓮「─────ハッ! わ、わわわ、分かってるわよッ! シャオだって一刀の足を引っ張りたくないもん!!」

 

ーーー

 

最後の一つは、もう少し上で破裂。 『ドーン!』と雷音が響き、それと同時に姿を現した物に、その場にいた者は目を見開き驚愕する! 

 

空をユックリと浮揚する傘状の物。 その下には三色の煙が、己の存在を誇示するかのように、風に棚引かせながらもハッキリ確認できる!

 

ーーー

 

重装歩兵「………瑞祥だ」

 

重装歩兵の一人が呟く。 

 

その言葉を聞きつけた者が、数人慌ただしく尋ねてきた。

 

重装歩兵「お、おいっ! 『瑞祥』ってなんだよ!?」

 

重装歩兵「あぁ……俺詳しいんだ。 『瑞祥』ってはな、聖君が現れる前兆を示す事。 天が起こす奇跡なんだが……」

 

重装歩兵「じゃあ、あれは奇跡じゃないのか!? 空飛ぶワケの分からない物、あの轟く雷を操る使者! 執金吾さまは、偽者と断じておられていたがよぉ? 実際は……ほ、本物じゃないのか!?」

 

重装歩兵「大将軍さまも、御遣いさまの味方に加担された。 これはもしかして……もしかすると───!?」

 

重装歩兵「めったな事を口にするんじゃない! 聞かれたら俺らは、斬首で終わりだぞ!? ………今は様子を伺んだ。 ……折りを見て………」

 

ーー

 

比叡「うんっ! 上出来!!」

 

榛名「敵味方も驚いていますね………」

 

金剛「私たち第一艦隊の注目度Upデース! 比叡や榛名たちのお陰ダヨ!」

 

比叡「そ、そんな~! 金剛お姉さまの活躍だって!」

 

榛名「そうですよ!」

 

金剛「………良い妹たちばかりで……私は幸せ者デース!」

 

ーーー

 

比叡、榛名が撃った物は、『彩煙雷』という昼花火。 一発派手に音が鳴り、煙に赤色や黄色などの色が付く。

 

金剛が撃ったのは、同じく昼花火の『彩煙竜』なるもの。 破裂と共に落下傘が開き、落下傘の下には、煙を噴き出す火薬が吊り下げているのだ。

 

ーーー

 

金剛「これでFinish!? な訳無いデショ! 英国の『Guy Fawkes Day』のようにィ、華やかにドンドンと撃つネッ!」

 

比叡「はいっ! まっかせて下さいっ!!」

 

榛名「榛名! 全力で砲撃致します!」

 

ーーー

 

艦載機と花火の奇妙なコラボ。 現代なら完全にお祭りの様子だが、火薬も発明されているのか不明確な時代。 重装歩兵たちの心理負担もピークに達し、不満が少しずつ……露わになっていた。

 

 

◆◇◆

 

【 四面楚歌 の件 】

 

〖 都城内 大広場 高台 にて 〗

 

楊奉「皇后を背負え。 いいか……必ず最後まで俺に付いてこい!」

 

重装歩兵「────はっ!」

 

楊奉は……何皇后を配下の者に背負わせる。 楊奉に付き従う者は、僅か二人だけ。 一人は何皇后を背負い、一人は楊奉の指図に従うのみ。

 

何皇后の命は……どのみち既に無いだろう。 片手を斬られたショック、大量の流血……輸血や近代医術が全く確立していない時代に、天へ召される命を繋ぎ止める事など不可能。 それとも、救う術でもあるのだろうか? 

 

その前に……楊奉の状態は『前門のタイガー、後門のバッファロー』の状態。

 

楊奉の目の前には、一刀と何進、そして長門、霧島、凪。

 

後方には、雷、電、アリゾナ、ビッグEの艦娘。 そして春蘭、恋、明命の恋姫が逃亡を許さぬと待ち構える。 

 

皇女や桃香たちは桔梗や白蓮が護衛。 人質の手は……完全に封じられた。

 

絶対絶命の窮地……これは、今まで行った何皇后と楊奉の業の結果。 まさに───インガオホー 

 

広場や高台周辺を見渡せば、楊奉の軍勢は殆ど劣勢。 

 

艦載機や花火による士気の低下もあったが、恋姫たちの実力、艦娘の戦闘力の高さも兵士よりも遥かに上。 これらの相乗効果と人質解放、何進の味方表明により、急速に重装歩兵たちを鎮圧して行く。

 

ーーー

ーーー

 

秋蘭「フッ、如何に固い鎧に覆われようが、関節部分はどうしようもないだろう! 肩の関節を外し、私たちを敵に回した事を後悔させてやる!」

 

重装歩兵「う、うわぁぁぁ──『ゴキッ!』──ぎゃあああああっ!!」

 

ーーー

 

響「………タワーブリッジ!」ガキッ

 

重装歩兵「ぐ、ぐるしぃぃぃぃ───ッ!!」

 

暁「ちょっと、それって技が違うじゃない! 金剛さんが使うならまだしも……ハッ!?」

 

………

………

 

金剛「HEY、誰かぁ──呼びましたカァ!? ───あれェ?」

 

比叡「どうされたんですか……金剛お姉さま?」

 

榛名「誰も、金剛姉さまをお呼び立てしない筈ですが?」

 

金剛「………………誰かに呼ばれた気がするのデース?」

 

ーーー

 

霞「そないなヒョロヒョロでぇ、うちを斬れるって思ってんのか? あまい、あまいわ! そりゃあ────ッ!!」

 

重装歩兵「な、何だ!? 動け───ウワァアアアッッ!!」グルグルッ! 

 

霞「オラオラオラァ──ッ! 華雄、そっちに飛ばすでぇ!!」

 

華雄「いつでも来い! 此方で捕まえている奴で迎え撃とう! ほらほらぁ、きびきびと走れぇ───ッ!」

 

重装歩兵「や、やめぇ────ッ!」グルグルッ!

 

霞が兵の片腕を取り、自分を中心に走らせ右回りの渦を描く。 華雄が左回りに動き、徐々に近付いて行く。 勿論、兵たちが抵抗しようが無理。 

 

右回り、左回りに振り回されて、近付けば当然───衝突は必至。

 

重装歩兵「や、止めぇ!」

 

重装歩兵「うわぁぁぁ───ッ!」

 

──────ドゴォオオオンン!!

 

─────ぐわぁあああぁぁぁぁぁ!!

 

鎧姿の兵は、車の衝突の如きぶつかり……双方ともはじき飛ばされ気絶した。

 

華雄「鎧を着ている者同士がぶつかれば、幾ら外が固くても中の奴は痛めつけれる! これが、幾多の戦場を渡り歩いた百戦錬磨の私たち、洛陽で働くお前たちとの違いの差だ!」

 

霞「よしゃ! 次行くでぇ! 次ぃいいいッ!!」

 

華雄「………霞、途中で兵の腕を引いたな?」

 

霞「う~ん? 華雄もなぁ! 月に泣かれたくないんやろ?」

 

華雄「当然だ。 如何なる時も君主の願いを優先とする。 それが武人だ!」

 

霞「にひひひぃ! 分かっとるやないか!」

 

ーーー

ーーー

 

現在……十数人の集団が散発的に抵抗しているのに過ぎない。 しかし、この様子なら直に鎮圧できるだろう。 第四艦隊も活躍している事だし。

 

第二艦隊は捕虜になった兵を監視。  

 

捕縛された兵たちは、武器を捨て手を上げ、敵意が無い事を示して、一カ所に集合させられている。 その数、凡そ三千人。

 

しかし、第二艦隊(天龍、龍田)だけでは、さすがに監視は無理だ。

 

第一艦隊も合流して監視に入る予定だが、砲身がまだ熱いため、少し冷やしてからと。 第三艦隊も、艦載機の着艦を行った後に合流するとのこと。

 

そんな困った状態を見て、西涼勢が手伝いを申し込む!

 

月「御遣いさま方ばがりに、御手数を掛けられません。 私たちにもどうか……」

 

龍田「まぁ~ありがとう! 本当に助かるわ~!」

 

そんな訳で、月、詠、翠、蒲公英も参加して監視している。

 

ーーー 

 

もう少し粘られるかと予想していたが、戦闘中に投降する者が多数現れたため、意外に早く収束できたからだったのが要因だった。 

 

ーーー

 

楊奉「…………………」 

 

一刀「楊奉………これで逃げる道は無い! 大人しく罪を償え!」

 

楊奉「……何進、あの女に言付けはないか? あれば伝えておいてやるぞ? まあ……お前の裏切りは確定だから、どんな言い訳も通じはしないがな」

 

何進「───『後の事は任せる。 私は私の責を果たすのみ』と。 元々の鬼灯の加わる集団を作り上げたのは私だ。 意見が合わなければ離反するのは当然。 誰か別の者が頭になるだろうが、弱体化は免れないだろうがな」

 

楊奉「ほう……これは驚いた。 お前も俺と似た関係か? 『同じ穴のラクーン』だったとはな………」

 

何進「ふん! 何皇后に味方する貴様とアイツ、皇女さまに力添えする私と一刀。 この時に別の関係へと変わったのだ!」

 

一刀「雷華……」

 

何進(雷華)「──言っておくが、今の言葉は貴様から伝えて貰うために語ったのではない。 お前は捕縛される身だ!」

 

楊奉「……………」 

 

何進「だから、鬼灯は私の一挙一動、文字通り読唇術まで使い、その真意を測る筈だから語ったまでの事! 後は、何皇后の左手首を落とした事が、確実な証拠になるだろう。 これも……覚悟の上さ……」

 

楊奉「………くっくっくっ……流石だよ、北郷! どういう理由だか知らないが、あの何進までも誑すとは!」

 

一刀「……なんだか腑に落ちない言い草だな……」 

 

楊奉「フッ……それ抜きにしても、俺を此処まで苦しめた男は初めてだよ。 褒めてもやるし、貴様が天の御遣いだという事も認めてやる。 だがな、俺は捕まる事なんて無理だぜ。 この……白波賊の楊奉はな………」

 

一刀「───貴様に逃れる術なんて無いんだぞ!? 現状を見てから物を言えよ! 配下の兵は、殆ど降参か捕縛。 仲間が高台を包囲している。 人質など卑怯な真似は、すべて封じ込めたんだ! それでも抵抗するのか?」

 

一刀の信頼する仲間が、分厚い包囲網を構築する。 相手が水鬼並の強さがある化け物なら確かに無理だろう。 しかし、楊奉は幾ら秀でていても人間は人間。 この包囲網から抜けられる訳は無い。

 

そう考えながら、用心深く対応する一刀であったが、楊奉の顔より笑みが消える事はなかった。

 

 

◆◇◆

 

【 一難去ってまた…… の件 】

 

〖 洛陽 都城内 大広場 高台 にて 〗

 

─────ザッ!

 

華琳「天の御遣い、北郷一刀よ! この広場の出入り口は、私たちが封鎖した! 猫の子一匹たりとも通らせなどしない!」

 

ーーー

 

春蘭「華琳さま!!」

 

明命「あう~。 子猫さまだけは、通行許可して欲しいのです~」

 

恋「………子犬も……」

 

ねね「だ、大丈夫です! 恋殿が迎えに行けば、通行許可ですぞ! まあ……こんな騒々しい場所に入り込むなんて……まず無いでしょうが……」

 

ーーー

 

一刀「君は………」

 

華琳「改めて紹介させて頂く……陳留刺史 曹孟徳。 荀文若、夏侯元譲の主と言えば分かると思われるが……」

 

一刀「──かり……」

 

華琳「────!」

 

一刀「いや、失敬。 貴女と似た人物を思い出して……つい呼び掛けそうになった。 貴女とは違うのだ、非礼をお詫びさせて頂く!」

 

華琳「……そう。 以後は気を付けて頂きたいわね。 その方や私に対しても、対象を間違えられるのは不快に感じるもの。 天の御遣いと言えど……礼をわきまえて貰わなければ………」

 

一刀「あぁ……肝に命じるよ。 申し訳ない……夢に出る女の子に……よく似ていたから………」

 

華琳「…………。 それよりも、何皇后と執金吾を速やかに処罰する事を願う! この私、曹孟徳が立会人を承ろう!」

 

劉辯「─────!」

 

劉協「姉上…………」

 

一刀「皇女さまの前で罪人を斬るか? 五倫に反するんじゃ……」

 

華琳「儒教の五倫の内、第一に尊ぶ物は君臣の義。 ここに居る諸侯が納得する事を行わなければ、漢王朝は見捨てられ落ちぶれるのみ。 国家体系を照らし合わせれば、どちらを優先するか分からない貴方ではない筈よ!」

 

一刀「しかし───」

 

何進「一刀……確かに曹孟徳の判断が正しい! このまま二人を残せば、後の禍根となる可能性もある。 一刀たちは手を出すな! この何進自ら、この罪人たちの首をはねて処刑してやろう!!」

 

楊奉「………………」

 

★☆☆

 

何進が剣を取り、例のイアイドウの構えを取る。 恐るべし殺気が楊奉に向けられた。 普通の者なら気絶しそうになりかねない。

 

これで楊奉の運命は定まってしまったのだ。 このまま何進がイアイドウを発すれば、楊奉の命など……風前の灯火! 

 

何進「──何も言うことなど無いだろう。 潔く刑を受け入れろ──楊奉! キリステ───」

 

何進のイアイドウが発する間際、楊奉が呟く。

 

楊奉「格言に曰わく『泥棒がばれたら、家に火をつけろ』……良いコトワザだと思わないか? ………何進よ」

 

何進「何を──っ!?」

 

 

ボオッ!

 

ボオッ──────!

ボオッ────────!

ボオッボオッ──────!

 

 

急に広場の周囲の建物が燃え上がる! 広場の壁もまた然り! 火災が──突然に発生してのだ! 

 

周囲の建物は木造だが、壁は石造。 しかも、かなりの速さで火が回り込み、全体に炎が包み込まれた! 

 

一刀「油でも撒いて着火させたか! 早く何とかしないと!!」

 

ーーー

 

「どうしてぇ!?」

 

「ばかな──ッ!」

 

「「「 きゃあ──ッ!! 」」」

 

「なんだぁ!?」

 

「「「 うわぁぁぁぁ───ッ! 」」」

 

ーーー

 

周囲の恋姫、艦娘、兵士たちより悲鳴や絶叫が乱れ飛ぶ!!

 

何進「──貴様の仕業か!?」

 

楊奉「今頃分かったのか? 俺が漢王朝の執金吾だが、白波賊にも関与している。 密かに白波賊の配下を呼び入れ、イザという時に事を起こす。 少しの間でも目を欺ければ脱出する事など日常茶飯事! しかも、この火災───」 

 

何進「────逃がさん!」

 

楊奉「………おっと、コレも食らっておきな!」シュッ!

 

──────ボンッ!!

 

楊奉が手に密かに隠していた『煙玉』を叩きつけた。 辺りは急速に白い煙に包まれて判断がつかない! 

 

何進「────ちょこざいな!!」

 

一刀「雷華! 楊奉はどこに!?」

 

楊奉「───この火災、新皇帝への土産だ。 洛陽の民が、諸侯が……どう思うだろうかね? ───さて、ひとまずサラバだ! また会おう北郷、何進! それまで生きていてくれよ!! ハッハッハッハッ!!」

 

ーーー

 

白煙が晴れれば──楊奉と何皇后の姿は無い!

 

しかし、よく見ると……祭壇だった物が地面に散らばっている! そこには、隠され抜け道が開いていた! 何という用心深さ! 何という策!!

 

何進「────逃がしたか!」

 

何進が嘆くが無理もない。 逃がした魚はクジラ並みにでかいからである。

 

しかし、逃がした魚を追い掛ける暇もなかった。 

 

ーーーーーー!!

ーーーーー!!

ーーーーーー!!

 

石壁に発生した炎は全体を覆い尽くす。 どうやら、石壁には油壺が幾つか仕込んであったらしい。 覆い尽くす前に、何かが割れる音、立ち上る炎が確認できた。 そもそも、石壁が焼けるワケがないのだから。

 

更に火勢は付近にある小屋等の建物、回りの樹木が燃やし始める。 これは、石は燃えないが熱を吸収し易く放出し易い。 

 

つまり、四方から熱で焼かれる『石焼き芋状態』にされている。

 

三千人も広場に居る状況では、鎮火を待つ前に脱水症状、火傷等の熱に因る被害が増える事にもなる。 また、灼熱に晒されるため、苦痛や恐怖で混乱状態になりやすく、被害が拡大する可能性も高い!

 

一刀「───仕方がない! 今は命を救う方が大事だ! 曹孟徳殿、直ぐに中央付近に皆を集めて! 火勢より身を守るようにして下さい!」

 

華琳「───承知! それで、貴方はどうするの?」

 

一刀「………俺に考えがある!」 

 

一刀より命じられた華琳は、直ぐに配下や諸侯に命じて、熱より身を守るための具体的な案を命じる。

 

・皇女、負傷者を優先的に中央へ移動。

 

・高台に置かれた祭祀道具を利用して灼熱より身を守らせる。

 

・将が前面に出て、率先して管理を行う。

 

しかし、これは応急処置! 

 

時間が経てば───全員が命を失う最悪の事態になる!

 

つまり───早急な判断、決定的な打開策が必要!

 

ーーー

ーーー

 

華琳「───命じてきたわ!」

 

一刀「うん、ありがとう!」 

 

華琳「───でも、この広場の門は、楊奉が逃走しないように、内側から鍵を閉ざしてあるわ。 火勢があのような状態では、近付くことさえ出来ない。いったいどうする───」

 

華琳が一刀に尋ねようとすると、一刀は自分の配下の装備を確認している。

 

ーーー

 

一刀「金剛! ────あの石壁を破壊できるか!?」

 

金剛「う~ん、手元にFireworks(花火)しかないから……自信ないネ……」

 

ーーー

 

一刀「翔鶴、艦載機の発艦は?」

 

翔鶴「そうですね……火勢が収まれば可能かと………」

 

ーーー

 

一刀「天龍……って、何だ、その格好はぁ────!?」

 

天龍「好きでやってんじゃねぇ!」

 

ーーー

 

一刀「暁……その手拭いと水は………」

 

暁「う、うん。 誰かが勝手に使ったらしくて、一本に繋がっていたわよ。 水も少しは残っているし……」

 

ーーー

 

一刀「劉協皇女……お尋ねしたいが、この石壁の向こうに何か?」

 

劉協「そ、そちらは、近衛が鍛錬する練兵場があります! 広さもここと同じくらいに!」

 

ーーー

 

一刀「そうか……後、外に誰か居れば──『司令ぃ~! 大丈夫ですか!? こちら雪風ですー!』──雪風か!? 今どこに居るんだ?」

 

雪風『この広場の外ですー! 暁さんに頼まれ、港湾棲姫さんに状況報告に出てたんですよー! いったい、これはどうしたんですか!?』

 

一刀「それなら、至急に頼みたい事がある! 広場の西側の壁へ水を掛けてくれ! 命じる箇所に集中して! そして、掛け終われば、俺の合図と共に、その場所へ砲弾を撃ち込んで貰いたいんだ!」

 

雪風『はい、わかりました!!』

 

ーーー

 

話が終わった後、華琳は慌てて問い掛ける! 

 

諸侯の動きは、自分の采配に任されているようなもの。 

 

これにより……自分の名声が高まるか地に墜ちるかの境目だ。

 

それに、御遣い『北郷一刀』が、この難局をどう導くか見てみたい。

 

今後……敵になるか味方になるか……見極めるため。 

 

華琳「な、何をする気なの!?」

 

一刀「────城壁を破壊する! 破壊して皆で脱出するんだ!!」

 

 

 

ーーーーーーーー

ーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき……ありがとうございます!

 

話が……また続いちゃった。

 

きりの良い数字で終わらせる予定だったのに。

 

今回……オマケである文章を作成しました。 内容は本文の一部分、飛ばしても支障は全くありません。 

 

では、何故載せるのか? 

 

それは……文体を他の言葉に変えたからです。

 

次回の更新は、一週間以上になるかも………予定では。 

 

義輝記を待っている方、すいません! 8月になりますが、8月には必ず出しますのでね!  ごめんなさい!

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

【 オマケ 忍殺語変換? の件 】

 

〖 洛陽 都城内 大広場 高台 にて 〗

 

 

何進が剣を取り、例のイアイドウの構えを取る。 恐るべし殺気が楊奉に向けられた。 普通の者なら失禁もやむを得ず……実際コワイ。

 

これで楊奉の運命は定まってしまったのだ。 このまま何進がイアイドウを発すれば、楊奉の命など……ロウソク・ビフォア・ザ・ウィンド! おおっ、ナムアミダブツ! 何進の剣に──慈悲は無い!! 

 

何進「──ハイクを詠む必要も無し! 潔く刑を受け入れろ! 楊奉=サン! キリステ───」

 

サツバツ! 何進のイアイドウが発する間際、楊奉が呟く。

 

楊奉「格言に曰わく『泥棒がばれたら、家に火をつけろ』……良いコトワザだと思わないか? ………何進=サン」

 

何進「ヌウゥ──ッ!?」

 

 

───────!

──────!

────────!

──────!

 

 

おおっ……ゴウランガ! 広場の周囲のタカイトウが燃え上がる! 広場の壁もまた然り! 楊奉のカトン・ジツが、いつの間にか発動していた!

 

周囲の建物は木造だが、壁は石造。 しかも、キテレツ的速さで火が回り込み、全体に炎が包み込まれた! 

 

一刀「油でも撒いて着火させたか! 早く何とかしないと!!」

 

「ワッザッ!?」

 

「バカナ──ッ!」

 

「「「 ンアァ──ッ!! 」」」

 

「アナヤ!?」

 

「「「 アイエエエエエッ!! 」」」

 

周囲の恋姫、艦娘、兵士たちより悲鳴や絶叫のコトダマが乱れ飛ぶ!!

 

楊奉「俺がカン・オウチョウ・クランの執金吾だが、シラナミ・クランにも属している。 密かにシラナミ・クランの配下を呼び入れ、イザという時に事を起こす。 これくらいチャメシ・インシデントだ! しかも、この火災──」 

 

何進「────逃がさん!」

 

楊奉「………それと、コレも食らえ! イヤ──ッ!」シュッ!

 

──────ボンッ!!

 

楊奉が手に密かに隠していた『スモーク・ボール』を叩きつけた。 辺りは急速にホワイトスモークに包まれて判断がつかない! タツジン!

 

何進「────ブッダ!!」

 

一刀「何進! 楊奉はどこに!?」

 

楊奉「───この火災、新皇帝への土産だ。 洛陽の民が、諸侯が……どう思うだろうかね? ───ひとまずサラバだ! また会おう北郷、何進! それまでオタッシャデー!! ハッハッハッハッ!!」

 

ーーー

 

ホワイトスモークが晴れれば──楊奉と何皇后の姿は無い! フシギ!

 

しかし、よく見ると……祭壇めいた物が地面に散らばる! そこには、隠されゲートが開いていた! 何という用心深さ! 何というワザマエ!!

 

何進「────ヤンナルナ!」

 

何進が嘆くが無理もない。 実際逃がした魚はクジラ並みにでかいからである。

 

ーーーー

 

 

ニュービーが書いてると、やはり……おかしい。

 


 
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