No.782501 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルートsoranoさん 2015-06-09 00:06:21 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1398 閲覧ユーザー数:1280 |
~カレイジャス・ブリーフィングルーム~
「え……まだ妥協案があるのですか?」
「それに”パント卿”とは一体どなたの事でしょうか?」
「しかもメンフィルが我々に恩恵を与えると仰いましたが、それはどういう意味でしょうか?」
レンの答えを聞いたセドリック皇太子は目を丸くし、プリシラ皇妃は不思議そうな表情をし、クレア大尉は困惑の表情で尋ねた。
「まず先にエレボニア側がすべきことを教えるわね。もう一つの”妥協案”………―――それは内戦終結までユーゲント皇帝とプリシラ皇妃がメンフィルの保護を受ける事よ。」
「え…………」
「なっ!?」
「ち、父上と母上が……!?」
「……もしかして人質?」
レンの答えを聞いたプリシラ皇妃は呆け、リィンとセドリック皇太子は驚き、フィーは厳しい表情でレンを見つめて問いかけた。
「”保護”よ、ほ・ご。内戦終結まで人質にして、何の意味があるっていうのよ。」
「―――お二方は内戦終結までエレボニア帝国領と隣接しているメンフィル帝国領の領主の館にて滞在して頂く事になります。行動範囲は警備の関係で滞在するメンフィル領内、もしくは本国内と制限させて頂きますが、当然皇帝夫妻ですので、最高級の待遇で過ごして頂きますし、護衛は親衛隊員を付けますし、外出時は親衛隊の隊長や副長を護衛に付ける予定になっています。」
フィーの指摘にレンが呆れている中、シグルーンは説明を続けた。
「……陛下達を保護する意味は一体何でしょうか?」
「うふふ、それを答える前にエマお姉さんに確認したい事があるわ。」
「え……わ、私にですか?」
アルゼイド子爵の問いかけの後に逆に問いかけて来たレンにエマは戸惑いの表情をした。
「”魔女の眷属(ヘクセンブリード)”に伝わっている最大の”禁呪”の”唄”を知っているかしら♪」
「…………ぇ…………ど、どうして貴女達はそれを知っているのですか………っ!?」
「エマ君……?」
「エマ、何を知っているのだ?」
「顔色が悪いですけど……どこか具合が悪いのですか?」
レンの問いかけを理解した瞬間表情を青褪めさせて身体を震わせているエマの様子を見たマキアスは戸惑い、ラウラは真剣な表情で問いかけ、セレーネはエマを心配し
「!!まさか……ヴィータはこの内戦で”緋き絶望”を呼び出そうとしているの!?」
全てを察したセリーヌは目を細めて問いかけた。
「あ、”緋き絶望”……?」
「一体何の事だ……?」
セリーヌの言葉を聞いたエリオットは戸惑い、ガイウスは考え込み
「…………”魔女の眷属(ヘクセンブリード)”に伝わりし最大の”禁呪”の”唄”――――”魔王の凱歌(ルシフェンリート)”……”緋の騎神テスタ=ロッサ”を核に250年前に顕現した”紅き終焉の魔王(エンド・オブ・ヴァ―ミリオン)”を呼び起こすのに必要な唄なのよ………」
「”騎神”だって!?」
「そ、それに250年前という事は………!」
「”獅子戦役”の頃ですよね……!?」
セリーヌの説明を聞いたリィンは血相を変え、ある事に気付いたアルフィン皇女は信じられない表情をし、エリスは不安そうな表情をし
「…………まさか250年前を再現しようとするとはな。」
「ち、父上……?何か知っているのですか……?」
重々しい様子を纏って呟いたユーゲント三世の言葉が気になったセドリック皇太子は戸惑いの表情で尋ねた。
「――――”緋き絶望”。バルヘイム宮地下深くに封印されてある”獅子戦役”時偽帝オルトロスが操り、破滅と恐怖をもたらした”災厄”だ。”アルノール家”の跡継ぎのみに代々言い伝えられ続けている伝承でな……いつかセドリックにも教える時が来ると思っていたが……」
「そのような存在がバルヘイム宮の地下に…………」
「なお”緋の騎神”の”起動者(ライザー)”は他の”騎神”と違い、兄様や”C”のように何らかの”試練”を受ける必要はなく、”アルノール家”の血筋の方達がいれば起動できるとの事です。」
ユーゲント三世の説明を聞いたプリシラ皇妃が不安そうな表情をしている中、エリゼが静かな表情で説明を続け
「!!」
「ア、”アルノール家”という事は……!」
「……………なるほどね。何故”貴族連合”の”切り札”がセドリックである事に疑問を感じていたが、”そう言う事”だったのか……!」
「どうやら”貴族連合”はセドリック皇太子殿下を”起動者”にするつもりだったみたいですね。」
エリゼの説明を聞いたクレア大尉は目を見開き、アリサは信じられない表情をし、オリヴァルト皇子とサラ教官は厳しい表情をした。
「しかし何でまたそんな皇家でも秘匿されている情報を”貴族連合”は持っているんだ?」
「情報源は間違いなく処刑したユーシスのお兄さんだろうけど、幾ら”四大名門”の長男でもさすがに皇家でも秘匿されている情報を知っているなんて、おかしいと思うんだけど~。」
「……………………」
トヴァルに続くように呟いたミリアムの話を聞いたユーシスは複雑そうな表情をした。
「――――ルーファス・アルバレアの証言によれば、貴族連合の”主宰”であるカイエン公爵は”獅子戦役”でかつての”緋の騎神”の操縦者にしてドライケルス帝に敗れたオルトロス・ライゼ・アルノールの末裔だった為、バルヘイム宮の地下に”緋の騎神”が封印されてある事をカイエン公爵家に先祖代々伝えられていたとの事ですわ。」
「な―――――」
「な……っ!?」
「ええっ!?」
「カ、カイエン公が……あの”偽帝”オルトロスの子孫だなんて……」
シグルーンの話を聞いたユーゲント三世は絶句し、レーグニッツ知事やセドリック皇子は驚き、プリシラ皇妃は信じられない表情をし
「…………それで?話を戻すけど、どうしてユーゲント陛下達の保護と先程の話が関係して来るのよ。」
厳しい表情で考え込んでいたサラ教官はレンを見つめて問いかけた。
「そんなの勿論、肝心の”切り札”である”緋の騎神”の”起動者”の最有力候補であったセドリック皇太子を失ったカイエン公が”緋の騎神”の”起動者”の確保をする為に、焦りのあまりその”起動者”の資格があるユーゲント皇帝がいるメンフィル領に攻撃を仕掛けさせて、レン達メンフィルがそれを”殲滅”する事で”貴族連合”に対する”報復”をする為よ♪」
「何だと!?まさかユーゲント陛下を餌にして、それにつられるかのようにメンフィル領に襲撃する貴族連合を殲滅する気なのか!?」
レンの話を聞いたトヴァルは厳しい表情でレンを睨んで問いかけ
「ま、簡単に言えばそんな所ね♪ああそうそう。今の内に言っておくけど、ありえないとは思うけど万が一その時に出た被害はさすがにレン達の自己責任だから、その件でエレボニアを更に攻めて戦争回避条約の内容を増やすみたいな事はしないから安心していいわよ。」
「レン姫!幾ら何でもユーゲント陛下を囮にする等余りにも非道ですし、領民達も危険に晒される事になるんですよ!?」
レンが説明を続けるとリィンが怒りの表情で反論した。
「や~ね。エレボニアと開戦した時点でエレボニア帝国と隣接している全てのメンフィル領に危険が晒されているも同然だし、今回の襲撃で制圧したオルディスとバリアハートもそうだけど、特にユミルは貴族連合に真っ先に襲撃される可能性がある領地なんだから”今更”よ♪」
「……え……………」
「ユ、ユミルが……!?一体どういう事ですか、レン姫……!?」
レンの話を聞いたリィンが呆けている中、表情を青褪めさせたエリスがレンを見つめて尋ねた。
「あら、わからないのかしら?ユミルの領主――――シュバルツァー男爵夫妻はカイエン公が手に入れたい戦力―――”騎神”の乗り手であるリィンお兄さんの両親がいるんだから、エリスお姉さんの時みたいに二人を誘拐してリィンお兄さんを従わせようとする可能性もあるし、今回のメンフィルの”報復”に対する”報復”として貴族連合がユミルを滅亡させる可能性だって十分考えられるわよ?今回の戦争の一番の原因はユミル襲撃だし。」
「!!」
「……あ…………」
そしてレンの答えを聞いたリィンは目を見開き、エリスは呆けた後表情を青褪めさせて身体を震わせ始めた。
「言われてみれば、その可能性は十分にありますわよね……?」
「………実際カイエン公は”ヴァリマール”の乗り手であるリィンを勧誘する為に”パンダグリュエル”でユミルに襲撃したしな………」
「……リィンがパンダグリュエルに向かう代わりに2度とユミルを巻き込まない事をあの時カイエン公は口にしたが……メンフィルの襲撃と陛下達が奪還された事によって自分達の状況が不利になった今ならわからんな。」
セレーネは不安そうな表情をし、ガイウスは複雑そうな表情でリィンとエリス、エリゼをそれぞれ見つめ、ユーシスは重々しい様子を纏って呟き
「―――そうならない為に我々メンフィル軍がいるのです。本国から派遣されてきたメンフィル軍は当然エレボニア帝国と隣接している各メンフィル領にそれぞれ配置されていますが、ユミルが最重要防衛地点とされている為、今のユミルはエレボニア帝国と隣接している各メンフィル領の中で最も防御並びに迎撃態勢が整っており、最も安全な地帯と言っても過言ではありませんから、そんなに心配する必要はありませんわよ?しかもメンフィル皇家の方が最低一人は常駐する事になっています。」
「加えて冬が訪れた事によって雪山になった今のユミルは天然の要塞と化しています。地面が雪である事に加えて斜面や木々が障害となっている影響で戦車や機甲兵を使っての襲撃は難しく、またユミル領空には絶えず皆さんもその目にした”歪竜”や戦艦を含めた空挺部隊や”竜騎士”のようは飛行手段を持つ騎獣に乗る兵達の部隊が哨戒をしています。勿論山内の到る場所にメンフィル兵が配置されていますので、猟兵達による奇襲も”不可能”と言っても過言ではありません。」
「更に郷には精強なメンフィル軍の中でも生え抜きの実力がある親衛隊員に加えて親衛隊の隊長、もしくは副長が常駐しているわ。どう?これなら心配ないでしょう?」
「それは…………」
「―――例え”結社”の”執行者”や”蛇の使徒”であろうと多勢に無勢ですから不可能ですわ。変装能力が神がかっている”怪盗紳士”か”結社最強”と恐れられている”劫炎”、もしくは”鋼の聖女”でしたら可能かもしれませんが……」
「”怪盗紳士”と”劫炎”はプリネ達に討ち取られ、”鋼の聖女”とやらはクロスベルの上、例えその”鋼の聖女”とやらがシュバルツァー男爵夫妻の身柄を確保する為に強引に突破したとしてもそれまでの道のりに配備されているメンフィル兵達の報告でシュバルツァー男爵夫妻や郷の民達はメンフィル軍によって”鋼の聖女”が郷に辿り着くまでにどこかに避難させられるだろうから、”結社”によるユミルへの襲撃やシュバルツァー男爵夫妻の誘拐も実質不可能ね。」
シグルーンやエリゼ、レンの説明を聞いたリィンは複雑そうな表情をし、静かな口調で呟いたシャロンの後に続くようにサラ教官は真剣な表情で呟き
「うわ~……まさに完璧の布陣だね~。」
「むしろやり過ぎ。」
ミリアムは呆けた表情で呟き、フィーはジト目で呟いた。
「……レン姫。先程陛下達がメンフィルでの保護を受け入れれば、我々にも恩恵があると仰っていましたが、あれはどういう意味でしょうか?」
するとその時クレア大尉が真剣な表情で尋ねた。
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第30話