絡繰人間12号の『誘導追跡爆弾』を喰らい、絶対絶命の危機に陥ってしまった雪蓮達……………
諦めず立ち向かうも次々と倒されてしまう
雪蓮の死が確実と思われたその時、彼女達の助けに駆けつけて来たのは
『天の御遣い』北郷一刀であったっ!!!
十一節 〜12号の本気〜
一刀「あっ………戦う前に………」
一刀は突如、Uターンをして雪蓮達に近寄る
絡繰人間12号「んん?」
雪蓮「??」
明命「如何致しましたか?一刀様」
一刀以外の皆が首を傾げる
一刀「皆、怪我してるじゃないか
それを放っておいて戦闘は出来ないから……………」
一刀は右手を雪蓮達に向けて突き出す
一刀「『癒しの範囲』っ!!!そして『神域の結界』っ!!!」
ゴオッッ!!
ゴオッッ!!
一刀が叫ぶと雪蓮達の周りに黄色いオーブ状の壁が二重にして出現した
亜莎「っ!!!『癒しの範囲』と言えば華佗さんの……………」
思春「いや、何よりも『神域の結界』と言えば………………」
雪蓮「宝鈴の……………」
亜莎や思春、雪蓮の言う通り『癒しの範囲』とは華佗が魔人・響窃との戦闘の際に発動した広範囲型の回復技であり、『神域の結界』とは嘗て管理者の『否定過激派』であった幻術師・宝鈴が一刀との戦闘時に発動したイージスの盾のこと
一刀「鍛錬の合間の小休憩で会得したんだ…………」
一刀は一呼吸入れて話す
一刀「『神域の結界』を発動するのは不本意だけどね……………宝鈴が使っていたから本音を言えば使いたくない
でも『癒しの範囲』は回復は出来るけど、攻撃からは守ることは出来ないから……………」
一刀は苦笑いで説明する
一刀「皆は此処にいて
何があっても『神域の結界』からは出ないように」
一刀は結界内に留まることを雪蓮達に促す
雪蓮「………………分かったわ」
雪蓮は真顔で頷く
そうこうしている間に雪蓮達の傷が癒されていく
だが、やはりそれでも時間が掛かりそうだ
蓮華「気をつけて一刀…………奴は今までの絡繰人間とは桁違いの強さを誇るわ」
亜莎「元々、魏呉蜀の兵を元に造られた絡繰人間が十の兵の絡繰人間により部品を吸収して強化されました絡繰人間なのです…………」
亜莎は一刀が知らない今までの戦闘での状況を事細かに説明する
七乃「そのせいで私達の動きはバレバレ…………
呼吸法・筋肉の微細な動き・得物の傾き加減とかが一瞬で見抜かれてしまうんですぅ〜…………」
七乃は心底嫌な表情をする
一刀「なる程…………だから絡繰人間が1体しかいないうえ、皆がやられちゃったのか………」
一刀は説明を聞き、現段階の状況に納得する
一刀「左慈の話しによると呉の皆の方が鍛錬が速いって聞いてたから………
それなのに胸騒ぎがしたのも………こいつが原因か……」
一刀は振り向き、絡繰人間12号を見据える
明命「特に奴の『誘導追跡爆弾』は危険極まりないものです」
小蓮「シャオ達の気を探知して追跡してくる攻撃なんだよ〜!!?」
小蓮や明命は一刀にアドバイスをして、大雑把に『誘導追跡爆弾』の説明をする
一刀「『誘導追跡爆弾』?『気弾』が追跡してくるっていうのか………?
凄い技術力だな……………」
一刀は目を見開いて驚く
絡繰人間12号「ふっふっふっ………驚くのはまた早いぞ?
この俺には『真の姿』というものがある……………
まぁ、貴様等に見せるものではないがな…………」
絡繰人間12号は勝ち誇った表情で嗤う
だが、一刀もニヤリと笑い
一刀「もうさ………御託はいいからさっさとやろうぜ?」
言葉で煽ったうえ、指で挑発を仕掛けた
絡繰人間12号「っ!!!」
絡繰人間12号の表情は一気に強張り
絡繰人間12号「おのれ北郷一刀………
この俺をコケにしやがって……………!!!」
絡繰人間12号は怒りを露わにして一刀に歩み寄る
雪蓮「か、一刀っ!!!」
流石に雪蓮も慌てる
絡繰人間12号の強さは一刀よりも知っている雪蓮達にとっては危険しかない
一刀「口ばっかり動かしても何も始まらないだろ?」
絡繰人間12号「貴様…………!!!」
絡繰人間12号は遂には走り出し、拳を作り出した
絡繰人間12号「死ねえぇぇぇぇっ!!!」
フォンッ!!!
絡繰人間12号は素早く右の拳を斜め上から振り下ろした
一刀「ふうぅぅぅぅ………はっ!!!」
フォンッ!!!
ドカッ!!!
一刀は間合いを見て攻撃手段を殴りから蹴りに変え、こちらも素早く放った
絡繰人間12号の殴りと一刀の蹴りが交差して、小さな衝撃波を生み出す
一刀「さぁて、戦闘開始だっ!!!」
絡繰人間12号「でえぇりやああぁぁっ!!!」
フォンッ!!!
フォンッ!!!
フォンッ!!!
一刀「…………………」
絡繰人間12号は手加減なしの殴る蹴るの応酬を繰り返す
一刀はそれをただひたすらに無言で回避する
絡繰人間12号「おぉうりゃああぁぁぁっ!!!」
ブォンッ!!!
一刀「よっ…………?」
絡繰人間12号は一際大きい振りで右の拳を突き上げ、アッパーを放つ
だが、一刀は身体の重心を後にやり、何事もなく躱す
絡繰人間12号「(妙だ…………何故奴は俺の攻撃をこんな紙一重で躱せる?
奴の筋肉の収縮速度は全て計算済みの筈だ……………
なのに………………!!!)」
絡繰人間12号は内心、葛藤と焦りの感情に追い込まれていた
本来なら何撃もの攻撃が一刀の身体に直撃している筈
にも関わらず、一刀はノーダメージ
この時代には有り得ない事だ
絡繰人間12号「くっ!!!死ねえぇぇぇぇっ!!!」
ギュォォッ!!
ゴオッッ!!
一刀「ん?……………ほっ?」
ギュォォッ!!
絡繰人間12号は苦し紛れに『気力破』を放つが
一刀は右手を突き出し、それをまるで呼吸をするかの如く簡単に『吸気』して、自らのエネルギーに変換してしまう
絡繰人間12号「ぐっ!!?」
一刀「今度はこっちの番だな」
一刀は両手の拳を構えて間合いを詰める
そして
一刀「はっ!!!」
フォンッ!!!
バキッ!!!
絡繰人間12号「ふがっ!!?」
一刀は目にも止まらぬ速さで右ストレートを放ち、絡繰人間12号の顔面にクリンヒットさせる
絡繰人間12号「ぐぅ………!!!くっ!!!」
絡繰人間12号はあまりの痛さに顔を抑えると、両手にはベッタリと血が付いていた
どうやら一刀の一撃で鼻の骨が折れ、鼻血が出てしまったようだ
一刀「鼻血で蹲ってる場合か?絡繰人間…………」
絡繰人間12号「ぐっ!!!舐めるなっ!!!」
絡繰人間12号は怒りを露わにして再び一刀に殴りかかる
絡繰人間12号「でえぇりやああぁぁっ!!!」
フォンッ!!!
フォンッ!!!
フォンッ!!!
フォンッ!!!
一刀「ほっ?よっと………」
一刀は今回の攻撃も何食わぬ顔で躱し続ける
絡繰人間12号「くっ!!!おぉうりゃああぁぁぁっ!!!」
ブォンッ!!!
ブォンッ!!!
ブォンッ!!!
諦めず絡繰人間12号は攻撃を放ち続ける
一刀「出鱈目な攻撃じゃあ、俺には当たらないぞ?」
一刀は躱しながら絡繰人間12号に言うも
絡繰人間12号「うるさいっ!!!黙れっ!!!」
ギュォォッ!!
絡繰人間12号は身体の中心部に気を溜め込む
一刀「(……『真爆源花』か…………)」
一刀は心の中で絡繰人間12号が行おうとする事を先読みして攻撃に備える
絡繰人間12号「吹き飛べっ!!!『真爆源花』っ!!!」
ドッカアアァァァァンッ!!!!
絡繰人間12号は気を開放して巨大な爆発、『真爆源花』を発動した
雪蓮「あっ!!?一刀っ!!!」
思春「まずいっ!!!至近距離だっ!!!」
明命「一刀様っ!!!」
全員が身を乗り出し、『真爆源花』を見つめる
祭「くっ!!!」
祭は『神域の結界』から飛び出そうとすると、七乃が慌てて後ろから両腕を掴んで止める
七乃「あわわわわっ!!?駄目ですよ祭さんっ!!!一刀さんに出てはいけないと言われたではありませんか!!!」
祭は振り返って七乃に言い返す
祭「えぇ~い、離せ七乃っ!!!
そんな悠長な事を言っている場合ではないであろうっ!!!」
七乃「出ては駄目ですぅ〜っ!!!」
七乃は掴んだ手を離さず声を荒らげる
祭「一刀に危険が迫っているのだぞ!!!」
七乃「それでも祭さんが危険ですぅっ!!!
落ち着いて下さいぃっ!!!」
一刀「そうだぞ祭さん……………
もう少し落ち着いたらどう?」
七乃「そうですよね一刀さんっ!!!」
祭「何を言っているのじゃ一刀っ!!!
お主が危険に………………………」
七乃は同意を、祭は一刀に大声を上げようとしたのだが
七乃「へ?一刀さん?」
一刀「??どしたの?」
一刀はきょとんとした表情で聞き返す
明命「はぅわっ!!?何故一刀様がここにいるのですかぁっ!!?」
明命は一刀に気づいて人差し指で一刀を指して叫ぶ
雪蓮「貴方あそこにいたんじゃ………!!?」
雪蓮は今も『真爆源花』を発動している絡繰人間12号に向かって指を指す
一刀「そりゃあだって………回避くらいさせてよ………」
一刀は苦笑いで答える
思春「…………………まさか一瞬でこの距離を移動したのか……!!?」
一刀は保険をかけて『神域の結界』から凡そ100m以上距離を空けて闘っていたのだ
にも関わらず、その距離を1秒以下の速さで移動していたのだ
一刀「勿論、『空走』をしてだよ……?」
一刀は前置きをして説明する
蓮華「それでも…………速すぎるわ」
蓮華も驚きのあまり、開いた口がしまらない
一刀「っと………そんなことより」
一刀は絡繰人間12号の方向へ身体を向ける
一刀「アイツを本気にさせるか………」
小蓮「へ?」
小蓮が間の抜けた声を発した瞬間
一刀「…………………ほっ!!!」
ゴオッッ!!
明命「はぅわあぁぁぁぁっ!!?」
雪蓮「な、なんて速さなのっ!!!」
一刀が軽やかに大陸を蹴って『龍走』をした瞬間、流星のようにあっという間に絡繰人間12号の元へと消えていった
絡繰人間12号「ふうぅぅぅぅっ!!!んんっ!!?」ピピピッ
絡繰人間12号は『真爆源花』を解除して『万能鏡眼』の反応に眉を顰める
そこへ
ゴオッッ!!
一刀「とぉっ!!!」
ドカッ!!!
絡繰人間12号「なにぃっ!!?」
先程の『龍走』の速度のまま、一刀は超強烈なドロップキックをかました
左脇腹に直撃した絡繰人間12号は派手に吹き飛ばされる
だが、一刀は
一刀「よっと、はっ!!!」
ピュピュピュピュピュピュンッ!!!
巧く左片手でバク転をして受け身をしつつ、逆さのまま右手の指で『死の光波』での追撃を放つ
ドドドドドドドドドッ!!!
絡繰人間12号「ぐべあぁぁあっ!!?」
『死の光波』は絡繰人間12号全弾直撃する
そして、遠くの岩山に叩きつけられる
一刀はそのまま片手倒立をして少し呆れる
一刀「おいおい………俺の行動先読みしてるのなら躱せるだろう………ほっ!!!」
一刀は軽く飛んで態勢を立て直す
一刀「……………おーい?壊れたかぁ?」
一刀は目の上に手を添えて崩れた岩山を眺める
すると
絡繰人間12号「ぬぅわあぁぁぁあっ!!!」
ドッカアアァァァァンッ!!!!
絡繰人間12号は気を開放させて岩山を吹き飛ばす
一刀「そうこなくっちゃ♪」
一刀は満面の笑みになり、再びファイティングポーズをとる
絡繰人間12号「くぅっ!!!ここまでこの俺をコケにしたのは貴様が初めてだっ!!!」
絡繰人間12号は傷を自然治癒させながら叫ぶ
一刀「そりゃそうでしょ………実戦が初めてなんでしょ?」
一刀は含み笑いをして小馬鹿にする
絡繰人間12号「このぉ……………!!!」
絡繰人間12号は歪んだ笑みを浮かべる
一刀「俺を殺したいなら全力でこい
お前の本気の力はそんなもんじゃない筈だ」
絡繰人間12号「ほぉ?そんなに無様に死にたいのか…………
ならば見せてやるぞ………この俺の本気をな………………!!!」
ギュォォッ!!
絡繰人間12号は体内にある赤黒い気を大量に放出する
それは最早、霧にしか見えない程の量だ
雪蓮達との戦闘の際に放出した量とは比較にならない
絡繰人間12号「はあぁぁぁぁぁ…………っ!!!
ぐぬぅぅうぅわあぁぁあぁぁあぁ……………っ!!!!!!」
絡繰人間12号は全身に力を込め、呻き声に近い声を発する
すると
ゴコゴゴゴゴゴゴッ!!!
絡繰人間12号「ぐぬぅおおおぉぉぉぉぉ………………っ!!!!!!」
ビキビキビキッ!!!
絡繰人間12号の身体がメキメキと肥大化し始めたのだ
主に肥大しているのは筋肉なのだが、その身体の色は人間の肌色ではなく変色していき赤黒い色なっている
遂には黒い鎧に罅が入り込み、メキメキと音を立てて崩れ落ちた
雪蓮「な…何なの…………一体………っ!!?」
亜莎「ど、どんどん大きく…………」
小蓮「あ、あぁ………………」
七乃「何なんですかぁ〜っ!!?」
雪蓮を筆頭に全員かわ絡繰人間12号の異形な変化に釘付けとなる
小蓮と七乃、亜莎に至っては尻餅をついてしまう
そして
絡繰人間12号「はあぁぁああああぁぁぁっ!!!」
絡繰人間12号の身体は先程より二周り以上巨大化した
先程の身長が180cmと例えるのなら変幻を遂げた今なら軽く200㎝を超える
肌の色は完全に赤黒いグロテスクなものへと変わった
絡繰人間12号「はっはあぁぁああああぁぁぁっ!!!」
ギュォォッ!!
絡繰人間12号は低い唸り声を上げながら大量の気を放出し続ける
一刀「それがお前の全力か…………」
一刀はボソリと呟く
絡繰人間12号「そうだ!!!そして、これで貴様は終わりだぁっ!!!」
絡繰人間12号は気を放出しながら一刀に歩み寄っていく
一刀「さぁて……そいつはどうかな…………?」
一刀もニヤリと笑いながら絡繰人間12号に歩み寄る
そして、2人は零距離で向かい合って睨み合う
絡繰人間12号「ふっふっふっ…………」
一刀「くっくっくっ…………」
2人は不気味な嗤い声を上げ
絡繰人間12号「…………………はあぁぁぁぁぁっ!!!」
ブォンッ!!!
一刀「でえぇりやああぁぁっ!!!」
フォンッ!!!
ドカッ!!!
互いの拳を衝突させて衝撃波を生み出し、戦闘を再び開始させるのだった………
変貌し、本気モードとなった絡繰人間12号VS不敵に嗤い、何かまだ実力を秘めた一刀……………
果たして、戦いの行方は…………?
……終……
Tweet |
|
|
4
|
0
|
追加するフォルダを選択
絡繰人間12号の『誘導追跡爆弾』により雪蓮達は瀕死寸前…………
雪蓮達が絶体絶命の危機に陥ったその時、その危機に現れたのは北郷一刀であったっ!!!
さぁ、一刀よっ!!!雪蓮達の仇をとれっ!!!