No.779123

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

soranoさん

第9話

2015-05-23 19:23:15 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1204   閲覧ユーザー数:1127

同日、13:30――――

 

 

~カイエン公爵城館~

 

「ほ、報告!メンフィル軍は上空より強襲し、貴族街を陣取り、守備兵達を撃破しながら貴族街にある貴族の方々の家に突入し、当主の方々を次々と殺害しているとの事!」

「な、何だとっ!?お、おのれ薄汚い簒奪者共が……っ!オーレリア将軍やパンダグリュエルにはまだ連絡が取れないのか!?」

兵士からの驚愕の報告を聞いたカイエン公爵の長男―――ナーシェンは目を見開いた後怒りの表情で兵士に怒鳴った。

「そ、それが……オーレリア将軍閣下はオルディス襲撃の報を聞いて正規軍との戦闘を中断してこちらに急行しているとの事ですが、戦闘していた場所からオルディスまでの距離が相当ある為空挺部隊をどれだけ急がせても最低2時間はかかるとの事です!しかも撤退をし始めた我が軍に正規軍が追撃を始めた為、撤退に少々時間がかかるとの事です!」

「グッ!?おのれ、諦めの悪い賊軍め……っ!パンダグリュエルの方はどうだ!?」

兵士の報告を聞いたナーシェンは表情を歪めた後続きを促した。

 

「そ、それが……何故かパンダグリュエルに通信ができないのです!何度も通信をしても繋がらないのです!恐らくはパンダグリュエルに”何か”あったか、妨害電波のようなものがパンダグリュエルの周囲に流されているかと思われます……!」

「何だとぉっ!?」

「―――もう私達に勝ち目はありません。これ以上犠牲者を出さない為にも大人しくメンフィル軍に降伏すべきです、兄上。」

兵士の報告を聞いたナーシェンが声を上げたその時、ドレス姿の女性が橙色の髪の娘と共に部屋に入って来た。

 

「ユ、ユーディット様……っ!それにキュア様まで……!」

「ユーディット、貴様、今何と言った!?」

ナーシェンは目の前の女性――――カイエン公爵の長女であるユーディットを睨んで声を上げた。

「降伏すべきだと言ったのです。援軍も期待できない状況で、しかもメンフィル軍は目の前まで迫っています。これ以上抵抗しても無駄な犠牲者が出るだけです。」

「貴様、それでもカイエン公爵家の娘か!?誇り高き”四大名門”の”カイエン公爵家”が薄汚い簒奪者どもに降伏等、死んでもできるか!」

「薄汚い簒奪者はどちらですか!?メンフィル帝国にこのような事をされる原因を作ったのはカイエン公爵家を始めとした貴族連合ではありませんか!何度もメンフィル帝国に謝罪して、誘拐したエリス嬢を返還すべきだと進言したのに、父上や兄上達は聞く耳を持っていませんでした!今回のメンフィル帝国による報復活動は父上達――――貴族連合の自業自得です!」

「ユーディット、貴様……っ!―――キュア!お前もユーディットと同じ意見か!」

自分を睨むユーディットの答えに怒りの表情になったナーシェンはユーディットの傍にいる娘―――キュアに視線を向けた。

「少なくても誘拐したエリスさんをすぐにメンフィルに返還していたら、こんな事にはならなかったよ……!」

「き、貴様ら、揃いも揃って……!」

そしてキュアの答えを聞いたナーシェンは怒り心頭の様子で二人を睨んだ。するとその時城館内から怒号や悲鳴が聞こえて来た!

 

「なっ!?ま、まさかもうここまで来たのか!?クッ……降伏をしたいのであれば、貴様らだけで勝手にしていろ!私には次代のエレボニア皇帝を務めるという栄光の未来が待っているんだ!こんな所で、終わってたまるか!」

「ナ、ナーシェン様!?お、お待ちください!お二人をこのままにされるのですか!?」

そしてナーシェンは兵士と共に部屋から出て行ったが

「!!奴は確か……!――――あの男はカイエン公爵家の長男のナーシェン・カイエンだ!絶対に逃がすな!ひっ捕らえろ!」

「ハッ!」

「ナーシェン様、お逃げくだ――――グアアアアアアアッ!?」

「クソ――――ッ!こんな所で終われるか――――ッ!!うわッ!?」

「メンフィル(俺達)の逆鱗に触れた時点で、お前達はもう”終わり”だよ。―――寝てな!」

「ガハッ!?ク……ソ……ッ…………」

外から兵士の悲鳴やナーシェンの呻き声が聞こえて来た。

 

「「…………………」」

部屋の外から聞こえて来たナーシェンの呻き声や兵士の悲鳴を聞いた姉妹はそれぞれ重々しい様子を纏って黙っていた。するとその時兵士を引き攣れたヒーニアスが部屋に突入してきた!

「!貴様らは確かカイエン公爵の息女のユーディット・カイエンとキュア・カイエンだな?」

「…………はい。これより私とキュアはメンフィル軍に降伏します。私の身はどうなっても構いませんので、せめて妹のキュアだけは助けてください……お願いします……!」

「ユ、ユーディ!?」

自分を犠牲にしてヒーニアスに嘆願するユーディットの様子を見たキュアは表情を青褪めさせた。

「――――貴様らに関しては情状酌量の余地ありと判断されている為、危害を加えるつもりはない。―――が、エレボニア帝国との外交問題に決着が付くまでこの城館に謹慎してもらう。」

「……かしこまりました。メンフィル帝国の寛大なお心に心から感謝致します。エレボニア帝国とメンフィル帝国との外交問題に決着がついた後は、私達はどうなるのでしょうか……?」

「そ、それに捕まったお兄様はどうなるのですか……?」

「カイエン公爵家の当主、長男、正妻は帝都ミルスにて”公開処刑”を行うつもりだ。更にカイエン公爵家は爵位剥奪並びに全財産の没収の予定だ。貴様らに関しては今の所未定だが、没収した財産の一部を返還し、何らかの職について貰う事を検討中だ。」

「そ、そんな!?お母様まで……!」

「…………失礼ですが、メンフィル帝国軍を率いる貴方は何者なのでしょうか?」

ヒーニアスの答えにキュアが表情を青褪めさせている中、真剣な表情で考え込んでいたユーディットはヒーニアスに問いかけた。

 

「―――メンフィル王公領フレスラント領主”ナクラ公爵家”の子息、ヒーニアス・ナクラ・マーシルン。ゼムリア大陸のメンフィル帝国領の守護並びにエレボニア帝国侵攻の為に本国より派遣された将の一人だ。」

「!”マーシルン”という事は皇家の方でしょうか?」

「分家にはなるが、私もメンフィル皇家の一員だ。」

「そうですか…………――――ヒーニアス殿下。厚かましい申し出かと思いますが、状況が落ち着いた後私にメンフィル帝国と取引をする機会を与えて頂けないでしょうか?」

「ユ、ユーディ……?」

「”取引”だと?貴様は一体何が望みだ。」

ユーディットの申し出にキュアが戸惑っている中、ヒーニアスは眉を顰めて問いかけた。

 

 


 
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