No.773885

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第631話

2015-04-28 00:19:44 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1896   閲覧ユーザー数:1730

 

~第三学生寮~

 

(さてと……時間も時間だし、そろそろ寝ようかな……?)

「お帰りなさいませ、リィン様。」

「シャロンさん。」

リィンが学生寮に入るとシャロンが出迎えた。

「うふふ、随分とお帰りが遅かったですが、もしかして新たな女性と関係を深めておられたのでしょうか♪」

「う”っ。(す、鋭い……さすがはシャロンさんだな……)え、えっと……みんなはもう帰って来ているんですか?」

からかいの表情をしているシャロンに図星を突かれたリィンは表情を引き攣らせた後話を逸らそうとした。

 

「ええ。ゲルド様を除いて全員お戻りになっております。勿論若旦那様の”奥様”も若旦那様のお部屋で若旦那様のお戻りを首を長くして待っておられますわ♪」

「そ、そうですか………というか、何ですかその”若旦那様”って。」

アルフィンが自分の自室にいる事を察したリィンだったがシャロンの自分に対する呼び方が気になり、冷や汗をかいて指摘した。

「クスクス、会長からもお嬢様との結婚を認められている事に加えて、近い将来お嬢様とも籍を入れられるのですから、私にとってリィン様は若旦那様になるのですが、どこかおかしいのでしょうか♪」

「そ、それは…………え、えっと……せめてアリサと籍を入れるまでは今まで通りの呼び方でお願いします。」

シャロンの正論に反論できなかったリィンは大量の冷や汗をかきながら疲れた表情でシャロンを見つめて言った。

 

「フフッ、かしこまりました。………………」

「?シャロンさん?」

微笑んだ後静かな表情でジッと自分を見つめるシャロンの行動にリィンは不思議そうな表情で首を傾げ

「―――リィン様。このような遅い時間に突然の申し出をし、申し訳ないのですが、お部屋に戻る前にお時間を頂いてもよろしいでしょうか?リィン様と話したい事がありますので。」

「へ……え、ええ。別にいいですけど。」

シャロンの突然の申し出に目を丸くした後戸惑いの表情で頷いた。

 

「ありがとうございます。私は自室でお茶の準備をしておりますので、大変申し訳ないのですが少しだけお待ち下さい。」

「わかりました。(シャロンさんが俺に話……一体何だろう?)」

(うふふ、これはもしかしてのもしかしてかしら♪)

(ふふふ、今まで私達の期待を一度も裏切らなかったご主人様ですから、間違いなく”そうなる”でしょうね。)

(まあ、今まで二人っきりになった女性とはフィーを除いたら全員肉体関係の間柄になったからね……)

(リ、リィン様…………アリサさんのご実家のメイドでもあるシャロンさんとも関係を深めたら、アリサさんが今まで以上に怒ると思いますから止めた方がいいと思うのですが……)

(本当に懲りない方ですね、マスターは。)

シャロンの思惑にリィンが首を傾げて考え込んでいる中、ベルフェゴールとリザイラは興味ありげな様子で見守り、アイドスは苦笑し、メサイアは疲れた表情をし、アルティナは呆れた表情をしていた。その後リィンは準備を整えたシャロンに呼ばれるとシャロンの自室に入った。

 

~シャロンの私室~

 

「フフ、こうして自分の部屋にお客様を招くなんて、初めてで少しだけ緊張してしまいますわ。」

リィンと対峙して自分が淹れた紅茶を呑んだシャロンはリィンに微笑み

「へ……は、”初めて”って……アリサやイリーナ会長を招いた事はないのですか?」

シャロンの言葉を聞いて目を丸くしたリィンはシャロンに尋ねた。

 

「私にとって雇い主であり、仕える主でもある会長達を招く等そのような恐れ多い事はとてもできませんわ。」

「ハ、ハア………え、えっと……できればアリサ達には黙っていて欲しいのですが……シャロンさんに部屋に招かれて二人っきりになったなんて事をアリサに知られたら、アリサにもそうですがエリゼ達に何を言われるか……」

「クスクス……もちろんお嬢様達には内緒にしておきますのでご安心ください。今この瞬間だけはリィン様にご奉仕するための一人のメイド……何なりとご命令ください。誠心誠意お応えしますので♪」

「な、何なりと……?―――じゃなくて!」

シャロンの意味ありげな言葉を聞いて息を呑んだリィンだったがすぐに我に返って疲れた表情で声をあげ

(うふふ、今エッチな事を考えたわね、ご主人様♪相変わらず初心なんだから♪)

(ま、まあ殿方ですからどうしてもそういう方向に考えてしまうのは仕方ないかと……)

(その意見には同意しますが、マスターの場合、意図しなくても不埒な展開へと持って行くのですから冗談になっていません。)

(ふふふ、あのメイドの事ですから本当に応じてくれるのではないですか?)

(彼女ならしてもおかしくないように見えるから、冗談になっていないわね……)

からかいの表情をしているベルフェゴールに苦笑しながら答えたメサイアの念話を聞いたアルティナはジト目で呟き、リザイラの推測を聞いたアイドスは冷や汗をかいた。

 

「ふふ、申し訳ありません。リィン様が可愛いからついからかってしまって。本日お呼びしたのは他でもありませんわ。リィン様のこれまでの頑張り……僭越ながら、わたくしのほうから労わせていただきたくて。」

「え………」

シャロンの口から出た意外な答えにリィンは呆けた。

「リィン様は本当に、よく頑張ってこられました。トリスタでの戦いから無事に生き延びられて……お嬢様のこともちゃんと見つけて頂いて……クロウ様やプリネ様達も含めて”Ⅶ組”がこうして無事に揃ったのもそうですが、エレボニアが国として存続できるようになれたのもひとえにリィン様のおかげでしょう。」

「俺の、って………………そんなことはありません。俺だって、みんなやシャロンさんが助けてくれたから……」

「ふふ……わたくしの助けなど細やかなものですわ。リィン様が中心にいたからこそ今の”Ⅶ組”やエレボニアがあるかと思います。リィン様が立ち上がり、エレボニアが二国に攻め落とされた時も諦めず何とか救う方法を探すという決意をし、皆様がそれを信じ抜いたからこそ、こうして集まり、エレボニアを存続させることができた……ですから……本当にお疲れ様でした。」

「……あ…………――――ありがとうございます。ですがまだ全ては終わっていないので、労うのは早いですよ。」

シャロンの指摘で目を丸くしたリィンは静かな表情で頭を下げた後真剣な表情で呟いた。

 

「双界を救う為に挑むオズボーン元宰相との決戦、ですわね。……リィン様はお辛くはないのですか?既に死去されたとはいえ実の父親と剣を交える事になってしまいますが……」

「……複雑な気持ちはありますが、辛いとは思った事はありません。俺にとっての家族は父さん達――――シュバルツァー家で、オズボーン元宰相との関係を知らされた時も正直他人事としか感じず、今も実感が湧いて来ないんです。……白状者ですね、俺は。実の親を殺す事に躊躇いすらも沸いて来ないのですから。」

「―――そんな事はありませんわ。わたくしもシュバルツァー家に少しだけお世話になってわかりましたが……リィン様と男爵閣下達との関係は普通の家族以上に強い”縁(えにし)”を感じました。互いを大切な家族だと思っている証拠であり、そこに何者であろうと踏み込む事はできませんわ。例え実のご両親であろうと。」

「シャロンさん……―――ありがとうございます。そう言って貰えると少しだけ楽になった気がします。」

シャロンのフォローによってリィンは安堵の表情になった。

 

「フフ、お役に立てて幸いですわ。…………―――リィン様、一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「はい、何でしょうか?」

「リィン様はエイドス様すら倒し切れなかった存在をも手に入れたオズボーン元宰相との決戦の勝率はどれ程だとお思いですか?」

「…………決して低くはなく、むしろ高い方だと思っています。オズボーン元宰相が手にした力―――”ユリス”との戦いに勝ち残ったエイドスさんに加えてエイドスさんの親族であり、誰もが凄まじい使い手であるエステルさんやアドルさん達、異世界の神々やセリカ殿もいるのですから。―――ですが油断はできないと思っています。ルーファスさんを始めとした貴族連合に所属していた強力な使い手達が俺達の道を阻む可能性も十分に考えられる上、双界を敵に回したオズボーン元宰相との事ですから何か”切り札”のようなものを用意していてもおかしくありません。」

シャロンの問いかけに対し、リィンは真剣な表情で答えた。

「わたくしもリィン様と同じ考えですわ。…………―――リィン様、もしよろしければわたくしの過去を聞いて頂いてもよろしいでしょうか?」

「え…………それはもしかして”ラインフォルトグループ”に来る前のシャロンさんの過去ですか?」

シャロンの突然の申し出に呆けたリィンはすぐに表情を引き締めて尋ねた。

 

「はい。今回の決戦の相手は尋常ならぬ相手ばかりです。幾ら”執行者”であったわたくしと言えど生き残れるかどうかわかりませんし、お嬢様に命の危険が訪れた際身を挺してでも守るつもりです。なので、お嬢様のお相手であるリィン様にだけは今の内に話しておいた方がよいかと思いまして……」

「シャロンさん…………――――すみませんが、その申し出だけは受ける訳にはいきません。」

シャロンの話を聞いたリィンは静かな表情で意外な答えを口にした。

 

 

 

………ついにリィン、皆さんお待ちかねのシャロンの攻略を終えようとしています……(遠い目)関係ない話ですが神のラプソディーをやっていて感じましたけど、主人公であるエルドはウィルの学者版と言ってもおかしくないように見えてきました。というかエルドは自分の事を弱い弱いと嘆いていますが、ゲームでは主力の一人なのですがwwそう言う所もウィルと同じですよねww(実際ウィルも自分は戦いは得意ではなく、むしろ弱い方だと言っている癖に、ゲームでは十分戦える上終盤になれば護衛のセラウィ達より強くなりますしw)


 
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