咎を受けし御使いの最後の旅~二人の御使いと二人の劉備~
二人の天の御使い
一刀達一行は最終決戦を終わらせる為に城への突入を開始しようとしていたが、それを阻む敵が現れていた。
一刀「・・・なあ、あれって。」
目の前の城に靡く旗に刻まれた文字を見て沁は怪訝な表情を浮かべた。
沁「関、張、趙、錦、黄。いやな予感しかないな。」
桃香「えっと・・・愛紗ちゃんや星さん、紫苑さんに翆さんなのかな?」
一刀「いや、この場合・・・」
沁「蜀の五虎将。俺が劉備だった場所での猛将達だ。」
桃香「え、えぇ!?だ、大丈夫なのかな・・・」
沁「・・・ま、大丈夫だろ?俺が相手をするし、一刀はさっさと行け。」
一刀「え?でも。」
沁「敵の数も多い。恋、雑魚を頼む。」
恋「・・・(こく)」
一刀「行こう、桃香、月、詠。」
一刀はその場を沁と恋に任せて、そのまま城の内部に突入ていった。
沁「さてと・・・いっちょ大暴れといきますかぁ!!!!」
ゴウ!と沁を中心に大きな風が巻き起こると同時に沁の筋肉が見た目で分かるほど盛り上がった。
沁「お前ら・・・覚悟しろよぉぉぉぉ!!!!」
そのままドン!という音を残して沁の姿が消えると敵将の旗があった場所で兵や魔物が宙を舞った。
後に恋が語る。この時の沁は劉戯ではなく劉備だったのだろうと。それだけの乱舞だったと語った。
一刀「ちっ!城の中も酷い物だな!」
一刀は曲がり角から出て来る兵を片っ端から斬り伏せていく。
桃香「魔物があふれてる・・・気持ち悪~い!!」
月「桃香さん、文句を言ってないで手を動かして下さい!」
開けた場所で魔物の群れを見つけた桃香は嫌悪感を表し、月はそれを窘めながら魔物を一体一体倒して行く。
詠「はぁ、何でボクがこんな大役?」
その後ろで詠は懐から他の面々が持っている符とは違う符が握られていた。
一刀「とにかく及川から太平妖術を取り上げて封印しなきゃな。」
桃香「一刀さん、此処は私と月ちゃんで押さえるから、早く行って!」
月「こんな戦い早く終わらせましょう。行ってください一刀さん!」
一刀「ああ!往こう詠。」
詠「分かってるわ!」
一刀と詠はそのまま玉座の間に駆けこんで扉を閉める。その前いに二人は立ちふさがる。
桃香「さてと・・・この数を抑えるのは骨が折れるなぁ・・・」
月「持って・・・一刻ですか?」
桃香「一刻半は持たせたいなぁ。」
月「じゃあ、ニ刻ですね。頑張ってください。」
桃香「増えてる!?って頑張るの私だけ!?」
月「私は三刻程頑張って一刀さんに褒めてもらいますから。」
桃香「ずるい!だったら私は四刻頑張るもんね!」
そう言い合いながら迫りくる敵を薙ぎ払い投げ飛ばし倒していく二人の姿があったとか無かったとか・・・
一刀「及川!」
詠「太平妖術を寄こしなさい!すぐに封印するわ!!」
及川「・・・・・・」
二人の叫びに及川は黙ってうつむいたままだった。
一刀「・・・及川?」
及川「くくく・・・くひ・・・くはひkwyvhdげひわがああlw!!!!!!」
一刀が再び呼びかけると、まるで狂ったかのように笑い叫んだ。
一刀「な・・・及・・・川?」
詠「ひどい・・・」
その場に居たのは確かに及川だったが、その中身は大きく違っていた。完全に壊れているようだったのだ。
一刀「及川、しっかりしろ!俺だ!一刀だ!!」
及川「かz?t??ぶへひぃひげげ!!」
一刀「く・・・一刻も早く及川から太平妖術を奪い取る!!」
詠「待って!・・・あった!あの祭壇の上!」
一刀「あれか・・・はぁぁぁぁぁ!!!」
及川「!?くきゃぁぁぁぁぁ!!!」
一刀は太平妖術が祭られている祭壇に突っ込むが、それを及川があり得ない速度で割り込み、一刀を大きく後ろに弾き飛ばした。
一刀「ぐぅ!?」
詠「一刀!?」
一刀「・・・及川!しっかりしろ!!」
一刀の声にすら及川は反応を示さなくなっていた。それでも一刀は呼びかけ続ける。隙を見ては祭壇の方へ行こうとするが、そのたびに及川が立ちふさがる。
及川「あぁあ・・・・うぅうう・・・」
詠「まるで太平妖術を守るように立ちはだかってるわね。」
一刀「く・・・俺のことが分からないのか!一刀だよ一刀!かずピーだ!!」
及川「あう・・・かず・・・ぴー?うぅ・・・がぁぁっぁぁあ!?!?!?」
詠「・・・かずピーに反応したわね。」
一刀「・・・大事な時なのにすごい喜べない!?」
不本意な渾名に反応を示した及川。その事実に少しばかり、いや、かなりモノ申したい一刀だった。
及川「あぁぁああああああああ!?!?!?!?!?!?」
詠「・・・この時の為に練習していた、符投げ!」
びゅぅ!!
一瞬の隙を突き、詠は封印の為の符を太平妖術に向けて投げ飛ばす。
ばしぃ!
詠「な!?」
及川「ぐぎゃぇうぃしえい!!??」
一刀「・・・すまん及川。」
ずしゃぁ!!
及川「・・・ぎゃあああああああああああああああああ!!!!!!」
一刀は符を鷲掴みにした及川の左手を切り落とし、そのまま太平妖術に蹴り飛ばした。力を失くした及川の左手からひらりと符が零れ落ち、太平妖術に触れた瞬間、大きな爆音と共にその部屋は光に包まれた。
一刀「ぐ、詠!!」
詠「一刀!!」
及川「うがああああああああああああああああ!!!!!」
その光が収束すると、祭壇には力を失くした太平妖術の書が符によって開かないように封印され、左手を失った及川が倒れていた。
一刀「・・・詠、治療用の符を持ってたよな?それ・・・頼むわ。」
詠「・・・分かったわよ。お人好し。」
そう言って詠は緊急治療用の符を取り出すと及川の腕の切り口に張り付けると、その手から血が流れる事だけは無くなった。
一刀「・・・外の戦闘音が収まってきたな。」
詠「終わったのね。ふぅ・・・これで一騎とイチャイチャできる。」
一刀「・・・うん、詠が素直全開で俺は大変嬉しいです。」
その部屋にはまるで決戦など無かったかのような微妙な空気が満ち溢れていた。
晋との決戦は終わった。その日の内に人間の投降兵の取り纏めと、制御を失った魔物の討伐が行われた。
無論そう言った事をするのは人外を自称する鄧艾士載こと一騎とその仲間達。そして、左腕を失った及川が目を覚まし、一応の尋問が始まった。
一刀「で・・・だ。及川、どうしてあんな事をした?」
及川「あんな事・・・?それって人を作りかえるあれか??」
一刀「っ!そうだ。」
及川「・・・実はよう分からんのや・・・」
一刀「え?それって・・・」
??「それについては私が説明しましょう!!」
そうして入って来た少女が一人。その姿を見て一刀は・・・
一刀「き、君は!!・・・・・・・・・・・・誰?」
分からなかった。
あとがき
さてと・・・最後の最後に出て来た人は誰でしょう?
わかりませんね。
次回『外史を狙う者』
あれ?何気に重要回??
ではでは~。
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冥VS晋決着。
最終回まであとちょっとです。走りきったらどうしようかな?
では本編どうぞ。