No.751777

短編ネタ 真・恋姫†無双 ~俺が、俺達が、運び屋だ!~

piguzam]さん

第3話~反董卓連合と反乱同盟軍。似てるけど中身が違うww

2015-01-16 12:37:58 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:5437   閲覧ユーザー数:4692

 

 

 

前書き

 

 

恋姫二次では蜀アンチ多いけど、自分はあのぽややんとした雰囲気が好きですww

 

 

 

 

明くる次の日。

 

 

 

まだ朝日も昇らない頃合いに、俺達はファルコン号に荷物を積み込んで静かに平原を出発していた。

 

 

 

言うまでも無く運びの仕事な訳だが、向こうの時間指定で朝方に持ってきて欲しいと頼まれていたのでこんな中途半端な時間になった訳だ。

朝焼けの清々しい空を見ながら進み、この漢中の都である洛陽の船着場に船を入港させ、更にその船着場の奥にひっそりと建つ倉庫にファルコン号を入れた。

そして船を停止させ、おやっさん達に指示を出して荷の卸しを開始。

俺は皆が荷を卸してる間に倉庫の一角にある部屋に入って、受け取りにきていた人物達と邂逅した。

 

「おはようございまーす。ってあらら、珍しい。今日は賈詡殿と陳宮殿ですか?武官の方がいらっしゃらないのは珍しいですね?」

 

「うむ、おはようなのですぞ、尾美殿」

 

「おはよう。まぁ数回取り引きしてみて、尾美なら信用しても良いって思っただけよ。それに兵は今頃そっちの部下の荷卸を手伝ってるわ」

 

先に部屋の備え付けられた椅子に座って待っていた二人……董卓軍の知将賈詡ちゃんと陳宮ちゃんはそれぞれ挨拶を返してくる。

何時もなら護衛に武官の誰かを付けてたんだが、賈詡ちゃんの言葉通りなら、少しは信頼してもらってるって事だろう。

しかしまだ宦官と何進の対立は表沙汰になってないのにもう洛陽入りしてるのは予想出来なかったな。

ちょっと歴史がごちゃってるけど、まぁ恋姫だし。

 

「まっ。お二人であの数の荷物を運ぶのは、ちと畑違いの仕事ですもんね。あっ、こいつが今回の目録です。御確認を」

 

「うむ。拝見させていただきますぞ」

 

軽い世間話を交えながら目録を差し出すと、陳宮ちゃんが受け取って目を通す。

こんなちいちゃいナリでも軍師だってんだから、世の中分からねぇなぁ。

 

「問題ないと思いますが……詠、これを」

 

「ん。どれどれ……うん。確かに注文した通りの目録ね。後で兵に実際の数を確認させるからちょっと待ってくれる?勿論、そっちの立会い込みだから」

 

「えぇ、そりゃ構いませんよ。今日の仕事はこれだけですんで」

 

「そう?じゃあ少し世間話しましょ?……とはいっても、用件は相変わらず貴方の会社で売ってる『お菓子』や『お酒』の事なんだけどね。陛下はどれも大変お気に召していらっしゃるわ。勿論私達もよ……出来たら製法を知りたいのだけれど……」

 

「製法はお教えできませんので、今後ともご贔屓にお願いします」

 

「まっ、そうよね……ほんと、あんたがウチの軍に入ってくれてたら、こんな事言わなくても良いってのに」

 

何げに権力を匂わせた言い方をする賈詡ちゃんだが、俺はそれを笑顔で両断。

賈詡ちゃんも予想していたらしく、溜息を吐くだけで終わった。

まぁ既にこの遣り取りも何度かしてるので、特に場の雰囲気が悪くなる事は無い。

ここで彼女が言ったお菓子とは、スマホのGIJUTUチートとRYOURIチートを組み合わせて作った物の事である。

『柿の種』や『ポテトチップス』、『クッキー』に『マドレーヌ』とかの携行できるお菓子が大人気なのね。

まぁ型鉄と材料があれば幾らでも作れるんだが、ピーナッツだけは今育ててる所なので入ってないのが気に食わん。

俺は柿ピー派なのだから。

他にも日本酒なんかも酒造していて、こっちはあっちこっちの取引先の武将達なんかに大人気。

常に品薄状態な大人気商品となっていた。

尚、孫呉の方々にも売ってはいるのだが、向こうの仲介してくれる商人が何時も疲れた顔してるのは何故か非常に気になる所です。

そしてここでも俺のBURYOKUチートが発揮されて張遼さんと華雄さんに勝っちゃったから軍に誘われたけど、一度断ったら主の董卓ちゃんはしつこく誘わないでいてくれたので良かった。

まったく何処ぞの熟した王様やぽややんとした太守と比べてなんて優しいのだろうか。

賈詡ちゃんも親友に「強引に誘っちゃ駄目だよ?」と言われてるのでこれ以上は言ってこないのが嬉しい所だ。

 

ちなみに冀州の袁紹と陳留の馬糞ビシャアァ!!ちゃんの領内では取引きしていない。

 

理由としては袁紹は個人的にちょっと……付き合いは無い方が良いんじゃね?と考えたから。

それに袁紹の場合はこっちの在庫以上の物を要求されそうなので。

袁術の方は文台さん達孫呉相手に商売してたからどうしてもなし崩し的にやってる。

まぁ間の緩衝材に文台さん挟んでるからそこまで問題にゃならねーだろーけど。

 

陳留の曹操ちゃんはまぁ……初めの頃は二、三回くらい取引きしてたんだけどねぇ。

 

あそこに居る極度な男嫌いの猫耳フードがこっちの事を馬鹿にした発言くれたんで、取り引きを凍結させてもらいました。

勿論そうなると、ウチの製品にどっぷりと嵌ってた曹操ちゃんは納得出来ない訳で。

丁度帰ろうとしてた俺達を呼び出して、いきなり取り引きを止めるとはどういう了見か、と問い詰められた訳だ。

そこで俺は猫耳フードに言われた事を一言一句間違わずに曹操ちゃんに話した。

どうやら猫耳フードは俺達が件の菓子を販売、製造してる会社とは知らなかったらしく、俺達の態度が気に入らないから来なくて良いと言われた事も。

そしてこっちが男だからと随時見下してる様な偏見の目を持つ人間を部下に持つ御方とは取り引きなんてする気も無いと、はっきり断った。

あの時の猫耳フードの真っ青を通り越して白くなった顔には笑ったぜ。

それで帰ろうとしたら名誉挽回のつもりなのか、猫耳フードは俺にこう言ったんだ。

 

『あ、あんたも職人の端くれなら、一人や二人に気に入らない事を言われたからって、仕事より感情を優先させるんじゃないわよ!!それでも職人のつもり!?』

 

ってよ。だから俺はこう返した。

 

『はぁ……そうは仰られても俺の本業は荷の運び屋で、菓子職人でも酒造職人でもありませんから。アレは俺の趣味で作った物が好評だったので売りに出してるだけですし』

 

無礼にならない様に、且つ徹底した拒絶の意思を見せると、猫耳フードは口をあんぐりと開けたまま停止。

それを見た曹操ちゃんは呆れつつもまず自分の部下の非礼を詫びて、俺達を解放してくれた。

解放しなかったら思いっ切り暴れるつもりだったけどね。

しかもこの件は『貸し一つ』として、俺は曹操ちゃんに何でも一つ頼める権利を得てしまった。

その代わり、今回の件は口外しない事。そうすればさっき言った貸しの件は真名に誓うとまで言われてしまったよ。

まぁ情報伝達の術が未発達なこの時代、風評ってのは大事だろう。

そんな感じで俺達の会社は順調に業績を伸ばし、会社はいうなればウハウハな状態だった訳です。

 

 

 

しかし、霊帝が崩御して間も無く大将軍何進、何太后が暗殺され、その報復に十常侍が粛清されるという怒涛の展開に続く様に時代の流れはうねりをあげた。

 

 

 

その流れに乗り損ねた愚か者の発案で『反董卓連合』が結成され洛陽に火の手があがった時、俺達は――。

 

 

 

「いーーやぴーーーー!!」

 

 

 

ファルコン号で洛陽から絶賛爆走逃亡中なのでした、まる

 

 

 

「きゃあああああ!?ちょ、ちょっと尾美!!もうちょっとゆっくり運転しなさいよ!!今!!この船に!!どういう御方が乗っておられるか分かってんのアンタ!?」

 

「なーに言っちゃってんです詠ちゃん!!誰かに見つかる前に洛陽を離れねーと、ファルコン号の独特な形なんて見られたら直ぐばれちまうんだぜ!!だから飛ばさないといけないんだぜ!?」

 

「それにしたって、この速度は出し過ぎだっつってんのよ!!っていうか前々から思ってたけど帆も無いのにこの速度は、いや進むのはおかしいでしょぉおお!?何なのよ、この”ふぁるこん号”って船はぁあああ!?」

 

「へ、へうぅ!?へ、陛下、御身は御無事ですか!?」

 

「は、はい。朕はこの椅子に座っていますので大丈夫ですが……これは、凄いです……船長。貴方の名は尾美と申しましたね?」

 

と、先ほど名前を捨てた詠ちゃん(そう呼べと言われた)の文句もなんのそのでファルコン号を操縦していた俺の耳に、何ともふくつしい声が届く。

この声の主こそ、さっき詠ちゃんが言ってたやんごとなき御方。

時の皇帝陛下、劉協その人である。

しかも史実じゃ幼い筈のこの御方、何と黒髪バインバインな食べ頃のおにゃのこで御座る。

その姿は衣装も相俟って、正しく傾国の美女と呼ぶに相応しい色香を兼ね備えているやんごとなき御方。

まぁ手ぇ出したらヤバイのは分かってるので手は出しませんがね?

 

 

 

え?何で俺がファルコン号で反董卓連合という動乱の中、皇帝と董卓ちゃんと賈詡ちゃんを乗せて洛陽から脱出してるかって?

 

 

 

そりゃあ遡る事、反董卓連合の檄文が各地に送られた時の話――。

 

 

 

『と、いう訳で、オビ=ワンさんに来てもらいましたー♪』

 

『説明を要求する。後そこのコソコソ隠れようとしてるはわわ、あわわ軍師達。後でテメェ等のやおい本で焼き芋しちゃるから覚悟しろい』

 

『はわわ!?』

 

『あわわ!?』

 

『これこれ尾美殿。この様な愛らしい女子達をそう苛めるものではありませんぞ?』

 

『俺って気になってる子はとことん苛めたい性質でして』

 

『ふむ。ならば仕方ないな』

 

『あわわ……気になるのがどういう意味でか言ってないですぅ……』

 

何の説明も無しにいきなり劉備ちゃんの居城に召喚された俺だが、何でも聞きたい事があったらしく、それが董卓ちゃんの人柄の事だった。

袁紹が各地に送った檄文は『帝を傀儡にして洛陽で好き放題やってる董卓をぶっちめるから力貸せや』という類の物だったのだが、これは怪しいとこのロリっ子軍師達は見抜いた。

まぁ何処に居ても袁紹と袁術の暗愚っぷりは有名だからなぁ。

それで、各地への商売で色んな所に交友のある俺なら董卓がどういう人物か知ってるんじゃないかと思って俺に話を聞きたかったそうな。

まぁ檄文の内容も恋姫と同じだったので、俺は包み隠さず董卓ちゃんの人柄と洛陽の情勢と素晴らしさを話した。

 

ちょっと褒め過ぎたのか劉備ちゃんの頬がぷっくり膨れてたけど、ブスッと指でほっぺ刺したら関羽さんに青龍偃月刀でブスリとされかけた。倍返しなんてもんじゃねえ。

 

それでまぁ俺の話を聞いた劉備ちゃんはその優しい人柄故に、董卓ちゃんを助けたいと言い出した。

しかしそれは連合に喧嘩を売る所業であって、今の劉備ちゃんの軍の規模じゃ踏み潰されちまうのは目に見えてる。

そこで、はわわあわわが提言したのは、自分達も形だけ反董卓連合に参加して武将達を出来る限り捕らえる事で戦場から助け出す事。

この案なら少なくとも他の諸侯を敵に回さず、董卓ちゃんの軍の将を救えるという二人の案を聞いて劉備ちゃんはそれを採用。

しかしまぁ、さすがは臥竜鳳雛と呼ばれるロリだ……これなら世の情勢的にも他の諸侯や民に面子が立つし、自軍の強化にも繋がる。

傍から見れば偽善と言われそうなそれを優しい主に悟らせない手腕も見事と言わざるを得ない。

 

 

 

と、感心していた俺だが――。

 

 

 

『そ、それで!!他の諸侯の目を私達や董卓さん達に向けない為にも、董卓さん本人と賈詡さんの身柄は面識のある尾美さんに救出していただくという事で良いと思いましゅ!!』

 

『おーいはわわちゃん?にゃーんで俺がさらっと作戦の要っぽい所に居るのかなー?んー?』

 

『は、はわわ!?め、めくらないでくだひゃぁい!!見えちゃいましゅう!!』

 

『大丈夫。別に見えてもガキにゃ興味ねーから(笑)』

 

『はわ!?し、しちゅれいな!!』

 

と、何時の間にか俺は作戦の要に押され、拒否しようとしたら関羽さんと趙雲さんに怒られた。

曰く、自分自身が交友を結んだ相手を助ける事を拒むとは何事か!?だそうで。

いや、別に其処が嫌な訳じゃなくて、なし崩し的に劉備軍に入るのは嫌だからねって意味と言えば、姉者の何処が気に入らない!!と怒られる始末。

このままじゃ俺が悪者になるので、俺はとりあえずその言葉を『依頼』という形で金を貰う事で受けると言った。

これに軍師二人は反対しようとしたので、嫌なら話はここまでだ。と言って帰ろうとしたら劉備ちゃんがOKをくれた。

それに渋る軍師二人に、劉備ちゃんはちゃんと言い聞かせてくれたんだが……。

 

『忘れちゃってるけど、オビ=ワンさんは民だもん。それに会社には従業員の人も居るし、その人達にもお願いするんだから、ちゃんとお金は払わないと駄目だよね』

 

この時の劉備ちゃんに、俺は曹操ちゃんや文台さん達みたいな確かな王のオーラを見たよ。

人を問答無用で惹きつけるというカリスマがヤバイんだって。

まぁそんなこんなで洛陽の董卓ちゃん救出作戦を請け負った俺は三人組にデカイ仕事だと説明して、装備万端の状態で洛陽に向かった。

そこで、俺一人で洛陽に潜入して董卓ちゃん達を探したんだが、あわや袁紹軍の兵士に乱暴されそうな黒髪の美女と董卓ちゃん達を発見して、ライトセーバーでその場の全員を叩き斬った。

目撃者は生かしちゃマズイし、袁紹軍の兵士は躾がなってなかったから当然の結末だよJK。

そしてこの混乱に乗じて洛陽で暴れた黄巾賊の残党が火を放っていたので、俺は兵士の死体を火の中に投げ入れて証拠を隠滅し、三人をファルコン号に乗せて洛陽から逃げ出した次第って訳。

この時、黒髪の美女は二人と別れる手筈だったらしいんだが、さっきの兵士に犯されそうになったのがトラウマになったらしく離れたくないと言ってきたんで、面倒だから纏めて連れてきた訳だ。

一番背の高い黒髪の美女が一番足が遅かったのでお姫様抱っこで運んだ時に、名を捨てるという事で真名を預かった詠ちゃんから皇帝だと聞かされた時にゃびっくらこいたね。

 

 

 

と、ここに至るまでの経緯を思い出していた俺は操舵に意識を戻しつつ、皇帝の質問に笑顔で答える。

 

「へいへい!!わたくし性は尾美。名は一と言います。親しい人達にはオビ=ワンと呼ばれてますんで、陛下も良かったらそう呼んで下さいや」

 

「はい。ではそう呼ばせていただきます」

 

「ちょ!?アンタ!!陛下に向かってなんて口を――」

 

「いえ。良いのです詠。許します」

 

「し、しかし陛下……」

 

「朕の命とこの身はオビ=ワンによって救われました……そして、あの火の手があがる洛陽の城からも救い出し、朕の我侭も叶えようとしてくれています。ならば礼をすれど、不敬を問うべきではありません」

 

「ありがとうございまーす陛下。ところで何か俺に御用時だった御様子ですが、生憎見ての通り非常に急いでおりますので、話はまた後ほどでお願いしますね」

 

「えぇ。朕はこの様な船は初めてでして……こうして自由に走るこの船に感動しています。オビ=ワンの思うままに、もっと朕にこの船の素晴らしさを感じさせて下さい」

 

「あーなるほどぉ。そういう事ならこの尾美一。手は抜きませんぜぇ!!」

 

洛陽の広大な船着場から抜け、更に河のあちこちに浮かぶ船を縦横無尽に避けて疾走するファルコン号。

どうやら洛陽に火が放たれた時に、洛陽の民が財産とかを船に浮かべて火の手から守ったらしい。

なら船に当てる訳にゃいかねえなっと。

左に浮かぶ商船を避けたと思ったら影から出てきた小型船をファルコン号の股下を潜らせて事無きを得る。

ちっ。フォースの未来予知で回避は楽勝だけど、あっちこっちに船があって面倒だな。

 

「おやっさん!!航路を変えるぜ!!左の狭い河口に入るぞ!!……あり?」

 

「……」(カッチーン)

 

返事が無いのでおかしいなと思って見てみると、そこには舵輪握ったままカッチコチになったおやっさんの姿が。

……え?何故に?

 

「おいおやっさん!!なんで舵輪握ったまんま固くなってんの!?男が握って固くするのは一部分だけで良いんだぜ!?」

 

「こるぁあああ!!いきなり何を言い出すのよ変態ぃいいいいいいいいいいい!!」

 

「へ、へうぅ!?」

 

「??……月、男が握って固くする一部分とはなんですか?」

 

「へぅ!?そ、それはですね!?あの、な、何と申しますか……ッ!!」

 

「それはですね陛下、所謂男の聖剣ならぬ性剣。まぁ”ライト性バー”とでも申しましょうか。詳しくお知りになりたいのでしたら、詠ちゃんと月ちゃんが詳しいので後でじっくりお聞きになればよろしいかと」

 

「誰が詳しいだ誰が!?もーアンタは黙って運転しろぉおおおおおおおおおお!!」

 

「あらほらさっさー!!」

 

男同士のノリで下ネタ挟んだら詠ちゃんに怒られたお。

俺に殴りかかろうとするも丁度カーブを曲がった所だったので、哀れ反対方向に流れていく詠ちゃん。お疲れ様です。

そして陛下のその下に対する無垢っぷり、どうやら兵士に何をされそうだったのかは理解してなかったっぽいね。

多分兵士の興奮した様子が怖かったのと、本能が身の危険を感じたのかね?

しかし陛下のその純真無垢な心。いやはや俺色に染め上げたいもので……何でもございませんの事よ、詠さん?

そうやってふざけてたら、遂に固まっていたおやっさんがカチコチな動きで復活。

 

「だ、だだ、だってせんちょちょちょ……ッ!?て、て、て、天子様が俺の後ろににに」

 

あぁ、なるほどね、うん。そういう事か。

この大陸じゃ上座に座す皇帝と同じ目線に居るだけじゃ飽き足らず、まさかの前に座ってる訳だから緊張してんのね。

まぁ元盗賊なんだから余計に考えられねーだろうけど、今はそんな事で固まられても困るって。

 

「さっきの陛下の言葉聞いたっしょ?陛下は俺達の船の素晴らしさをもっと教えろと仰ってるんだぜ?なら副船長たるおやっさんがそんなんじゃ駄目だろ?」

 

と、俺なりの励ましでおやっさんの緊張を解き、おやっさんも真剣な表情でファルコン号の操作に集中する。

副船長の調子が戻ったのを確認してから、俺は船を細い河の流れにコースを変えて滑走していく。

しかしここで新たな問題が発生。

 

『船長!!河の袖口から船が三隻出てきて航路を塞いでます!!しかも賊ですよありゃあ!!』

 

「まんまみーあ!!何て間の悪い時に!!」

 

「え、詠ちゃん。何で向こうに座ってる人の声が、こんな近くで聞こえるの?」

 

「ぼ、僕にも分からない……どうなってるのよ……ッ!?しかも、前なんて全然何も見えてないのに……ッ!!」

 

ファルコン号のレーダーを模した望遠スコープ式の物見櫓に座っていたチビさんからのパイプ電話を通した報告に、俺は舌打ちをした。

肉眼で確認できる距離に船を捉えるが、狭い河に入ったのが仇になってファルコン号が通れそうな幅は残っていない。

しかも河の幅ギチギチに船を嵌めてるから、ここから船員を攻撃しても船はどけられないだろう。

だがしかし、ここで後退して今頃洛陽に居るであろう連合軍の目に止まるってのは何としても避けねぇとな。

 

「つっても大した問題じゃねぇし、このまま前進するか」

 

「え!?あ、あんた何言ってんのよ!!このまま行ったらぶつかるじゃない!!」

 

「……ゆ、月」

 

「だ、大丈夫……だと、思います。陛下……尾美さんを信じるしか……」

 

「まぁ確かにこのままなら駄目ですけどねー……でもまぁ――おいしょぉおおお!!」

 

俺は端っこの船目掛けて速度を落とさずに前進して、渾身のフォースプッシュで賊の船を奥へ弾き飛ばし、更にひっくり返してやった。

それで空いた隙間を縫う様に船を操縦して、そのまま猛スピードで賊を引き離す。

とりあえずの脅威は去ったので、おやっさんに操縦権を引き継いで詠ちゃん達に振り返る。

後ろの席に座っていた月ちゃんと陛下、そして月ちゃんの席にしがみつく詠ちゃん達は皆一様にして目を丸くしてポカンとしてた。

俺は皆の反応を見てクックと笑いながら、手をクイックイと動かす。

 

「俺にはこーいう不思議な力があるんで問題なっすぃんぐ、なのよ」

 

フォースの力に驚く三人におどける様に言う俺だが、一人プルプルと震えてるのを見て「あ、これヤバス」と思った。

え?誰が震えてるって?そんなもん皆大好きツンデレ軍師の詠ちゃんに決まってるジャマイカ。

 

「……先に言いなさいよそういう事はぁあああ!!!」

 

「さーせんww」

 

コンソールがあって蹴りが思うように振れないのと、後陛下が居るから実際に手は出してこず。

いや良かった良かった。俺はさすがに罵られ、蹴られで悦べる性癖は無いんだし。

その時は笑って済ませたんだが、まさか船着場に着いた瞬間に脛を蹴られるとは思わなかった。

やっぱ着いた時に「とりあえず、脱げ」って言ったのがマズかっただろうか?

詠ちゃんも月ちゃんも顔真っ赤にしてたから高級な服から庶民の服に着替えてって意味だと説明し、「まぁ、二人とも。おませさ~ん」って言ったら追加で三発もらっちった。

っていうか陛下も顔真っ赤にしてたのはちょっとビックリ。性の知識は無くとも羞恥心はあるって事か。

まぁとりあえず俺の仕事は終了したのだが、劉備ちゃん達は燃えた洛陽の復興支援の為に暫く向こうに残ったので、俺達が劉備ちゃんに会えたのはそれから一ヶ月後の事だった。

 

知らせが届いたので三人を連れて劉備ちゃん達の城に向かうと、既に劉備ちゃん達も俺の帰還を聞いてたらしく、将は全員集まってた。

 

それで事情を説明しようと思ったら、華雄さんを含めた董卓軍の旧メンバーも勢揃いしてて、皆月ちゃんと詠ちゃんの帰還に心から喜んだ。

そして二人は董卓と賈詡という名を捨てて真名だけで生きる事を決意し、劉備軍に侍女という形で保護される事になる。

張遼さんや恋ちゃんも劉備ちゃんに力を貸すと約束し、この反董卓連合で劉備軍は一層の戦力強化を図れたと言っても良いだろう。

まさか魏に行く筈の張遼さんと死ぬ筈の華雄さんまで劉備軍に来るとはなぁ。

どんな戦いになったのか気になると言やぁ気になるが、今それを聞くのも野暮か。

まぁそんな感じで、旧董卓軍の主だった武将をほぼ丸ごと吸収して、自軍を強化するという諸葛孔明と龐士元の策は見事に成ったのである。

 

 

 

うんうん。美しき友情かな――で終わればめでたしめでたしだったんだが、ここでビックな問題が残ってました。

 

 

 

「はわぁ!?な、なじぇ陛下までご一緒におられるんでしゅかぁあああ!?」

 

「あ、あわわ!?しゅ、朱里ちゃぁん……ッ!!それ、不敬になっちゃうよぉう……ッ!?」

 

 

 

まさかの皇帝陛下もご一緒って事で一同総パニック。

唯一何時もと変わらないのは戦闘時以外はポケーっとしてる鬼神、呂奉先こと恋ちゃんくらいだ。

真名は以前詠ちゃんに依頼されて俺の作った食材で料理を振る舞った時に目をキラキラさせながら預けられた。

今まで食った事の無い味でとても美味しかったと絶賛を頂いております。

 

ちなみに戦ったけど、ありゃ勝てないよマジで。

 

ソーレスの型で全力で防御して時間を稼ぐので精一杯だったし。

話を戻すが、予想だにしていなかった超が付くほどの大物が現れたので、恋ちゃんと俺以外は完全に平服してしまう。

まぁ確かにはわわあわわの計画じゃ陛下まで連れてくるつもりは無かったし、まさか陛下が洛陽から出るだなんて思っても見なかっただろうよ。

しかし黄巾賊の残党が起こした放火というイレギュラーな事態が起こった為に連れて来ざるを得なかったという詠ちゃんの説明に、皆も納得する。

更に詠ちゃんがいざという時の為に、『陛下は少数の護衛と侍女と共に洛陽から脱出し、信頼できる諸侯の元に顕現する』という噂をあちこちに拡散していたので、陛下が居ない事は俺が考えていたより問題にはなってない様子。

それどころか民の間では『天子様の降臨なされる場所こそ、漢の中心だ』と実しやかに囁かれてるのだとか。

だが、それでもここに陛下が居るのはかなりマズイ、というはわわの説明を聞いて、確かにと俺は頷く。

 

「え、えっとぉ……あの、オビ=ワンさん?どうして陛下がここに居るとまずいのかな?」

 

と、はわわの説明に頷く俺に質問してきたのは平服せずに軍議をして良いと陛下に許されて頭を上げている劉備ちゃんである。

 

「んー、まぁ言っちゃなんだけよぉ。ぶっちゃけもう時代は乱世に入っちゃってる訳。それでも陛下の立場は変わらず漢の象徴だろ?つまり陛下のおわす場所はそのまま漢の中心であり、其処の軍は忠臣って位置づけになるじゃん?」

 

ここまで分かる?と聞けば「な、なんとか?」と難しい顔で返す劉備ちゃん。

そんな主のぽややんっぷりに頭を抱える関羽さんに同情しちゃう。

 

「つまり、各地の天下に覇を唱えようっつー輩はその行いを正当化する為に陛下の御身を欲する訳。分かる?陛下の下知さえありゃあそれがどんな侵略行為でも漢の為にって正当性と大義名分が民に伝わるからって事さね。じゃあここで問題、乱世に名乗りを上げる豪傑達が次に狙うのは、果たしてどこでしょーか?」

 

「え、えっと、陛下がいらっしゃるのはココだから……もしかして……ここ?」

 

「はーい大正解だよ劉備ちゃーん。後でご褒美に飴玉あげよう。まぁそういう事だわな。未だ兵力も周りと比べたら米粒並みの劉備ちゃんの所に陛下が居るってバレたら、今度はこぞって周りの奴等が平原を狙いにくるよん、って話。もっと周りと対等に戦えるとか、兵力が少ないから見逃すっていう諸侯だけならそれでも良いけど、このまま陛下がここに居るってバレたら劉備ちゃん。それこそ米粒一粒になるまで他の人達に狙い撃ちにされちまうぜ?」

 

「えぇー!?」

 

まさかそんな事になるなんて欠片も考えてなかったであろう劉備ちゃんの絶叫が木霊する。

っていうかこれからの事考えるなら勢力の小さい劉備軍にゃ陛下という存在は猛毒にもなりかねねえんだよな。

そして俺の言葉を後押しする様に、はわわが強い声で劉備ちゃんに進言する。

 

「そ、その通りなのでしゅ!!もし陛下の居場所が漏れれば桃香様は第二の董卓さん、という立ち位置にされかねましぇん!!」

 

「うんうん。反劉備連合の出来上がりって訳だーな」

 

「あわわ……で、でも凄いです。尾美しゃんは民の方なのに、これからの情勢の事をしっかりと把握されてるんでしゅね」

 

「うむ。雛里の言う通り先見の明も素晴らしいが、それ以外にも尾美殿は私をも負かす武力を持ち、あの様な帆も必要としない不思議な船を作る技術を持ち得ていて、更にはこの大陸で大人気の酒や食料の生産まで行っている御仁だ。聞けば読み書き計算もこなすとか」

 

「そうなのよ!!それだけの事が出来るならうちの軍に入れって誘ったんだけど、コイツったら全然首を縦に振らないし!!まったく、月の何が不満だってのよ!!」

 

「へぅ……詠ちゃん。もう私達の軍は無いから……それに、無理強いは良くないよ……?」

 

「せやなぁ。でもこれからは劉備、やなくて桃香の元で働く訳やから、うちはまだ推薦するで?ウチと華雄っちも負けとるし、民にしとくにゃ勿体無いわ……っちゅーかウチの真名呼ばんのかい。折角預けとんのに」

 

「……オビ=ワンのご飯……とっても美味しい」

 

と、あわわ軍師の一言で話題が逸れて俺の話になってしまったではないか。

イカーン、このままじゃまた士官しろ攻撃のパターンだぜこりゃー。

特にこの乱世を見過ごせないと立ち上がった関羽さんの目付きはとても厳しい。

良くも悪くも真っ直ぐ過ぎるんだよな、ホント。

 

「皆さん。少し良いですか?」

 

と、図らずも良いタイミングで今まで黙って話を聞いていた陛下が俺達に注意を呼びかけた。

陛下からの呼び掛けに答えない訳にはいかず、全員がそちらに視線を向けて言葉を待つ。

 

「朕の所在が知られれば、民草に被害が及ぶという事は理解出来ました……それならば朕は、頼みたい事があります……オビ=ワン。貴方に」

 

「は?俺ですかい?」

 

「ちょ!?お、オビ=ワンさん!?」

 

最早無礼を通り越した言葉遣いにさすがの劉備ちゃん達も泡食ってしまうが、それを陛下は手で制す。

 

「いえ。良いのですよ劉備。オビ=ワンには、朕の全てを救われましたから……それでオビ=ワン。朕の頼みを聞いていただけますか?」

 

「はぁ……そりゃ、俺に出来る事でしたら構いませんけど?一体なんでしょーか?」

 

とりあえず頼みとやらを聞くにしても、その内容が判らなければ頷き様が無いのだが……。

そう考えながら陛下の言葉を待っていると、陛下はニッコリとぷりちぃな微笑みを浮かべて口を開き――。

 

 

 

「って訳で、涙流して喜べ野郎共!!遂に我が『尾美水船運送会社』に、可愛くて麗しく美しい!!そして可憐な一輪の華が咲いたぜ!!」

 

「空(くう)と申します。皆さん、どうぞよろしくお願いしますね♪」

 

「「「おぉおおおおおおッ!?すげぇ別嬪さん!!さすが船長!!ばんざーい!!ばんざーい!!」」」

 

「おいおい褒め殺しかよぉ!!照れるじゃねーか!!あっ。ちなみにこの人陛下だから。華は華でも詰み取ろうもんならコレもんだから」

 

「「「ばんざーい!!ばんざギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!?」」」

 

さっきまで万歳してたのに首カッ切るジェスチャーでお手上げに早代わり。不思議だね。

感涙の涙が恐怖の涙にチェンジしちゃってるよ。万歳のポーズのまま固まっちゃってるよ。ばんざギャーって何(笑)

そんな阿鼻叫喚な雰囲気の中でも陛下改め空さんはそのふつくしい微笑みを崩さない。癒されるわぁ。

 

「いやー!!もうホント、この微笑みを見れるだけで疲れ切った心が癒やされるだろ!?ちなみに彼女は俺達の茶汲み係ね。空さん、よろぴこ」

 

「はい♪お任せ下さい♪では早速淹れさせて頂きますので♪」

 

「「「ちょっと待てぇえええええええ!!?天子様に何やらせてんのこの人ぉおおおおおおおおお!!?」」」

 

 

 

はい。陛下が名前と髪型変えてウチのお茶汲み係になることになりました。

いやーこれ大陸にバレたら斬首コース待った無しだね、俺。

さすがにこの事態は予想外だったのか、豪快なユニゾンツッコミを繰り出した三人に、俺は説明を行う。

陛下の頼みとは、自分を俺の会社に置いてくれって事だったのだ。

民に紛れて名を変えれば、他の諸侯に自分の存在がバレる可能性も低くなるのでは?という考えの元に発案したらしい。

そして来たるべき時、今回の動乱で自分を保護した劉備軍が力を付けた時に再び皇帝として世に姿を表し、劉備ちゃんの戦いに大義名分を与えてくれるそうだ。

 

いやいや。俺の会社に陛下を置けと?やだ、なにそれ怖い。

 

これにはさすがに俺は反対しようとしたんだが、それより先にはわわ、あわわの二人が陛下の意見をゴリ押ししてしまった。

あの二人からしたら諸侯から狙われる理由が無くなる上に力を付けた時の大義名分が出来るのだから、面倒は俺に押し付けちまおうと考えたんだろう。

俺の会社を隠れ蓑にする利点を解き、更に陛下の頼みを断るなんて普通は出来ないから、俺はなし崩し的に彼女を受け入れる羽目となったのである。

しかし、俺からしたら只女を押し付けられただけじゃ割に合わない。

 

『ウチは働かざる者食うべからずなんで、陛下にも働いてもらいますからそのつもりで居て下さいねー?』

 

『『『『『『『『『『ファッ!!?』』』』』』』』』』

 

『……クスッ。そうですね。では、よろしくお願いします♪』

 

なので、ウチの簡単な仕事をする従業員という形で引き受ける事に。

これにはさすがの冷静沈着な趙雲さんでさえ口をあんぐりと開けて驚いていた。

陛下もさすがにそんな事を言われると思って無かったのか、目を丸くしていたが直ぐに微笑みを浮かべて頷く。

どうやら陛下とはいえども、偉ぶったりするだけの能無しでは無い様で安心。

うんうん。まぁ接客、とまではいかないにしても、会社に一人見目麗しい女が居るだけで商売もやりやすくなるな。

とりあえずこれで俺が受けた依頼は完遂したので、俺は陛下を連れて城を後にした。

 

 

 

なんか帰り際に『はわわ~!?』『あわわ~!?』とかいう悲痛っぽい悲鳴が城から聞こえたけど、気にしない。

ちょっと城から小火が出てたっぽいけど、気にしないったら気にしない。

 

 

 

まぁそんなこんなの末に陛下はウチの従業員として働く事が決まったのだが、問題は山積みだった。

何せ陛下は今まで城の中で暮らしていたので、浮世の常識や世情がまるで分からない。

一人称は朕だし、誰がどう見ても箱入り娘なのだから最初のうちは手を焼いたもんだ。茶の淹れ方すらも知らなかったし。

買い物してもお金を払い忘れかけたり、共周りは必ず着けるものだと思っていたり、果ては疲れたら運ぶ様に命令されてたよ。

しかも簡単に人攫いに捕まりそうになるわ純潔を奪われそうになるわもう大変。主に俺だけが。

一度やらかせば次からはしなかったけど、やる回数が多すぎで困るお。

とはいえ、何かしらの頼みごとは全て俺にしていたので、おやっさん達の心が潰れる事は無かったしまぁ良しとしよう。

そうしてる間に、劉備ちゃんは除州の州牧である陶謙にどんどんと認められ、高齢の陶謙は後釜に劉備ちゃんを推す事を考える程に信用を得ていた。

魅力チートどんだけやねん劉備ちゃん。

思わず『悪女だねぇ~』なんて言っちゃって二週間くらいほっぺを膨らませてジーッと睨まれる攻撃を食らってしまう俺であった。

 

 

 

ちなみに何時もの如くほっぺをブスリしよーとしたらガブッ!!とされた。ジュニアじゃなくて良かったと思いたい。

 

 

 

それから暫くの間は特に問題も無く平和に過ごしていたのだが、やはり乱世は始まってしまった。

 

 

 

口火を切ったのは「オーホッホッホ」で有名なあのおバカ袁紹。

 

 

 

元々、反董卓連合の発足だってこの女の嫉妬心が事の発端だが、今は置いておこう。

袁紹は軍を起こして直ぐに幽州に攻め入り、劉備ちゃんの私塾時代からの友である公孫瓚を攻め滅ぼしてしまう。

この報に不安を駆られた劉備ちゃんだが、この直ぐ後に部下を引き連れた公孫瓚が劉備ちゃんに保護を求めて現れ、無事を確認して劉備ちゃんは喜んでいた。

まぁこの辺りの事は俺には関係無いと思ってたんだが、そうもいかずでした。

 

取り引きしていた幽州が滅ぼされたと聞いたのは、丁度荷の運びで俺とおやっさんだけが成都を訪れていた時。

 

その時俺はGIJUTUチートを駆使して葡萄でワインを作っちゃおうと画策していたんだけど、幽州の話を聞いてかなり参った。

何せ袁紹は一番取り引き相手にしたくない相手だし、今は曹操ちゃんの領内は荷受けしかしてない。

これ以上菓子や酒の受注先を減らすと、業績が落ちてしまう。

いや、まぁ成績に拘ってる訳じゃ無いんだけど金は幾ら有っても困らないし、もう少ししたらデカイ買い物もするつもりだ。

 

「って事で、久しぶりに山賊退治で賞金でも貰おうと思った訳でして、はい」

 

「なるほどのう。それはご苦労だったな、尾美よ。では、これが約束の賞金じゃ」

 

ボッコボコにして縛りあげた山賊を厳顔さんに引き渡して代わりに約束の賞金を頂く。

これも結構な額なんだよねぇ。

 

「はい。確かに頂きました。それで、こっちは新しく作った酒の試供品です。皆さんでどうぞ召し上がって下さいな」

 

「なんと!?お主の所の新しい酒じゃと!?」

 

「まぁ、ありがとうございます。尾美さんの会社のお酒はとても美味しいですから、今から期待してしまいますね」

 

「オビ=ワンおにーちゃん。ありがとー!!」

 

「いえいえ。黄忠様と厳顔様にゃ、この盛都での商売の足を広げる時にお世話になりましたし、今回の話にも都合つけて頂きましたんで。それと璃々ちゃん、残念ながらこれは璃々ちゃんにゃ少々早えな」

 

「えー!?ぶーぶー!!」

 

二人の妙齢の美女に手渡した酒を貰えると思ってたのか、璃々ちゃんは頬を膨らまして怒ってしまう。

そんな娘の様子を見て黄忠さんは口元に手を当てながら微笑むだけ。

いや~、まさかここですら恋姫ヒロインの二人と知り合う事になるとは……何かしらの補正でもかかってるのかしらん?

 

「って事ではい。代わりに璃々ちゃんにはコッチをあげよう。甘くてほっぺが落ちそうなお菓子の詰め合わせだ。日持ちするから少しづつ食べてちょ」

 

「え!?良いの!?わーい!!お菓子ー!!」

 

「すいません。態々気を使って頂いて……」

 

「いやいや。子供の笑顔って癒やされますから……所で、焔耶ちゃんは?」

 

「あら?さっきまで其処に……」

 

璃々ちゃん用のお土産を渡した俺は、この成都の将軍の一人である魏延こと焔耶ちゃんを探す。

黄忠さんが目を向けた先には、壁に隠れる様にして俺に潤んだ視線を向けるブラックジャッ子が居た。

まぁ、あれだけ色々されちゃったらあぁなっても仕方あるめぇ。

何せこの間まで義賊をしてた焔耶ちゃんをノシてとっ捕まえて厳顔さんに売り払ったのは俺だからな。

その時は縛り上げたのに反抗的な態度を取ってきたからおやっさん達を先に帰して、俺は焔耶ちゃん達が根城にしてた洞窟の中で散々に悪戯してた。

敏感肌なのは知識で知ってたからねぇ。その敏感っぷりをたっぷりと味わせてもらった訳。いやはや、美味でした。

体中をこれでもかと愛撫して、あの強情っ張りが「欲しくて、堪らないんですぅ……」とまで言うくらいに苛め抜いたったぜ(笑)

しかしそこで欲しいモノをあげちゃあ躾にならないので、俺はあの強気な焔耶ちゃんが泣いて懇願するまで楽しんだ。

そうやって「良い子」にする事を約束させてから、もう気絶しようが「らめぇええ!!」と懇願しようが構わず、俺の”ライト性バー”で突いたり刺したりしまくってあげた仲ですな(笑)

 

「まぁ今はとりあえず放置で良いとして……」

 

「ッ!?(ガーン!!)」

 

「とりあえず厳顔さん。お願いしてた土地の方に関してはどうですか?」

 

壁の影でショックを受けてる焔耶ちゃんを放置して、俺は酒を持って上機嫌な厳顔さんに声を掛ける。

そろそろ平原もヤバそうな時期だし、次の場所を確保しとかねぇとマズイ。

という事で、以前からお世話になってる厳顔さんに頼んで場所の確保をしてもらっていたのだ。

他の三人が一緒に居ないのは、平原の会社の荷物を纏めて貰っているからである。

 

「おう。お主が指定した条件を全て満たした土地があってな。そこの地主と渡りは付けてあるぞ」

 

「おぉ。そりゃー良かった」

 

「後はお主が地主と直接交渉して、商談の話というだけじゃが……ふむ。丁度これから儂は調練があるので行けんが、焔耶に案内をさせよう」

 

「ッ!?(キラキラッ!!)」

 

おぉう。厳顔さんの言葉を聞いて焔耶ちゃん目が輝いちゃってるよい。

まぁ、俺としても女の子に好かれてるってのは嬉しい事だね。

ましてやそれが可愛い子ちゃんとくれば尚更よ。

 

「そいつはありがとうございます。それじゃあ焔耶ちゃん。よろしくー」

 

「は、はい!!こちらへどうぞ、お館!!」

 

俺は黄忠さん達に挨拶をして別れ、尻尾があればブンブン振ってそうなぐらい喜びを顕にした焔耶ちゃんの後ろを歩き、例の土地で地主と話を煮詰める。

そして商談を済ませた俺は再び焔耶ちゃんを伴って、おやっさんとの待ち合わせ場所である酒場へと向かうのだった。

さてさて、次の会社はどんな風に作ろうかねぇ?

 

「(モミモミ)はぁ、あ……ッ!?お、お館ぁ……ッ!?こ、こんな所でそんな……ッ!?」

 

「うーん。相変わらず美味そうなおケツしてんじゃないのー」

 

「あ、あぁ、んひぅ……ッ!?」

 

道中、隣を歩く焔耶ちゃんのナイスヒップを楽しんだのは言うまでも無い。

そしておやっさんと合流したのでやめたら、おやっさんが焔耶ちゃんに睨まれたのは言うまでも無い。

 

 

 

 

 

後書き

 

 

さぁ、さくさくいくよーww

 

 

 


 
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