No.73837

真・恋姫無双外伝~覇王の願い~帰還編vol.5『華琳』

真・恋姫無双(魏ED)後のASです。
ようやく、華琳登場です。
でも今回も短いです;;
すみません(´・ω・`)
それから、しばらく一刀主観で行くといいつつ、いきなり華琳視点がでてます。そこらへんもすいません(´・ω・`)

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2009-05-15 23:25:15 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:22148   閲覧ユーザー数:17986

【一刀】「ここは・・・どこだ・・・。」

 

ゆっくりと辺りを見回す。

一言でいうなら、闇。

一切の存在を否定するような、漆黒の景色。

混乱する頭でひとつの答えをだす。

 

ここは成都ではない。

 

悪夢から覚めるような錯覚に陥る。

違う。

こっちが悪夢なのだ。

そう言い聞かせる。

視線を定めることもできず、後ろへよろめく。

そこではじめて気づく。

俺は今、立っているのだと。

自分の足元すら見えない世界の中で理解できるものを探す。

 

【???】「・・・・・。」

 

少しずつ冷静さを取り戻す中で、気配があることに気づく。

 

【一刀】「誰・・・だ?」

【干吉】「そういえば、まだ名乗っていませんでしたね。・・・わが名は干吉。」

聞き覚えのある声だった。

この声はあのときの―

【干吉】「貴方をここへ連れてきた者ですよ。」

俺が答えを出す前に突きつけられた。

【一刀】「これは・・・どういうことだ」

そう口にしていた。無意識に今一番求めている疑問を。

【干吉】「そうですね・・・。結論から言うと、さきほど壊した世界。あれは私と左慈・・・私とともにいた彼で作り上げたものです。」

【一刀】「作った・・・?」

【干吉】「ええ。貴方が先日までいた世界。それを模倣して作ってみたのですが・・・・やはり他人のものを作るというのは不安定すぎるようですね。1日持たせるのが限界でした。」

何を・・・言っている?

【干吉】「我々が外史と呼ぶ世界。それは様々な形を持ち、統一性など皆無に等しいものですが、ひとつだけ揺ぎ無く等しいことがある。」

俺の動揺を無視して、干吉は続ける。

【干吉】「必ずしも、それらは正史・・・貴方の世界より誰かが生み出したものということ。」

理解できる要素がひとつも無い。ただ・・・聞くしかなかった。

【干吉】「それが外史。人の手によって生み出され、その者の手によって終わらされる世界」

【一刀】「がい・・・し・・・」

【干吉】「そして、あの三国志を改変した世界。あれは貴方が生み出した外史なんですよ。北郷一刀。」

【一刀】「俺が生み出した外史・・・」

 

いや、理解は・・・・していた。

たしかにあの瞬間、俺は知った。

ここは・・・

【干吉】「あそこは・・・終端をむかえるはずだった。」

【一刀】「・・・・・だった?」

干吉の雰囲気がかわった。

冷徹なものからどこか悲哀のこめられたものに。

 

 

――――あの外史は・・・膨らみすぎたんですよ――――。

―――カリカリ

 

部屋で日常の政務を進める。

少し、頭が疲れ始めるところで顔を窓へ向ける。

窓から外を眺める。

今の気分に対して嫌味なほど晴れ渡った空。

 

 

【華琳】「ふぅ・・・」

あいつがいなくなって、どのくらいだろう。

はじめこそ魏の上層部はかつて無いほど混乱した。

 

それでも、今ではなんとか平常を取り戻しつつあった。

3国での大陸平定も昔ほど否定するものではなくなっている。

―――コンコン。

【華琳】「・・・・っ!」

【秋蘭】「華琳様、そろそろ時間ですが。」

まったく。

【華琳】「ええ。すぐにむかうと伝えてちょうだい。」

【秋蘭】「御意」

吹っ切れたつもりだったのに。

少しでも片鱗を見ると期待してしまう。

 

でも

 

【華琳】「こんなところ、死んでも見せられないわね。」

扉を開き、広間へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――。

 

 

 

会議は進んでいく。

軍儀が会議となった。それだけのことだけど、それはやはり戦のない世を作り上げた証。

 

【華琳】「それで治安のほうは?」

【凪】「問題ありません。小さなものはいくつかあがっておりますが、対処の簡単なものばかりなので大丈夫かと。」

一刀の後任には凪がついている。その補佐として沙和と真桜が。

当然といえば当然の人事。

【華琳】「そう。その調子で引き続き警備のほうは任せるわね。」

【凪】「は!」

なにより以前のようにここへ来ても緊張しなくなったのは大きい。

 

【桂花】「華琳様、他に議題がなければこれで会議を終了しようとおもいますが。」

【華琳】「ええ、そうね。お願い」

【春蘭】「では、これにて本日の会議を終了する!」

 

 

 

 

 

 

 

広間を出て、離れへと続く通路の途中。

以前はよくここで出くわした。

・・・・さて

【華琳】「いつもどおり出来たつもりだけど」

秋蘭あたりには気づかれたかもしれない。

会議中にもこちらをチラチラと見ていたけれど。

あれから、不定期ではあるが

周期的に感情の波がぶりかえす。

これではほとんど病気だ。

 

【華琳】「・・・・・・あまり考えたくもないわね。」

 

あろうことか、魏の覇王とも呼ばれる者が。

 

わかっているのだ。

考えたところで、それが呼ぶのは思考のループ。

でも、

きっかけがどれほど小さいものであろうと、

堰を切ったようにあふれてくる。

駄目だとわかっていてもはまってしまう。

 

敵を屠る術ならいくらでも知っている。

国を支える知恵だってある。

王としての器も誰かに劣るとは考えたこともない。

なのにとまらない。

 

 

――ずっと・・・側にいなさい・・・――

 

――そうしたいけど、もう・・・無理かな・・・

     俺の役目は・・・・・これで終わりだろうから――

 

 

だめ

 

とまらない

 

あの瞬間に逆行したように

 

溢れてくる。

 

 

 

せめて、見られるわけにはいかない。

覇王としての最後の抵抗をつづけ、部屋へ戻る。

扉を開き、そのまま後ろ手で閉める。

 

 

――――――――。

 

 

 

 

 

 


 
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