No.706825

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第184話

2014-08-07 16:10:28 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2191   閲覧ユーザー数:1948

~ローエングリン城~

 

「―――我らが駆け付けてくる前に子供達を守っていてくれた事、感謝する。ただ何故この城の中にいたのか、訪ねてもよいだろうか?」

「えっと……その……」

ラウラに尋ねられたアイドスは言いよどみ

「ねえ、セリカ達の会話を聞いていて、疑問に思ったけど、サティアじゃないんだよね?」

エヴリーヌは静かな表情で尋ねた。

 

「”サティア”……?以前もその名前が出てきたが……」

エヴリーヌの質問にガイウスは考え込み

「!え、えっと……実は――――」

アイドスは咄嗟に思いついた嘘―――旅の途中、転移門を使った際、事故でこの場に現れた事を説明した。

 

「そんな事が……」

「それは災難でしたね……」

事情を聞き終えたリィンは驚き、セレーネは心配そうな表情で見つめ

「ねーねー、お姉さんってその人―――”嵐の剣神”とそっくりだね~?もしかして双子??」

ミリアムは首を傾げて尋ねた。

 

「……―――ええ。自己紹介が遅れたわね。―――私の名はアイドス。アイドス・セイルーン。セリカは私の”お兄様”よ。」

「ええっ!?」

(なっ!?)

「フム、確かに間違ってはいないな。」

「……………おい、何のつもりだ。サティアが使っていた名前を使った事もそうだが、何故俺がお前の兄になる。」

アイドスの自己紹介を聞いたシュリとハイシェラは驚き、メティサーナは納得し、一瞬石化したかのように固まっていたセリカは我に返るとアイドスを睨み

(ハアッ!?ア、”アイドス”ってまさか……!)

(かつてアヴァタール地方に災厄を運び込んだ古神―――”慈悲の大女神”ですか!?)

(かの女神は”神の墓場”にて”神殺し”に討たれたと、白銀公から聞きましたが……)

ベルフェゴールとメサイアは驚き、リザイラは真剣な表情でアイドスを見つめた。

 

「あら、”どちら”の意味でも間違っていないでしょう?私はアストライアお姉様の妹だから、お姉様が”サティア”として名乗っていた頃の”セイルーン”を名乗ってもおかしくないし、貴方はお姉様が伴侶と決めた相手だし、お姉様の身体を持つ貴方にとって私が妹なのは間違いないし。」

「……………」

(………………………)

微笑みながら答えたアイドスの答えを聞いたセリカは自分が知るアイドスとあまりにも違う事に冷や汗をかいて絶句し、ハイシェラは口をパクパクさせ

「ア、アハハ。た、確かによく考えたらそうですよね……」

シュリは大量の冷や汗をかきながら苦笑していた。

「あ、それとも呼び方は”兄さん”の方がよかったかしら?もしくは”お兄ちゃん”かしら♪」

「ア、アイドス様!?」

「…………サティアの容姿と声でそれ以上おかしなことを口にするな……」

「というか、アイドス様は女神なのですから、もっと威厳を持って欲しいのですが……」

(ククク……ハハハハハッ!これは傑作だの!サティアが今の変わり果てたアイドスを見たら、どんな顔をするのか見物(みもの)だの!)

そしてアイドスの口から出た信じられない発言にシュリは驚き、自分が心から愛する女性の容姿でからかいの表情になって自分を見つめるアイドスの言葉に突如頭痛を感じたセリカは片手で頭を抱えて呟き、メティサーナは表情を引き攣らせ、ハイシェラは腹を抱えて笑っていた。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!”神殺し”―――いえ、”女神”の身体に宿るセリカ殿の妹という事は……!」

「まさか……貴女も”女神”なのですか?」

その時リィンが慌てた様子でアイドスを見つめ、エマは信じられない表情でアイドスを見つめて尋ねた。

 

「あら、セリカの事、そこまで知っているんだ。」

「おい。あいつらはどこまで俺の事情を説明したんだ?」

リィン達がセリカの事情を知っている事にアイドスは目を丸くし、セリカはエヴリーヌを睨み

「エヴリーヌにそんな事を言われても、知らないよ。」

睨まれたエヴリーヌは興味なさげに答えた。

 

「フフ……――――ええ、そうよ。”慈悲の大女神”。そんな風に呼ばれていた事もあったわ。」

「”慈悲の大女神”……」

「ほ、本当に女神様だったんですか……」

微笑みながら答えたアイドスの話を聞いたガイウスは目を丸くして呆け、セレーネは信じられない表情をし

「すっげー!アイドスお姉さんって、女神様なんだ!」

「おねえちゃん、すっごい美人だもんね!」

子供達ははしゃぎながらアイドスを見つめ

「め、女神って……”嵐の剣神”が女神の身体に宿っているとかどうなっているの~!?」

事情が全く呑み込めていないミリアムは混乱し

「少しは黙れ、阿呆。」

「アハハ……セリカさんの事情を知らなかったら、普通はみんな驚きますよ……」

ミリアムに注意したユーシスにエマは苦笑しながら答え

「フフ、これももしかすれば”槍の聖女”のお導きかもしれないな……」

ラウラは静かな笑みを浮かべてアイドスを見つめた。

 

「それでアイドスだっけ?これからどうするの?」

「―――今後の身の振り方についてはまずこの城を出てから考えるわ。悪いけどこの城を出るまでの間、同行させてもらってもいいかしら?」

エヴリーヌに尋ねられたアイドスは答えた後リィン達を見つめ

「それは別に構いませんが、肝心の出入り口が結界に阻まれて脱出できないんですよね……どうやって脱出をすればいいのか、俺達も考えていたんです。」

リィンは困った表情で答えた。

 

「ふむ、そう言えばこの部屋にも結界がかかっていたはずだが……そなたたちはどうやってここまで入り込んだのだ?」

その時考え込んでいたラウラはある事に気付いて子供達に尋ねた。

 

「えと……ぼくたちが入ってきたときはここまで普通にこれたんです。とりあえず最上階を目指してたんですけど……」

「ここの部屋に入って、アイドスお姉さんを見つけた時にいきなりあたりが青白いモヤに包まれてさ。扉にも変な模様が現れて、戻ることもできなくて途方にくれてたんだよ。」

「要するに閉じ込められていたわけか……他の脱出ルートがあるわけでもなさそうだな。」

子供達の話を聞いたリィンは周囲を見回して考え込んだ。

 

「やっぱり、この状況をなんとかしないことには出るのは難しそうですね。正門の結界を解く方法が何かあると思うんですけど…………」

エマは呟いた後考え込み

「―――ちょっと待って。この城の最上階にこの城全体を覆っている力の源が感じられるわ。」

「なに……?」

「ふむ……そんなことがわかるのか?」

静かな表情で答えたアイドスの答えを聞いたユーシスは眉を顰め、ガイウスは不思議そうな表情で尋ね

「そりゃ女神なんだからそのくらいの事、わからない方がおかしいよ。エヴリーヌだって感じているんだから。」

「エ、エヴリーヌさん……わかっているなら、教えてくれてもいいじゃないですか……」

呆れた表情で答えたエヴリーヌの話を聞いたセレーネは疲れた表情で溜息を吐いた。

 

「とりあえず、最上階の力の源を何とかすればいいだけだな。」

アイドスの答えを聞いたセリカは上を見上げて呟き

「えっと……子供達はどうしましょう?」

「いっそ、何人か残しておくか?」

ある事に気付いたシュリはリィン達を見回し、メティサーナは尋ねた。

 

「別にそこまでしなくても、連れていってもいいんじゃないのー?これだけのメンツがいれば護衛も出来るだろうし。」

「危険はあるかもしれないが一理あるな……」

「二人とも、聞いた通りだが……ついてこられるか?」

ミリアムの提案に考え込んでいるリィンの様子を見たラウラは子供達に尋ね

「も、もちろん!」

「みなさんがいるなら僕達も安心ですし……」

子供達は力強く頷いた。

 

「ふふ、わかった。」

「フン、せいぜい責任を持って護衛しよう。」

「それじゃあさっそく最上階に向かうぞ。」

「では改めて出発しようか。」

こうしてアイドスと子供達を加えたリィン達は最上階に向かって進み始めた。

 

 

 

今回の話はセリカに対するアイドスの”兄”発言もそうですが、アイドスがセリカを”お兄ちゃん”呼ばわりしたのは吹いたと思いますwwもしかしたら大陸最強にして天然女神一家ブライト家の娘として産まれる姉のサティアによって感化されたのかもしれませんね(オイッ!)恐るべし、ブライト家……!(冷や汗)というか、今考えたらマジでヤヴァすぎですよ、ブライト家。パズモ達が味方に付いている事やメンフィル皇家の後ろ盾すらもむしろまだマシな方で、フェミリンス、アストライア、アイドスの女神三柱に加えて神殺しとその使徒達がいざとなれば、助けてくれるのですから(ガタブル)マーズテリア教団も真っ青な史上最強の陣営ですよ(爆笑)ってか、この陣営なら冗談抜きで現神すらもブッ飛ばせるというか滅ぼせますよ(ガタブル)


 
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