北郷一刀の外史紡ぎ二篭 第十五話―黄巾党討伐5
一刀「さて・・・貴様等が張角、張宝だな?」
命人「角兄ぃ、宝兄ぃ。覚悟してもらうぜ。」
張角「梁!?どう言う訳じゃ!!」
張宝「へぇ・・・梁が裏切るとわねぇ・・・」
一刀、命人、張角、張宝の四人は対峙しあう。
一刀は鉄の柄に手を掛け、命人は自身の愛槍を構える。
同時に張角、張宝はおそらくそれが武器なのであろう、木でできた杖を構える。
黄巾兵「張角様!張宝様!加勢します!!」
周囲の黄巾兵が一刀達に襲いかかろうとしたその時・・・
思春「させん!黄泉路へ誘え、『旋回鈴閃』!!」
ヒュン!キィィィィィィン・・・・パシ!
ブシュアアァァァァァァァ!!!
黄巾兵「「「「「がぁあぁああぁあっぁあ!?!?!?!?」」」」」
斬られた黄巾兵は何が起きたか分からないと言う叫び声をあげて首、胴、腕とばらばらにされていった。
明命「自らの行いを悔いなさい!『熔化黒閃』!!」
斬!斬!斬!!!
黄巾兵「がぁ!」
黄巾兵「ぎゃぁ!?!?」
黄巾兵「な、なんだ・・・傷口が・・・ぎゃぁぁぁぁ!!」
明命によって斬られた黄巾兵はその傷口から腐食が始まり、恐怖のまま命を落としていく。
蓮華「すぅぅ・・・『蒼龍爪斬』!!」
シュ!・・・・・・チン。
ブシュゥアアアアアアアアアアアアアア!!!
黄巾兵「「「「「「「「「「「「「ぎゃ・・・・」」」」」」」」」」」」」
蓮華の放った抜刀氣斬によって、悲鳴もまともに上げられず、敵兵はその体を大地へと沈めて行った。
黄巾兵「こ、こいつら化け物か!?」
黄巾兵「し、死にたくねぇ・・・に、逃げろ~!」
一瞬の出来事に訳の分からなかった黄巾党の兵士たちだが、異常なまでの戦闘力に恐れ、逃げ始める。
一人逃げれば、また一人、また一人と武器を捨てて逃げ出していく。後は芋蔓式であった。
張角「ぬぅ!?こ奴等も妖術使いか!!」
命人「違うぜ兄ぃ・・・あれは氣ってんだ。」
一刀「命人、さっさと終わらせよう。これ以上人死は出す必要はない。」
命人「だな・・・覚悟しろよ、兄ぃ達。あんたらはかつての理想を忘れ、賊とになり下がったんだからな!!」
張宝「ぬぎぃいぃぃいいいい!!梁、兄たちを裏切るとは何たる不義理ぃぃぃぃぃぃい!!!」
一刀「何処が不義理だ!最低最悪の兄どもが!命人はその理想を忘れてはいなかった!その理想から外れて行く自分に苦しんでいたんだ!それが分からない輩には、もう生きて償えなんて言わねぇ!!」
命人「ああ、俺は兄ぃ達をもう、兄弟とは思わねえ。覚悟しやがれ!!」
張宝「死ねぇぇ、愚弟!!!!!!!」
その瞬間、張宝の杖から炎がほと走る。
命人「!?」
一刀「ちっ!」
刹那、一刀は鉄から手を離し、冥皇に氣を通す。
一刀「『地嶽壁』!!」
ズドォン!!
地面に突き立てられた拳、その瞬間命人の目の前に地面が隆起してできた壁が出現する。
命人「すまねぇ、北郷!」
一刀「いいってこと!だが、あれは厄介だな。」
命人「だな、だが所詮付け焼刃だ。扱い切れてねえんだよ。」
一刀「なら勝機はあるか・・・」
二人は大地の壁の影で炎を防ぎながら相談しているが、それを許すほど張角も愚かでは無かった。
張角「雷よ!」
突如、一刀と命人の頭上に放電現象が起きる。
一刀「ちっ!」
命人「うぉ!」
ズドーン!!
一刀「命人!短期決戦だ!!」
命人「分かってらぁ!」
二人「「はあああああ!!!!!!」」
一刀と命人は回避の勢いのまま張角、張宝に迫る。
一刀「冥皇の真髄、その身に刻め!魔人拳!!」
轟!っと音と共に地を這う氣弾が張角めがけて発射される。
張角「な!?『ゴギャ!!』ぬぎゃあああああ!!!」
命人「ふぅぅ・・・・りゃりゃりゃりゃ!!!!」
ヒュンヒュンヒュンヒュン!!
命人の短槍の連撃が張宝を襲う。
張宝「ひぃ!?『ザンザンザンザン!!』・・・ゴポォ」
命人の連撃は張宝の腹二か所、右肩、左脇腹を貫いた。
一刀「敵大将張角、孫権軍、北郷が討ち取った!!!」
命人「敵将張宝、孫権軍、命人が討ち取った!!!」
二人は同時に叫ぶ。
それを皮切りに、黄巾党の兵士はさらに混乱し、逃げまどう。一刻もしない内に、黄巾党は壊走、その混乱は意外と呆気なく終わりを告げた。
これで終わり。だれしもがそう思っていた。
だがしかし、張角、張宝両名はまだ息があったのだ。
その二人の放った凶撃は、吸い込まれるように、一刀へと向けられた。
一瞬反応が遅れた一刀は、それを受ける事しかできなかった。
ドシュ!
そんな鈍い音がして、初めて蓮華達はそれがまだ息があった張角達から放たれた物だと理解する。
それと同時に一刀は目を見開いた。
その凶撃は一刀に届かなかった。
それを受けたのは・・・
一刀「命人ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
思春「この死に損ないが!」
思春の黄泉の斬撃が二人を切り裂き、二人の首は宙を舞った。
一刀「命人!おまえ・・・なんで俺をかばった!!」
命人「ごふ・・・と、当然だろう・・・あんたは、俺の命の恩人だぞ・・・」
一刀「そんな事・・・」
思春「北郷、張角達が・・・」
一刀「なんだ・・・これ・・・」
思春に呼ばれ、張角達を見ると、その体と首が光の粒子となって消えて行っている最中だった。
その現象を見ていたら、本陣から結璃が駆け付けてきた。
結璃「一刀君!・・・これは・・・拒絶現象。」
一刀「拒絶現象?」
結璃「そう。本来は歴史改編や本来の登場人物以外の人物、物体に働く自浄作用なんだけど・・・」
一刀「そ、それを言ったら俺達は?」
結璃「言ったでしょ?本来の登場人物って・・・一刀君は登録されてるんだよ。でも・・・こいつ等は登録されてなかった。存在が張角達だったけど、死んだ事により異物と判断されたんだね。」
その説明を終えると同時に、張角達は光の中に消えて行った。
人和「一刀さん!・・・め、命人さん!?」
命人「・・・はは・・・人和・・・」
人和「そんな・・・そんな!!」
本陣から天和、地和、人和が来て、命人の状態を見て驚愕していた。
命人の体は少しずつ、光の粒子となって消えかけていたのだ。
一刀「命人・・・」
命人「・・・ごふ・・・俺も、消えるんだな。」
結璃「こんなの・・・駄目・・・駄目ぇ!」
一刀「結璃・・・」
それはどうしようもない事なのかもしれない。だけど、それはだれしもが認めたくない現象でもあった。
命人「・・・なあ・・・人和・・・頼み、聞いてくれねぇかな?」
人和「え?」
命人は、意を決したように人和へ頼みごとをする。
命人「歌を・・・歌ってくれないか?」
人和「・・・」
命人「短い間だったが・・・お前の歌は心に響く歌だった。」
人和「・・・分かり・・・ました。」
そして人和は紡ぎ出す。静かな別れの歌を。
ただ、自身と同じ名を持った心やさしき、強き男に向ける別れの歌。
おんなじところぐるぐる回って
疲れ切ってしまっても
一刀「・・・命人。」
どんな光さえ射さない場所から
手を伸ばし続けてたんだよ
結璃「く・・・」
ありがとうすべての終わりに
さよならぼくの宝物
蓮華「こんなのって・・・無い・・・」
どんな光さえ当たらない場所で
じっと待ち続けていたんだよ
思春「・・・」
僕ひとりになるまで
どんな彼方でも
明命「命人さん・・・」
どんな光でも
すがる 幾千の星を越えて
粋怜「愚か者が・・・死に急ぎおってからに・・・」
きみが笑うから 僕も笑うんだろう
そんな日はよく晴れ渡った空の下
天和「命人さん・・・どうか安らかに・・・」
きみはいつも僕の後ろから
顔を出し覗き込んでいた
地和「馬鹿命人・・・これからじゃない・・・」
そこから見た世界 それはどんなふう
ひたすらに楽しいかな
七乃「はぁ、はぁ・・・こ、これって・・・命人・・・さん?」
虹だって見えるかな
どんな彼方にも
命人「・・・ああ・・・良い声だ・・・すごく・・・」
終わりが待っている
進む 今日も虹の向こうまで
命人「・・・なあ、俺は・・・守れたかな?」
きみが笑うなら 僕も笑うから
あの遠い夏の日まで迎えに行くから
命人「・・・・・・・・・・力無い民を・・・守れたかな・・・」
どんな彼方でも
見えない光でも
命人「・・・人和・・・あり・・・がとう・・・なぁ・・・・・・」
掴む 幾千の時を越えて
きみが笑うから みんなも笑うんだろう
命人「・・・・・・・・・」
そんな日がくるなんて思ってなかったのに
命人の体は光の粒子となって、空高く昇って行った。
一刀「・・・くそぉ・・・ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
一刀の慟哭が天に響く。その場に居た将、兵の涙はきっと届くだろう。
天に昇って行った、命人と言う一人の男へ。
張梁。真名を命人。戦場で出会い、戦場で死んだ男。
民はその男の名を知らない。
多くの兵はその男が何なのかは分からない。
だが、この男が時代を越えても民を思い、大事に思っていた事は、彼を知る人間の心に大きく刻まれた。
涙は流した、泣き叫び、死を嘆いた。
だからこそ前を向いて歩きださなければならない。
時は進む、だからこそ・・・この無粋な声には反応を示したくは無かった。
袁紹兵「よろしいでしょうか?袁紹様が張角の首を持って来いと仰せです。」
空気を読まない袁家の呼び出しに蓮華を始め、この場に居た将は、兵は、理不尽な殺気をその伝令兵に向ける事になった。
袁紹軍本陣・・・・・・・・手前
一刀「なあ孫策さん。」
雪蓮「雪蓮でいいわよ。あと敬語も無し。」
一刀「・・・じゃあ雪蓮。なんで・・・袁術ちゃんが居るんだ?」
美羽「あ~・・・それはの?・・・その・・・」
雪蓮「はぁ・・・兵糧の籠に紛れてたの。・・・シャオと一緒に。」
小蓮「どうも!孫尚香です!!」
美羽「わ、妾はシャオに無理やり付き合わされたんじゃ!うぅ・・・包の小言が怖い・・・穏の授業の時間が・・・時間がぁぁぁ・・・」
どうやら袁術は帰った後の心配をしているようです。
一刀「・・・そうか・・・袁術ちゃん。七乃に会って行く?」
美羽「うむ・・・じゃあ行ってくるのじゃ。」
雪蓮「気を付けるのよ~」
美羽「うむ!シャオ、お主も付いて参れ。これから疲れる者に会いに行く雪蓮姉ぇの邪魔をしてはならん。」
シャオ「わかった。じゃ、行こうか。美羽。」
そう言って二人は七乃のいる方へと駆けて行った。勝手に付いて来た事に関して七乃の説教が待っているとは知らずに。
一刀「・・・行こうか雪蓮。」
雪蓮「そうね。」
こうして袁紹の元へ孫権軍・・・もとい孫策軍として孫策、一刀、周瑜、蓮華の四人は向かって行った。
一刀達が天幕に入るとそこに曹操よりも肉厚の金髪ロールを揺らしながら(大きな胸も揺らしながら)高笑いをしている袁紹、真名を麗羽が存在した。してほしくなかった。
麗羽「おーっほっほっほっほ!!!!おーっほっほっほっほ!!!!ほーry」
正直傍で頭を抱えてる曹操さんが可哀そうでもあった。だって、真横で聞いてるも同然なんだもん。
華琳「麗羽、孫策達が着いたわよ。そろそろ始めなさいな。」
麗羽「あら、そうでしたわね。貴方達を呼びだしたのは他でもありませんわ。今回の黄巾党首魁張角の首にわたくしに差し出して貰いたいんですの。」
雪蓮「はぁ!?それ本気で言ってるの!?」
冥琳「はぁ、他人の手柄を横取りとは良い御身分だな。」
麗羽「黙らっしゃい!今回の黄巾党の討伐数はわたくし袁本初が一番ですのよ!でしたら、張角を討てたのはわたくしの実績になっても可笑しくはありませんわ!!」
とても理不尽である。
雪蓮「・・・首を取ったのは私の妹、仲謀の臣、北郷よ。詳しくは彼から聞きなさい。私は知らないわ。」
そう言って孫策は天幕を出て行ってしまった。怒るのは無理もないだろう。
冥琳「すまん北郷、後は頼む。さすがの私も今回は冷静に居られん。」
一刀「わかった。任せろ。」
蓮華「一刀・・・こいつ・・・斬って良い?」
一刀「お座り。」
蓮華「・・・ワン。」
一刀の本気の抑えにさすがの蓮華もあらかじめ用意されていた椅子に座った。
一刀「まずは一つ。張角、張宝が妖術を使う事は袁紹殿は知っておられたか?」
袁紹「ええ、噂で聞いてましたわ。」
一刀「なら話が早い。その張角だが・・・自身の妖術の暴走で焼け死んだ。形も残って無かったぞ。あくまで“俺達が”追い詰めた故の暴走だったから俺が討ち取った事にしたんだ。詳しく聞かせようか??当分肉が食えなくなると思うがな・・・」
麗羽「んな!?い、良いですわ!!で、ですが、首を取れないとは不甲斐無いですわよ?」
一刀「はて・・・では燃えカスから頭蓋でも持ってくればよかったでしょうか??」
麗羽「・・・い、いえ。よろしいですわ。ま、“わたくし達の”おかげで追い詰められたと言う事でよろしいですわね??」
蓮華「グルルルルルルルルル」
一刀「伏せ。」
蓮華「・・・く~ん」
一刀「・・・問題無いが、本当に良いんだな?」
麗羽「???当然ですわ!」
袁紹は一刀の問いの意味が判らず頭の上に?を浮かべながらも肯定する。
一刀「ならいい。蓮華、行こうか。・・・では失礼する。袁紹殿。曹操殿。それと・・・劉備殿・・・かな?」
桃香「ふぇ!?あ、はい・・・(ペコリ)」
そうして、一刀と蓮華は袁紹の天幕を後にした。
その後、孫策軍、孫権軍は迅速に軍を取りまとめ、捕虜にした黄巾兵を希望者以外をそれぞれの村に返し、希望者を新兵として連れて行くことにした。
袁紹は確かに張角討伐の大きな功績を手にしたが、実を手に入れたのは曹操、孫策、そして、一番は蓮華が大きな実を手にしたのだった。
あとがき
華琳「ねえ・・・大丈夫なの?」
どうでしょう?これはネットの一般ページに合ったのを加工した物なのですが?
華琳「捕まらない様にね?」
大丈夫だと思いたいですな。さて・・・黄巾党編は終わりになります。
華琳「無理やり終わらせた感があるわ。」
そうですね・・・自分でもそう思います。ですが、このままだと酷いグダグダになるので・・・
華琳「十分グダグダだから安心なさいな。」
・・・ですね。
華琳「それで、これから反董卓連合に入って行くの?それとも拠点みたいなのはさむの?」
拠点の予定です。蓮華との約束も在りますし・・・
華琳「ああ・・・あったわねそんな話。正確には報酬だったかしら?」
あい。ですので蓮華とのチョメチョメを書こうかと・・・
華琳「命人の死が有ったのに大丈夫?」
そこをうまく組み込んでいきたいと思います。
華琳「そう・・・」
では次回は蓮華のお話。
華琳「嘘予告にならない様にね。」
・・・あれ?フリ??フリなんですか????
華琳「・・・勝手に解釈なさい。」
二人「「・・・・・・・・・・・・」」
それじゃあまた次回。
華琳「そ、そうね。また次回。」
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第十五話です
一寸冒険してます。
一寸どころではない気もしますが・・・
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