No.694491

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第85話

2014-06-16 15:22:58 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1661   閲覧ユーザー数:1561

 

6月28日、06:30―――――

 

翌朝、リィン達はウォーゼル家が用意してくれた朝食を取っていた。

 

~ノルドの集落~

 

「ふう……ごちそうさまでした。」

「朝からたくさん食べてしまいましたね……」

「昨日、宴会でたくさんご馳走を頂いたんですけど…………」

「ふふっ、育ち盛りですものね、」

リィンやプリネ、エマの言葉を聞いたファトマは微笑み

「馬に乗るのは体力がいる。そのくらいむしろ普通だろう。」

ガイウスは静かな表情で言った。

 

「……アリサ?さっきから黙っているけど大丈夫か?」

その時食事を終えて顔を俯かせているアリサに気付いたリィンは訪ねたが

「えっ!?え、ええ、大丈夫よ!何もしていないわよ!」

「???」

(?前と違ってリィンが好きって気持ちがアリサから凄く強く感じてくる……何でだろ??)

(うふふ♪初心な反応ね♪)

(ふふふ、先が思いやられますね。)

真っ赤な顔で慌てた様子で否定したアリサの言葉に首を傾げ、その様子をミルモは不思議そうな表情で、ベルフェゴールとリザイラは微笑ましそうに見つめた。

 

「え、えっと……おかわりはいりますか?」

「いや……さすがに遠慮しておこう。」

「余った鶏飯があれば竹の皮に包んでおいてくれ。実習中に頂くとしよう。」

「うんっ!」

「リリーもてつだう~。」

「じゃあ、冷やしたお茶も竹筒に入れておきますね。」

「はは……どうもありがとう。」

「うーん、何から何までお世話になりっぱなしね……」

色々と世話をしてくれるガイウスの弟達の優しさにリィンは微笑ましそうにトーマ達を見つめ、アリサは申し訳なさそうな表情をした。

 

「気にすることはない。客人には当然のもてなしだ。さて―――今日の実習だが課題を用意してある。」

そしてラカンはリィンに実習内容が書かれてある封筒を渡し、リィン達は実習内容を確認した。

「―――昨日よりも依頼の数は絞らせてもらった。残る1日は、ある程度君達の好きなように過ごすといいだろう。」

「……了解しました。」

「ご配慮、ありがとうございます。」

ラカンの話を聞いたリィンとエマはそれぞれ会釈した。

 

「ふふ、何ならアリサさんはお祖父様とゆっくりしたら?昨日はあまり一緒に過ごせなかったみたいだし。」

「そ、それは…………」

ファトマの提案を聞いたアリサは驚いた後口ごもり

「そういえば、昨日グエンさんは長老さんの所に泊まったんだよな。」

「そろそろ起きてらっしゃる時間だと思いますし……」

「午前中は俺達に任せて祖父孝行でもしたらどうだ?」

「そうですね……数年ぶりに会えたのですか、それもいいかもしれませんね。」

「で、でも…………」

ユーシスとプリネの提案を聞いたアリサは答えに困った。するとその時

「ラカン!……ラカンはおるか!」

「長老……?ええ、おりますが。」

長老とグエン、ノートンが住居に入ってきた。

 

「あら、皆さんおそろいで。」

「お、お祖父様?」

「ノートンさんも……」

「うむ、みんなおはよう。」

「お邪魔させてもらうよ。」

「……………………」

「……どうやら何かあったようですね?」

3人からさらけ出されている緊迫感を感じ取ったガイウスは真剣な表情で黙り込み、ラカンは気を引き締めて尋ねた。

 

「うむ―――ゼンダー門から先程連絡があった。どうやら帝国軍の監視塔が何者かの攻撃を受けたらしい。」

「!?」

「なに……!?」

「えっ!?まさかその攻撃をした相手は……!」

長老の話を聞いたガイウスとユーシスは驚き、プリネは厳しい表情をし、リィン達もそれぞれ気を引き締め

「今日の真夜中の話らしい。し、しかもそれだけじゃなくて…………」

「どうやら共和国軍の基地も攻撃を受けたらしくてな。これは少々……騒がしくなるかもしれん。」

ノートンは信じられない表情で答え、グエンは重々しい様子を纏って答えた。

 

同日、8:00――――

 

一方その頃、ノルド高原の上空に現れたエレボニア帝国軍、カルバード軍共和国軍の飛行艇がそれぞれの軍施設に向かった。

 

~監視塔~

 

「………………共和国お得意の空挺機甲師団の先駆けか。戦車部隊が到着するのも時間の問題のようだな……」

焼けた監視塔の城壁から双眼鏡で高原の上空の様子を見ていたゼクス中将は重々しい様子を纏って呟いた。

「―――閣下!守備兵2名の死亡を確認!残る3名も重傷ですが何とか助かりそうです!」

その時兵士がゼクス中将に報告した。

 

「……そうか。救護車が到着しだい急いで運んでやれ。」

「は!」

そして兵士に指示をしたゼクス中将は馬に乗り

「―――ゼンダー門に連絡!第三機甲師団、出撃準備!私が戻るまでに装甲車両を動けるようにしておけ―――!」

整列した監視塔の兵士達に指示をした。

 

同日、09:30―――

 

~ノルドの集落~

 

一方その頃集落にいる民達は戦いに巻き込まれない為に集落から離れる行動を始めていた。

「その、本当に俺達も手伝わなくていいんですか?」

「うむ、その必要はない。変事があった時の移動など手慣れたものだからのう。」

「…………………………」

リィンの申し出を断った長老の様子をガイウスは黙って見つめ

「ガイウス、お前も同じだ。ゼンダー門のゼクス殿に状況を確かめに行くのだろう?ノルドの民としてではなく―――士官学院の一員として。」

「……ああ、行ってくる。」

ラカンの言葉に静かな表情で頷いた。

 

「お祖父様は……こちらに残るんですね?」

「うむ、これも何かの縁じゃ。運搬車も使えるし、移動の準備を手伝おうと思う。」

「……わかりました。どうかお気をつけて。」

グエンの決意を知ったアリサは静かな表情で頷いた。

「すみません……長老、ラカンさん。肝心な時にお手伝いもできないで。」

一方ノートンは申し訳なさそうな表情で長老たちを見つめた。

 

「なあに、それがお前さんの仕事だろう。」

「風と女神の加護を。気を付けて行ってきなさい。」

「はい……!」

「とにかく急いでゼンダー門に向かうぞ。」

「そうですね……詳しい状況を確かめないと。」

「ええ……!」

こうしてリィン達はノートンをゼンダー門に送り届ける為と状況を確かめる為に馬を急がせてゼンダー門に向かった。

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
3
2

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択