No.691222

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第54話

2014-06-03 00:43:14 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1845   閲覧ユーザー数:1748

地下水道を探索していたリィン達は詰所の地下に続いていると思われる鉄の扉を見つけた。

 

~地下水道~

 

「こ、これは……!」

鉄の扉を見たユーシスは驚き

「鉄の扉?それにしては……」

エマは戸惑いの表情で扉を見つめた。

 

「鍵穴も何もない。多分、向こう側からしか開かない造りみたいだね。」

「地下からの侵入者対策か……」

「やっぱりそう簡単にいかないわね。」

「何か仕掛けはないのか?」

フィーの説明を聞いたヨシュア、エステル、メティサーナはそれぞれ真剣な表情で鉄の扉を見つめていた。

 

「もしかしてここが領邦軍の詰所の……?」

「……ああ。地下に通じていた場所だ。だが、まさか一方通行のゲートを用意していたとは……」

リィンに尋ねられたユーシスは頷いた後厳しい表情で鉄の扉を睨んだ。

 

「こ、困りましたね。鍵穴もないとさすがに……」

「……俺の剣で断ち切るのも難しそうだな。」

「じゃあ――――」

扉を見てそれぞれ考え込んでいるリィンとエマの様子を見たエステルがある事を提案しかけたその時

「……うん。これなら何とかなるかも。」

扉をジッと見つめていたフィーが静かにつぶやいた。

 

「フィー?」

「フィーちゃん?」

「下がってて。」

そしてフィーの指示に頷いたリィン達は扉から下がり、フィーは扉に近づいて何かの仕掛けを施した。

 

「……なんだ?」

「一体何をするつもりだ?」

その様子を見守っていたユーシスとメティサーナは不思議そうな表情をし

「ヨシュア、まさかあれって……」

「うん、この匂い……間違いない。」

仕掛けの正体を見破ったエステルに尋ねられたヨシュアは真剣な表情で頷いた。

 

そしてフィーは扉から離れ

「??」

「おい、一体何を―――」

フィーの行動にエマが首を傾げ、不審に思ったユーシスを声をかけようとしたその時

「”起動(イグニッション)”。」

フィーが扉に向けて銃撃を放った。すると扉に備え付けられた何かは一斉に爆発した!

 

「な―――!?」

「ええっ!?」

爆発を見たユーシスとエマが驚いたその時、鉄の扉はフィーの前に倒れて先が進めるようになった。

 

「おおっ!扉が倒れて先に進めるようになったぞ!」

「……ん。上手くいった。」

その様子を見たメティサーナは感心し、フィーは静かに呟き、フィーの呟きを聞いたリィン達は冷や汗をかいた。

「上手く行ったって……」

「フィーちゃん……」

「今のは……爆発物か?」

「携帯用の高性能爆薬。可塑性もあるからこういった工作には便利。」

「ば、爆薬……」

「何でそんな物を常に携帯しているのだ?」

ユーシスの質問に答えたフィーの話を聞いたエマは表情を引き攣らせ、メティサーナは尋ねた。

 

「……フィー。この際だから教えてくれるか?君は一体、何者なんだ?」

「……………………」

「ちょ、ちょっと、リィン君?」

「リ、リィンさん……」

リィンに問いかけられたフィーは黙り込み、聞き辛い事を口にしたリィンの質問を聞いたエステルは慌て、エマは心配そうな表情で見つめた。

 

「思えば入学式の日も、君は身体能力が元々俺達と違うプリネさん達を除いて一人だけ床のトラップを回避していたように見えた。俺達より2歳年下なのに身体能力では引けを取らない……そして、戦闘力に至ってはセーブすらしてるんじゃないか?」

「なに……!?」

「ええっ!?そ、それって前のヨシュアみたいな感じ……!?」

リィンの推測を聞いたユーシスとエステルは驚き

「いや……彼女の場合は多分、意図的に力をぬいているんだと思う。」

エステルの推測を聞いたヨシュアは真剣な表情でフィーを見つめながら呟き

「何?ならば何故、戦闘で手を抜くのだ?」

ヨシュアの推測を聞いたメティサーナは眉を顰めた。

 

「……まあいっか。―――士官学院に入る前、わたしは”猟兵団”にいた。爆薬も、銃剣(ガンナーソード)の扱い方もそこでぜんぶ教わった。ただ、それだけ……」

「えっ!?」

「あ、あんですって!?こ、こんな小さな子供が元猟兵……!?」

「やっぱりか……」

「”猟兵団(イェーガー)”……そうだったのか。」

フィーの説明を聞いたツーヤとエステルは驚き、ヨシュアとリィンは納得した様子でフィーを見つめ

「……聞いた事があります。一流の傭兵部隊のことをそんな風に呼ぶ習慣があるって。」

「……信じられん。”死神”と同じ意味だぞ。」

エマは静かな表情で呟き、ユーシスは信じられない表情でフィーを見つめた。

 

「わたし、死神?どっちかっていうとそこの天使の方がよっぽど死神っぽいけど。鎌を持っていて、いかにも死神だし。」

「何だと!?メティは誇り高き天使だ!あんな連中と一緒にするな!」

「まあまあ。」

「というかそれ以前に死神と会った事があるの?」

「まあ、メティサーナさんだと実際に会っていてもおかしくはないですが……」

首を傾げて呟いたフィーの指摘を聞いて憤ったメティサーナの様子を見たヨシュアは苦笑しながら諌め、エステルは呆れた表情で指摘し、エステルの指摘を聞いたツーヤは苦笑していた。

「いや……―――そうだな。名に囚われる愚は冒すまい。」

一方ユーシスは戸惑った後重々しい様子を纏ってフィーが死神である事を否定した。

 

「ええ、私達にとってフィーちゃんはフィーちゃんです。」

「……フィー。教えてくれてありがとう。それとゴメンな。聞き出すような真似をして。」

「気にしてない。それより、マキアスを助けるなら早く入った方がいいと思う。」

「ああ、そうだな。」

「よし―――中に入るか。」

そしてリィン達は詰所の地下区内への潜入に成功し、牢屋を見つけた。

 

 

 


 
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