No.688959

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第26話

2014-05-24 19:17:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1690   閲覧ユーザー数:1600

~列車内~

 

「へっ………」

「サ、サラ教官……?」

「……どうも朝から見かけないと思ったら。」

サラ教官の登場にリィン達は目を丸くした。

 

「Ⅶ組A班、全員揃ってるみたいね。ちゃんと仲直りもして、まずは一安心ってとこかしら?」

「って、見ていたかのように言わないでくださいっ!」

「あはは……」

「フフ……」

サラ教官の言葉に突っ込んでいるアリサの様子をエリオットは苦笑し、プリネは微笑ましそうに見つめていた。

 

「その、どうして教官がここに?俺達だけで実習地に向かうという話だったんじゃ?」

「んー、最初くらいは補足説明が必要かと思ってね。宿にチェックインするまでは付き合ってあげるわ。」

「そ、それは助かりますけど………」

「でも、どちらかというとB班の方が心配のような気が。」

「サラ教官がこちらに同行しているという事はレオン教官があちらに同行しているのだろうか?」

サラ教官の説明を聞いたアリサとエリオットは戸惑い、ラウラは尋ねた。

 

「あー、あいつは”別の仕事”があるから同行していないわ。ったく、幾ら何でも過保護すぎじゃないかしら?」

ラウラの質問に疲れた表情で答えたサラ教官は呆れた表情でプリネに視線を向け

「アハハ……では何故私達A班の方に?現状ですとB班に教官が同行すべきかと思いますが。」

視線を向けられたプリネはサラ教官の意味ありげな言葉や表情からレーヴェが陰で自分を護衛している事を察し、苦笑しながら答えを誤魔化した後尋ねた。

 

「えー、だってどう考えてもメンドクサそうだしー。それにほら?現役の親衛隊長のツーヤが何とかしてくれるかもしれないし?まあ、あの二人が険悪になりすぎてどうしようもなくなったらフォローに行くつもりだけど♪」

そしてサラ教官の答えを聞いたリィン達は脱力し

(険悪になるとわかっててあの班分けにしたみたいね……)

(完全に確信犯だな……)

(確かに隊内の不和を防いだり解決する事はその隊を率いる隊長の役目ですけど……さすがにあの二人の場合は難しいと思うのですが……)

アリサとリィンはそれぞれ呆れた表情で疲れた表情をしているプリネと共にサラ教官を見つめた。

 

「ま、あたしの事は気にしないで話を続けてちょうだい。ちょっと徹夜続きでね~。悪いけど寝かせてもらうわ。」

「え――――」

「……………すーっ……すーっ……」

そしてサラ教官は近くの席に座って眠り始めた。

 

「ね、寝ちゃった!?」

「只者ではないな……」

すぐに眠り始めたサラ教官を見たエリオットは驚き、ラウラは呆れ

「とても士官学校の教官に見えないんですけど……」

「まあ、普段の私生活も色々と問題がありますからね……」

ジト目のアリサが呟いた言葉を聞いたプリネは苦笑し

「ま、まあ教官のことは気にしないでおこう……(駅に到着したらちゃんと起こさないとな。)」

リィンは苦笑しながらサラ教官を見つめていた。そしてリィン達が談笑して数十分後、列車はケルディックにかなり近づき始めた。

 

「あ……」

「うわあ……!」

「綺麗……」

「ええ……もしかして収穫期でしょうか?」

「うん、見事だな。秋播きのライ麦がちょうど実りを迎えたらしい。」

リィン達は窓の外から見える景色に少しの間見惚れていた。

 

「麦って秋に実だけかと思ったけど……」

「このあたりは温暖で土地も肥沃みたいだからな……でも、まるで絵みたいな風景だ。」

リィン達が窓の外の景色を見つめていると列車内の放送が入った。

 

本日はクロスベル方面行き、”大陸横断鉄道”をご利用頂きありがとうございます。次はケルディック、ケルディック。バリアハート方面にお越しの方は次でお乗り換えとなります。

 

「そろそろ着くみたいね。」

「一応、サラ教官を起こしておくか……」

その後サラ教官の起こしたリィン達は列車が駅に到着すると列車から降りて宿に向かい始めた。

 

~交易町・ケルディック~

 

「へえぇ……ここがケルディックかぁ。」

「同じ商業都市のボース市とはまた違った風景ですね……」

「のんびりした雰囲気だけど結構人通りが多いんだな。」

初めて見る風景にエリオットやプリネ、リィンは目を丸くしていた。

 

「あちらの方にある大市目当ての客だろう。外国からの商人も多いと聞く。」

「なるほど、帝都とは違った客層が訪れてるのね。」

「ちなみに特産品はライ麦を使った地ビールよ。君達は学生だからまだ飲んじゃダメだからね~。」

ケルディックの景色を珍しそうに見回している中、サラ教官は勝ち誇った笑みを浮かべてリィン達を見つめた。

 

「いや、勝ち誇られても。」

「別に悔しくありませんけど……」

サラ教官の勝ち誇った笑みを見たリィンとアリサは呆れた。

「さてと、それじゃあ早速、今日の宿を案内してあげるわ。と言ってもすぐそこなんだけど。」

「あ、はい。」

「お願いします。」

「それでは行きましょうか。」

そしてリィン達はサラ教官を先頭に歩き始めた。

 

「”紫電(エクレール)”の君に麗しき”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”の君――――こんな所でお目にかかるとは。フム、何やら興味深い雛鳥達を連れていたが……フフッ、彼らはかの”ブレイサーロード”や我が好敵手、そして”特務支援課”の諸君のように、私の”挑戦”を受ける資格がある者達へと成長してくれるのかな?」

その様子を白を基調としたスーツを身に纏う青年が興味深そうな表情で見つめた後いつの間にか自分の背後に現れた人物へと話しかけ

「――さてな。やけに覚えのある気配がすると思っていたが……―――やはりお前だったか。”怪盗紳士”ブルブラン。」

話しかけられた人物―――レーヴェは目を伏せて答えた後静かな表情で青年―――ブルブランを見つめた。

 

「フフ、”環”の件……いや、仮初めとはいえこの私がいたそうだから、”影の国”以来と言った所かな?”剣帝”レオンハルト――――いや、レーヴェ。」

見つめられたブルブランは振り向いてレーヴェを見つめて尋ね

「やはり”結社”は”影の国”の情報は既に手に入れていたか………――それよりどういう風の吹き回しだ。いつも付けていた仮面はどうした?」

ブルブランに見つめられたレーヴェは真剣な表情で呟いた後素顔を現しているブルブランを見つめて尋ねた。

 

「フッ、今の私はこの陰謀渦巻く帝国のしがない男爵さ。貴族として社交界に出るのならば仮面は失礼だろう?」

「…………………」

ブルブランの嘘くさい説明を聞いたレーヴェは何も答えず目を細めてブルブランを見つめ

「―――まあいい。俺達に仇名すつもりがないのならば、お前が帝国で何をしようと関係はない。邪魔をしたな。」

やがて溜息を吐いた後ブルブランに背を向けた。

 

「フフ、”漆黒の牙”共々元気そうで何よりだよ。”蒼の深淵”も君がこの帝国に……しかも自分の近くにいると知ったら、喜ぶのではないかい?」

「――生憎ながらあのような毒婦、こちらから願い下げだ。」

「ハハ、相変わらず厳しい男だ。そんな厳しい男を射止めた”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”の君もさすがと言った所か。」

「…………………」

ブルブランの言葉を聞いたレーヴェはブルブランが元々プリネに興味があった事を思い出し、振り向いてブルブランを目を細めて見つめた。

 

「フフ、そう睨まなくても”剣帝”を敵に回してまでかの姫君を狙うつもりはないし、”環”の件にて私は一度敗北している。にも関わらず懲りずに狙う等、余りにも無粋すぎる事だ。私が今ここで君と居合わせたのは唯の偶然さ。――では、私はこれにて失礼する。また会う時を楽しみにしているよ。」

レーヴェに見つめられたブルブランは静かな笑みを浮かべてその場から去り

「……奴個人の趣味か”結社”の次の”計画”の為に帝国に居座っているのか、どちらかわからないが………―――俺達に仇名すなら斬るだけだ。」

去って行くブルブランを見つめながら呟いたレーヴェは再び背を向けてその場から去って行った……………

 

 


 
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