No.688194

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第18話

2014-05-21 00:28:18 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2287   閲覧ユーザー数:2138

~トールズ士官学院・本校舎2階・吹奏楽部~

 

「プリネ、ツーヤ、いる!?」

変貌したリィンが一人でベルフェゴールとの戦闘を繰り広げ始めたその頃、慌てた様子のエリオットが吹奏楽部の教室の扉を勢いよく開けるとそこには部員達と共に楽器の演奏の練習をしているプリネとツーヤ、そして他の部員達にアムドシアスがいた。

「エリオットさん?そんなに慌ててどうしたんですか?」

エリオットの様子にツーヤは首を傾げて尋ねた。

 

「ハア、ハア……あ……アムドシアスさんもいたんだ!ちょうどよかった……!早く旧校舎に向かって!じゃないとリィンが死んじゃうよ!」

「一体何があったのですか?」

息を切らせて尋常じゃない様子のエリオットの話を聞いて何かとてつもない事が起こっている事を察したプリネは真剣な表情で尋ねた。そしてエリオットは旧校舎での出会い、そのまま戦闘する事になったベルフェゴールとの事を説明した。

 

「”はぐれ魔神”ですって!?どうして旧校舎に……」

「それもウィル様に協力している”魔神”――――アスモデウス様と同じ”七大罪”の一柱を司る魔神ですか……一体どうやってこのゼムリア大陸に……」

「全く、あの好色魔め!我の至福の時間を邪魔しおって!」

エリオットから事情を聞いたツーヤは血相を変え、プリネは真剣な表情で考え込み、アムドシアスはいつかは素晴らしき演奏家となる可能性を秘めている演奏家の卵達を育てるという芸術を心から愛する自分にとって至福の時間を邪魔された事に憤っていた。

 

「今、ガイウスと一緒に手分けしてみんなやサラ教官達に協力を求めているからプリネ達もリィンを助けに行ってあげて!」

「―――わかりました。アムドシアス。」

「フン、あの好色魔に我の至福の時間を邪魔した罪……どれほど重いのか教えてやらねばな……!」

エリオットの言葉に頷いたプリネはアムドシアスを自分の身体に戻し

「では、私達は先にリィンさんの加勢に向かいます。ツーヤ。」

「はい。」

そしてツーヤと共に窓際へと向かった。

 

「え………ふ、二人とも!?何をしているの!?」

二人の行動にエリオットが驚いたその時プリネとツーヤは跳躍してなんと、2階から飛び降りて地上へと着地し、二人の行動に驚いた周囲の地上の生徒や教官達を無視してそのまま何事もなかったかのように旧校舎の方向へと向かい始めた!

「…………………」

二人の行動を見ていたエリオットは口をパクパクさせ

「う、嘘!?ここ、2階よ!?なのに何ともない様子で走るなんて……」

「もしかしてあれが”闇夜の眷属”の身体能力なのか!?」

周りの部員達は混乱していた。

 

~旧校舎・地下一階~

 

「フフ、まずは小手調べよ。」

変貌したリィンとの戦闘を再開したベルフェゴールは再び魔術―――拡散弾を放った。球体が拡散し無数の魔力弾がリィンを襲ったが

「オォォッ!!」

「!!」

なんとリィンは一瞬でその場から消えてベルフェゴールの目の前に現れ、突如目の前に現れたリィンにベルフェゴールは驚いた!

 

「死ネッ!!」

そしてリィンは閃光の速さで太刀を振るう八葉の剣技―――閃光斬りをベルフェゴールに放ち

「っと!どうやらちょっと本気を出さないといけないみたいね。」

閃光の速さで振るわれた太刀を素早く後ろへと退避したベルフェゴールは真剣な表情になった。

 

「ソコダッ!!」

リィンは反撃の隙を与えないかのように後ろへと退避したベルフェゴールにクラフト―――紅葉切りで襲い掛かった。変貌した事によって驚異的な身体能力を手に入れたリィンの抜刀技は今度こそベルフェゴールの脇腹に肉薄しようとしたが

「させないわよ!」

ベルフェゴールはギリギリで結界を展開して攻撃を防ぎ

「シャアッ!!」

「ねこパンチ!!」

リィンが太刀を振り下ろすと同時に一瞬で力を溜めた拳を突き出して、互いの攻撃を相殺した!

 

「!(手加減しているとは言え、通常の睡魔が放つ”ねこパンチ”とは比較できない威力の私の”ねこパンチ”を相殺するなんて……)―――だったら、これはどうかしら!?ねこアッパー!!」

自分の攻撃を相殺したリィンに心の中で驚いたベルフェゴールはその様子を顔に出さず右腕でアッパーカットを放ったが

「オオッ!!」

リィンは常人とは思えない動きでその場から消え、ベルフェゴールから距離を取った場所に現れた!

 

「暗黒の霧に包み込まれなさい!崩壊のディザイア!!」

リィンが距離を取るとベルフェゴールはリィンの周囲に暗黒の霧を発生させたが

「イクゾッ!!」

なんとリィンは霧が発生したその瞬間に再びその場から消えて自分に襲い掛かって来た漆黒の霧を回避すると同時にベルフェゴールの目の前に現れ

「シャアッ!!」

電光石火の速さで攻撃する”八葉一刀流”二の型―――疾風で襲い掛かった!

「痛っ!?なっ……この私に傷を作ったですって……!?」

目の前からの電光石火の速さに対処が遅れた事で脇腹の僅かな部分が斬られた痛みに表情を顰めたベルフェゴールは信じられない表情でリィンを見つめた。

 

「焔ヨッ!」

ベルフェゴールと対峙し続けているリィンは太刀に怪しげに燃える紫色の炎を纏わせ

「オオオオオオオオッ!!」

太刀を大きく振りかぶって脅威的な身体能力でベルフェゴールに襲い掛かり

「無駄よ!」

ベルフェゴールは片手で魔法陣を一瞬で展開して簡易結界を展開してリィンの一撃を防ぎ

「オオオオオオッ!!」

リィンは結界ごと叩き割るかのように更に力を入れていたが

「隙だらけよ!」

「ガッ!?」

結界を展開していないベルフェゴールのもう片方の拳の一撃を腹に受けて吹っ飛ばされたが、すぐに受け身を取って瞬間移動をしているかのようにその場から消えてベルフェゴールからある程度離れている距離の場所に現れた。

 

「…………………」

変貌し、”目の前の敵を殺す”事しか考えていないリィンはベルフェゴールを殺す為には更なる力が必要と判断し

「オオオオオオオオオオ――――――――――――ッ!!」

天井に向かって咆哮を上げると共に膨大な何かの”気”を集束し始め

「何、この魔気………!?上位悪……いえ下手したら最上位悪魔にも届くほどの魔気をどうして人間が……」

その様子を見ていたベルフェゴールは驚いたが

「……でも、このままだとあの子、死んじゃうわね。―――仕方ないわね。」

やがてリィンの行動が自らの命を散らす行動だとすぐに悟って溜息を吐いた後一瞬でリィンに詰め寄り

「超―――ねこパンチ!!」

「ガハッ!?」

リィンの腹に強烈な拳の一撃を叩き込み

「グ……ウ……ッ……!?」

ベルフェゴールの強烈な一撃によって気絶したリィンは元の姿に戻ると共に地面に倒れた!

 

「―――闇の息吹。」

戦闘を終えたベルフェゴールは治癒魔術で自分の身体にできた僅かな傷を癒してリィンに近づいた。

「…………………気力を著しく消耗しているわね。」

気絶して地面に倒れているリィンをベルフェゴールは黙って見つめた後その場でかがんでリィンの状態を確かめ

「…………………フフ、いいコトを思いついちゃったわ♪」

やがてその場で考え込んである提案を思いついた後、行動を開始した。

 

 

 


 
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