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真・恋姫無双 三人の天の御遣い 第二章『三爸爸†無双』 其の五十四

雷起さん

今回は得票数42の愛紗②のお話です。
おまけ壱 『北郷二刃奮闘記』其の十九 リクエスト:華蝶連者 11票
おまけ弐 『聖刀くんの日常』其の十八 リクエスト:眞琳   6票
おまけ参 リクエスト:里帰り&お墓参り[袁家組] 14票
となります。

続きを表示

2014-04-23 21:02:39 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:4151   閲覧ユーザー数:3201

第二章  『三爸爸†無双』 其の五十四

 

 

本城 蜀館湯殿                (時報:桂花七人目 妊娠九ヶ月)

【愛紗turn】

 

 昼の日なかだが、私は現在風呂に入っている。

 蜀の全員が入れる浴場の方ではなく、二三人が入ればいっぱいになる湯殿の方。

 実際に私の娘の愛羅と、義妹である二刃も一緒に入ると湯船はいっぱいだ。

 

 そう………私は今、三人で風呂に入ってるのだ。

 

 何故こんな事になっているかと言うと、先程私と愛羅が稽古をしている所にたまたま

通りかかった二刃が、私の気合に驚いてよろけてしまった。

 しかもそこが丁度池の縁だった。

 私と愛羅は助けようとしたのだが、勢い余って一緒に池に落ちたのだ。

 

「本当に済まなかった。婚礼前で忙しい時に余計な時間を取らせてしまった。」

 

「い、いえ!いいんですよ、あたしが考え事して腑抜けてたんですから!」

 

 二刃が両手を振ってそう言ってくれるが、腑抜けたのは私の方かも知れない。

 昔ならば二刃が池に落ちる前に助けられただろう……いや、そもそも二刃が来た事に

気付いて先に声を掛けた筈だ。

 

「二刃お姉ちゃん♪もしかして結婚式のこと考えてたの?」

 

 愛羅が笑って問いかけると、二刃の顔が一気に赤くなった。

 

「そ、そうなんだよ~。どんなお式になるのかなあ~って考えてたんだ~。」

 

 ん?棒読みっぽい上に目が泳いでいるな………。

 

「愛羅も結婚式って、一回しか見たこと無いから楽しみ♪」

 言いながら湯船の中を移動して二刃の膝の上に座ってしまった。

 普段、他の姉妹が居ると見せないのだが、愛羅はひとりだとかなりの甘えん坊になる。

 今も話題そのものはそれほど重要では無いのだろう。

 降って湧いた二刃との時間を楽しみたいだけに違いない。

 

「へえ、それって誰の結婚式?」

「えっと、親衛隊の人たちの。あの時のお嫁さん達、キレイだったよ♪

二刃お姉ちゃんはどんな花嫁衣装なの?」

「兄さんたちが作ってくれて……なんか張り切ってたから二回はお色直しが有りそうだよ………」

「おいろなおし?」

「あ、お色直しって言うのはね、お婿さんとお嫁さんが違う衣装に着替える事だよ。」

「へえ!天の国の結婚式ってそうなんだ♪母上も他の媽媽達も結婚式をしてたら

『おいろなおし』したのかな?」

 

「え!?結婚式を“してたら”?………愛紗さん、もしかして………」

 

 二刃に驚いた顔を向けられてしまった。

 桃香さま達は話していなかったのか!

 

「い、いや、別に隠していた訳ではないのだ!我らの時はまだ国が混乱していたし、

ご主人様たちの即位と同時に妻であることを正式に公表したので、

即位式が結婚式みたいな物なのだ!」

 

 少々苦しい言い訳だったか?

 

「でも、愛紗さんも花嫁衣装は着たかったでしょう?」

 

 二刃が怒った顔をしているのはご主人様たちに対してだな。

 

「私は別に………いや……こうして裸で話し合っているんだ。隠し事は無しにしよう♪」

 

 二刃との心の距離を近くしたくて、無意識に張ってしまう見栄を意志の力で取り除く。

 

「私だって女だ。花嫁衣装を着て、ご主人様の横に立ちたかったな♪」

 

 この言葉を言って自然に笑顔になった自分に驚いた。

 私がヤキモチ焼きなのは充分に自覚していたし、徐晃や張郃の結婚式で羨んだ覚えもある。

 晋の建国からもう十年以上、愛羅も六歳と八ヶ月になったのだ。

 いい加減諦めがついたか。

 

「着ちゃいましょうよ、花嫁衣装♪」

 

「ははは♪そうだな、着てしまうか♪なんて、出来る訳が」

「出来ます!あたしの国ではそういう話をたまにお父さんとお母さんがしてました!」

 

「は?………それはどういう………」

 

「お父さんの部下の人が仕事で忙しくて結婚式をする時間を取れない場合、

籍を先に入れて式を後からするそうです!」

 

「お義父上(ちちうえ)とお義母(ははうえ)が!?確かお義父上は天の国の光禄勲をなさっておいでだったか?」

 

「そこまで偉くないですよ!!いつの間にそんな尾ひれが付いたんですか!?

幾つかある機動隊の隊長です!いや、今話題にするべきはそこじゃなくて、

結婚式の方ですよ!あ!それと違う例だと若い頃に貧しくて結婚式が出来なかった夫婦が、

何年かお金を貯めてから結婚式をしたのを見たことも有ります!……ドラマで………」

 

「天の国ではそうかも知れないが………私が…いや、我々がやるのは………

…………その…ハズカシィ…………」

 

「そんな事ないですってば♪愛羅ちゃんだってキレイな服を着た媽媽を見たいよねぇ~♪」

 

「母上のお嫁さん姿!!見てみたいっ♪」

 

 いかん!このままでは話をそっちに持っていかれる!!

 

「そ、それよりも、さっきは何か悩んでいたみたいだが?」

 

「えっ!?そ、それは…………」

 

 二刃がまたもや目を泳がせ始めた。

 これはもしかしたら、二刃の苦手とする方面の悩みなのではないか?

 そう思い至った時、湯殿の脱衣場から少女の声が聞こえてきた。

 

『関平さま。劉禅さまがお探しでございます。お早く行かれた方がよろしいですよ♪』

 

 声は、先程替えの服を取ってきてくれる様に頼んだメイド隊の者だ。

 愛羅が二刃と居るのを、香斗さまが知ればへそを曲げられるのは明白。

 このメイドは愛羅の為を思って伝えてくれたのだ。

 

「そうだ!お稽古が終わったら香斗おねえちゃんと遊ぶ約束してたんだっけ!」

 

「では仕方ないな。急いで服を着て行きなさい♪」

「うぅ………でもぉ………」

 

 愛羅は諦めきれないらしくオロオロしている。

 

「愛羅ちゃん、また今度お話ししよう♪だから今は香斗ちゃんの所に行ってあげて♪」

 

「………うん………………」

 

 名残惜しそうに湯船から出て、指を咥えてはこちらをチラチラと振り返る。

『関平さま、お手伝い致しますからお急ぎください♪』

 引き戸越しの気配でも愛羅の様子が分かるのだろう、声が笑っている。

 

「すまないが、愛羅の着替えを頼む。」

 

『はい♪おまかせください♪』

 

 愛羅が湯殿を出た所で、私は二刃に向き直る。

「それで、何を悩んでいたのかな?」

 

「………ええと………その………」

 

 私は急かさず、微笑んで二刃の言葉を待った。

「………………実は」

「二刃おねえちゃん!また一緒にお風呂に入ってね!約束だよ!」

 

 いきなり引き戸を開けて、素っ裸のままの愛羅が懇願してきた。

 

「私も頼んでおくから、早く服を着なさいっ!」

 

 女ばかりで過ごす時間が多い所為か、今ひとつ羞恥心が欠けて育ってしまったか?

 引き戸が閉められた後、バタバタと愛羅が服を着る気配が感じられた所で、

改めて二刃と顔を見合わせた。

 しかし、二刃は決意を逸らされた所為で話しづらそうだ。

 ここは義姉として私から話し掛けるべきだな。

 

「二刃の悩みとは、初夜の事だろう♪」

 

 こうして二刃が一番恥ずかしがる話題を振れば、否定して本当の悩みを口にしやすい筈。

 

「な、なんでわかっちゃったんですかっ!!」

 

 え?本当にそうだったのか?

 

「女同士だからな♪」

 

 うわあああああああああああぁぁぁぁ!

 思わず見栄を張ってしまったあああああああっ!!

 

「や、やだ…………あたしってそんなに分かり易い顔してたのかな………」

 

 両手で顔を隠して恥じらって…………初々しいなぁ♪

 

「私にも覚えが有るから………私もご主人さまと結ばれるまで色々と悩んだ物だ……」

「愛紗さんもですか!?」

「それはそうだ。私みたいな武一辺倒の無骨者ではな。それでいてご主人さまへの想いは

募る一方で………ご主人さまに告白して、拒絶されるのが怖くて前に進めなかった………」

 

 懐かしい………。

 

「愛紗さんみたいに女らしい身体をした人でもですか?」

 

「それは関係ないぞ……………………そんな、舐める様に見ないでくれ…………」

 

「そんな大きくて綺麗なおっぱいしてる愛紗さんでも怖気付くんですから、

あたしが今、どんな気持ちか分かってもらえますよねっ!

璃々はあんなだから『当たって砕けろ!いや破かれろ♪』なんて下品な冗談言ってくるしっ!!」

 

 親友だから出てくる愚痴に、思わず苦笑してしまう。

 

「璃々も昔は素直で可愛い子供だったのだがな。紫苑は厳しく躾ていたが、周りの我々や

ご主人さまたちが甘やかした所為か、かなり奔放な性格になってしまった♪」

 

「璃々の子供の頃かぁ………愛紗さんが初めて会ったのは、璃々が今の愛羅ちゃんより

小さい頃なんですよね?」

 

「そうだな♪紫苑の双子と同じくらいの…ときに……………」

 

「どうしました?」

 

 ちょっと待て、関雲長!紫苑が璃々を産んだ歳は私が愛羅を産んだ歳とそう変わらないと聞いた事があるぞ!

 それでは私は既にあの頃の紫苑の年齢を追い越していたのかっ!!??

 そして今の紫苑の年齢は………………。

 それでいて紫苑のあの見た目の変わらなさは何だっ!?

 やつは化け物かっ!?

 

「あ、愛紗さんっ!?お湯に浸かってるのにドンドン青褪めてますよっ!」

 

「二刃……………私と紫苑…………見比べてどう思う?」

 

「は?………………それは貧乳党に対する精神攻撃ですか……………」

 

「他意は無いのだ!正直に答えてくれ!」

 

「それはもちろんおっぱいおば……………同じくらいのおっぱいだし、

今みたいに愛紗さんが髪を下ろしているとかなり似ていると思いますよ。

でもそれを言ったら桔梗さん、祭さん、桃香さん、蓮華さん、雪蓮さん、冥琳さん、

穏さん、真桜さん、翠さん、春蘭さん、秋蘭さんもって、言ってて心が壊れそうなんで

この辺りで勘弁してください…………」

 

 これは……………我らは気付かぬ内に紫苑、桔梗、祭殿と同じ領域に足を踏み入れて

いたのかっ!!

 ここは団結してあの三人から若さを保つ秘訣を伝授して貰わねば…………。

 

「いや…………それ以上に恐ろしいのは貧乳党だ…………」

 

「それは嫌味ですか?」

 

「本音だ……………二刃は朱里、雛里、桂花の年齢を知っているか!?

私より数歳若いだけの筈なのに、あの若々しさは何だっ!?

妖術でも使っているのかっ!?極めつけは……………音々殿だ…………

不老不死の妙薬でも隠し持っているのじゃないか!?」

 

「愛紗さん、しっかりしてくださいっ!愛紗さんも充分お若いですから♪」

 

「そ、そうか?………………どこからか『としま』と言う声が聞こえてくる気がするのだが…………」

 

「気のせいです♪安心してください♪」

 

「あ、ありがとう………………何やら嬉しそうだが…………」

 

「え♪それは悩みが軽くなったから……そ、そんな事は無いですよぉ♪

そうだ!今から胎児恵光をさせてもらえませんか?」

 

「と、唐突だな…………どうしたんだ急に?」

 

「いえ、さっき少しだけ愛紗さんのお腹を中心に氣のゆらぎを感じたので。

駕医さんから許可をもらってはいたんですけど、今まで自信が無かったんです。

でも今は成功する自信が有ります!是非、やらせてください!!」

 

 二刃の真剣な目を見て、私は頷いた。

「うん。よろしく頼む。」

 

「はい!それじゃあちょっとお腹を失礼しますね。」

「え!?お腹に手を触れるのか!?」

 二刃の伸ばした右手が私のへそのすぐ下に当てられた。

 

「本当はこの方が正しいやり方なんです。駕医さんはお義姉さん達に気遣って触れない

方法を使ってるんですよ。」

 

 昔の駕医はそこまで気の回る男では無かったな。

 初めて会った時に華琳殿の治療をする為、素っ裸にしてひと騒ぎ起こしたり………

これも今となっては懐かしい笑い話だが…二刃には言わない方が良いかな?

 

「凪も直接触れてきた事は無いが?」

 

「凪さんは元々氣の使い手ですからその矜持があるんだと………ええと………」

 

 二刃は私の正面から手を当てているのだが、どうもやり辛そうだ。

「二刃、もっと寄り添っていいんだぞ?」

「え………でも………」

「女同士だ。気にするな♪」

 

 華琳殿や霞が相手なら流石に警戒するが、二刃なら問題有るまい。

 義姉として力になれるという満足感も有るし♪

 

「そ、それじゃあホントに失礼しますね!」

「!!!」

 そう言って二刃は私の胸に身体をくっつけた!

 そ、そうか………私の胸が邪魔だったのか……………。

 し、しかし…………若い女の子の肌とはこんなにも……娘の愛羅とはまた違う心地よさ

が…………って!何を考えているのだ!私は!!

 

「すぅ………はぁ……………すぅ…………………はぁ……………………」

 

 二刃が氣を練り上げているのが、肌を通して伝わってくる。

 私も邪念を払わねば………。

 

「ふうぅぅ………母の胎内に宿りし光よ。神の恵みし児の命。我にその姿を示さん。

 

胎児…恵光………」

 

 駕医とは違う、静かに語りかける様な胎児恵光だった。

 二刃の手の平から、包み込む様な氣が流れ込むのを感じる。

 

「ふうぅ………間違いありません、おめでとうございます♪」

 

「ええっ!?本当に当たりだったのかっ!?」

 

「あの………駕医さんに後で確認してもらえば……」

 

「い、いや、すまん!二刃の腕を疑った訳では無いのだ!愛羅を授かってからもう七年

だから、その、あまりの慶事に夢だと思うくらい信じられなくて…………」

 

「あ、そ、そうですね!あたしはここに来てから毎月誰かが懐妊をしてたから連続の様な

気がしてたけど、当人にしてみれば数年越しですもんね!」

 

「そ、そうだぞ!それに二刃だってもう直ぐに他人事では無くなるんだぞ!」

 

「あ…………………そうだった…………」

 

 しまった、二刃を悩みの種を掘り起こしてしまった。

 

「二刃…………もし嫌でなければ…………私の経験を聞いてみるか?」

 

 二刃の性格ならば只でさえ避ける話なのに、実の兄という身内の話だ。

 

「私はご主人さま…お主の兄である北郷一刀さましか男を知らない。

ご主人さまの子を身ごもり、産み、育てている事が女としての私の誇りだ。

その誇りと覚悟を………聞いて欲しい。」

 

 二刃の泳いでいた目が止まり、私の目をしっかりと捉えた。

 

「分かりました。お願いします、聞かせて下さい!」

 

 

 私はご主人さまと初めて結ばれたあの日の事を

 

 その時の気持ちを蘇らせながら二刃に伝えた。

 

 そして私はご主人さまへの想いが改めて心の底から湧き上がっていた。

 

 

 愛しています  ご主人さま

 

 

      永遠に♪

 

 

 

 

【緑一刀turn】

 

 二刃の結婚式の準備をしていた俺たちだが、少々息抜きに散歩をしていた。

 その途中で愛紗が風呂に入っているという話を、メイド隊の子達がしているのが

耳に入ってきた。

 しかも蜀館の湯殿。

 湯殿は俺たちの実家の風呂を再現した檜風呂だ。

 檜風呂に浸かる黒髪美女を連想した俺たちの取った行動はお察しの通りである。

 

 しかし!

 

「危ねぇ~………」

「まさか二刃が一緒だったとは………」

「気が付かずに突入してたら…………」

 

 どんな結末が待っていたか想像したくない。

 

「だけど、あの二人が何話してるか気になるな。」

「湯殿の外の茂みに行こう。」

「そうか、あそこなら周りからも見えないし丁度いいな♪」

 

 俺たちはこっそり外に出て、壁沿いに湯殿の所まで移動した。

 そして後数メートルで湯殿の窓の下に到着!

 

 という所で、いきなり目の前に思春が現れた。

 

「何をしているんだ、お前たちは?」

 

「「「え~と…………ちょっと盗み聞きをしにきました。」」」

 

「開き直るな、馬鹿………盗み聞きという事は二刃も居ることは知っているんだな。

実の兄が嫁入り直前の妹の風呂を覗いたと勘違いされたくなければ早く戻れ。」

 

「「「そう言う思春もお腹が大きいんだから後宮に戻った方がいいぞ。」」」

 

「そう思ってくれるなら一緒に来い。」

 

「「「………いや、やっぱり二刃の事が心配なんだよ。少しだけでいいから見逃してくれ。」」」

 

「お前たちは心配だと風呂を覗くのか?それなら私が風呂に入っている所を

思う存分覗かせてやるからここは我慢しろ。」

 

「「「奥さんが風呂に入っているのを覗くだけって、それはただの生殺しだよね?」」」

 

「何を言っている。階段の下に潜り込んで妻の下着を覗いて喜んでいたお前たちに

弁解の余地があると思うのか?」

 

「「「……………………………………………………………その通りです。」」」

 

「そんなに心配なら、後で愛紗から聞けばいい。もっとお前の妻達を信用しろ。」

 

「「「そうだな…………親父とお袋の代わりもしなきゃって気張りすぎてた。」」」

 

「…………そうか……一刀たちはそんな思いも持って二刃の挙式の準備をしていたのか…」

 

「「「でも、思春の言葉で考えが変わったよ。俺たちは男だからお袋の代わりは大して

出来ないよな。ここは奥さん達に全面的に任せるよ。頼んだぞ、思春♪」」」

 

「任されよう、旦那様♪」

 

 俺たちが思春と一緒にこの場から離れようとした瞬間。

 風呂場から氣を練り上げる気配を感じた。

 

「「「この感覚は胎児恵光か?」」」

「ほう、二刃はここまで出来るようになったのか。」

 

 俺たちと思春が感心していると風呂の窓から愛紗の声が聞こえて来た。

 

『ええっ!?本当に当たりだったのかっ!?』

 

「「「当たり?」」」

「それはまさか………」

 

『い、いや、すまん!二刃の腕を疑った訳では無いのだ!愛羅を授かってからもう七年

だから、その、あまりの慶事に夢だと思うくらい信じられなくて…………』

 

「どうやら仕事がひとつ増えたな。」

「「「どうしよう?俺たちとしては愛紗が風呂から上がるのを待ちたいんだけど………」」」

 

「いや、それは拙いな。ここは私がたまたま通りかかって聞いてしまった事にしよう。

それを一刀たちに伝えた事にすれば問題無い。一刀たちは蓮華さまと桃香さまに伝え、

そのまま後宮にも伝えてそこで待っていてくれ。私が頃合いを見て愛紗に声を掛ける。」

 

「「「判った。こっちは頼む…………そうだ!先に愛羅に教えてあげても大丈夫かな?」」」

「そうだな、その方が良いな♪」

 

 俺たちはこの場を思春に任せて愛羅を探しに歩き出した。

 愛羅も喜ぶだろうな♪それを見て香斗と蓮紅が羨ましがって桃香と蓮華に………………。

 

「「「増えた仕事がひとつどころじゃ無いぞっ!!」」」

 

 今の内に夜菓子の注文もしておこう。

 

 

 

 

 

おまけ壱

『北郷二刃奮闘記』其の十九

リクエスト:華蝶連者 11票

 

本城 玉座の間

【二刃turn】

 

 ついに結婚式が明日に迫った!

 今日はその前にあたしの元服式をしてもらっている。

 お義姉さん達と姪っ子達が全員集まって祝福してくれる。

 この大勢の人達に見守られ、あたしはこの世界で大人と認められる。

 そして念願の(あざな)を手に入れるのだ♪

 

「元服式と言っても略式だから気楽に行きましょう♪」

 最年長の軍師である音々さんが司祭を務めてくれていた。

「璃々ちゃんの時も略式でしたし、明日は結婚式ですからその前に疲れちゃったら

意味が無いですからな♪」

 見た目だとあたしと同い年くらいに見えるのに………最年長…………。

 三日前の愛紗さんの言葉が蘇るなぁ。

 

「今回は字の候補が三つ有るので、その中から二刃ちゃんに自分で選んでもらうのです。」

 

 吉祥さんと炙叉さんが書簡を掲げて祭壇の袖から現れた。

「わたくしと炙叉ちゃんが考え抜いたから、どれを選んでも将来は絶対に幸せになれるわ♪」

「駕医っていう旦那に比べたら、飾り程度のご利益だろうけどね~♪」

 

「炙叉さん!そういう返答に困る茶化しはしないでくださいよぅ!」

 

 そんな軽口を言いながら、書簡が開かれた。

 そしてそこに書かれた文字が祭壇の横に設置してある巨大モニターに映し出された。

 もうこの手の妖術機械にはツッコミ入れない…………ええと、何て書いてあるのかな?

 相変わらず達筆すぎて何書いてあるか分からないよ。

 だけど、音々さんが気付いて読んでくれる。

 

「最初の候補は『仲達』ですか♪」

 

「「「「ぶふうううううううううううっ!!」」」」

 

 あたしと兄さんたちが思わず吹き出した。

「「「な、なんで『仲達』なんだ!?」」」

「一刀さまはこの手の習わしに疎かったですね。ではこの音々が講釈して差し上げるのです♪

字の決め方は数通り有りまして、一字目に敬称である『子』の文字、あるいは輩行を表す

第一子の『伯・孟・元・長』第二子の『仲』第三子『叔』第四子の『季』第五子の『幼』

などの文字を入れる場合が多いのです。また(いみな)と関連した文字と組み合わせる

のが一番一般的なのです。

例えば華琳様の『孟徳』と雪蓮様の『伯符』ですが第一子を表す文字が入っています。

そして蓮華様の『仲謀』と同じ第二子を表す『仲』の文字が入ってますね。」

 

「いやあ、何度占っても御子様たちを三人ではなくひとりとして認識するみたいで

『季』じゃなくて『仲』になるんだよね。」

 

 な、なるほど…………でもなんで司馬懿と同じ字なの?

 いくら国号が『晋』だからってそれは無いでしょう?

 

「それでは二文字目の説明に入りましょう。これは諱と関連させた物ですね。

朱里ちゃんの諱の『亮』と字の『明』は同義の文字です。

亞莎ちゃんの諱の『蒙』と字の『明』は対義の文字になります。

この様に決めるのですが、二刃ちゃんの『二刃』を諱と見た場合、『刃』に同義の文字を

当てては殺伐として二刃ちゃんにはあまり相応しくないでしょう。

そこで比較的に対義になる『達』を当てたのですね。」

 

「他の文字も試したけど、どうしても『仲』には『達』が一番いい卦が出るのよ。」

 

「あ、あのぅ…………次の候補を見せてもらっていいですか?」

 あたしは小さく手を挙げて提案した。

 

「そうですね、では次に行ってみましょう♪ええと………『楽天』ですか。」

 

ガタタタタタっ!!

 

 あたしと兄さんたちは椅子から滑り落ちた。

 

「どうしました!?これは良い字ですよ♪

『礼記』の『故君子居易以俟 不能安土、不能楽天』の句の引用ですな。

因みに華琳様の曹操孟徳も『荀子』の『夫是之謂徳操』の句の引用なのです♪」

 

 どんなに知的な字でも、あたしと兄さんたちは『楽天』と聞くと思い浮かぶのはアレだ。

 商人になったら成功しそうな字だけど、あたしが目指すのは医者だから。

 

「それでは最後の候補行ってみますか。ふむふむ…………『子盾(しじゅん)』………捻りが無くなりましたね。」

 

「そうは言うけど、実はこれが一番いい卦が出てるのよ。」

「二刃ちゃんはどう?って、聞くまでもないか♪」

 

 そう、吉祥さんが言う通り、あたしはこの字が気に入っていた。

 あたし名前は『二つの刃』。

 でも、そこに盾が加われば、駕医さんと一緒に戦って行ける気がする。

 それに『子盾』って『子供の盾となる』って意味にも取れる。

 子供を病気から守る医者を目指そう!

 

「あたし『子盾』に決めました!素敵な字をありがとうございます♪」

 

 あたしは祭壇から振り返ってお辞儀をした。

 みんなから拍手と声援を贈られ、かなりテレる。

 

「「「なんか、俺たちも字が欲しくなってきたな………」」」

 

「何言ってんの?兄さんたちにはもう有るじゃない。」

 

「「「え?」」」

 

「『緑』『紫』『赤』って♪」

 

「それは渾名であって字じゃないっ!!」

 

「はいはい、一刀さま。ちゃっちゃと元服式を終わらせますから、お話は後で

ゆっくり聞いてあげますよ♪」

 

 こうしてあたしは元服して大人の仲間入りをしました。

 

 

 

 

 そして翌日。

 遂に本番の結婚式当日となった。

 

「この世界の正式な結婚式は夕方から始めるのだけど、今回は貴女の世界の結婚式も

取り入れて折衷型で行うわ。」

 

 大きくなったお腹を抱えた華琳さんから楽しそうに告げられた。

 大雑把に言うと、披露宴を先にやって、その後から結婚式をする。

 その披露宴も都の街を上げてのお祭り騒ぎがメインになるらしい。

 そしてその披露宴最大の見せ場は花婿が花嫁を迎えに行き、連れ帰る時の行列………

つまりパレードが文字通り“披露”する“宴”になる。

 

 あたしは花嫁衣装を着てお城の正門広場で待機している。

 今着ているのは、中華風の花嫁衣装を兄さんたちがアレンジした物。

 基本の色は赤。

 この時代、白い服は喪服だというのは知識で知ってたけど、ウエディングドレスと

白無垢のイメージが強くて未だに馴染めていなかった。

 

「そろそろ時間だよ。二刃ちゃん、落ち着いてね♪」

「皆、準備は出来ている!?」

 

 桃香さんがあたしの肩を優しく抱いて励ましてくれた。

 蓮華さんがみんなに声を掛けた。

 

 三人の王様は礼装を着ていていつも以上に頼もしい。

 

『応っ♪』

 

 お義姉さん達も儀礼用の軍装に身を固め、跨る馬も綺麗に飾られていた。

 あたしはまだ見た事が無いけど、『馬揃え』ってきっとこんな感じなんじゃないかな?

 

「翠、ちゃんと厠に行ったのだ?」

「行ったよっ!いつまでそのネタ引っ張る気だ!!」

 

 あの声は鈴々さんと翠さんだ♪

 

「媽媽ぁ、おしっこ………」

「うわああ!おい!誰か疾を厠に連れて行ってやってくれっ!!」

 

 姪っ子達が乗った馬車の方でメイドさん達が大慌てしてる♪

 

 あたしもみんなも笑っていると、遠く街の方から銅鑼の音が聞こえて来た。

 

「始まったわね♪」

 

 華琳さんの言葉にあたしは頷いて、開いた正門の先に目を凝らした。

 

 駕医さんのスタート地点は街に有る病院。

 通る道の各所に銅鑼が用意され、通過する時に鳴らされるんだけど………。

 

「なんかスゴイ速さで近付いて来るね………」

 

 桃香さんの言う通り、銅鑼が次々と鳴らされドンドン大きくなってくる。

 

「全力疾走してるわね…………もっと街の人に着飾った姿を見せてあげればいいのに……」

 

 蓮華さんが苦笑してる。

 駕医さんの事だから、きっと恥ずかしがってる………。

 それとも少しでも早く、あたしの所に来ようとしてる?

 あはは、これは自惚れが過ぎるか♪

 

「あっ♪駕医さんが…」

 

 正門前の大通りに角を曲がって現れた、赤い花婿衣装を着た駕医さんが砂煙を上げて

 

 

「二刃っっ!!迎えに来たぞっっ!!!」

 

 

ジャアアアアァァン!!ジャアアアアァァン!!ジャアアアアァァン!!

 

 …………………駕医さんがあたしの目の前で右手を差し出していた。

 

「「「駕医、お前急ぎ過ぎ。花婿の来訪を告げる銅鑼より先に花嫁に声を掛けるなよ。」」」

 

「すまん♪二刃の事を考えたら足が止まらなくてな♪」

 

 え……………や、やだ、駕医さんったらそんな嬉しそうに…………………♡

 

「それでは一刀たち、お願いね♪」

 華琳さんが兄さんたちにマイクを手渡した。

 

 

『『『この都に居る全ての人に伝える!

 

これより俺たちの愛する妹、北郷二刃子盾と

 

俺たちの親友、華佗元化の婚礼を執り行う!』』』

 

 

 正門の前に設置された巨大スピーカーから都全域に向けて大音量で宣言がされた。

 このスピーカーは官渡の戦いで大活躍した物らしい。

 その時は数え役満✩シスターズの歌を流したと教えてもらった。

 そして今日も♪

 

『二刃ちゃ~ん♪華佗~♪結婚おめでとう~~~~♪天和で~~す♪』

『おっめでとう♪二刃♪華佗!ちぃ達の可愛い義妹を泣かしたら許さないからねっ!!』

『二刃ちゃん、華佗さん、ご結婚おめでとうございます♪人和です。

私達、数え役満✩シスターズは歌を贈ります♪いつも以上に心を込めて歌うから

受け取ってくださいね♪』

 

 スピーカーから天和さん、地和さん、人和さんの歌声が流れ始め、

それを合図にパレードが始まった。

 

「「「二刃、おめでとう…………」」」

 

「ありがとう、兄さんたち♪………………?」

 

 兄さんたちが今までに無いくらい真面目な顔をして、あたしを見ていた………。

 

 

「「「父さんと、母さんと、爺ちゃんにも見せてあげたかったよ…………

 

……………お前の花嫁姿をさ………」」」

 

 

「……にい…………さん…………」

 

 やだ………泣きたくなかったのに…………

 

「……写真………撮ってるんだよね………」

 

「「「ああ。沿道にも何人かカメラマンを配置した。」」」

 

「あたし…………その写真………絶対に肌身離さず持ってるよ……………いつか………

……いつか………お父さんとお母さんとお爺ちゃんに…ンクッ…見せられる様に………」

 

「「「そうだな………俺たちも持っておく…………」」」

 

 お父さん、お母さん、お爺ちゃん…………あたしは……この世界で愛する人に出会えました。

 兄さんが…三人に増えた兄さんたちが居るから………心配しないで。

 愛する人と素敵な家庭を作るからね…………。

 

「………え…えへへ…………グスッ………」

 

「「「どうした?泣きながら笑って……」」」

 

「あたしの旦那さまがあの『華佗元化』だって言ったら、お父さん達がどんな顔するか想像しちゃった………えへへ♪」

 

「「「それは俺たちの嫁さん達と娘達もだろう♪」」」

 

「あははは♪それもそうだね♪」

 

 うん♪こんな奇跡が起きているんだ!きっと伝えられるって信じていよう♪

 

 

 

 あたしは隣を歩く駕医さんの顔を見上げた。

 駕医さんもあたしを見て微笑んでくれている♪

 沿道の人達もあたし達に拍手で祝ってくれていた。

 

 晴れやかな雰囲気の中、突然それは起こった。

 

『ちょ、ちょっと何よっ!いきなり舞台に上がって来てっ!』

 

 スピーカーから流れていた歌が止まり、地和さんの声の後、複数の足音が聞こえて来た。

 

『なにが結婚式だ!こんな贅沢しやがって!ぶっ壊してやるっ!!』

 

 テロリスト!?シスターズが襲われているっ!??

 

 

 

 

【エクストラturn】

 

 街の中にある天下一品武闘会会場は騒然となっていた。

 数え役満✩シスターズが歌っていたステージ上に突然二十人くらいの男達が現れた。

 観客は最初、新しい演出かと思いそのまま見守っていたのだが、

地和の声を聞いて事態を把握した。

 

 会場警備の兵も居れば、観客の中にも大勢の兵が居る。

 しかし、シスターズを人質に取られては身動きが出来ない。

 彼女たちは国民的アイドルであると同時に、皇帝の夫人でもあるのだ。

 

「あんた達!こんな事をしてどうなるか分かってるのっ!?」

 

「死罪になるのは覚悟の上よっ!

俺達決死隊がこうしている間に、この都の各所で仲間が蜂起するんだ!!

聞こえてるんだろう、皇帝よう!

軍隊を動かして、仲間を鎮圧しようとしたらこの女共をぶっ殺すぞっ!!」

 

 剣を構えてシスターズを取り囲む男達。

 しかも、ステージには背景用に巨大モニターが設置されており、

そこにはパレードの様子が映し出されていた。

 

 会場は静まり返っていた。

 それは街中も同じ。

 

「……………?……なんで騒ぎが起こる音も聞こえてこねえんだ?」

 

 

「それは貴様の仲間とやらが既に捕まっているからだ!」

 

 

 その声と同時に空から二つの筋肉が落ちてきてシスターズを守る壁になった。

 

「な~~んかつい最近も同じ事をした気がするわね~~ん。」

「そんな物は我らにとっては些細な事だ、貂蝉…いやさ、貂華蝶よ♪」

 

「ひっ!!」

「ば、化け物が降ってきたっ!!」

 

「にょわんですって~~~~~~っ!!」

「ふんぬ~~~~~っ!貴様ら!本当に命がいらんと見えるっ!!」

 

「待て!貂華蝶!巫女華蝶!」

 

 それは賊を捕らえた事を告げた声。

 モニターを設置した櫓の上に立つ白い影。

 

「名乗りがまだではないかっ!!」

 

「あら~~~ん、わたしとしたことが怒りに我を忘れる所だったわ~~ん。」

「ううむ、確かに名乗らぬ内に暴れる訳にはいかぬのぉ。」

 

「…………二人共、早く上に行く。」

 

 いつの間にか恋華蝶もシスターズの横に居た。

 

「て、てめえ!どうやって現れやがったっ!?」

 

 男が剣を突きつけようとした瞬間に、三人の華蝶とシスターズが消えた。

「え?………………………な、何が………………」

 

「ちょ、ちょっと!もっと丁寧に扱ってよぉ!!」

 頭上から聞こえた声に男達が顔を上げると、さっきまで目の前に居た筈の六人が

櫓の上に移動していた。

 

「お姉ちゃん達、大丈夫だった?」

 

 黄華蝶が屈んでシスターズに問い掛けた。

 

「出来れば璃々ちゃんか星華蝶様に運んでもらいたかったわ…………」

「お姉ちゃん、腰が抜けたよぅ~~」

「わ、私も寿命が縮まりました………」

 

 朱華蝶が手に持った羽毛扇でシスターズを扇いだ。

「すいません、賊を捕えるのが精一杯でこちらに伝えるのが遅れました。」

 

「では、揃った所で……………行くぞっ!」

 

「「「「応!!」」」」

「……おう!」

 

 

「か弱き華を守るため

    美々しき蝶が舞い降りる!

 

我ら都の民を守り、愛をもたらす

 

      正義の使者!

 

   華蝶連者っ!! 見参っっ!!」

 

 

 六人の華蝶仮面がポーズを決める!

 

「天知る!」

「神知る!」

「我知る!」

「子知る!」

「悪の蓮花の咲くところ!」

「正義の華蝶の姿あり!」

「煌めく知謀!朱華蝶!」

「……恋華蝶♪」

「艶めく踊り子ぉ!貂華蝶!」

「恋の預言者!巫女華蝶!」

「運命の戦士!星華蝶!」

「溢れる勇気!黄華蝶!」

 

「華蝶の連者!」

「六人揃って!」

「……ただいま…」

 

「「「「「参上っ!!」」」」」

「…さんじょう。」

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!』

 

 天下一品武闘会会場が観客の声援で揺れる!

 そして都全体でも同じ事が起きた!

 今までの様子は全てスピーカーから流れていたのだ!

 

 朱華蝶はステージの上で呆気にとられている賊に羽毛扇を突きつける様にして言い放つ!

 

「あなな…コホン……貴方達が我々の情報網を甘く見たのが敗因です!

今日という晴れの日を血で汚したくありません!大人しく縛についてください!」

 

「そ、そうは行くか!こうなりゃひとりでも多く道連れにしてやるっ!!」

 

 賊はステージから客席に向かって走り出した!

 

 だがっ!

 

 賊の前に新たな黒い二つの影が立ち塞がるっ!!

 

 

「「この世に病魔の蔓延(はびこ)る限り!」」

 

「俺と!」

「あたしは!」

 

「「現われるっ!」」

 

 

「こ、今度はなんだよ…………」

 

 

「善意の塊っ!!見捨てない人一号!!」

「見捨てない人二号!!」

 

「「只今参上!」」

 

 一号の白い歯と二号の仮面から覗く瞳がキラリと光る!

 

『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!』

 

 またも会場と街が沸き返った!

 

『孤高の戦士、見捨てない人がついに相方を連れて現れたわっ!

その名も見捨てない人二号!みんなも応援ヨロシクゥッ♪』

 

 気を取り直した地和が司会のお姉さんモードに入った!

 

『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!』

 

『キャーーー♪カワイイわよーーー♪お揃いの服なんか着て!お熱いぞ、このっ♪』

 

「ち、地和さん!からかわないでくださいっ!」

 

『キャーーー♪テレてるところが初々しくって、またカワイーーー♡』

 

「………もういいです…………」

 

 がんばれ!負けるな!見捨てない人二号!戦う相手はそっちじゃないぞ!

 

「お前達!今ならまだ軽い刑で済むぞ!改心して真っ当な道を歩めっ!」

 

 見捨てない人一号が賊を指差し、説得に掛かった!

 

「そんなふざけた仮面を着けたお前らに言われたくねえ!」

 

 この一言に星華蝶がカチンときた。

「むっ!この仮面の良さを解せぬとは、余程心が荒んでいるな、貴様!」

 

「待って下さい、星華蝶!この人たちはあたしが必ず改心させてみせます!」

 

「ふふ♪良かろう。今日はお主の初仕事だ。思う存分やるがいい!」

 

「ありがとうございます!」

 

 見捨てない人二号は賊の男達に向き直り、改めて声を掛ける。

「貴方達は何故こんな事をしたんです!?ただの盗賊とは思えない行動。

何か帝に、この国に言いたい事が有るのではないですか?」

 

「ああ!言いたいことは山ほどあるぜっ!!

今の皇帝が国を統一した時はこれで安心して暮らせると、ガキだった俺は思ったよ!

でも、毎年税は上がる一方!働いても働いても暮らしが良くならねえ!!

俺にだって嫁さんがいて、ガキも生まれた!

でも………嫁さんの産後の肥立ちが悪ぃんだよ!

こんな暮らしじゃ薬だって買ってやれねえじゃねえかっ!!」

 

 賊の男達は全員が涙を流し、嗚咽していた。

 この様子では全員が似た様な境遇にあるらしい。

 

「………貴方達はどちらから来たんですか?」

 

「南の……呉と蜀の国境にある…………」

 

 二号は振り仰ぎ、毅然と華蝶連者のひとりを見た!

 

「朱華蝶!聞いた通りです!」

 

「判りました。真の悪は他に居ます!我々の監視の目を盗み、私腹を肥やす悪が!

そろそろその様な輩が出始める頃だと思っていましたが…………

私が必ずその者の悪事を暴き、償いをさせましょうっ!!」

 

 朱華蝶の必殺技『丞相権限』が発動した!

 

 しかし、賊の男達には何が起こったのかさっぱり分からない。

「ど、どういう意味だ?税は……都からの指示だって領主様が………」

 

「貴方達はその領主に騙されているのよ。この都の人達の暮らしを見て、貴方は

贅沢をしていると思ったのよね?あの城に住む偉い人達が税を重くするなら、

わざわざ遠くの土地から取って運ぶより、目の前の住人から取り上げるわ。」

 

「そ、そう言われて見れば…………」

 

「それよりもあたしが貴方を許せないのは!

病気の奥さんほったらかしてこんな所で死のうとしている事よっ!!

あんたが死んだら奥さんを医者に見せてやるとでも言われたのかっ!!

あんたが死んで残された奥さんと子供がどんなに悲しむか考えたのかああああっ!!」

 

 二号の口調が次第に激しくなり、最後の方は吠えているみたいだった。

 しかし、二号は一転して静かに男の目を見て言う。

 

「この都の華佗総合病院では事情を話してくれれば薬も治療も無料になるのよ………

なんでこの都に来ていて病院に来なかったのよ………噂だって耳に入ったでしょう?」

 

「だ、だって………『そんな旨い話は無い、騙されるな』って………」

 

「信じるならこっちを信じなさいよ!」

 

 あまりの理不尽さにキレる二号の肩を、一号が叩いて落ち着かせる。

 

「幼い頃からそう言われて育って来たんだ。

それに、人は余所者より同郷の人間の言葉を聞くものだ。」

 

 一号に言われて、二号は大きく溜息を吐く。

 

「はああああぁぁぁぁ…………結局力尽くで治療するしかないのね………」

 

「ち、治療?俺の嫁さんを?」

 

「ここにあんたの奥さんは居ないでしょ。治療するのはあんたの身体と心よ!

ついでにここに居る全員治療してあげる♪」

 

「お、俺達はどこも悪くない!な、なあ、みんな。」

 

 男達は冷や汗を流しながら頷き合う。

 

「見捨てない人の目は誤魔化せないわ!

貴方達を蝕む病魔の姿がハッキリ見える!

今から全て退治してあげるんだからっ!!」

 

『スゴイわ!二号の全身が凰羅で光ってる!…………あれ?鍼は使わないの?』

 

「はいっ!あたしが使うのは……………指圧ですっ!!」

 

「指圧って!どう見ても握り拳に見えるんだけどっ!?」

 男達はびびって逃げ腰になっていた。

 二号は全て無視して治療に専念いている!

 

「我が拳は、我が魂の一撃なり!拳魂一擲!全力全快!必察必治癒!病魔覆滅っ!!」

 

「やっぱり拳なんじゃねえかあああああっ!!」

 

 

「指圧の心は母ごころっ!!カタルシス・ウェイイィィィィヴッ!!!」

 

 

『ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!』

 

『スゴイぞ!見捨てない人二号!!……………でもあれ、殴るっていうより、

拳を押し当てただけなのにメチャクチャ痛がってない?』

 

 地和の実況に星華蝶が解説を入れてくれる。

『それはあれだ。足裏とか手の平のツボを押した時の痛みと同じ痛みらしい。』

 

『………なんか微妙に嫌な攻撃ね………』

 

「攻撃じゃなく治療ですっ!!」

 

『え~~~?でも、その人達、お腹押さえて吐いてるんだけど………』

 

「これは体内の毒素を強制的に排出させてるんです!」

 

『ホントに~~?』

『うむ、本当だ。ちなみに技名に有った“かたるしす”とは羅馬の言葉であの様に

上から出したり、または下から出したりして治療するという医学用語なのだそうだ。』

 

 そうしている間に吐瀉を終えた男達…………絵が無いとは言えあまり描写したくないシーンである。

 運良くマイクでその音を拾わずに済んだので街に被害は出なかったが、

会場の観客はかなり引いていた。

 

「げほっげほっ…………う~~~、ひどい目にあった…………あれ?体が軽い………

それに気持ちもすげえ晴れやかだ♪」

 

「病気や怪我で身体が痛いと気分が優れないでしょ。例えそれが僅かな傷みでも

長く続けば心も傷ついて行くの。身体の病魔を倒せば心の病魔を弱らせる事が出来るわ。」

 

『え~~、ちぃはこんなの人前でやらされたら、身体が健康になっても心が死んじゃう…

………女性に対しては正に必殺技だよ、コレ…………』

 

「………………今後使いどころは気をつけます……………」

 

「あのぉ…………俺達はこれからどうなるんでしょう?」

 

 すっかり毒気の抜けた男達はオロオロと二号に訊いた。

 

「えっと……それはね。」

 二号が振り返って一号を見た。

 一号は微笑んで二号の肩を片手で抱き、二号もその笑顔に頷く。

 

「「罪を憎んで人を憎まず!」」

 

 見捨てない人一号二号は揃ってサムズアップのポーズを決める!

 

「君達は罪を償うんだ!」

「その領主を改心させるから手伝ってね♪」

 

「はいっ!…………って、領主様も改心させるんですかっ!?」

 

「「我々は誰も見捨てない!」」

 

「すげぇ………」

 男達の目には見捨てない人一号二号に後光が射して見えた。

 

 舞台に会場の警備兵が上がってきて大人しくなった男達を取り囲む。

 警備兵の中に居たヒゲ、チビ、デブの三人が、男に声を掛けた。

「俺達も昔はとんでもねえ悪党だったけどよ、今ではこうして真っ当に暮らしてるんだ。」

「オレらに比べりゃお前らの罪なんて芥子粒みてえなもんだ。がんばって罪滅ぼしをしろや♪」

「奥さんの病気もあの人たちが直してくれるんだな♪」

 男は再び見捨てない人一号二号を見た。

 

「任せておけ♪」

「絶対に助けるからね♪」

 

「あ………ありがとうございます!ありがとうございますっ!!」

 男は堪えきれず涙を流して土下座をした。

 ヒゲが屈んで男に声を掛ける。

 

「そんじゃ、最初の罪滅ぼしは舞台の掃除だ。」

 

「は、はいっ!」

 男達は掃除道具を渡され、自分達が吐き出した物を片付け始めた。

 

 

『初仕事、見事だったぞ!見捨てない人二号!!

これからも力を合わせ、ともに戦おうではないか♪』

 

 櫓の上で星華蝶が満足そうに笑っていた。

 

「はいっ!よろしくお願いしますっ!!」

 

 二号も笑顔でお辞儀をした。

 

『に、二号ちゃん………一号ちゃんの事…………任せたわよ………』

 

 貂華蝶が涙を流しながらクネクネしていた。

 

『泣くな、貂華蝶…………潔く身を引くのも、また漢女道!

見捨てない人二号よっ!恋敵(とも)であった我らは今日から心友(しんゆう)だ!

気兼ねなく相談に来るが良いっ!!』

 

「は、はい………ありがとうございます…………」

 

 滂沱の涙を流す巫女華蝶に見捨てない人二号は苦笑して答えた。

 

『それでは会場の諸君!さらばだっ!』

 

「「「「とうっ!!」」」」

「……とう。」

 

 櫓の上から華蝶連者が舞台裏に飛び降りて帰って行った。

 

「「みなさん!お騒がせしました!引き続きお祭りを楽しんで下さい!!」」

 

 見捨てない人一号二号も会場の観客に手を振って舞台袖に消えて行く。

 

『ありがとう!華蝶連者!

ありがとう!見捨てない人一号二号!

これからも君達の活躍を応援してるわよーーーー♪』

 

 地和のナレーションによって華佗と二刃の結婚式を狙ったテロは、

ヒーローショーとして幕を閉じたのだった。

 

『ちぃ姉さん………まだ舞台の掃除が終わってないんだけど…………』

『あ………………』

『それよりもここからどうやって降りたらいいのぉ~~~!お姉ちゃん怖いよぉ~~!!』

 

 

 

 

 本城 後宮談話室

【二刃turn】

 

「昼間の騒ぎを起こした者達は、貴女の望み通りにしてあるわ。

だから何も心配しないで、初夜に臨みなさい♪」

 

 華琳さんがあたしの両肩を掴んで微笑んでいる。

 

「き、緊張しないで、お、落ち着いてね!」

 

 むしろ桃香さんの方が落ち着いて無いんだけど…………。

 

「駕医もその………初めてなのでしょう?大丈夫なのかしら…………」

 

 蓮華さんの言葉に華琳さんと桃香さんの動きが止まった。

 

「だ、大丈夫ですよ、あれだけ出産に立ち会ってるんですから………」

「桃香、それって何の根拠にもならないわよ…………二刃、余りにも痛かったら麻沸散を使うのよ!」

 

「使いませんっ!!」

 

 麻酔を使ってなんて……………言えるわけないっ!

 

 夕方から始まった結婚式は無事に終わり、すっかり日が暮れているけどお城も街も

篝火を燃やして何処も宴会の真っ最中。

 華琳さん、桃香さん、蓮華さんが宴を中座して、あたしに最後のアドバイスと

送り出しをしに来てくれたのだ。

 

 この後宮の庭の一角にあたしと駕医さんの新居が建てられている。

 駕医さんは、もう先にそちらに着いている筈だ。

 

「明日の朝まで決して誰も近付けないから安心しなさい♪」

 

 プロポーズの時はお義姉さん全員に覗かれてたという過去が在るので警戒してたけど、

華琳さんが保証してくれるなら安心だ。

 

 あたしは三人のお義姉さんに見送られて後宮談話室を後にし、新居へと続く中庭の道を

星と月の明かりを頼りに歩いて行く。

 

 新居の前で駕医さんが待っていてくれた。

 

 月の光に照らし出された駕医さん……………あたしは今からこの人の………

 

 駕医さんの目にはあたしはどう映っているんだろう…………

 

「二刃………」

 

「駕医さん…………………えっ!?」

 

 駕医さんにお姫様抱っこをされてしまった!

 

「一刀たちに………お嫁さんはこうやって運ぶんだって教えられてな………」

 

 月明かりでも駕医さんが真っ赤になってるのが分かる。

 

「………うん………♡」

 

 あたしは駕医さんにお姫様抱っこをしてもらったまま新居に入った♪

 

 

 

 

東京 浅草

【一刀turn】

 

 この家に戻ってきてから日課にしている木刀の素振りを終えて、汗をタオルで拭きながらリビングに入った。

 テーブルを囲むソファーに父さん、母さん、爺ちゃんが座っている。

 俺がフランチェスカへの受験勉強をしていた頃はこのリビングに父さんが居るのを

殆ど見た事がない。

 仕事が仕事だからしょうがないと思っていたが、今はそこが定位置だと言わんばかりに

馴染んでいる。

 逆に俺の記憶ではいつも居る筈の場所が空いている…………妹の二刃の場所だ。

 俺がこの世界に戻って来てひと月くらいで今度は二刃が居なくなった。

 

 俺は父さん達に俺が何処に行っていたか、そして二刃が何処に行ったのか話してある。

 

 二刃が居なくなった日に、俺は三人に写真の束を見せた。

 どれも古く、モノクロの写真ばかりで、セピア色がかっているのもあった。

 

 そこに写っているのは二刃だ。

 

 

 

「また、二刃の写真を見てたの?」

 

 三人とも、声を掛けて初めて俺が入って来た事に気が付いたみたいだ。

 

「あ、ああ…………一刀………二刃は……幸せそうだな。」

 

 父さんが見ていたのは、あの結婚式のパレードを写した物だった。

 

「うん………二刃は凄いよ。あっちで何千何万って人の命を救うんだ。

その一緒に写ってる華佗とさ♪」

 

 華佗に寄り添う花嫁衣装を着た二刃の笑顔は、セピア色の写真でも輝いていた。

 

「華佗か………異世界とは言え、そんな人物の嫁になるとはな………」

 

 父さんは職場でも三国志マニアで有名だが、特撮マニアでもあった。

 更に『戦国自衛隊』も大好きだ。

 何しろ俺のその辺りの知識は父さんのビデオコレクションを見ながら叩き込まれた物だ。

 そんなだから俺の話を最初に理解したのは父さんだった。

 

 そして母さんと爺ちゃんも写真を見て微笑んでいる。

 

「二刃も十五歳だものね。この時代では適齢期なのよね♪」

「うむうむ♪正に『三国一の花嫁』じゃ♪しかし、爺ちゃんとしてはもう少し二刃と一緒に居たかったのぅ………」

 

 爺ちゃんがソファーの空席を寂しそうに眺めると、父さんと母さんもつられる様に

同じ場所を見る。

 

「大丈夫だって。二刃も俺みたいに三ヶ月くらいで戻って来るさ。

向こうでどれだけ長い時間を過ごしてもね。

それに……………」

 

 

 日増しに強くなる俺の予感。

 

 

「この家じゃ入りきらないから、どこか田舎の安い土地を山ごと買えるくらい稼がないとな♪」

 

 

 

 

 

おまけ弐

『聖刀くんの日常』其の十八

リクエスト:眞琳   6票

61)北郷聖刀 真名:輝琳  六歳

1) 曹沖   真名:眞琳 十三歳

 

本城 曹魏館

【聖刀turn】

 

コンコンッ

 

「は~い、どうぞ。」

 

 朝ごはんの前からぼくの部屋にやって来て、ちゃんとノックをするのは、

 

「おはよう、聖刀ちゃん♪」

 

「おはよう♪眞琳お姉ちゃん。」

 

 今日は学園がお休みの日だ。

 こんなに朝早くからどうしたんだろ?

 

「ねえ、聖刀ちゃん。朝ごはんを食べ終わったら買い物に付き合ってくれないかな?」

 

「え?ぼく、今日は風紀委員の仕事の計画書を作るつもりだったんだけど………」

 

 ていうか、ぼくは今机に向かって計画書を作っている最中だった。

 先ずは草案をまとめて、それを母上や父上たち、媽媽達に見てもらって参考意見を

もらおうと考えていた。

 

「それは帰ってきたらお姉ちゃんが手伝ってあげるから。」

 

「でも、この仕事はお姉ちゃんがぼくにやるようにって………」

 

「これからは忙しくなるから、一緒にお出かけできるのが次は何時か分からないのよ……

……オ・ネ・ガ・イ♪」

 

 確かにお姉ちゃんの言う通りだな。

 

「………うん、分かったよ。」

 

「あは♪ありがとう、聖刀ちゃん♪それじゃあ先ずは朝ごはんにしましょう♪」

 

 ぼくは眞琳お姉ちゃんに手を引かれて部屋を出た。

 

 

 

「で、今日は何を買うの?本?それとも服?」

 

「何買おうかなあ♪」

 

「え?欲しい物が有るんじゃないの?」

 

「ほら、ごはんの前にも言ったでしょ。今日は聖刀ちゃんと出掛けるのが目的なの♪」

 

 そう言ってお姉ちゃんはぼくの頭をギュッとする。

 

「お姉ちゃん!苦しいよ!」

 

 ぼくの身長はお姉ちゃんの胸までしかないから顔を完全に塞がれちゃう。

 

「うん♪聖刀ちゃんの抱き心地はやっぱり最高だわ♪」

 

 ……………ぼくの話を聞いてない………。

 

「服屋さんに行きましょう♪爸爸たちの新作ができたって言ってたし♪」

 

「ぷはあっ!………う、うん。」

 

 ふう、苦しかった………。

 お姉ちゃんとぼくは手を繋いで父上たちの作った服の売っているお店に向かった。

 

 

 

「いらっしゃいませ。おや、これは姫様と若様ではありませんか♪」

 

「「おはようございます♪」」

 

「今日はお二人で?」

 

「ええ♪爸爸たちの新作が発売になったって聞いて見に来たの。それと他にも欲しい物があって。」

 

「陛下の新作でしたらあちらの一番良い所に展示しございますよ♪

後、何をお探しですか?

ご覧になっている間にお似合いの物を見繕いますよ♪」

 

「その………下着を………」

 

「はい、かしこまりました♪お任せください♪」

 

 

 

「聖刀ちゃん、これなんかどうかな?」

 

「お姉ちゃんに黒の下着はどうかな?ぼくはそっちのピンクの方が似合って、可愛いと思うよ。」

 

「…………………媽媽に聞いたのと反応が違う………」

 

「へ?どういう事?」

 

「媽媽が若い頃に爸爸とのデートで、こうして下着を爸爸に選んでももらった事があるんだって。」

 

「うん。それで?」

 

「それでって…………」

 

「父上たちは母上のもそうだけど、他の媽媽達やお姉ちゃん達の下着をよく選んでるよね?

新しいデザインもしてるし。」

 

「あのね、男っていうのは女性の下着を選ぶときに恥ずかしがるものなのよ!」

 

「ええ?そんな事言われても、普段から母上も媽媽達もお姉ちゃん達もどの下着を

着けたらいいか訊いてくるし、

父上たちから『女の人の似合う下着を選べる目を養っておけ』って言われてたし………

ああ!そうか♪父上はそのデートで困ったからぼくにそう教えてくれたんだ♪」

 

「爸爸たちったら余計な事を…………」

 

「そう言えば、さっきお姉ちゃんが自分で選んでた赤い下着はブラのカップが大きすぎる

と思うよ。お姉ちゃんはAカップなんだからCカップだと香斗お姉ちゃんとか愛羅お姉ちゃんじゃないと」

「それ以上に言わないでっ!!」

 

 

 

「お姉ちゃん、買いたい本が有るんだけど、本屋さんに寄っていい?」

 

「あら?聖刀ちゃんが本を買うなんて珍しいわね。」

 

 珍しいどころか、ぼくは今まで本を買った事が無い。

 お城の書庫に有名な本、貴重な本、珍しい本が揃ってるし、

新しい本はお姉ちゃん達と媽媽達が貸してくれる。

 

「誰も貸してくれないの?」

 

 ぼくが本屋さんの軒先に並べてある本を眺めると、お姉ちゃんも横に並んで見始めた。

 

「まだ誰にも頼んでないんだ。

実は藍里お姉ちゃんと龍里お姉ちゃんが書いた本が売り出されたって偶然聞いちゃって、

買って帰ってビックリさせようと思って♪」

 

「ええっ!?それって中を見たら聖刀ちゃんの方がビックリ……………いや、その…」

 

「お姉ちゃんも知ってたんだ♪題名が聞こえなくてどんな本か分からなかったけど、

名前が書いてあるから分かると思ってこの前から探してるんだけど、見当たらなくって。」

 

「お、お姉ちゃんも題名忘れちゃったなぁ…………あははははははは。」

 

「やっぱり探してみるしかないよね♪この奥の棚はどうかな?」

 

「そこは入っちゃダメえぇっ!!」

 

 お姉ちゃんが両腕を広げてとうせん坊をしてしまった。

 

「ええ?どうして?」

 

「こ、この先は子供が見ちゃダメな本が置いてあるの!ほ、ほら、棚に書いてあるでしょ。」

 

 お姉ちゃんが指差した場所に“禁未成人”と書いてあった。

 

「子供が見ちゃダメな本が有る所に、龍里お姉ちゃんがと藍里お姉ちゃんの本が有る訳ないよね♪」

 

「え、ええ♪当たり前じゃない♪…………………(今度、あの子達には実名でお菓子作りの本でも書かせよう)……」

 

「何か言った?」

 

「何でもないわよぉ♪それよりもお姉ちゃん、おやつが食べたいなあ♪」

 

 

 

 おやつだからそんなに沢山食べなくてもいいだろうって、一つの肉まんをぼくと

お姉ちゃんで分ける事にした。

 

「はい♪次は聖刀ちゃんがかじる番よ♪」

 

「うん……はむ……もぐもぐ……おいしい肉まんだね♪」

 

「そうね♪はむ…もぐもぐ……(特に聖刀ちゃんがかじった所が♪)」

 

「え?また何か言った?ごめんなさい、よく聞き取れなかったよ。」

 

「た、竹の子は麺麻山産のを使ってるわね!はむ!もぐもぐ……」

 

「うん、肉は金華豚だね。はむ…もぐもぐ……」

 

「戻した貝柱と椎茸も…はむ…もぐもぐ……」

 

「後はフカヒレも入ってる。はむ…もぐもぐ……」

 

「他の肉まんより高かったけど、これなら納得…………って!こんな会話がしたいんじゃ無いのよっ!!」

 

 ぼくたち、母上と外で食べる時の癖が付いちゃってるなぁ…………。

 

「聖刀ちゃん!行きたい所があるのっ!」

 

 

 

「………ここは?」

 ぼくはお姉ちゃんと手を繋いで城壁の外に出た。

 着いた先は水練場でもある川だった。

 

「媽媽が爸爸とデートした時は、水遊びもよくしたんだって♪」

 

「そうなんだ………それじゃあ今日、お姉ちゃんはぼくとデートしたかったの?」

 

「そう♪…………お姉ちゃんとデートするのイヤだった?」

 

「そんなことないよ!ぼくはお姉ちゃんの事が大好きだもん!」

 

 お姉ちゃんが寂しそうな顔をするから、つい大声になっちゃった。

 

「良かった♪」

 

 お姉ちゃんが笑顔に戻った……………けど。

 

「お姉ちゃん、ホントに水遊びするの!?」

 

 お姉ちゃんは服を脱ぎ始めていた。

 

「せっかく来たんだもん。遊びましょう♪」

 

「うん、そうだね♪」

 

 ぼくも服を脱いで川に入る準備をする。

 

「あ、お姉ちゃん、その下着ってぼくがさっき選んだのだよね?」

 

「こっちの方が可愛いって言ってくれたでしょ?あの店で着替えちゃった♪」

 

「うん♪思った通り可愛いよ♪…………あ、もしかしてそれまで着てた下着、

ぼくに渡した手提げ袋に入ってた?」

 

「え?気付いてたの?」

 

「ううん。てっきり買った方が入ってるのかと思ってた。

それにしてはお姉ちゃんのいい香りがするなって思ったけど。」

 

「(!!…………聖刀ちゃんに匂い嗅がれちゃった♪)」

 

「どうしたの?」

 

「な、何でもないわよ♪ほら、足下に気を付けてね。」

 

 ぼくとお姉ちゃんはいつものお風呂に入る時みたいに、手を繋いで川に入った。

 

 

 

 遊んでお腹のすいたぼくとお姉ちゃんは、街で買ったお弁当を川原の岩の上で並んで食べた。

 お腹がいっぱいになったぼくは、隣にお姉ちゃんの温もりを感じながら、

せせらぎを眺めていた。

 

「聖刀ちゃん……………あのね………」

 

 お姉ちゃんは感情を抑えた声で話し掛けてきた。

 

 

「お姉ちゃんがお嫁に行ったら悲しい?」

 

 

「………………………え?」

 

 ぼくは今日一番ビックリした!

 

 いや……………ぼくの覚えている中で一番だ……………。

 

「なん………で……?」

 

「お姉ちゃんも来年は十四歳でしょ。もう結婚出来る歳になるわ。

そういう話が来てもおかしくないって媽媽から言われたの。」

 

 ぼくは……………考えた事も無かった…………。

 

「私だけじゃないわ。香斗ちゃんも蓮紅ちゃんも烈夏ちゃんも………お姉ちゃん達みんな

いつか結婚するんだよ。」

 

 お姉ちゃん達は盗賊の討伐や国境の紛争に出陣する。

 その時もお姉ちゃん達が死んだらって心配になる。

 だからぼくは強くなってお姉ちゃん達を守るんだって鍛錬してきた。

 

 なのに…………結婚じゃ…………ぼくはどうしたら…………。

 

 

「…………ぼくが……ぼくがお姉ちゃんと結婚するっ!!」

 

 

「聖刀………ちゃん?」

 

「ぼくがお姉ちゃん達と結婚すればどこにも行かないでしょっ!?」

 

「私達は………姉弟なんだよ?」

 

「そんなの知らないよ!お姉ちゃんが居なくなるなんて絶対にイヤだっ!!」

 

「もう…………久しぶりに聖刀ちゃんのワガママ聞いたな♪

男の子なんだからそんなに泣かないの♪」

 

 言われて初めて涙を流してるのに気が付いた。

 

「でも、ありがとう♪これで私の覚悟も決まったわ♪」

 

 お姉ちゃんが頬にキスしてくれた。

 

「さあ、帰えりましょう。媽媽と話し合わなくっちゃ♪」

 

 

 ぼくとお姉ちゃんは夕暮れ近い山道を、手を繋いでお城に向かった。

 

「私は聖刀ちゃん以外とは結婚しないわ♪

だから聖刀ちゃんも言った事の責任とってね♪」

 

「うん♪」

 

 お姉ちゃん達とずっと一緒にいられる。

 ぼくの頭の中はその事でいっぱいだった。

 

 

 

 

 

おまけ参

リクエスト:里帰り&お墓参り[袁家組] 14票

 

16)麗羽の長女 袁譚(えんたん) 揚羽(あげは) 八歳

19)七乃の長女 張路(ちょうろ) 八倻(やや) 八歳

46)斗詩の長女 顔教(がんきょう) 升謌(しょうか) 五歳

49)猪々子の長女 文獬(ぶんかい) 虎々(ふーふー) 五歳

58)美羽の長女 袁燿(えんよう) 優羽(ゆう) 三歳

 

豫州汝南郡汝陽                 (時報:桂花 十人目 妊娠六ヶ月)

【赤一人turn】

 

 俺は袁家組の五人の奥さんと五人の娘と一緒に汝南に来ている。

 汝南は許都の東に位置していて、お隣と言っても良いくらいの場所だ。

 

「何で袁成さんと袁逢さんのお墓が汝南に有るんだ?

袁成さんが亡くなったのが洛陽で、袁逢さんは南陽なんだろ?」

 

「あら、一刀さん。わたくし達は汝南袁家ですわよ。先祖の眠る地に埋葬するのが

汝南袁家代々の習わしですわ。」

 

 麗羽が、さも当然と胸を張って答えた。

 そういや爺ちゃんも『わしが死んだら鹿児島のご先祖様の墓に入れてくれ』って

言ってたな……………気持ちは同じなのかな。

 

「最も、それもお母様達の代で終わりですわ。わたくしも美羽さんも房都に骨を埋める

覚悟が出来ていますもの。」

「うむ、漢王朝が無くなって、早十数年じゃ。もう汝南袁家に拘らずとも良いじゃろ。」

 

 美羽は晴れ晴れとした顔で目の前にそびえる巨大な墓石を見上げた。

 墓石と言うよりも石碑だよな、これ。

 天辺まで六メートルは有るんじゃないか?

 孫堅さんのお墓とは対照的だな…………むしろ孫堅さんはこの墓を知ってたから

敢えて反発してあの小さなお墓にしたのかも………。

 

「今日は汝南袁家の終焉をお母様達に告げに来ましたの。」

 

「良いのか?そんな事しちゃって?」

 今でも時々『名門袁家』と言ってる麗羽からそんな言葉が出るとは思ってもみなかった。

 

「ええ♪これでやっと、わたくしと美羽さんが実の姉妹だと公言できますわ♪」

 

 それは麗羽が揚羽を身ごもった時に教えてもらった話。

 麗羽は美羽に内緒にしていたけど、美羽も揚羽が生まれた頃に、昔袁家に仕えていた人

から聞いていた。

 俺が美羽を見ると、美羽は頷く。

 

「ひと月ほど前にようやく話してくれたのじゃ。この墓参りを機にしようと。」

 

 斗詩と猪々子は溜息を吐いた。

「それを聞かされた私と文ちゃんはビックリですよ………」

「そうそう、まさか麗羽さまにそんな隠し事ができるなんてなあ………」

 

「そっちかよ!」

 

「私は知ってましたよう♪何しろ私の母は袁逢様に仕えてた人ですからぁ~♪」

 七乃が得意気にしているけど、七乃も美羽に隠し事をしていた事に………それは

いつもの事か。

 

「お母様はあんなに愛していたお父様と同じお墓に入れたのですもの。

きっとあちらでも仲良くしていらっしゃいますわ♪」

「妾もそう思うのじゃ♪」

 

 全員で空を見上げた。

 まるで澄み切った蒼天の向こうに亡くなった人達が居るかの様に。

 

「そうだな。俺達がそう信じなくちゃな。」

 

 

「という事で、汝南袁家は終わりましたけど。これからは房陵袁家の始まりですわ♪」

 

 

「は!?」

 

 房陵袁家?なんだそりゃ?

 

「ほら、あなた達。大人のお話は終わりましたわ。こちらへいらっしゃい♪」

 

 麗羽に呼ばれて、離れた場所で遊んでいた揚羽、八倻、升謌、虎々、優羽が真っ直ぐ走ってくる。

 流石麗羽先生、子供達の信頼は厚いな。

 

「あなた達はお父様たちが作ったこの国の未来を背負うのですわ。

しっかり勉強をして、武術を磨いて、そしていつまでも仲良く助け合って行くのですよ♪」

 

「はい、お母さま♪揚羽はお姉さま達を助けて、妹達の面倒をしっかり見ますわ♪」

「八倻は爸爸たちと美羽おばさまと優羽さまと聖刀さまの為にがんばります♪」

「え~?八倻おねえちゃん、升謌は~?」

「むつかしいことわかんないけど、虎々はつよくなるよ♪」

「???え~と……………ぱぱぁ、だっこぉ~♪」

 

「ははは♪優羽には難しかったか♪ほら、おいで♪」

 

 俺が優羽を抱っこしてあげると優羽は嬉しそうに顔をスリスリしてきた。

 

「一刀さんズルいですよ!私にも優羽さまを抱っこさせて下さい!!」

「媽媽!その次は八倻に優羽さまを抱っこさせてくださいね!」

「それじゃあ爸爸、優羽ちゃんのつぎは升謌をだっこして♪」

「ああっ!しょうかねえちゃんズルい!つぎは虎々!」

「なんだ虎々。抱っこして欲しいなら、母ちゃんがしてやるぞ。」

「かあちゃんのおっぱい、ぺったんこだからヤダ!」

「にゃにをー!!?」

「それなられいはせんせいか、としママにだっこしてもらうよ~♪」

「斗詩のおっぱいは母ちゃんのモンだ!」

「文ちゃん!自分の子供相手に何言ってるの!?」

「では虎々さんはわたくしが抱っこして差し上げますわ♪」

「揚羽は妾が久しぶりに抱っこしてあげるのじゃ♪」

「わ、わたくしはもうそんな子供ではありませんわ………」

 

 

 なんかお墓の前で騒がしくなっちゃったけど、

こんな楽しい雰囲気なら却って故人も喜んでくれるかな♪

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

なんと冠婚葬祭が揃ってます!

全編書き終わるまで全然気付いていませんでした。

 

 

『本編』

何故風呂場なのか?

それは作者が愛紗の裸を妄想したかったからw

そしてこれで五虎将の中で翠だけが懐妊一回になってしまいました!

 

 

『北郷二刃奮闘記』

今回のメインとなった感じがしますね。

書き始めたら止まらなくなっちゃいましたw

まるで最終回みたいだな~と、書いてる途中で感じましたが

決して最終回ではありません!

 

字(あざな)のくだりはウィキペディア先生から教えて頂いた物を元にしていますw

恋姫のSSを書かれる方で

当時の風習に合わせた呼び方をさせたいと思う方もいらっしゃるでしょう

諱(いみな)は本来、真名と同じ役割をするのですが

「諱を呼ばないと誰だか分からねー!」と気付き

自分も断念しましたorz

 

見捨てない人の口上の元ネタは『ゼンダマン』です。

二号の治療技『カタルシス・ウェイヴ』は『星雲仮面マシンマン』から………

マニアック過ぎでした。

『超英雄大戦』用に今回思い付いたネタをいくつか寝かせました。

楽しみにして下さいw

 

最後の一刀のセリフは、『戦国†恋姫』をプレイされた方は判ってもらえるかと思います。

未プレイの方、スイマセンorz

 

 

『聖刀くんの日常』

読んでお分かりと思いますが

今回は『真・恋姫』の華琳と一刀のデートの話が元ネタです。

原作をプレイして見比べると、より一層楽しめると思います(´∀`)

 

 

『おまけ参:里帰り&お墓参り[袁家組] 』

お墓参り最終話なので、もっとシリアスにするつもりだったのですが

袁家のパワーに勝てませんでしたw

 

 

《次回のお話》

 

次回は

☆華琳③  42票 (華琳「が」イチャコラしちゃう話)

 

【北郷二刃奮闘記】

蜀の子供とお風呂 10票

【聖刀くんの日常】

螢    8票

【おまけ参】

流琉母娘他による料理教室 11票

 

を、お送りいたします。

 

※ 『天の国講座』は次々回から開始します。

(前回も同じ事を書きましたが、作者が完全に勘違いしていましたorz)

 

 

《現在の得票数》

雪蓮②  36票

翠②   34票

音々音②&音々さん②&恋②

     29票

小蓮②  28票

ニャン蛮②27票

秋蘭②  22票

蓮華②  15票

桃香②  14票

冥琳②  12票

季衣②  11票

月②   10票

桂花③  8票

鈴々③  7票

炙叉②  6票

紫苑③  6票

璃々③  6票

風②   5票

真桜②  5票

二喬②  4票

凪②   3票

詠②   1票

沙和②  1票

 

【北郷二刃奮闘記】

呉の子供とお風呂 10票

妹―ク 10票

璃々や小蓮ら年代が近い者たちのガールズトーク 7票

真桜のからくり話其の二 5票

いい大人になるための漢女☆講座~女の子編~ 4票

紫苑と月、璃々たちによる夜の勉強会 2票

華蝶連者 1票

 

【聖刀くんの日常】

魏のメンツで魚釣り 6票

黄乱   5票

炙叉   5票

いい大人になるための漢女☆講座~男の子編~ 4票

北郷親衛隊とその子供達② 4票

昴    4票

聖刀さま♥親衛隊 4票

 

【おまけ参】

天の国講座 9票

騎乗訓練その後 9票

親子鍛錬(五虎将編)9票

超英雄大戦(華蝶連者×サン・アルジオン×見捨てない人)9票

紫苑、璃々、音々+子供によるキノコ狩り 8票

「男装喫茶」へようこそ 7票

いい大人になるための漢女☆講座~ご主人様編~ 4票

眞琳と蓮紅と香斗の街で「はじめてのおつかい」 4票

「女装喫茶」へようこそ 2票

恋姫麻雀大会 1票

 

リクエスト参戦順番→冥琳② 風② 雪蓮② 凪② 小蓮② 翠② ニャン蛮族② 音々音② 月② 華琳③ 詠② 愛紗② 沙和② 秋蘭② 桃香② 蓮華② 音々② 季衣② 炙叉② 桂花③ 真桜② 二喬② 紫苑③ 鈴々③ 璃々③

 

おまけ壱リクエスト参戦順番→蜀の子供とお風呂 呉の子供とお風呂 真桜のからくり話其の二 いい大人になるための漢女☆講座~女の子編~ 璃々や小蓮ら年代が近い者たちのガールズトーク 紫苑と月、璃々たちによる夜の勉強会

 

おまけ弐リクエスト参戦順番→いい大人になるための漢女☆講座~男の子編~ 魏のメンツで魚釣 黄乱 螢 炙叉 北郷親衛隊とその子供達② 昴 聖刀さま♥親衛隊 

 

おまけ参リクエスト参戦順番→天の国講座 料理教室 騎乗訓練その後 親子鍛錬(五虎将編) 北郷親衛隊の結婚生活  超英雄大戦 紫苑、璃々、音々+子供によるキノコ狩り いい大人になるための漢女☆講座~ご主人様編~ 眞琳と蓮紅と香斗の街で「はじめてのおつかい」 「男装喫茶」へようこそ 「女装喫茶」へようこそ

眞琳と蓮紅と香斗の街で「はじめてのおつかい」 恋姫麻雀大会

 

 

 

子供達一覧

1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん)

2)桃香の長女 劉禅(りゅうぜん) 香斗(かと)

3)蓮華の長女 孫登(そんとう) 蓮紅(れんほん)

4)思春の長女 甘述(かんじゅつ) 烈夏(れっか)

5)愛紗の長女 関平(かんぺい) 愛羅(あいら)

6)風の長女 程武(ていぶ) 嵐(らん)

7)桂花の長女 荀惲(じゅんうん)金桂(きんけい)

8)雪蓮の長女 孫紹(そんしょう) 冰蓮(ぴんれん)

9)冥琳の長女 周循(しゅうじゅん) 冥龍(めいろん)

10)祭の長女 黄柄(こうへい) 宴(えん)

11)恋の長女 呂刃(りょじん) 恋々(れんれん)

12)紫苑の次女 黃仁(こうじん) 露柴(ろぜ)

13)紫苑の三女 黃信(こうしん) 崔莉(ちぇり)

14)蒲公英の長女 馬援(ばえん) 向日葵(ひまわり)

15)翠の長女 馬秋(ばしゅう) 疾(しつ)

16)麗羽の長女 袁譚(えんたん) 揚羽(あげは)

17)桔梗の長女 厳逹(げんたつ) 竜胆(りんどう)

18)凪の長女 楽綝(がくりん) 濤(なみ)

19)七乃の長女 張路(ちょうろ) 八倻(やや)

20)天和の長女 張甲(ちょうこう) 九蓮(ちゅうれん)

21)地和の長女 張大(ちょうだい) 四喜(すーしー)

22)人和の長女 張吉(ちょうきつ) 一色(いーそー)

23)炙叉の長女 迷当(めいとう) 直(なお)

24)白蓮の長女 公孫続(こうそんしょく) 白煌(ぱいふぁん)

25)秋蘭の長女 夏侯衡(かこうこう) 鈴蘭(すずらん)

26)月の長女 董擢(とうてき) 春姫(るな)

27)美以の長女 孟節(もうせつ) 花鬘(かまん)

28)トラの長女 ベンガル

29)ミケの長女 マンクス

30)シャムの長女 ペルシャ

31)桂花の次女 荀俁(じゅんぐ) 銀桂(ぎんけい)

32)朱里の長女 諸葛瞻(しょかつせん)龍里(るり)

33)雛里の長女 龐宏(ほうこう)藍里(あいり)

34)詠の長女 賈穆(かぼく) 訓(くん) 

35)焔耶の長女 魏覚(ぎがく) 焔香(えんか)

36)春蘭の長女 夏侯充(かこうじゅう) 光琳(こうりん)

37)星の長女 趙統(ちょうとう) 螢(けい)

38)大喬の長女 喬櫂(きょうかい) 愛(あい)

39)小喬の長女 喬順(きょうじゅん) 華(か)

40)亞莎の長女 呂琮(りょそう) 茜(ちぇん)

41)明命の長女 周邵(しゅうしょう) 藍華(らんふぁ)

42)華雄の長女 華剛(かごう) 树莓(しゅうめい)

43)桂花の三女 荀詵(じゅんしん) 丹桂(たんけい)

44)霞の長女 張虎(ちょうこ) 雰(ふぇん)

45)沙和の長女 于圭(うけい) 紗那(さな)

46)斗詩の長女 顔教(がんきょう) 升謌(しょうか)

47)真桜の長女 李禎(りてい) 真梫(ましん)

48)桂花の四女 荀顗(じゅんぎ) 連翹(れんぎょう)

49)猪々子の長女 文獬(ぶんかい) 虎々(ふーふー)

50)稟の長女  郭奕(かくえき) 貞(てい)

51)穏の長女  陸延(りくえん) 毬(ちう)

52)鈴々の長女 張苞(ちょうほう) 爛々(らんらん)

53)流琉の長女 典満(てんまん) 枦炉(ろろ)

54)桂花の五女 荀粲(じゅんさん) 黄梅(おうめい)

55)小蓮の長女 孫仁(そんじん) 蕾蓮(らいれん)

56)音々音の長女 陳守(ちんじゅ) 音音(ねおん)

57)季衣の長女 許儀(きょぎ) 華衣(かい)

58)美羽の長女 袁燿(えんよう) 優羽(ゆう)

59)桂花の六女 荀淑(じゅんしゅく) 來羅(らいら)

60)音々の次女 陳修(ちんしゅう) 音肆(おとよ)

61)華琳の長男 北郷聖刀(まさと) 輝琳(きりん)

62)桂花の七女 荀倹(じゅんけん) 柊(しゅう)

63)璃々の長女 黄慮(こうりょ) 牡丹(ぼたん)

64)思春の次女 甘瓌(かんかい) 燃秋(ぜんしゅう)

65)紫苑の四女 黄薛(こうせつ) 紅葉(もみじ)

66)管輅の長女 管辰(かんしん) 辯天(べんてん)

67)鈴々の次女 張紹(ちょうしょう) 龍々(ろんろん)

68)星の次女  趙広(ちょうこう) 迦具夜(かぐや)

69)愛紗の次女 

A)桂花の八女 荀靖(じゅんせい) 茉莉花(まりふぁ)

B)桂花の九女 荀燾(じゅんとう) 寿丹(じゅたん)

C)桂花の十女 荀爽(じゅんそう) 秦翹(しんぎょう)

D)桂花の十一女 荀粛(じゅんしゅく) 金鐘(きんしょう)

E)桂花の十二女 荀旉(じゅんふ) 橄欖(かんらん)

 

華佗 真名:駕医(がい) 息子⇒華旉(かふ) 真名:祉狼(しろう)

インテリ⇒寇封(劉封) 嫁⇒孟達 真名:太白(たいはく)息子⇒孟興 真名:昴(こう) 

追っかけ⇒波才 嫁⇒楊阜 真名:門風(メンフォン)娘⇒楊豹 真名:和了(ほうら)

尻好き⇒宋謙 嫁⇒張承 真名:真珠(しんじゅ)娘⇒張休 真名:珊瑚(さんご) 

董の兄ぃ⇒牛輔 嫁⇒申耽 真名:菫花(きんふぁ) 娘⇒申儀 真名:朔(さく) 

兄者⇒呂曠 嫁⇒徐晃 真名:雲雀(ひばり)娘⇒徐蓋 真名:朱雀(すざく) 

弟者⇒呂翔 嫁⇒張郃 真名:豹牙(ひょうが)娘⇒張雄 真名:白虎(びゃっこ)

 

引き続き、皆様からのリクエストを募集しております。

1・メインヒロインとなるキャラをご応募下さい。

2・『北郷二刃奮闘記』で二刃と絡むキャラを募集しています。

 例:「二刃視点で貧乳党」  という感じでお願いします。

3・『聖刀くんの日常』で聖刀と絡むキャラを募集しています。

 例:「聖刀視点で三羽烏」  という感じでお願いします。

4・おまけ参でのメインとなる子供達を募集しています。

 シチュエーションのリクエストも大歓迎です。

以上の四点にリクエストの集計(TINAMI、Pixiv双方の合計)を振り分けますので、

よろしくお願いいたします。

今まで通り、リクエストに制限は決めてありません。

何回でも、一度に何人でもご応募いただいて大丈夫です。

 

ここで絵師の皆様へ

この小説『三人の天の御遣い』の挿絵に皆様のイラストを是非お願い致します!

新たに描かれた作品、過去に描かれた作品を問いません。

TINAMI上で挿絵として使用しても良いという方はショートメールにてご連絡下さい。

また、こちらから使用許諾のお願いをさせて頂く事も有ると思いますので、その時はよろしくお願い致します。

お願いしたいイラストは恋姫達は勿論ですが

成長したちびっ子組やオリキャラ達

立ち絵、シーンイラストを問いません。

重ねてお願い致しますm(_ _)m

 

 

ご意見、ご感想、ご指摘などもご座いましたら是非コメントをお寄せ下さい。

誤字脱字は雷起の反省を促す為、修正後も抜粋して晒しますw

 

 

[今回のマヌケ晒し]

 

『え~~、ちぃはこんなの人前でやらされたら、身体が健康になっても心が死んじゃう…

………女性に対しては正に必殺技だよ、コレ…………』

 

「………………今後【近い】どころは気をつけます……………」

 

「あのぉ…………俺達はこれからどうなるんでしょう?」

 

 

 

 


 
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