No.672088

外史を駆ける鬼・IS編(改正版) プロローグ

私が過去に投稿した外史を駆ける鬼・IS編を作り直した物です。
もし誤字脱字があれば、そこはまたヌルッと指摘して下さい。

まじかるー

2014-03-19 15:26:29 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1018   閲覧ユーザー数:980

外史を駆ける鬼・IS編(改正版) プロローグ

 

ここは地図にも載っていない。

そして何処の国かもわからない孤島。

その孤島の数十メートル地底を潜っていくと地下があり、そこにはケーブルに覆われ、辺りには機械の部品が散乱し、幾つ物モニターが巡らされている部屋がある。

そこには特大の機械を弄っている、機械のウサ耳を付けた一人の女性がいた。

彼女の名は篠ノ之 束。

ISの開発者であり、この世界の女尊男卑の社会制を作りだした張本人である。

っと、いきなり説明を入れられてもわからないであろう。

ISとは「Infinite Stratos」の略で、通称「アイエス」。

宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツである。

開発当初は何かと注目されなかったが、色々有り従来の兵器を遥かに凌駕することが知れ渡って、この世界で最強の兵器となりえ、世界各国でも軍事的に、この兵器を導入したいとの声がある。

しかし何故か女性しか動かす事が出来ず、ISを動かせる女性を国は重宝し、その結果、女尊男卑の社会が形成されてしまった。

その原因とも言うべきISを創り出したのが、ここにいる篠ノ之 束である。

「ふうぅ~~暇だ~~」

そう彼女が呟きながらも、何らかの機会を完成させるが、それはこの世界ではまだ開発されていないであろう画期的な発明らしい。

これまで世が送り出してきた多くの科学の偉人からすれば、暇と言いながらも画期的な発明を出来る彼女に対して、全員殺意を覚えることだろう。

だがその画期的な発明も、束の手により後100年越しぐらい先に延ばされる事になる。

突然発明品を”暇だ暇だ”と連呼しだし壊し、辺りには壊した発明品の部品の欠片が散らばる。

「ぶぅ~~、暇だな~~。何か面白いことでもドカーンってやって来ないかな~~?」

彼女がそんなことを言っていると、願いが通じたのか今彼女がいる地底に響くほどの大きな衝撃が地上からドカーンとあり、気が緩むような警告音が研究室内に響く。

そして映し出された録画監視モニターには、束のいる孤島目掛けて何か人の様な形をした物体が落ちてくる物。その人の形をした物体は、いきなり緑色に光る右腕?を出し、何か棒状の物を握り小さな竜巻の風を起こし孤島へ降りて行く。

そして現在の地上モニターには地上に大きな穴が空き、何やらそこにいる人の様な物体は何かしらの獲物を持って着地していた。

本来であれば彼女が打ち上げていた監視衛星に何かが映れば、もっと早くに警告音が鳴り響くはずであるのだが、その警告音は全く響かず、また監視圏内の熱源反応によれば、その何かしらの物体は異次元空間より出現したことが判った。

これまでの人類科学の歴史上、その様なことが観測されたであろうか?

未知なる存在に彼女の科学者・研究者としての探究心がうなぎのぼりになる。

「ふおぉぉぉぉっ!!これはこれはひょっとして、世紀の暇つぶしが待っているのかもぉ♪」

歓喜の咆哮をあげながら、彼女は急ぎ足で研究室の部屋を出て行く。

今彼女の胸の中は、見た事も無い発見で心が震えていることであろう。

 

そして今回もこの外史の物語のイレギュラー的な存在になるであろう、彼は……落ちていた。

「またかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

彼の名前は重昌・T・影村。

外史の探求者であり、ただ今上空71580フィート(21.8km)。

ノンパラシュートスカイダイビングを楽しんでいる真っ最中であった。

………という冗談は置いておき、彼は今自分が置かれている状況を思考した。

【落ち着け、俺は外史を周っている。いわば語り部の様な存在だ。その語り部が死ねばどうなる?物語を伝える事は出来ない。ならばこの俺にも主人公のような”補正”が付いているはずだ。墜落しても、ギャグの如く受け流せるはずだ。大丈夫だ、問題ない。重昌、クールになれ。俺、この旅が終われば恋歌達と新しく子供を作るんだ】

※重昌の普段の一人称は『私』だが、感情が最高値まで高ぶると、『私』から『俺』になります。

様々なフラグを(悪い方に)立てると、何処からとも無く脳内から、彼を探求者にした存在である卑弥呼の声が聞こえてくる。

「しかし御館様よ…このままぶつかれば、補正で”おそらくは”生きてはいるが……凄く痛いぞ?」

脳内再生が終わると彼は「ですよねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」っと言いながら再び自分の置かれている立場に目覚める。

そうすると彼は着地する地面が見えてくると、右手より何かの篭手と上下に薙刀の様な長い刃を持った獲物を出現させ、自分の周りに竜巻を起こし、ドスンと音を立てて着地に成功する。

そして彼の右手の篭手と武器は、光と共に消える。

彼の出した篭手は『鬼の篭手』といい、外史の探求者となった時、探求者となりえた世界で『鬼の一族』と呼ばれる者達に貰い受けた力だ。

また彼が起こした竜巻は、鬼の力の一部であり『風』の能力だ。

獲物の名前は旋風丸という。

無事着地を終え、一息つくと、突然重昌に向かって話しかける声があった。

「はいは~い。こんばんは~~」

突然の女性の声に重昌は警戒した。

大怪我を招く状況からの脱出で警戒心を怠っていたとは言え、自分に気づかれずにこれほど近くに近付き、しかも探求者として、異世界の者に簡単に見せるわけにもならない鬼の篭手を見られたのだ。

彼に声をかけた女性はひらひらと白いハンカチを振りながら重昌近づいてくる。

「はぁい。みんなのアイドル、篠ノ之束だよぉ~」

両腕を60度ぐらいに高く広げクルクルと回り間抜けた返事をする女性に、重昌の頭に”?(クエスチョンマーク)”が浮かび、つい「篠ノ之束?」と聞き返してしまう。

「はにゃん!?もしかして…私の事知らない!?ショックぅぅぅぅっ。ISの創造者において、この天才、篠ノ之束を知らないなんてぇぇっ。今の義務教育の教科書にすら出てくるのにぃぃ~」

そう言いながらうつぶせになり、わんわん泣き喚く束に重昌は気が緩んでしまう。

 

「わ、悪いねお嬢さん。私はこの世界の人間じゃないのだよ」

その言葉を聞き束の垂れた機械仕掛けのウサ耳がビシッと伸び、泣いていた事も忘れるぐらいテンションが上がる。

「マ~ジ~で~!?これってテラヤバす~。量子論の真髄じゃない?未知の存在とご対面じゃない?ふむふむ、天才の血が騒ぐよぉ~」

テンションが上がりまくっている束に対し、重昌は冷めた声で束に話す。

「それはない。貴方はここで見た記憶は消えるのだから」

そう言い重昌は右腕を構えて再び先ほどの篭手を出し、その手はなにやら青い光を放っていた。

「大丈夫。どこぞの悪役みたく、”見られたからには消すしかない”とは言わないさ。だが今日一日の記憶だけ消させてもらう。それで元通りさ」

だが束はさらに興奮し、重昌の篭手をまじまじと見つめる。

「ふおぉぉぉぉっ!これって何で出来てるの!?すっごい非科学的。ますます天才の血が騒ぐよぉぉぉっ!」

重昌は左手で頭を抑えて、「調子が狂う」と愚痴を零す。

しかし彼女はそんなことは気にせずに言葉を続けた。

「でもね、黒い着物を着たおじさん。別の世界から来たのなら、この世界の情勢、常識、知識が必要じゃないのかなぁ?」

彼女の問いかけに対し、重昌は眉間にしわを寄せて話す。

「…この私と交渉しようというのか?何が望みだ?」

明らかに自分のことを試していると確信している重昌は彼女を睨みつけるが、そんな視線を物ともせずに、問いに彼女は笑顔で答える。

 

「やぁ~だね~、単なる天才の探究心だよぉ。いきなり別次元の世界の住人が出てきて、これからどういう行動を取るのか!う~ん、天才の血が騒ぐよぉ」

左手は頬に、右手はオバサンの様に手をヒラヒラさせながら彼女はあっけらかんとこたえるが、それでも重昌は彼女への警戒心を解かずに、そのまま話を続けた。

「貴方一人が、全ての世界情勢まで知っているとは到底思えないが?」

それもそうだ。

いきなり会って名も知らない女性がそんなことを言っても、それを信じるものは皆無に等しいだろう。

逆に「俺は天才だ!!」と某世紀末漫画のキャラクターのセリフを連呼しながら歩く見知らぬ人がいれば、迷わずに警察に連絡をとるところであるが、生憎重昌がたどり着いたであろう場所は何処かの孤島であり、人がいるとすれば目の前の少女ぐらいであろう。

「ぷんぷん。天才を舐めてもらっちゃ困るよ。だったら、今すぐアメリカのペンタゴンにハッキングして、世界情勢を狂わせてあげようか?」

重昌は彼女の目をジッと見つめる。

確かに彼女の目は嘘を付いている様には見えず、ふざけているが警戒の態勢は取っている様。

そして彼の勘はこう予感させる。

この娘なら『ホントに世界情勢を狂わせかねない』いう、はずれそうも無い”勘”があった。

なんといっても、彼女の立ち振る舞いや話し方はどこにでもいそうなちょっと痛い感じの()に見えなくもないが、それでも彼女から感じ取れるオーラは天才、いや鬼才の匂いが発せられていた。

しばらく悩んだ末に重昌は答えを出した。

「判った、交渉成立だ。こちら側の条件は、君にはこちらが聞けば与えれるだけの情報を提供すること。この力の件は絶対黙秘であることだ。代わりに君は私を好きに使ってもらって構わない。私の名前は重昌・T・影村。Tはタナトス。キリストの洗礼を受けた時に付いた名だから、別にハーフとかそういうのではない」

「うんうん。よろしくね、重ッチ」

「し、しげ」

変なあだ名を付けられ返答に困っている重昌に対して、束は彼の右手を両手で握手し、ピョンピョンと跳ねる。そしてまた、重昌の……鬼の新たなる外史の歴史がまた幕を開けた。

 


 
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