先生「はーい!皆さんバスには乗りましたかー?では、行きますよー!」
5月のとある一日。私達はバスに乗り込んでいた。行き先は遊園地。つまりは、遠足ってやつや
なのは「高校にも遠足ってあるんだね」
フェイト「なんでも、生徒間の交流を深めるためだとか」
はやて「お、この遊園地凄いな。日本最大の規模で最速のジェットコースターとかあるで」
士希「………」
はやて「ん?」
私はふと、隣に座っている士希君をチラッと見る。
彼は無言でパンフレットを見つめ、そして心無しかワクワクしているように見えた
はやて「(レーゲンレーゲン。今士希君、どんな表情してる?)」
私は念話でレーゲンに語りかけてみる。すると程なくしてレーゲンが返答をくれた
レーゲン「(しきさん、僕がよく公園で一緒に遊んでる少年達と同じくらいキラッキラの笑顔です)」
はやて「ぷっ!」
どんなんやねん!?士希君はそんな純粋な少年やなくて、シリアス系なツッコミ不良キャラやないんかい!
なのは「ん?はやてちゃん、どうしたの?」
フェイト「ん?士希も、そんなにパンフレット見つめてどうしたの?」
士希君はフェイトちゃんの問いに気付き、こちらを向いてくる。ものっそいキラッキラした笑顔で
士希「はやてはやて!これ凄ぇな!最速だってよ!どんだけ速いんだろうな!」
生まれる沈黙。ただ私となのはちゃんとフェイトちゃんの間ではミニ会議が開催されていた
なのは「(ねぇ、はやてちゃんの隣に座ってる男の子は誰?)」
フェイト「(確か途中まで士希が座ってたよね?士希、どこに行ったんだろう)」
はやて「(きゃ、キャラが…士希君のキャラが少年になってる…
やばい、どう対応したらいいんかわからへん…)」
私は笑いを堪えんので必死やった。さすがにこのギャップはアカンやろ
士希「ん?どうしたんだお前ら?俺の顔に何かついてるか?」
はやて「い、いや!なんもないよ?それより士希君、遊園地は初めてなん?」
士希「あぁ、今までなかなか機会がなくてなぁ。まさか学校の行事で行けるなんて…
レーゲン!今日は楽しもうな!」
レーゲン「はい!」
アカン、こらついて行けへんかも
先生「はーい!では皆さん!学生として節度ある行動を心掛けるように。
集合時間は5時です。それでは解散!」
遊園地に到着し、先生の説明の後無事解散となる。
ここまでの道のり、士希君が終始ニッコニコやったんが違和感でしかなかった
はやて「ってあれ?士希君は?」
気が付くと、士希君は既に消えていた。あいつ、どんだけ楽しみやねん
フェイト「普段は無表情か突っ込んでるかの士希が、あんなにもご機嫌だなんて」
なのは「少し、怖いね」
アリサ「そんなに上機嫌なの?」
はやて「まさに少年って感じやで」
すずか「私たちの年では一番老けているのに」
すずかちゃん、サラッと毒はいたな
士希「あれ?皆まだ入ってなかったのか?」
士希君がどこからかふらっと現れた
はやて「どこにおったん?」
士希「レーゲンにフリーパス買ってた」
あ、意外と律儀やな。レーゲンちっさいままやでフリーパス絶対いらんだやろうに
レーゲン「遊園地!遊園地!しきさん行きましょう!」
士希「おう!乗り回すぞ!」
そしてそのまま、士希君はレーゲンを胸ポケットに入れたまま入場していった
なのは「えへへー、フェイトちゃん!」
フェイト「うん!行こうなのは!」
すずか「アーリサちゃん♪」
アリサ「はいはい、ほら」
なのはちゃんはフェイトちゃんと、すずかちゃんはアリサちゃんとそれぞれ手を繋いで入場して行った。
………あれ?独り身私だけ?
はやて「み、みんな待ってー!置いてかんといてー!」
私ら6人は遊園地に入場し、パンフレットを見ながら何に乗るか話し合うことにした
アリサ「へー、ここの遊園地、ジェットコースターが売りみたいね」
すずか「みたいだね。私、あんまり得意じゃないんだけどなぁ」
はやて「売りってだけで、ジェットコースターだけやないんやし、無理せんでも大丈夫やでな」
なのは「あ!私ゴーカート乗りたい!」
フェイト「いいんじゃないかな?ここから近いみたいだし」
士希「うし!なら行くか!ゴーカートならレーゲンも運転できるだろ!」
レーゲン「いいんですか?」
士希「おう!小3くらいの大きさになっとけ!」
するとレーゲンはみるみるうちに大きくなった。その際私らがレーゲンを囲んだのは言うまでもない
はやて「ほな、レーゲンもおっきくなったし、早速行こか!」
ゴーカートは小さいコースを3周、最大10人で走れるアトラクションや。
最高速度は時速40km。ただ車体が低い分、体感速度は倍に感じるとか。
士希君曰く「まだ自力で走った方が速いかもな」なんて言っていた。
正直、時速40km以上で走る人なんて見たくない
なのは「よーし!負けないよー!」
はやて「なのはちゃんに負ける事はないな」
アリサ「そうね。なのはに負けたら末代までの恥ね」
なのは「酷いよ二人とも!?」
フェイト「やっぱり車いいなぁ。免許早く欲しいなぁ」
士希「ゴーカートだってのに、このエンジン音がたまんねぇな!」
すずか「右がアクセルで左がブレーキです。わかりましたかレーゲンさん?」
レーゲン「はい!ありがとうございます!うわぁ、ドキドキするなぁ!」
程なくしてレース開始のカウントが始まる。私は前を見つめ、スタートの瞬間を待つ…
『READY………GO!!!』
スタートのブザーが鳴ると同時に7台のマシンが一気に動き出す。
前からレーゲン、すずかちゃん、なのはちゃん、私、アリサちゃん、フェイトちゃん、
士希君という並びになった
なのは「きゃーー!!」
そして開始早々、なのはちゃんは曲がり切れずクラッシュしていた
フェイト「短距離走の雪辱を晴らす!ドライブテクなら負けないよ!」
士希「ハッ!悪いなフェイト!トップは譲れない!」
アリサ「私を忘れてもらっちゃ困るわね!正直負ける気がしないわ!」
そしてすぐさま、トップは三人によって争われた。
あららー、三人とも負けず嫌いやなー
はやて「私らはボチボチ走ろか。レーゲン初心者なんやし」
すずか「そうだね。なのはちゃんみたいに事故らないように気をつけようね」
レーゲン「はい!」
なのは「みんな待ってー!」
私らは思い思いにゴーカートを走らせた。その結果…
レーゲン「まさか僕が一位になるなんて…感激です!」
はやて「よかったなー、レーゲン」
最終ラップでのゴール付近、一周遅れてたなのはちゃんを避けようとしたフェイトちゃんは、
避けた先で士希君に激突、その衝撃で士希君はアリサちゃんと激突、
三者派手にクラッシュしてその間に私らがゴールという結果になった
すずか「安全運転が一番だったというわけだね」
なのは「おっかしいなー、私安全運転で走ってたはずなのに、どうして一周遅れてたんだろう…」
フェイト「免許は私が取るから、なのはは助手席に乗ろうね」
士希・アリサ「チッ、あそこでクラッシュしなければ…」
なのは「そんなに私を睨まないで!?」
はやて「お次はジェットコースターや!」
私らは間髪入れず、日本最大最速と唄われているジェットコースターまでやってきた。
ただ、ここで問題が…
士希「む、身長制限か。レーゲン微妙に足りてないな」
レーゲン「むぅ、何故かこれ以上大きくなれない…」
レーゲンが微妙に身長低かった。どないしようなぁ
士希「仕方ない。レーゲン、ユニゾンする…」
はやて「ちょっと待って」
士希「…なんだよ?」
流石にこれは流せそうにない。今士希君は間違いなくユニゾンって言った
はやて「なんなんレーゲン?あんたユニゾンできんの?」
レーゲン「あ、はい。この前リインさんがシグナムさんとユニゾンしてるのを見て、
僕もできるかなーって思ってしきさんの体にダイブしたら、なんかできました」
士希「まぁその際、髪が銀髪になっちまうがな」
はやて「それそんな簡単な問題ちゃう!!」
シグナム、リイン!なんで報告せんだんや!
士希「そうなのか?」
はやて「あんな士希君、ユニゾンって結構危ないんさ。
士希君自身に素養がなかったら、レーゲンに乗っ取られる何てこともあるんやで?」
士希「レーゲンそんな事しないもんねー」
レーゲン「ねー」
はやて「そういう事やないの!!」
アカン、今日の士希君はどこかおかしい。話が通じそうにない…
アリサ「あんた達、乗らないの?」
士希「お、待ってろ!すぐ行く!さぁレーゲン!カモン!」
そう言ってレーゲンは士希君にユニゾンする。すると士希君の髪色がみるみる銀色に変わっていった
すずか「あれ?士希さん、髪色変えました?」
士希「おう!苦労してるからな!似合ってるだろ?」
なのは「わぁー、なんか一気に年老いた感じに見えるのに…」
フェイト「なんの違和感もないよね」
はやて「ちょ、ちょっと待って!みんなおかしいで!?明らかおかしいやん!
人間そんな急に髪色変わる訳ないやん!」
アリサ「まぁ普通はね。でも士希は普通じゃないし」
はやて「そんな事で流されんの!?」
あぁ、わかった。今日の私はこういう役回りなんやな。
ツッコミ(士希君)が放棄した今、私がツッコミに回らなアカンのやな…
アリサ「ジェットコースターと言えば一番後ろよね!」
士希「そうなのか?一番前の方がスリルありそうなのに」
すずか「一番後ろは前も見えないし、急に速くなるから結構怖いんだよね」
フェイト「あ、でもこのジェットコースター、最初からトップスピードでいくんだって」
はやて「へー、なら前も後ろも大して変わらんかもな。
てか、この並びやと多分前に座らなアカンやろうな」
なのは「ねぇ、さっき『心臓の弱い人はお断り』の札があったんだけど、大丈夫かな?」
はやて「なのはちゃん、ここに心臓の弱そうな人おる?」
鋼の精神と胆力を持つなのはちゃんとフェイトちゃん、
王者の風格を醸し出しているアリサちゃん、
なんやかんや肝っ玉が据わってるすずかちゃん、
人外の士希君(レーゲンとユニゾンver.)、
神様も逃げ出す最強パーティーやろコレ
なのは「…大丈夫か」
なのはちゃんは面子を見て笑顔で答えた。
日本最大最速のコースターでも、なんて事ないやろな
アリサ「お!とうとう順番ね。私とすずかが一番前になりそうね」
フェイト「じゃあ、私となのはがその後ろかな?」
はやて「そんじゃ、私と士希君でその後ろ行こか」
私らはそれぞれ座っていく。安全レバーもしっかりとめた。
おー!この瞬間ってドキドキするよなー!
士希「ヤベェぜはやて!なんなんだこの高揚感!!
賊を殲滅する時でもここまでドキドキしないぜ!」
士希君のテンションはどうやら最高潮を迎えているらしい。てか、賊てなんやねん
スタッフ『お待たせしましたお客様。
これより日本一の規模、最速を誇るコースターを体験してもらいます』
スタッフのアナウンスが流れる。どうやらいよいよのようや。
隣の士希君なんて目を輝かせて待ってる
スタッフ『では、3秒後に出発します。お楽しみ下さい』
そう言ってスタッフからのアナウンスは止まり、目の前にカウンターが表示された。
そしてカウントが始まり…
『3……2……』
いよいよや
『2……3……』
ん?
『3……3……』
はやて「どんだけ焦らすねん!?故障か!?」
『4……ごー!!』
はやて「なんで5だけ日本語って、きゃーーー!!」
コースターは突然発進し、すぐ様トップスピードに入った
ごーって、GOって事かいな!!
士希「ヒャッハー!!最高だぜ!!」
そして士希君のテンションもトップに入った。こいつ、えらい余裕やな。てか…
はやて「アカンアカンアカン!!速過ぎる!ヤバイヤバイヤバイ!」
なんやねんコレ!?思てた以上に速いし怖い!
士希「お!イェーイ!」
なんやこいつ!?急にピースして、似合わんねん!
程なくして、コースターは終わりを迎えた。想像以上に速くてビックリしたわ
士希「いやー!速かったなー!」
アリサ「本当にね。しかも不意をつかれたわ」
なのは「まさか数字が繰り上がるなんて…」
フェイト「結構レアな演出らしいよ?いつ発進するかわからないのも売りなんだって」
はやて「え?フェイトちゃん知ってたん?やったら言うてよー」
すずか「そう言えば、カメラには気付いた?最後の一回転の所にあったけど」
はやて「へ?カメラ?」
士希「俺は気付いたぞ?多分はやては涙目で写ってる」
はやて「う、うそやろ……あ!」
まさか士希君、あの時のピースはカメラがあったからか
なのは「ていうか、あんなの誰でも涙目になるよ」
はやて「せ、せやな。とりあえず、確かめに行こか」
私らは写真が売ってあると思われる場所にやってくる。確かにあった。
満面の笑みでピースしてる士希君と、その横で涙目になって絶叫してる私が…
士希「よし、買うか」
はやて「待って!ほんま?ほんまに買うん?」
正直、残しときたくない。私の顔、めっちゃクチャクチャやもん
士希「買うに決まってるだろ。レーゲンと俺がユニゾンした写真だ。レーゲンも欲しいよな」
レーゲン「もちろんです!」
いつの間にかユニゾン解除していたレーゲンが元気よく答えた。
まぁ、それも理由としてはあるやろうけど…
はやて「本音は?」
士希「この写真をネタにはやてを…」
はやて「何する気やねん!?」
止めなアカンだ。やけど私はレーゲンの悲しそうな顔を見て、諦めざるを得なかった。
くそぅ…
なのは「あれ?はやてちゃんは買わないの?」
フェイト「私たちはみんな買ったけど」
すずか「アリサちゃん、可愛いなぁ」
アリサ「う、あまり見ないでちょうだい…」
どうやら百合カップルはそれぞれ買ったようや。
ちなみに、写真のなのはちゃんとフェイトちゃんとアリサちゃんは涙目。
そしてどういう訳か、すずかちゃんはアリサちゃんの顔を見て恍惚とした表情やった
Tweet |
|
|
3
|
0
|
追加するフォルダを選択
こんにちは
今回は、なのは達が遠足に行く話です
遠足編は前編、後篇、襲撃編の三話構成になっております