第十話―袁術と言う人間
此処は森の中。一刀、美羽、黄忠の三人は食料調達の為森の中に狩りに来ていた。
美羽「して一刀。弓とはどう扱うのじゃ?」
一刀「そうだね。俺自身あまり得意じゃないけど・・・はいこれ。賊の使ってた弓。俺が改良を加えたからかなり使いやすくなってるはずだよ。」
美羽「うむ、分かったのじゃ。」
黄忠「へえ、すごいですね。こちらが本職なんですか?」
一刀「物作りが好きでね。この木刀も手作りだよ。」
黄忠「あら、すごいですわ。」
一刀「ありがとう。さて、美羽。弓はまず弓を引くことから始めないといけない。あの木を狙って矢を射って見ようか。」
美羽「分かったのじゃ。」
美羽は渡された弓を構え矢を番える。
一刀「・・・そう、よく狙って。」
美羽「い、いくのじゃ」
美羽はそのまま矢を放つ・・・が矢は途中で失速して地面に刺さってしまう。
黄忠「もうちょっと引かないと飛びませんわね。」
美羽「うぅ・・・結構力が居るの?」
一刀「そうだね。でも美羽の体つきじゃああれが限界だろう?だから氣を使うんだ。」
美羽「おぉ!忘れておった!!」
黄忠「え?氣を使えるのですか??」
一刀「ああ、元々素質があったからね。」
美羽「もう一度やるのじゃ!・・・・・それ!」
スコーン
黄忠「あら。お見事ですわ。」
一刀「俺よりうまいじゃないか。俺は少し当たりが曲がってしまうからなぁ・・・」
黄忠「そうなんですか?」
一刀「うん、どうやら体の軸が無意識に曲がってしまうらしいんですよ。」
黄忠「矯正は出来ますわよ?」
一刀「それも考えたんだけどそれで剣術にまで異常が出るのはよくないって、爺ちゃんに止められたんだ。」
黄忠「ああ、なるほど。納得しました。」
一刀「だから俺は剣術専門なんだ。・・・美羽、それじゃ此処から動物を氣で見つけて射ぬいてみて。」
美羽「うむ。」
黄忠「へ?」
美羽は弓を構え目を閉じ矢を番ええる。そのまま弓を引き・・・・・・突如目を見開き矢を放つ
美羽「居た!そこなのじゃ!!」
ドシュ!!
一刀「・・・おお、お見事。」
黄忠「ど、どう言う原理ですか?」
一刀「氣を用いて空気の流れを読んだんですよ。そうする事で周囲の地形や動物の形まで把握可能です。まあ、放出の技術は必要ですがね。」
黄忠「まあ・・・」
一刀「さて、美羽。仕留めたら下処理だ。血抜きをしてモツを取り出し、皮をはぐ。肉をばらして持ってきた紐で縛る。いいね?」
美羽「う、うむ!」
その後一刀指導の元美羽は仕留めた獲物の下処理を行っていった。時折吐きそうになったりしていたがこればかりは慣れてもらわないといけないな。
黄忠「それでは私達も獲物の一つや二つは取らなければなりませんわね。」
一刀「ああ。そうだね。」
その後一刀達三人は相当数の肉を引き下げ砦に帰って行った。
黄忠視点
この砦についてから早数日、主人は黄祖の悪事を探るために街へ赴き、北郷さんはその補助で付いて行った。
黄忠「それにしても・・・噂ほど悪い人間には見えませんわね。」
そう、ここ数日で袁術さんを見てきたけども明るく活発な印象を見てとれる。歌がうまく、璃々も懐いている。璃々が懐く時点で悪い人ではないのだ。もう少し詳しい情報を得るために後ろにいる人に聞いてみる事にしましょうか。
黄忠「張勲さん。どうしてあんな噂が流れたんですか?」
七乃「おや、気付いていたんですか?」
まったく・・・隠れる気の無い隠れ方なんて別の意味で器用な方ですわ。
七乃「どうしてあんな噂が・・・ですか。」
黄忠「ええ。」
七乃「噂は本当です。」
へ?今、なんて・・・
七乃「世間で流れてる我が儘で横暴が過ぎる君主と言う噂は本当です。」
黄忠「でも・・・そんな人には見えませんが。」
七乃「ん~ちょっと長くなりますし・・・ちょっと座りません?」
黄忠「ええ、そういたしましょう。」
そのまま私達は中庭に設置した東屋(北郷さん作)に座り話し始めた。
七乃「まず何処からお話ししましょうか・・・私がお嬢様に仕える事になったのはお嬢様のお母様がいまだ健在だった頃ですね。」
七乃「当時奥さまは旦那様と共に領地内の不穏分子の討伐に出かけておられました。その賊討伐は袁家の老人たちの情報提供によって出来た討伐軍だったんですが・・・」
黄忠「まさか・・・」
七乃「はい。罠だったんです。奥様、旦那様共に袁家の老人の意思をあまり聞こうとしなかったので・・・その討伐行軍中老人たちの私兵の奇襲にあって・・・」
黄忠「ままなりませんわね。」
七乃「・・・その後私はお嬢様を守るために必死でした。お嬢様には袁家の老人をなるべく近づけないようにしました。老人の意向は私自身が聞き実行しました。」
黄忠「なんてこと・・・」
七乃「孫家の方々がお嬢様の客将になったのはそんな事に奔走してる最中だったんです。孫堅さんが黄祖の策にはまりお亡くなりなったんです。そこから建業周辺の豪族は孫家に従わなくなり始め、ついに反旗を翻したのです。」
黄忠「そこに手を差し伸べたのも老人の意思ですか?」
七乃「いえ、私の独断です。」
黄忠「え?」
七乃「孫策さん達はとても優秀です。どんな理由があってもお嬢様のそばに置けば良い牽制になると思いました。ですが老人共も馬鹿ではありません。それと無く孫家の方々に黄祖が孫堅さんを罠にはめたのはお嬢様の意向だったと情報を流しました。」
黄忠「それで孫策さん達は・・・」
七乃「私達を目の敵にするようになりました。元々私達が客将として受け入れたのを疑問に思っていたらしく・・・」
黄忠「相談できなかったんですか?袁家の老人の策略だと・・・周瑜さんは聡明な方と聞き及んでおりますが?」
七乃「お嬢様の命と引き換えにはできません。孫策さん達を受け入れる事までは許容出来ても、味方に引き入れようものならお嬢様を・・・」
そこまで言うと張勲さんは自身を抱きしめ震え始めました。
黄忠「張勲さん・・・」
七乃「お嬢様は私にとっては・・・貴女にとっての璃々ちゃんです。」
黄忠「ああ、分かりますわ。私も璃々がそんな状況なら・・・」
七乃「それでも孫策さんの器はすごい物でした。袁家の兵のほとんどを自身の兵としていったんです。元々老人たちの方針に従っていた私達についてくる道理もありませんでしたしね。」
七乃「見つかったら事でしたから私が個人的に作った抜け道で逃げ出しました。そのまま逃げる途中で一刀さんと出会いました。」
黄忠「北郷さんも旅の途中だったんですか?」
七乃「ふふふ。それがとんでもない出会い方でしたよ。流星が流れているのをお嬢様が見つけて・・・それを見てたら流星がこう・・・“くんっ”って方向変えてこっちにめがけて落ちてくるんですから・・・」
黄忠「よ、よくご無事でしたね。」
七乃「でもそれが一刀さんだったんです。管輅の占いは本当だったんです。」
黄忠「まぁ!?では北郷さんが天の御使いなのですか!?」
七乃「そう言ってましたよ。そう言われて来たんだって。その後は色々ありましてお嬢様は自身が良き君主になれるように日々研鑽を積んでいるんです。」
黄忠「そうだったんですか・・・」
七乃「お嬢様が国を立ち上げるにしても名声も風評も酷い物ですからね。そこで一刀さんは旅をしながらお嬢様は変わった、噂は嘘だと世間に広めるための行動をしている訳ですよ。」
黄忠「なるほど・・・」
七乃「それでですね~」
黄忠「??」
七乃「黄忠さんって益州に行く気があったんですよね?」
黄忠「ええ。劉璋さんに仕えてる友人を頼ろうと考えていましたから・・・」
七乃「でしたら・・・私達と一緒に行きませんか?張允さんに聞きましたけどそろそろ襄陽に戻るそうですね。」
黄忠「そうですね・・・確かに悪くない話かもしれませんわね。」
七乃「それならばぜひ!正直味方は多い方がいいんですよ。」
黄忠「分かりました。一応主人と話して決めさせてもらいますわ。」
七乃「はい。一向にかまいません。良い御返事を頂けたらと思います。」
黄忠「はい。分かりました。」
その後張勲さんは袁術さんの所に行ってしまいました。
黄忠(たぶん北郷さんにはあの人が話をしてくれている筈ですわ。それを踏まえて考えましょうか・・・)
そんな事を思いながら私も璃々の所に足を向けた。
あとがき(と言う名の人物紹介)
黄忠 真名 紫苑
武器 颶鵬
備考 皆のお母さん的立場の人
張允 真名
武器 未設定
備考 紫苑の夫。温厚な性格だが知略にはそれなりに優れてる。
武器 未設定
備考 紫苑の娘。真名の所に関しては安直ですが幼名とそっくりでいきます。
結璃「ねえ羽生。」
羽生「なんなのです?」
結璃「今、大陸情勢はどうなってるの?」
羽生「聞きたいのですか?」
結璃「まあ、黄巾党が発生してるのは知ってるんだけど・・・」
羽生「発生して間もない状態で益州平定が黄巾党終了と考えてください。」
結璃「いいの?ネタばれして。」
羽生「これがネタばれか疑問ですが・・・これぐらいなら平気なのです。」
結璃「そうなんだ・・・」
羽生「そんな事よりも・・・」
結璃「なに?」
羽生「結璃、太りました?」
結璃「!?」
羽生「最近動いてないですよね?」
結璃「・・・・」
羽生「目を逸らすななのです。」
結璃「し、仕方ないじゃない!此処じゃ何もすることないんだから!!」
羽生「はぁ、仕方ないですね。レイアがいいですか?レウスがいいですか?それとも・・・」
結璃「喰われろと!?」
羽生「んな事言ってないのです。たくさん動けば痩せるのです。」
結璃「・・・いや、無理。」
羽生「もうめんどいので二匹同時でいいですね。ステージは闘技場で装備は全部外した状態で、武器は骨。アイテムは爆弾各種、爆弾素材各種、罠各種、捕獲玉6こんなもんでいいですか?さて、行ってらっしゃ~い」
結璃「はぁ!?ちょ、それ普通に死ねr」
羽生「・・・・・・送っておいてなんですが大丈夫ですかね?ま、いいか。それではみなさんまた次回。」
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十話なのです
それでは本編どうぞ