No.658423

恋姫†英雄-蝶々戦隊華蝶連者 第二話

人の記憶や想いに残る事だけが創作の目的の全てじゃない。自分は人を楽しく幸せにする為の創作を貫く為に、昔生路が考えた物語を恋姫†無双二次創作として再編成!
メイン作品は恋姫無双だけだけれど…今回から色んな作品からの人物等がゲスト的にクロスオーバーされます(しかもこの物語は全く新しい外史なので設定も所々違う)、そういうのがダメな人は…気合で見てください。

今回の外部出演作品は【春恋*乙女】【サモンナイトシリーズ】【ケロロ軍曹】【秘密結社鷹の爪団】【デモンベイン】【進撃の巨人】【暗殺教室】【ワンパンマン】の以上8作品でございます。
今回、恋姫無双では愛紗とパヤパヤのキャラクターボイスで知られる現在活動停止中(てゆうか本当に引退?)の女性声優、黒河奈美/本山美奈姫に纏わる、所謂『声優ネタ』が含まれます。

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2014-01-28 22:06:19 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:2742   閲覧ユーザー数:2672

[chapter:椚ヶ丘校理事長 浅野學峯の遺産]

 

 聖☆フランチェスカ学園は桃花町にあった全ての教育施設を吸収し、巨真聖☆フランチェスカ学園へと進化した際

 それらの学園で働いていた全ての教職員は巨真聖☆フランチェスカの教職員となった。

 

 

 そう、ただ1つだけ、かつて存在した進学名門校・椚ヶ丘校のみを除いては、

 

 各種施設の充実した本校舎と裏腹に山奥にある木造の旧校舎に隔離された落ちこぼれの教室があった。

 劣悪な環境、学食なし、部活動の禁止など、学校主導での低待遇を強いる環境の為、

 ほとんどの生徒はやる気をなくし、将来まで諦める者が多かった。

 

 優秀な生徒たちに「落ちこぼれのようにはなりたくない」という優越感と緊張感を持たせ、学業を効率化させる狙いが有ったとはいえ

 このような行為が許されるはずもなく、多少進学が難しくなろうが転校を選ぶ生徒も少なくはなかった。

 

 

 また、そうした行為は他の学校にも影響を催した。何を隠そう聖フランチェスカ学園は元々は女子校だったが

 学校同士の激しい競争の末、主に少しでも生徒数を増やす目的で後の最後の学園長と理事長の暴挙の5年前に男女共学になったが

 その理由のひとつがこの椚ヶ丘校に有った事は言うまでもないだろう。

 

 また、聖フランチェスカ学園の学園長の貂蝉と理事長の卑弥呼が桃花町全ての教育施設を財力に物を言わせて吸収するという

 決断にして暴挙に至った理由の1つが、この問題だらけの名門校・椚ヶ丘校にあった事は言うまでもない。

 

 しかし、名門校の理事長を簡単に教育学会から追放する訳にも行かなかった卑弥呼と貂蝉は

 この差別システムの考案者にして椚ヶ丘校理事長の浅野學峯以下多くの教職員を全ての差別された生徒とその家族(OBや最終的に転校を選んだ者含)を焚き付けて、

 自分達が資金を提供し、国家や法務部にも根回しした上で訴訟させると言う手段に出た。

 

 

 結果、自分達以上の権力を持った相手になすすべもなく潰される形になり

 多くの教職員と生徒が刑務所・少年院送りになり、元理事長浅野學峯は崖から飛び降りて自殺してしまった。

 

 

 一応、落ちこぼれとして迫害されていた生徒だけでなく、いじめに加担しなかった生徒や教職員は

 そのまま巨真聖☆フランチェスカ学園へと受け入れられたがそれは全体の四割にも満たず…

 桃花町にあった学校は実質椚ヶ丘校の場合だけは吸収される前に廃校になったようなものだった。

 

 

 

 さて、ここは夜のかつて椚ヶ丘校と呼ばれた学校の建物があった廃校舎。

 5人の影が壊れた椚ヶ丘校の門を開き雑草が伸び切り、所々に木や花、果てはキノコまで生えている校庭に出て

 中破したドアを抉じ開け、校舎に侵入した。

 

 

「ねえ、やっぱりやめようよ…」

 大人しそうなボブカットの少女、月が言う。

「そうだよ、こんな夜中に。」

 詠が心配そうに2人の古墳の男子生徒と1人の墳丘墓の女性生徒に説得を試みた。

「ここは元名門校の校舎だ、珍しい本や古い本があるかもしれねぇ、ここまで引き返すわけにも行くか」

 そう、言い返し5人は探索を続けるが、図書室や理事長室に足を運んでも本も何も無かった。

 それどころか、家具も机も全部かたずけられていた。

 

 

 もう、諦めて帰ろうかと考え始めたその時、3年E組の隔離された校舎に誰かが居た。

 5人が気になって開けてみると…

 

 

[chapter:ヒーロー&アライブ]

 

 あれから、3日…あの日の世界各地への禿十字団の攻撃はその日の内に全て阻まれた。

 

 フランスへの攻撃はナイト級ヒーロー「ハゲマント」が、オーストラリアへの攻撃はナイト級ヒーロー「鬼サイボーグ」、

 グリーンランドへの攻撃はナイト級ヒーロー「ぷりぷりプリズナー」が、イギリスへの攻撃はナイト級ヒーロー「アトミック侍」が、

 そして、リオへの攻撃はナイト級ヒーロー「ゾンビマン」によって阻まれ、多くの禿十字団の構成員が逮捕された。

 

 しかし、禿十字団による攻撃での被害は大きく、怪我人や死者も多く出た。

 ヒーロー達は直轄の情報屋や公務員、従者や配下を用いて禿十字団に関する情報を集めていた。これ以上、被害を増やさない為に…

 

 

 そして、俺と星、華蝶連者は…巨真聖フランチェスカ学園の理事長室に呼ばれていた。

 

 

「ところで…一刀さんと星ちゃんは何で理事長に呼ばれたんだろうね?」

 2人が出て行った教室で桃香が心配そうに言う。

「大丈夫だろ、それより知っているか?一刀と星の事」

「え?何を?白蓮ちゃん?」

「星はな、悪の組織と怪人に幼少期を過ごした街を襲われて、家族と友達全員が行方不明になるか死んで、それからは親戚を盥回しにされて

 最終的に京都にある一刀の実家に流れ着いて、一刀の妹と三人で実の姉弟妹のように過ごしたそうだ。」

「「ええっ!?」」

 クラスの多くの生徒が驚き叫んだ。

「そうか、星も…」

 愛紗が俯いた様子で呟く。

「どういう事ですの?愛紗さん?」

 麗羽が心配そうに話しかける。

「実は、あたいも悪の組織に兄を殺されていて…」

「愛紗もかよ…私は姉様を殺されたんだ。」

 焔耶が拳を握りしめながら悔しそうに語った。

「…お婆様……私の目の前で腹を貫かれたお婆様…」

 麗羽も沈んだ様子で言った。

「父様…」

 翠も悲しい顔を浮かべた。

「ちょっとわたくし達と白蓮さんで、理事長に話に行きますわ、猪々子、斗詩。」

 麗羽はそう言うと、3人を連れて教室を出て行った。

 

 

「華蝶連者、此度の活躍、見事であった。」

 邪馬台国の女王の子孫を自称する筋肉の鎧を纏った巨漢、巨真聖フランチェスカ学園の理事長卑弥呼は華蝶連者を褒め称えた。

 

「「ありがとうございます、理事長、学園長」」

 一刀と星は頭を下げた。

「そんなかしくまらなくていいのよ、頭をあげなさい」

 巨真聖フランチェスカ学園の学園長貂蝉は優しく語り掛けた。

「それより大変だったようね、愛紗ちゃん達に怪我が無くて本当に良かったけれど…」

 貂蝉は心配そうに言う。

 

「問題無い、すでに儂の直轄の情報屋に依頼して、禿十字団の動向を探っておる。

 また、すでに真桜の父に依頼して、巨大戦力も用意しておるぞ」

 卑弥呼は頼れる様子で励ました。

「ありがとうございます、理事長、何とお礼を言ったらいいか…」

「そう遠慮するな、儂としてはインターハイ優勝に加えて、街の治安維持までしてくれて、教育者としてこれ程嬉しい事は無いぞ」

 卑弥呼は嬉しそうだった。

「それより、理事長?昨日の話本当なんですか?」

 一刀が真剣な表情を卑弥呼に向けた。

「ああ、本当だ。愛紗の兄、焔耶の姉は生きておる。」

「けれど、所在が解らないの。禿十字団の東京攻撃の一週間くらい前、イタリアで愛紗ちゃんのお兄ちゃんらしき人を、ニューヨークで焔耶君のお姉ちゃん

 らしき人を見つけたという情報があるから、欧州と北米を重点的に探しているんだけれどね…」

 貂蝉は少し考え込むとまた語りだす

「これは私の勝手な推測だけれど、2人は何らかの理由で悪の組織に追われて、身を隠したのかしらね?」

「その可能性は高いな、貂蝉。悪の組織は禿十字団だけではないし、何より…ん?」

「どうしました?理事長?」

 一刀がきょとんとした様子で言う。

「どうやら、話を聞いていた者が居るようだ」

 

 

[chapter:関羽雲長の子孫と氷の蟹]

 

 放課後、桃花町市立図書館前にて。

「すいません、彩夏先輩…ライカ先輩…私の調べ事に付き合わせてしまって…。」

「良いのよ、愛紗ちゃん。あと、そんな堅苦しくならず自然体でいいのよ。」

 巨真聖フランチェスカ学園高等部3年生、楠原彩夏はそう優しく答えた。

 

「そういえば、愛紗ちゃんと鈴々ちゃんって…桃香ちゃんの実家で育ったのよね?」

 巨真聖フランチェスカ学園高等部3年生にしてイタリアからの留学生、ライカ・クルセイドは愛紗にさり気無く聞いた。

「ええ、ライカさん…あたいの父さんと鈴々の母さんは、桃香姉さんの母に当たる人の弟と妹…

 悪の組織の攻撃で両親と兄弟を亡くしてからは桃花姉さんの実家で育ったんです」

「そうだったんだ…」

 ライカは悪い事を聞いたという罪悪感を感じた

「いえ、気にしていません、それで従姉妹同士本当の姉妹の様に育ちましたし。…けれど、伯母様も、兄弟と甥を亡くした悲しみは未だ…」

 

「ん?」

 愛紗は近くのベンチでおそらくは図書館で借りたのであろう本を読み漁っている少女に目が留まった。

 少女は長い金髪に顔はマフラーで下半分を隠しており、服装は白とピンクの中間の様な色のゆったりとした感じのローブだった。

「そこの貴女」

 彩夏は少女に話しかけた。

 呼ばれた少女は彩夏に気が付いた。

「貴女…誰?」

「私はスーパーセントフランチェスカ学園高等部3年、楠原彩夏と申します。」

 彩夏は自己紹介した。

「貴女のお名前は?」

 

「『あたい』になる前はラミ・ロランジュと呼ばれていたよ。」

「え?」

「…今は…メビウスキャンサーのラミって仲間からは呼ばれている。」

 金髪の少女……ラミはそう答えた。

 

「ラミさんは本がお好きなのですか?」

 彩夏は優しく語り掛けた。

「ええ、孤児院育ちだった時から読書好きで…。」

「…あたいはどこかで貴女と前に会っていない?」

「さあね、愛紗…三国志の関羽雲長の子孫さん。」

 愛紗の質問にラミはそうはぐらかした。

 

 愛紗は疑問に思った、何故ラミが自分の名前を知っている?自分の血筋を知っている?

 そして何より愛紗はこの少女には初対面の気がしなかった。

「お前…ここで何をしている?」

「あたいはね、ここで迎えに来てくれる仲間を待っているの。」

 ラミはそう答えた。

 ライカと彩夏はラミが借りたであろう図書館の本の幾つかに目が留まった。

(サモンナイト…?リィンバウム…?狂界戦争…?響融化…?異世界調停機構…? これらの言葉は一体…?)

「ねぇ、ラミさん?貴女一体、何について図書館で調べて…」

 そこまで彩夏が言いかけた時

「おーい、ラミー!」

 遠くから数人の男女がラミに話しかけた。

「あ…ギムレさん、バレンさん、今、そっちに行きます。じゃあね、2人とも…またね。」

 そう挨拶を残すとラミは借りた図書館の本を手持ちの紙袋に仕舞い込むと、仲間の下に走り去ってしまった。

「何だったのかしらね?愛紗ちゃん?」

 彩夏は不思議そうな様子で言う。

「メビウスキャンサーのラミ、クロックウルフのユエル、フレイムデスサイスのバレン、アイアンオーディンのクノン、そしてダークネスボルテックのギムレ…」

 愛紗はそう呟いた。

「思い出した、あいつが…国際陰謀団ブレイクガイズ……ラミがあたいのお兄ちゃんを殺したんだ…!!」

「「ええっ!?」」

 

 

[chapter:進撃のお化け]

 

 同時刻、椚ヶ丘校の跡地にて、

 今度は8人の人影が、3年E組の校舎跡の扉に群がっていた。

 

「廃校舎にお化けが出た!?それって何かの見間違いでなくて!?月さん!?詠さん!?」

 麗羽が2人を問い詰める。

「本当だよ!」

 詠がそう言い返す。

「いいじゃんか、麗羽様!捕まえてペットにしちまおうよ!なあ!斗詩!」

「う…うん…猪々子…」

 

「しかし、麗羽、一刀、星…本当にお化けが居るとしたら…」

 白蓮がそこまで言いかける。

「ああ、正体は禿十字団かもな」

 星はそう返す。

「警戒するに越した事は無いな」

 猪々子もこういうときには慎重だ。

「あの、皆さん…何のを話を…?」

 月が断られるのではないかと心配そうに話しかける。

「い…いえ、何でもありませんわ」

 麗羽は引き攣った表情で返す。

「解った月、詠…お化けの正体を暴こう。」

 一刀はそう答えた。

「本当ですか!?」

「ああ、ただし、危なくなったら逃げような。」

 

 一刀がそう言うと8人はゆっくりと扉を開けて中を除く。

 

「「「!!」」」

「「きゃああああああああ!」」

 一刀達は中の様子に驚き腰を抜かし、月と詠は叫び声をあげると同時に走り去ってしまった。

 

 そこで見たのは、培養槽の中に入れられた肉の塊…

 

 肉の塊はコポコポと水音を立てている培養水の中に浮かび、たまにぶよぶよと動いている。

 

 

「誰がこんな事を…?」

 一刀がそう呟いた処で6人は人の気配に気が付いて、隠れて人の気配がした方を除いた。

 

「研究は順調ですか?」

 そう剃髪の女性…禿十字団の下っ端に語ったのは水色のショートヘアに紫の目の少女だった。

「はい、西澤桃華様、西澤グループの財力と技術を使って、ここまで形にしました。」

(西澤グループ…世界屈指の財閥が禿十字団のパトロンだったなんて!!)

 一刀はそう思うと歯ぎしりした。

(どうする?一刀?ここまでは…)

 白蓮は一刀に耳打ちした。

(今は出来る限り情報を聞き出しましょう)

 星はそう5人に伝えた。

「今すぐ使えますか?」

「はい、桃華様。」

 

「では、開始します!SK剤を注入!」

 桃華がそう宣言すると、肉の塊に注射器が撃ち込まれた、その途端、肉塊は震え膨れ上がっていった。

 やがて、培養槽を破壊し、肉の塊は徐々に変化していき人型に似た形になった。

 

「…鼠が入り込んだようですね。」

 西澤桃華が呟く。

「その6人を殺せ!」

 

「「まずい!!」」

 一刀達は一目散に逃げ出し、桃花町へと走り去った。

 

 

 

[chapter:蝶達は舞う+鷹の爪の英雄]

 

 どれだけ走ったのだろうか、一刀達6人は桃花町住宅街の入口辺りに辿り着いた。

 しかし、そこで聞いた第一声は、

 

「禿十字団がまた出たぞー!!」

 

 禿十字団のヘリがまた現れ、桃花町に再び剃髪の女性達…構成員を降ろしては、飛び去る間際に町を爆撃していた。

 町の至る所から叫び声があがり、上空からの爆撃で焼かれる家や屋敷、団員の暴力を受ける市民、平和だった町は地獄と化していた。

 

 

 西澤桃華は大量の団員達と町の市民公園で勝利を確信していた。

「これで、桃花町も東京23区のように…すべては、禿十字政宗様の為に!!」

 

 しかし、次の瞬間、火を噴く音と共に数人の団員が吹き飛んだ。

 

「誰だ!?」

 西澤桃華が団員が吹き飛んできた方向を振り向くと、6人の蝶々覆面の男女が身構えていた。

 

「火炎の蝶!華蝶レッド!!」

 蝶々覆面を顔につけただけの変装をした一刀が名乗りを上げた。

「流星の蝶!華蝶イエロー!!」

 蝶々覆面を顔につけただけの変装をした星が名乗りを上げた。

「天馬の蝶!華蝶ホワイト!!」

 蝶々覆面を顔につけただけの変装をした白蓮が名乗りを上げた。

「黄金の蝶!華蝶ゴールド!!」

 蝶々覆面を顔につけただけの変装をした麗羽が名乗りを上げた。

「剛力の蝶!華蝶グリーン!!」

 蝶々覆面を顔につけただけの変装をした猪々子が名乗りを上げた。

「旋風の蝶!華蝶バイオレット!!」

 蝶々覆面を顔につけただけの変装をした斗詩が名乗りを上げた。

 

「美と正義の使者、蝶々戦隊!!華蝶連者(カチョウレンジャー)!!」

 

「華蝶連者!!」

「前回の作戦の生き残りの報告では2人だったが…今度は……6人!?」

 その場に居た禿十字団員達は一斉に華蝶連者に注意を向け、身構えた。

 

 西澤桃華はウィッグを外して地のスキンヘッドを晒すと、息を吸い込んだ。

「4人増えたからって何だ!?まとめてぶちのめせぇ!!」

 

 

 西澤桃華の激励で禿十字団員は一斉に華蝶連者に拳を振り上げ、突撃する。

 それに合わせて華蝶連者も身構える。

 

 先頭を走った団員が華蝶グリーンに拳を振りかぶり殴りつけるが大剣の刀身で受け止められ、すぐに切り付けられる

「こんな奴等、あたい達の敵じゃないぜ!!」

「とはいえ、早めに全滅させないと桃花町の人達が危険よね…」

 華蝶バイオレットが考え込む。

「四の五を考えている余裕はありませんわよ、グリーン、バイオレット!」

 華蝶ゴールドが突撃してくる団員を刀一本で応戦しながら言う

「そうだ、私達は、この街を守るんだ!!2人の大切な友達を、死んだと思っている兄姉にまた合わせてあげる為に!!」

 華蝶ホワイトは肩に力を入れ、力強く言い放った。

 

「蝶・最高に行くぜぇ~! 撃ち落としてみな!!」

 華蝶レッドは団員達を挑発すると、装飾銃を構え団員に向けて火を放った。

 華蝶連者達は一斉に団員の群れに突撃した。

 

「はぁっ!」

 華蝶バイオレットは大槌を振り上げ、団員達を薙ぎ倒していく。

 華蝶ホワイトも剣片手に向かっていく団員を牽制していく。

 しかし、ヘリから新しい敵が次々と降りてきて桃花町を占拠しようとしてくる。

 

 だが、華蝶連者には多少の傷を負わせる事は出来はしても、1人も倒すには至らなかった。

 

 

 そんな様子を遠くから見守る影があった、鷹の爪団の総統とその部下だ。

「ここまで攻撃されるとは面倒な事になったな、吉田くん」

「まあ、新しく入った4人も強いですし、これなら…」

「ダメじゃ、一応禿十字団のアジトを突き止めたは良いが、まだデラックスファイターが求めた戦力には足りん」

 総統は考え込む。

「アメリカでダリエルとコフィーちゃんが、ヨーロッパで菩薩峠君とフィリップ君が各地のヒーローに呼びかけておるが、

 他の悪の組織や怪人を野放しにする訳にもいかんし、その土地にも禿十字団員が居るかもしれん関係上、全員が承諾したとしても、全員を連れてはいけん…」

 総統はそこまで呟くと、団員達に向けて激励する。

「鷹の爪団の戦闘員と怪人達よ!華蝶連者から逃れた禿十字団員を桃花町から一掃せよ!!」

「「「たーかーのーつーめー!!」」」

 

 

[chapter:蝶VS巨人]

 

「ホワイト!グリーン!これ以上、団員が街に来ると…」

 華蝶イエローがそこまで言いかけた時、桃花町の椚ヶ丘校の跡地の方角から叫び声が上がった。

 

「「何だ、あれは!?」」

 

 華蝶連者の6人が叫び声の上がった方を振り返るとそこには、椚ヶ丘校の校舎を踏み潰して、ゆっくりと立ち上がる巨大な人影が居た。

 筋肉が剝き出しになったような体で髪や爪に当たるようなものはない、口の様なものには鋭い牙が2列に並び眼は血走っていた。

 

 

「あの肉の塊だと思っていたのは巨人の卵だったのかよ!!」

 驚く華蝶グリーン。

「あんなものが街に出たら、桃花町も東京23区のようになってしまいますわ!!」

 焦る華蝶ゴールド。

 

「大丈夫よ!!みんな!!」

 その声がした方を華蝶連者が振り向くと貂蝉が市民公園の高台に身構えていた。

 

「この時の為に、華蝶連者の巨大戦力を真桜のパパに依頼して私達は用意していたの、

 残る団員は鷹の爪団と私と私の配下が相手するわ!!パピヨンダイヤルで、5・2・0と入力するのよ!!」

 

 6人の華蝶連者は携帯電話の様な機械…パピヨンダイヤルを取り出し貂蝉に言われた通りに入力する。

 

「 5 ・ 2 ・ 0 発進!! 」

 

 

 超大型巨人は桃花町に向かって進撃する、禿十字団は勝利を確信した、しかしその時、

「グアアアアー…!!」

 白馬に蝶の羽が生えた姿をした空を飛ぶ巨大なメカが前足蹴りを巨人の頭目掛けて浴びせ、巨人は転倒した。

 

「何だ!?あのメカは!?」

 

 続いて、尾の様なものにハンマーがついた蝶の姿をした巨大なメカが巨人の足を尾で殴りつける。

 それに合わせて尾に刃が付いた蝶の姿をした巨大なメカが巨人の腹を切りつける。

「ーーー!!ガアアアアァー…!!」

 巨人は立て続けの攻撃にもがき苦しむ、だが間髪入れずに蝶の羽の白鳥の姿をしたメカが現れ嘴で額を突く。

 

 巨人は立ち上がろうとする、しかし、その時、蝶の羽が生えた龍を象った巨大なメカが切り傷のある巨人の腹目掛けて体当たりをかました。

 

「…ーーーーーーー!!…ーーーー×#▽○%$X…!?」

 巨人は声にならない声をあげ、さらにもがく、そして、怒り狂い、五体のメカを破壊しようと襲い掛かるが

 その時、巨人の懐に入り込む影があった。

 

 蝶の羽が生えた巨人……いや、蝶の羽を持つ武士を象った真紅の装甲の巨大なロボットが間髪入れず巨人の胸を貫き、巨人は砂と化して崩れていった。

 

「良くやった、華蝶ムシャ!華蝶ペガサス、華蝶ハンマー、華蝶ブレイド、華蝶スワン、華蝶ドラゴンもお疲れ様」

 華蝶レッドはそういうと華蝶ムシャから降りて西澤桃華の前に立ちはだかる。

 

「さて、残るはお前ひとりだが…」

 華蝶レッドはそういうと西澤桃華に木刀を突きつけ近寄る。

 

「…次は…必ず!!」

 西澤桃華は捨て台詞を吐くと煙玉を叩きつけ煙が晴れるとすでに姿は無かった。

 

 

[chapter:英雄エレンが封印した脅威を超える力]

 

 その夜、スーパーセントフランチェスカ学園の学生寮にて。

 

「大変な事になりましたわね…」

 麗羽が心配そうに言う

「東京23区を荒地にした時も、あの巨人の卵を孵化させて都市を破壊したのかよ!!」

 猪々子が大声で叫ぶ

「でも、そんなに簡単に補充出来るものなのかな…巨人の卵って…」

 斗詩が考え込むように言う。

 

「考えられる可能性は2つ」

 一刀が説明口調で5人に言う。

 

「1つは禿十字団は今もまだ幾つか巨人の卵をストックしていて、何らかの手段でさらに調達する事が出来る。

 もう1つはあれは俺達の巨大戦力の実力を測る為の捨て駒で…………」

 

 

 

 

 その頃…禿十字団本部では…

 

「申し訳ありません、禿十字政宗様…英雄エレン・イェーガーが封印した、超大型巨人が…」

 

 桃華は禿十字政宗と呼ばれた金と黒の装飾で彩られた豪華な肘掛椅子に腰かけている尼僧姿の剃髪の女性に頭を下げた。

 

「もうよい、桃華。英雄に封印されるようなウドの大木など、東京23区を破壊して日本政府を脅し、華蝶連者の巨大戦力の実力を測る為のただの捨て駒だ」

 禿十字政宗は西澤桃華を叱らなかった、そして後ろに聳える巨大な陰の方を振り向く。

 

 

「我々の本命の巨大戦力はこれなのだから。」

 

 

 

 

 

 一方、東京沿岸の沖合では…岩礁に隠れて鋼鉄艦が待機していた。

 

 

 鋼鉄艦の積層された漆黒の装甲の外装と旗には赤い色の握り拳のマークが描かれており、その看板には十人以上の男女の影があった。

 

「ギムレ達は上手くやると思うかい?スバル?」

「さあな、俺達は俺達のやる事を済ますだけだ、パナシェ」

「言っておくけれど、この作戦、私達3人はギムレ達から注意を逸らす為の囮だよ?セクターさん?グラッドさん?」

「囮だって点はギムレ達も同じですよ、ミントさん。」

「美味しい処は、マルルゥとワンワンさんとヤンチャさんで頂きですぅ!!」

 

「華蝶連者の足止めはお願いね?リシェルちゃん?フィズちゃん?」

「まっかせなさい!!」

 リシェルと呼ばれた帽子とコートの少女は自信有り気に答えた。

「それでも、慎重にやりましょうねリシェルさん。」

 フィズと呼ばれた緑の三つ編みに道化師風の格好をした少女は心配そうに答えた。

「何よぉ…フィズ、あんたギムレ達を信頼していない訳?」

「いいえ、今回私達2人が華蝶連者と戦うのは、ギムレさん達がターゲットを破壊(ブレイク)する為の時間稼ぎですから。」

「少しでも時間を稼げなければ意味が無い、そういう事だよ」

 長髪の少年が横から口をはさむ。

「アルバ…口を挟まないでよ…」

 

「ギムレさんやクノンさんが狙う方は破壊そこなっても…少なくとも僕とアルバが狙う方と

 スバルさん達が狙う方は必ず破壊しないと、今後の世界支配は遅延するんだよね…」

「そうですわ、ルシアン。この作戦、負けられませんわ」

「意気込むのは良いが、リビエル…オレ達御使いは陽動だぞ…」

「問題無いさ我が妹よ…何なら俺達でターゲットまでブレイクしてやろう」

「……大丈夫なのか…?クラウレ…?」

 

「…リシェルさん?1つ聞きたいんですが?」

 フィズがリシェルに話しかける。

「何?」

「ギムレさんの小隊指揮能力を信用していない訳じゃないんですけれど……」


 
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