第7話 種馬の1日
試験会場を後にした一刀は、陳留の街へと来ていた。
「来た時も思ったけど、やっぱり活気があるよな」
ブルッ
「うっ…まだ見られてるきがする……」
一刀がここ陳留へと来た時に、一刀が町人、春蘭から追われた(第5話参照)1件から、まだ一刀を諦めていない町人がたくさんいた。
「ん?あれは……」
一刀は前方に見知った女性を発見した。
「おーい!しゅうらーーん」
「ん?」
秋蘭を見つけた一刀は、名を呼びながら駆けだした。
秋蘭は自分の真名を呼ぶ声のしたほうに振り向いた。
すると、そこには自分が愛する男が自分のほうへと走ってきていた。
「一刀か。どうした?」
「いや、試験が終わって、街に来てみたんだよ。そしたら秋蘭がいたからね」
そっけない態度ではあるが、一刀が来たことが嬉しい秋蘭。
そんな秋蘭の気持ちが分かって自然と笑顔になる一刀。
周りの町民は2人が醸し出す空気に近づけないでいた。
「そうか。試験はどうだったのだ?」
「精いっぱいのことはやったけど、やっぱり難しかったよ」
「ほぉ。精いっぱいやったのであろう?ならば、心配することは無い」
「ありがとう秋蘭」
「うむ」
「ところで秋蘭」
「なんだ?」
「一緒に回ってもいい?」
「まだ警邏の途中なのだが……そうだな、一緒に回るとするか」
2人は警邏へ歩き出した。
「ここは活気があっていい街だね」
「華琳様が統治されているからな」
「それに、秋蘭と春蘭が華琳を支えているし、ここの人たちのことを考えてるからでしょ?」
「…そうだな」
「まぁ。ありすぎて困ってるんだけどね……」
苦笑いをしながら周りを見ると、街の人々が行き交う中、一刀に集まる視線の多さに秋蘭は気づく。
そして、すぐに原因はこの間のことだと思い当たり、秋蘭も苦笑いを浮かべている。
「まぁ、時間がくれば落ち着いてくるさ」
「そうだといいんだけどね」
2人はその後も警邏を続けていく。
「今日はありがとう秋蘭」
「いや、こちらとしても有意義な時間が過ごせた」
「なら、良かったよ」
「ふっ。…なぁ、一刀」
「どうしたの秋蘭?」
「今日は一緒に夕餉でもどうだ?」
「2人で?」
「あぁ。今日は2人でいたいのだ」
「そっか。うん!今日は2人で過ごそう」
「そうか。なら、日が落ちたら部屋に来てくれ」
「分かった。おれもやることやったら訪いをたてるよ」
「それではな」
「またね、秋蘭」
一刀は秋蘭と別れ、自室へと戻っていく。
「…ふむ。準備をするか」
Side秋蘭
「こんなものか。ふふっ」
それにしても、夕餉の匂いを嗅ぎつけてきた姉者は可愛かったが、
「なぜ今日はこんなに豪華なのだ?」
姉者は馬鹿のくせに意外と鋭いことを言ってくる。……馬鹿のくせに。
あそこで華琳様がいらっしゃって、機転を利かせてくれなければ、ばれていたのかもな。
「春蘭、秋蘭はね、一刀が教えてくれた天の国の料理を作っているのよ。ただ、再現が出来るか分からなかったから内緒にしていたのよ」
「そ、そうか。なら、私は何も見なかったぞ!」
そう言って姉者はどこかへと言ってしまった。
「ふふっ」
「ありがとうございました華琳様」
「いいのよ。それよりも、バレないように気をつけなさい。あとが大変よ?」
「心得てます」
姉者には悪いことをした。
あとでたっぷり礼をしなければ。
コンコン
「どうぞ」
「おじゃまします。うわ~……」
「どうだ?」
「これ全部秋蘭が作ったの!?」
「当り前だろう」
「凄く美味しそうだよ!」
「ふふっ、そうか。なら、さっそく食べてくれるか?」
「ああ!いただきます!」
一刀は本当に美味しそうに食べてくれた。
嫌いなものもあったみたいだが、美味しいと言って食べてくれた。
それは無理をしてるようではなく、本当に美味しそうに。
美味しそうに食べている一刀を見ていると、胸が暖かく、キュっとしてくる。
これが幸せなのだろうか?
「いや~、本当に美味しかったよ!」
「満足してもらえたみたいでよかったよ」
「秋蘭と結婚出来る男は幸せ者だな」
ガシャンッ
私は一刀のその言葉に器を落としてしまった。
「ど、どうした秋蘭!?」
「いや、なんでもな……」
涙が流れている。
涙が止まらない。
「一刀……」
「なんだ!?」
「私が嫁に行くのは1人だ。だから、あんなことはもう言わないでくれ」
「あんなこと?……あぁ、分かったよ。おれの配慮が足りなかった。ただ、おれは秋蘭の作った夕餉が美味しくて、だから、その……」
「もういいよ、一刀」
チュッ
「……秋蘭」
「私は一刀と一緒になりたい」
それから、2人は熱い夜を過ごした。
そして……
「朝だぞ!秋蘭!!」
申し訳ありませんでした。
公務員試験やら、椎間板ヘルニアやら、左手の筋を痛めるやらで波乱の1年でなかなか執筆に集中できませんでした。
なんとか今年度中に投稿することが出来ました。
次回は早いうちに投稿できると思います。
今回の第7話は、かなり手が抜いてある作品だと思います。
なので、後日また直しを入れたいと思います。
2013年、投稿は出来ませんでした。
ご迷惑おかけしました。
2014年は、完結まで持っていけたらと思っています。
それではみなさん2014年もよろしくお願いします。
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第7話です。最後までお楽しみください