No.64743

真・恋姫無双 呉ルート アフター10 「呉国の恋姫(Love Princess)」(1)

とにーさん

呉ルートエンドから10年。主人公は孫権の長女の孫登です。

なお、この作品では6人の娘に勝手に真名を付けてます。(ご容赦を)

孫登 一蓮(いーれん)

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2009-03-22 21:07:01 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:20442   閲覧ユーザー数:15714

 

初投稿となります。

文脈とかおかしい点はご容赦を。

ブログで書いてるのを転載ってのはマナー違反でしたらご指摘を

一応少し書き直してます。

 

なお、この作品では6人の娘に勝手に真名を付けてます。

孫登 一蓮(いーれん)

呂琮 已莎(いーしぇ)

甘述 想夏(そうか)

陸延 和(なごみ)

黄柄 踊(よう)

周邵 乱花(らんか)

 

 

「ヤァー!」

「トゥッ!!」

気合いのこもった台詞から鋭い打ち出しが何度も繰り出される。

キーーーン!!

カシャーン!!

刃のぶつかり合う音が何度も繰り返される。

そして、ガシャーンという鈍い音が打ち合っていた二人の持つ武器の鍔から発せられると、そのままつばぜり合いが始まる。

背の高い女性・・・・妙齢と言える美しい黒髪の美女が体格からか若干押し気味に上から抑えるが、まだ少し幼い顔つきをした美少女も負けてはいない。

激しい力比べの後、両者は一息つくと互いに後ろに飛び去り間合いを開ける。

次の一撃のタイミングを計っているのだろう、乱れた呼吸を整えながらじりじりと間合いを詰める。

しかし、黒髪の美女は少し笑みを浮かべると

「ここまでにしよう」

と張りのある良く通る声で言った。

「ふぅ」

美少女は張りつめた集中を解くように息を吐いた。

 

汗を拭く少女に、女性が声を掛ける。

「一蓮、ずいぶん良くなってきたではないか。」

「関羽先生!。ありがとうございます。でも、まだまだです。」

少し火照った顔を若干照れたようにさらに火照らせて、その一蓮と呼ばれた少女は元気よく返事をする。

「この分だと直に抜かれてしまうかもしれんな。」

「そんなぁ、まだ先生の本気は見せてもらってませんから。」

「ふふっ、そんな謙遜せずとも良い。」

「でも、もう春ですから。」

「そうか、そろそろ一年か・・・・・建業に帰るのは楽しみか?」

「はい。」

先ほどよりさらに少女の顔が赤くなる。

「孫権さまによろしく言っておいてくださらぬか。あと、お父上の・・・北郷様?」

関羽の顔が少し不機嫌になる。

「あのお方は少しばかり節操という物が無いような気がするが・・・」

戦勝会の際に蜀の武将からも色目を使われ、それに嬉しそうに対応していたのが印象にあるらしい。

その後も何度か蜀に現れて、何人かの武将に手を付けたとの噂もある。

特に桃香が一番ご執心だったのが愛紗には気にくわなかったようだ。

しかし、今度は少女の表情が、少しすねたような、怒ったような顔に変化する。

「いくら先生でもお父様の事を悪く言うのは許せませんよ。」

「お父様はすべての女性に愛を注がれているです。」

その様子をちょっとあきれたように見ていた関羽であったが、すぐに笑顔に戻った。

「ははっ、すまぬ。今日はここまでにしよう。」

そう言いながら家の方に戻っていく愛紗を見送りながら、一蓮はぼそっとつぶやいた。

「でも、やっぱりお父様は私だけを見ていてくれればいいのに。」

一蓮は空を見つめる。同じ空のしたにいるお父様の事を想いながら・・・・・

 

その一報は早馬にて告げられた。

北の山に山賊が野党とかし砦を築いているらしい。

しかも、装備、規模ともかなりの勢力になっているということだ。

ある程度周りの状況には気を配っていた愛紗だったが、天から降ってわいたかのような状況は何か後ろ盾があるかのようにも思えた。

その知らせを聞いて愛紗は部下たちを集めて議を建てる。

「この件、どう処理すればいいだろうか?」

それに答えたのは参謀役の伊籍と言う若い女性だった。

「なるべく早く対応した方が良いと思います。」

「そうか、それなら早速兵を出すとしよう。どのくらい必要だと思う?」

「3000は必要かと。」

「3000・・・・多いな。最近それほどの規模の兵を必要になることは無かったのに・・・。」

「もしもの場合が必要な状況のようです。」

「よし解った、補給は馬良殿にお任せします。伊籍殿は私と出陣お願いします。」

愛紗は矢継ぎ早に閣僚たちに指示を出すと皆を見据えて言った。

「これにて軍議を解散する。各自迅速な対応をお願いする。」

皆が立ち去った後、玉座に座り愛紗はため息をつく。

「はぁ。」

問題はあった。それは孫登のことだ。今回の出陣が長引けば彼女の帰る日に間に合わないかもしれない。

この1年間我が子のように可愛がってきた娘だ。帰るときには見送ってあげたかった。

しかし、今回の一件は単なる野党騒ぎのようには思えない。なにか裏があるように思える。

 

『子?・・・・・いや妹だ・・・・・子だなんて・・・・まだ私も若い。』

 

とはいえ孫登の母の孫権は愛紗とほぼ年が変わらない。子でもおかしくはないのだがそこはそれ乙女心というものである。

と、あれこれ悩んでいると議会場に入ってくる一人の少女がいた。

「関羽先生、御出陣だそうですね。」

「一蓮か、うむ、北の方で山賊が徒党を組んでいるようだ。結構な規模になっているらしい。」

「なぁに、私の武を見せればあっという間に霧散するであろうよ。」

微笑みかける愛紗。そこへ突然せがむように一蓮が話しかける

「先生、私も連れて行ってはくれませんか?」

「むぅ。」

愛紗は少し考えた。

『確かに、それなら帰りを見送ることも出来よう。単なる野党騒ぎであれば、経験を積ませるのに悪くはないのだが・・・・。』

『今回の件はきな臭いのだ。何か間違いがあって呉の公子に怪我をさせるわけにも行かん。』

「今回は一蓮には留守を守って貰う。」

そう言う愛紗に一蓮が反論する

「私も及ばずながら先生の役に立ちたいのです。一年間本当にお世話になりましたし。」

「その意気込みは良いのだが、もし、もしもだ、長引くようなことがあって帰国に遅れるようなことが有れば・・・一蓮の父殿に恨まれるやもしれん。」

「あ、いえ、それは・・・・。」

その名前を出されれば一蓮は反論出来ない。

「なぁに、すぐ終わらせて帰ってくる。お主の送別会には間に合うようにな。」

そう言って愛紗は一蓮の頭を撫でる。

目を細める一蓮を見てもなお、愛紗の気持ちの中に何か曇った部分を感じていた。

 

 

野党討伐のための軍整備が昨日から忙しく行われているとき、江陵の城に突然の来訪者があった。

江夏の都尉につく呂蒙である。

しかも、一蓮にはもっと驚かせられることがあった。

その傍らには一人の少女がいたのである。

それは幼なじみでもあり、妹でもある呂琮であった。

呂琮は幼い頃から学問において頭角を現した。

その頭脳は周瑜の再来、いや、それ以上とも言われている。

孫登との仲も良く、武の孫登、知の呂琮として、置かれている立場も近いことから昔の孫策、周瑜の関係を当てはめる旧臣も多いという。

呂蒙が関羽に会っている間、呂琮は孫登の部屋にいた。

「已莎、元気にしていました?」

「はい、イーレンちゃんも元気そうで何よりですわ。」

「ところで突然何でしょう?亞莎さんがこっちに来るなんて今まで無かったのに。」

「それは・・・・・機密ですわ。」

何となく表情のつかめない已莎を前に一蓮は色々考えを巡らせるが、すぐにあきらめる。

『だめね、下手な考え休みに似たりっていうわ。』

「ところでどのくらい滞在するの?」

「えぇ、それは・・・・」

そう呂琮が話しかけたときに、伝令の者が孫登の部屋をノックし、声を掛ける。

「孫登様、失礼します。呂琮様、玉間で関羽様がお呼びになっています。」

「はーい。」

「それでは呼ばれているようだから行きますね。」

「あっ、私も。」

「いえいえ、こういう場合は取りあえず私だけ。イーレンちゃんも後で多分呼ばれますわ。」

「んーー、そう、いってらっしゃい。」

相変わらず何を考えているのか微妙に読めない。何かスッキリしないが取りあえず已莎の言うことに従う。

程なく孫登も関羽に呼ばれることとなった。

 

「え、5000の兵で向かうのですか?」

5000と言えばほぼ全軍。戦乱の世ではないので内陸地である、しかも呉との国境地であるこの城にあまり兵力を置くことは出来ない。

お互いを信用してのことだが無駄な兵力を置くことも出来ないのも現状だ。

「うむ、どうやら野党どもには外界の後ろ盾があるらしい。迅速にたたきつぶす必要があるのだ。」

「でもこの城の守りはどうするのですか?」

もし、他に隠した戦力が有ればこの城は空き家同然になってしまう。

「それに関してはだな、都尉殿が2000の兵をこちらに向けてくれるそうだ。」

「なるほど、それなら・・・・。」

納得し掛けるが何か引っかかる・・・・・・・。

 

『もし、我が軍が裏切ったら・・・・。』

 

しかし、それを口に出しては行けない。10年以上変わらぬ同盟なのだそんなことが有ればまた戦乱の世の中になってしまう。

それに亞莎さんがそんなことをするとは思えないし、お父様が絶対許さない。

「それでだ、呂琮殿には我が軍に帯同して貰う。呉の麒麟児に意見を伺いたいのでな。」

「はぁ!?」

そう叫んだのは等の呂琮ではなく孫登の方だった。

 

どうやら已莎にはすでに話がされていたらしい。

なら私も。と言う一蓮の意見はさっくり却下された。

出陣は明日の朝らしい、呂蒙たちには客間が用意されたが已莎は一蓮の部屋に泊まる事になった。

「久しぶりですね。一緒に寝るのは。」

「イーレンちゃんが荊州に向かう前日以来ですわ。」

「そうでしたね。」

「あのときは突然言い出すから目が丸くなりましたわ。」

「みんなの驚く顔は今でも思い出しますね。」

「まぁ、私はうすうす感じていましたけど・・・。孫権様が一番驚いてましたっけ、あ、でも一人全く驚いてなかった人がいるのをご存じです?」

「え、誰でしょう?」

「一刀様ですわ。」

「お父様が・・・・なんだか喜んで良いのか悲しんで良いのか・・・。」

「多分喜んで良いのかと思いますわ。イーレンちゃんのこと良くわかってらっしゃるのでしょう。」

「・・・・・・・・・」

「イーレンちゃん、真っ赤ですわ。」

「・・・・想夏たちは元気でした?」

急に話題を変えた一蓮にもにこやかに対応する已莎

「ええ、あの方たちは相変わらずですわ。」

「ナゴちゃんが呆けて、ソウちゃん騒いで、ヨウちゃんが突っ込んで、それをランちゃんが冷静にまとめて・・・」

「ランちゃんはランちゃんで天然呆けしますので、それまたヨウちゃんに突っ込まれてますわ。」

「ふふふ。もう少ししたら会えるでしょうから、一年経って私は変わっていますか?」

「はい、なんだかとても綺麗に成っていますわ、ソウちゃんやランちゃんは多分戦々恐々かとおもいますわ。」

「まぁ、已莎もうまくなったのね。」

「お世辞ではないですわ。一刀様も驚くと思いますわ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

一蓮の赤い顔がさらに赤く湯気が出そうになる

そうして久しぶりの乙女たちの会話は夜遅くまで続くのでした。

 

 

 

 

 

 
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