No.647279

一刀の晋王転生録 最終章二十五話

k3さん

一刀は辛うじて意識を繋ぎとめた。限界に近い彼は覚悟を決め最後の攻撃を仕掛ける。はたして決着は?

2013-12-22 20:15:47 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2260   閲覧ユーザー数:2053

 姓:司馬 名:昭  性別:男

 

 字:子上

 

 真名:一刀(カズト)

 

 北郷一刀が転生した者。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:懿  性別:女

 

 字:仲達 

 

 真名:理鎖(リサ)

 

 一刀と瑠理の偉大なる母。第三章で死亡した。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:師  性別:女

 

 字:子元

 

 真名:瑠理(ルリ)

 

 母を目標にする一刀の姉。一刀を異性として愛す。

 

 

 

 

 姓:張  名:春華 性別:男

 

 真名:解刀(カイト)

 

 一刀と瑠理の父にして、一刀の師。第四章前編で死亡した。

 

 

 

 

 姓:王  名:元姫 性別:女

 

 真名:美華(ミカ)

 

 一刀に異常なまでに執着する一刀の妻。

 

 

 

 

 姓:鄧  名:艾  性別:女

 

 字:士載

 

 真名:江里香(エリカ)

 

 後の司馬家軍の宿将。司馬家に対して恩を感じている。

 

 

 

 

 姓:賈  名:充  性別:女

 

 字:公閭

 

 真名:闇那(アンナ)

 

 司馬家の隠密。一刀のために働くことを生きがいとする。

 

 

 

 

 姓:王  名:濬  性別:女

 

 字:士治

 

 真名:澪羅(レイラ)

 

 後の司馬家の水軍の将。一刀を気に入り、司馬家のために戦う。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:望  性別:女

 

 字:子初

 

 真名:理奈(リナ)

 

 一刀達親戚で、一刀と瑠理とっては義姉という立場。

 

 

 

 

 

 

 姓:杜  名:預   性別:女

 

 字:元凱

 

 真名:綺羅(キラ)

 

 一刀とは同期。親同士の仲は良くないが、当人達の仲は良い。  

  第二十五話

   「決着」

 

 

(まだ立てるか!? つくづく大した男だ! 司馬昭!)

 

 姜維は気を取り直し、拳を構える。その僅かな間、一刀は現状の整理を高速で行う。

 

(俺の左足は一歩踏み込むのが限界。そして全力で放てる攻撃は……後……一撃……)

 

 整理を終えた一刀は覚悟を決める。

 

(来い! 姜維!)

 

 その思いに呼応するかのように、姜維が一刀との距離を縮め、攻撃を仕掛けた。

 

「今度こそ終わりだ! 司馬昭ぉ!」

 

 迫り来る姜維の一撃。

 

 それに対し一刀は、かわそうとはせず、あろう事か剣を持つ右腕を振り上げ、逆に一歩前に踏み込んだ。

 

「何ぃ!?」

 

 姜維はまったく予想出来なかった動きに対処することが出来ず、結果、そのまま拳を突き出すだけになってしまう。

 

 そして、それは一刀の右肩に直撃した。

 

「がぁぁぁぁぁぁ!」

 

 これには流石に悲鳴を上げる一刀。だが、その右腕は決して剣を離さず。

 

「おぉぉぉぉ!」

 

 そしてそのまま振り下ろした。

 

(ば、馬鹿な!? ま、まさか貴様!?)

 

 瞬間、姜維は悟った。これは一刀の捨て身の特攻だと。

 

 事実、一刀はほとんど姜維と刺し違えて死ぬ覚悟だった。

 

 このままではただ敗北のみ。敗北すれば姜維はすぐに洛陽を制圧し、確実に自分の愛する者達に危害を加えるだろう。そしてその後、

 

洛陽という拠点を得た姜維が残った者達にどれほどの脅威となるか想像も出来ない。

 

 だからと言って、一刀がしようとしている相打ちで双方の総大将が死ぬことになった場合は、両軍共に大混乱に成る。そんな状態で

 

洛陽を守り、美華と白蓮が生き残れるという保障など出来ない。

 

 だが、一刀にはそれで良いのだ。どちらかしか選べないのなら、少なくとも彼女達が生き残れる可能性があり、彼女達の未来が残さ

 

れている可能性がある方を選ぶ。

 

 それこそが、一刀の勝利なのだから。

 

(俺の骨、いや! 最悪俺の命はお前にくれてやる! だから! 皆の未来をくれぇぇぇぇ!)

 

 万感の想いを込めた一撃は、姜維に届いた。

 

「うぐおぉぉぉぉぉぉ!」

 

 姜維の身体から大量に出血した。

 

(俺は……負けたのか?)

 

 姜維は引き分けとは思えなかった。

 

 旗から見ても、自分から見ても引き分けのように見える。しかしそれでも自分は敗北したのだと彼は思っていた。

 

 その瞬間、彼の脳内で異常が発生する。

 

(こ、これは!?)

 

 異常の後、姜維は納得した笑みを浮かべた。

 

(ああ、そうだった……ふっ……それが北郷一刀だったな……)

 

 先ほどの異常で姜維は、左慈としての記憶を思い出していた。

 

(そうだ、貴様は外史の住人であっても命懸けで助けようとし、命懸けで道を作る……ならば、確かにこれは俺の敗北だな)

 

 姜維、否、左慈は一刀に対し敗北を認めた。だが、今や彼には怒りや憎しみは無かった。

 

(何故だろうな……管理者とかそう言ったしがらみが無く、戦ったからかもな……)

 

 次第に薄れ行く視界の中、彼は一刀を見つめる。

 

(認めてやる、お前の勝ちだ、北郷一刀……)

 

 満たされた心のままに、この外史での彼は死んだ。

 

 その直後、一刀は地に伏した。

 

(ああ、左足と右腕は……完全に死んだな……まぁ、すぐに本当に死ぬだろう……)

 

 戦場で意識を失い、無防備になることは死を意味する。一刀はそれを深く理解している。だが彼はあまりに傷を負い過ぎた。分かっ

 

ていても、これ以上意識を保つことは出来なかった。

 

(皆……どうか……生き残って……)

 

 そして、彼の意識は闇の中に落ちていった。


 
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