No.647120

真・恋姫†無双 巡る外史と仮面の魔神 十八話

XXXさん

仮面編

図星か

2013-12-22 06:00:01 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1717   閲覧ユーザー数:1567

夜、平沢梨斗は襲われていた。

 

 

「――だーかーらー!未成年に酒飲ませようとすんな!」

「はっはっはっはっ!良いではないか、早くに酒の味が知れるのじゃぞ?」

「ついでに、大人の味も教えてあげましょうか、リト君♪」

「ぅううああああ……!あたしは…あだじぶぁああああ…!」

「おーよし、おーよし…」

「まったく…堅殿の酒癖は健在じゃの~…」

 

……熟、綺麗なお姉さん達に襲われていたのだ。

と言っても、半分ほどは違っていたが。

何故今の状況ができているのか、それは今日の朝まで遡る。

 

 

 

「――それではこれより、魔神の挨拶がある!心して聞け!」

 

曹操の声が響き渡る。

今ここでは『怪人壊滅兼防衛隊』の決隊を行っている。

だが、三国の兵が全て集まれるような広場、そんな場所はそうそうない。

なので落陽の近くにある荒野に集まっている。

 

(スッゲープレッシャーなんだけど…)

「ほらほらリト君、挨拶挨拶!」

「あ、うん」

 

ジトー、と若干恨みが籠った目線を曹操に送るも、桃香に声をかけられ素顔に戻る。

面倒だと思いながらも一歩ずつ用意された台を登った。

話す内容は自由と言われたのでありのまま言うつもりらしい。

 

「(うわ、いっぱいいるよ…)…えーと、たぶんこの中に俺の…てか仮面付けてた時の俺の事を知ってる人、いるよね?それにこの間の宴の時も。俺は平沢梨斗、取りあえず魔神を名乗ってるけど人間のつもり……でもこの間出てきた怪人と同じくらい怪物だよ。だから俺の事をどう思ってもかまわない。ただ、これだけは言わせてくれないかな?」

「「「…………」」」

「怪人は……これから、大体一年後位までは出るよ。毎日じゃないとしても、週に一回かそんくらい。正直倒せるのは俺か三国の将達だけ。この…怪人壊滅兼防衛隊…だっけか?その隊の名前的には壊滅は要らないと思う。だって兵じゃ怪人倒せないし、倒せても戦闘員くらいだし」

 

ぶっちゃけし過ぎだと思う…そんな台詞を言ったリト。

まあ、言われてみればそうだ…宴の時は死者が出なかったが兵達は押されぎみだった。

恋がいなかったら死者が出ていただろう。

そして先日の怪人騒ぎ……怪人は全てリトと恋で倒したが、戦闘員は殆ど将が倒していた。

 

「でも勘違いすんなよ、俺と将達だけじゃ全ては守れない。必ず被害ができるんだ。全てを守りきるには俺達だけじゃたかが知れてる。俺が今ここにいるのは、俺達が守りきれない人達を…街を…その他諸々を守ってもらう事ができる隊ができるって聞いたから。人間はその気になれば山を削り、海を渡り、空を飛ぶ事ができるから。じゃなかったら、プー太郎してるだけだったし」

「「「…………」」」

「曹操には俺にこの隊の…教官みたいな事をしろって言われてる。正直、そんな事やったことないしどんなことになるか分かんないけど、俺は俺のやり方でやって行くつもり。不安な事があると思うけど、それでもやっていこうって思うのなら………俺に、力を貸してください」

「「「っ!?」」」

 

その場にいる全員が驚く。

それもそうだ、自分達を指導する立場の者が力を貸してくれと頭を下げているのだから。

ざわざわと兵達は狼狽えるが、リトはそのまま続ける。

 

「俺はこの世界の人間じゃない。本来なら俺がどうこうするのは間違ってるんだ。だけど、俺は誰かの笑顔を奪う奴を許さない。俺は守りたいんだ、この世界の笑顔を奪う奴らから。だから、俺一人じゃできないから……皆の力を貸して欲しい」

 

頭を下げたまま、訴えるように、願うように、祈るようにしゃべる。

しん……とその場から音が消え、十数秒。

「「「――――おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!!!!!!」」」

 

大地を揺るがすような叫び。

リトは少し目を見開きながら頭を上げる。

三国の兵が、自分の事をどう思っているか不安だった。

そんな不安を消し去るような咆哮……たしかにリトの耳に届いている。

少し微笑みながら、リトは感謝の意味で頭を下げた。

 

 

「…はあ、ここまでとはね」

「リトくん、すっごーい!」

 

曹操は少し納得とした表情で呟き、桃香は胸の前で拍手をしている。

リトは台から降りたあと、首をゴキゴキ鳴らしながらそう言えば、と訪ねた。

 

「曹操、隊って名前からすると人数的にこんなに要らないだろ。選別すんのか?」

「ええ、あと一月しない内に私達は元の国に戻るから三国の兵をその国で訓練できるようにしたいの」

「つまりは、三国の兵をそれぞれ分担できるようにするってことか?だったら一つの国につき…五百位かな」

「理由を聞こうかしら?」

「怪人が出るのは大体は街中、それか荒野か。だから警備も含めて訓練するつもりだし、交代制でやりたいんだ」

「へーー、交代制ねぇ……蓮華、私と王交代しない?」

「姉様、ご冗談はほどほどにお願いします」

「ぶー、ぶー…」

 

孫策は冗談を言うが却下、ぶー垂れている。

すると、何か考えるしぐさをしていたリトがにっこりと笑いながら提案した。

その笑顔を見て凪は一瞬、寒気を感じあることを感ずる。

 

「……ッッ!(ゾクッ!)」

「…じゃあ今から選別するか…」

「今から?でもどうやって…」

 

曹操が言い切る前にリトは再び台に上がる。

そうすると、リトは兵に聞こえるような大声で叫んでいた。

 

「今から選別するよ!!これから俺追いかけるから、皆城まで全力で走ってね!!ただし千五百人限定で!!」

「「「おうッッッ!!!」」」

「あ、追い付かれるような人は失格ね。俺が制裁するよ☆」

「「「お…はぁ!!?」」」

「じゃあ十数えるからその間に走ってね、十秒後に追いかけるから」

 

なにいってんだ……そんな事を考えた兵達だが、それが冗談でないと感じ一斉に走り出す。

何故今の感じたのか……ただの勘なのか、それとも得体の知れない何かに本能が反応したのか。

とにかく兵も将も共通で思ったことは…「笑顔恐っ!?」と言うことだけだ。

 

「はい10!9!8!7!6!5!」

「早っ!?」

「凄いの…蟻さんみたいに逃げてくの…」

「4!3!2!1!…ゼェェェロ!!」

「「「ギャァァァァ!!!?」」」

 

早すぎるカウントの後、リトはゴルディオンハンマーを取りだし最後列の近くを思いっきり叩く。

流石に直接は叩かないが、叩いた拍子にできたクレーターに足を捕られる者、爆風に吹き飛ばされる者、石の礫が体に当たるものが続出。

総計数百人は下らないだろう。

リトは嬉々としながら、クレーターで滑り落ちてきた兵を岬越寺流の柔術で投げ飛ばす。

けっこう深いクレーターから悲鳴が聞こえてくる…まさに阿鼻叫喚。

数十秒すると、リトは今だ走っている兵達の方向にダッシュ。

しかも…その背中に彼の師匠達の生き霊(スタンド)をつけて。

 

「アパパパパパパパパ!!チュァァァイァキィィック!!」

「「「ギャァーッス!!」」」

「オラオラ、真面目に走ってんのかコラァァァァァァ!!」

「「「ぐぁぁあああああ!!!」」」

「ハッハッハ…そんな走りでは亀に追い越される!!もぐらの方がまだ速いぞ!!」」」

「「「真面目にやっ…うわぁぁあああああ!!」」」

「ちょんわ~~~!!行くね!!もっと早く行くね!!」

「「「無茶言うなぁぁぁぁ!!」」」

「走…れ…」

「「「やってますってばぁぁああああ!!?」」」

「ホォ~、ホッホッホ…最後は人手裏剣じゃぁぁぁぁぁぁ!!」

「「「ちょ、まっ…ぎゃぁぁぁぁぁ!!」」」

 

 

…ここは地獄か…?

後に隊に入る一兵の証言だ。

彼はギリギリ、リトの魔の手が届く前に城にゴールした者だった。

その時、彼が振り返った時に見たのは…兵を蹂躙する悪魔だったとか。

 

 

「――…凪、貴女あれを知って…」

「ガクガクブルブル…ガクガクブルブル…ガクガクブルブル…ガクガクブルブル…」

「大将駄目や!!今凪はリトはんのいう…とらうまっちゅーやつになっとるんや!!」

「そっとしておいてなの!凪ちゃんが壊れちゃうの!」

(((一体何があったんだ…?)))

 

その場にいる全員が思う。

ここまで震えさせたのにはよっぽどの事があるのだろう。

真桜は凪を慰めている沙和を横目に話始めた。

 

「…凪がリトはんの修行を始める時にな、どのくらい極限状態になるか試して見たいって言って森ん中に行ったんや。で、急にリトはんが『リアル鬼ごっこだー♪』って言うたら…もうすごかったわ」

「凪ちゃんが逃げるところに必ずいて、しかもリトさんのお師匠さんの物真似してたの。しかも暗かったし…怖いって言葉じゃ足りないくらい怖かったの」

「ど、どんだけ凄いの…」

 

リトのあり得なさを確認した孫策。

そして将達は遠くから舞った土煙を見て、絶句したのだった。

 

 

 

数刻後、結局残ったのは千五百より少し少ないぐらい。

あとは制裁したメンバーの中から選んだ。

それで何故このような事をしたのか、リト曰く…

 

「すぐに怪人のところに行けるようにできる人が必要なのと、いざというときの逃げ足が必要だったから。俺の教える隊では殉職者を出さない事を目標にするからな」

 

だそうだ。

それで、リトのこれからの日程も決まったらしい。

桃香達がそれぞれの国に到着した後、リトはまず呉に行くことに。

そして大体三月経った後に蜀に、さらに三月経った後に魏に行くと言う日程だ。

万が一怪人が出ても、彼の『境界を司る程度の能力』によってどの場所にでも行けるので安心。

さらに言えば、今回決めた隊のメンバーも手伝うつもりなので安心だ。

ちなみに各国の訓練補佐は誰なのかはまだ決まっていない。

その事は今日中でないとしてもいいのだが。

ちなみにリトのこれからの日程も決まったらしい。

桃香達がそれぞれの国に帰った後、少し経ってからリトはまず呉に、三月経った後に蜀に。

さらに三月経った後に魏に行くと言う日程だ。

たとえ怪人が出ても、彼の『境界を司る程度の能力』を使えば問題ない。

すぐに駆けつけれるそうだ。

 

とりあえず、リトは夕食まで昼寝をすることにした。

…両脇に恋と音々音がくっついているので全く眠れないのだが。

 

「…どうしてこうなった…」

「……………ご主人様、お昼寝しないの?」

「リト兄ィ…リト兄ィ♪」

「音々音に関しては自分の世界に入ってるし…」

 

頭をぐりぐりと押し付けている音々音は一種のトリップ状態だ。

それはしょうがない…リトはえらくなつかれたと諦めている。

だが、問題は…腕を掴んで抱き枕のように密着している恋だ。

色々と当たってる…こんな出来事は旅先で何回かあったが、かなり慣れていない。

ヘルプ!誰かヘルプ!と思ってると、黄蓋が酒の入ったひょうたんをもって歩いてきた。

 

「なんじゃ、もてるのぉ平沢」

「さ…黄蓋か。どうしたの、ひょうたんなんかもって」

「…?これから堅殿達と一杯やるんでの。どうじゃ、お主も飲まんか?」

「飲まねぇよ。俺はまだ未成年だからな」

「みせい…ねん…?」

「成人…まあ俺の世界で言う二十歳未満のやつらのことだよ。未成年は酒飲んじゃいけない法律何でな」

「なんじゃつまらんのぉ…」

「あんたも酒はほどほどにしろよ?酒豪なのはわかるけど介抱する奴の身にもなってみろよ」

「…のう、平沢。お主、儂に会った事があるのか?」

 

脈絡のない質問…リトは思わず驚く。

誰が見ても表情でわかるくらい、はっきりと。

 

「図星かの?さっき儂の真名をいいかけた、それに介抱する身にもなれと言ったからには、その事を経験住み…。どうじゃ?」

「はぁ…年上には敵わねぇよ」

「はっはっは、小僧には負けんよ」

「いや、試合で負けたじゃん。……会ったことあるよ。むしろ、俺の世界で暮らしてる…名前を覆黄 祭。俺の住んでるアパート…まあ寮みたいなところの大家だよ」

 

覆黄 祭…名前の部分はやはり黄蓋の真名だ。

『クロスオーバー』の世界で起きた戦いの後、リト達は彼の祖父が用意したアパートから引っ越した。

理由は二つ、一つはそのアパートが襲撃により崩壊寸前だったこと。

元々古い建物だったので仕方なかった。

別の部屋にいるシモンファミリーもリト達が住むアパートとは別のところに引っ越すことに。

 

二つ目の理由はリトの進学先、つまりは学校の問題だった。

戦いが終わった後、彼は信頼している刑事に連れられ平沢の家に行った。

と言っても半分以上焼けていていたし、なによりリト自身が覚えてなかった。

中に入って自分の部屋に行ったが、そこもあまり残ってはいなかった。

あったのは、誰かに向けた手紙と進学しようとした場所の案内。

その学校は自分の家から離れていて、その時のリトは近くにあるアパートに住む予定だったらしい。

現在のリトもその学校に進学する予定だ。

それで、実際に住む予定だった場所と言うのがそのアパート。

リトとタロウズ、そしてリトのポケモン達はアパートに引っ越した。

 

 

「…で、そこに居たのが俺の世界の黄蓋。さっき大家だって言ったけど、実際は俺達が引っ越す数週間前に大家になったんだとさ。何でも前の大家が自分の叔母で死んじまったからそれを引き継いだんだと。まあ、もともと誰もいない所だったんだけどさ」

「ほぉ、儂が大家をのぉ…」

「ちなみに俺の世界の黄蓋が作った漬物が旨くてな。コン…俺の飼ってるキツネが凄く気に入ってるんだ」

「……………おいしい?」

「ああ、凄くな。なんか…こう、母の味ってやつ?…よく…、分かんないけど」

「…平沢、儂と一緒に来い」

 

リトの表情を見て、黄蓋はリトの襟元を掴んで引きずる。

突然の事でリトは一旦思考停止し、恋はポカンとしていた。

 

「ちょ、何やってんの!?」

「いいから来んかい!男がぐちぐち言うでないわ」

「……………ご主人様、いってらっしゃい」

「リト兄ィ♪…zzzz…」

 

空気を読んだのか、恋はリトに手を振る。

とりあえず、恋は今だ寝ている音々音を担いで城に戻った。

 

 

「ほれ、ついたぞ」

 

引きずられること数分、リトは見晴らしのいい庭に連れ込まれていた。

大きいテーブルと椅子がある。

そこには黄忠、璃々、厳顔に馬騰、さらには孫堅までもいる。

 

「あら?平沢さんも連れてきたんですか?」

「まあの。ちょっと話したい事があるんでの」

「ほぉ、祭殿が話すとなると…見当がつかんの」

「まあいいじゃねぇか、魔神よぉ…お前、イケる口か?」

「それとも璃々の子守りで連れてきたのかい?」

「おにーちゃん、璃々と遊んでくれるの?」

 

リトの足元に近づく璃々。

まあ、子供に酒を飲ませようとはしないだろうし暇になるんだろう。

リトは璃々の頭を撫でながら遠い目をしている。

 

「いや、お兄ちゃんにもよくわかんないんだよねー…」

「そんなこと言ううとらんで早よう座らんかい」

「さ…サー、イエッサー!」

 

思わず敬礼して座ってしまう。

よく見るとテーブルの上には酒、酒、酒…どんだけ飲む気なんだろうか。

 

「よいか平沢。ここにいる璃々以外の全員を母だと思え!」

「え…?」

「男が母を知らんでぐちぐち言っとるのは気にくわんのじゃ。この世界に居るときぐらいは、儂らを母だと思って甘えんかい。愛情を知らんなら教えてやる」

「…やっぱり、同じだよ。あんたも祭さんも…」

 

最初に彼の世界の黄蓋に会った時もこう言われた。

正確には儂を、だったが。

でも…

 

「ありがと、嬉しいよ。でも…俺は、駄目なんだ」

「?何がだよ?」

「俺さ、けっこう前の戦いで呪い、受けたんだよね。一番欲してるもので満たされない呪いを」

「満たされない、呪いぃ?」

「記憶がなくて、よくわからなかったものがあったんだ。親子の絆、信頼関係…愛情。わからないけど、よく知ってて、いつも側にあったんだ。それがなくて、町にいる親子を見て…正直嫉妬した」

「愛情かしら…その側にあったものって…」

「うん、いつもいつも…憧れてた。手料理って奴に。恋焦がれてた。いつも笑っていられる場所が」

「じゃが…それはもう…」

「満たされない。誰が俺を愛そうと、俺はそれに気付かない。満たされない…その人に応える事ができない」

 

見上げるリトの目は遠い。

遠くを見ているようで、何も見ていない目に映るのは、平凡な日常。

自分の世界に帰ればある日常とは違う、どこにでもあるはずの日常。

絶対に届かない、届いてもそれで満たされることのない、儚い日常。

だけど、リトは無理をして…いや、少し本心も見せながら笑う。

 

「でも、俺には他人を守る力はある。誰かが想いあってできる笑顔を守るだけの力はある」

「お前は、それでいいのか?他人も大事だがよ、自分の事も…」

「俺はいいんだ。誰かが笑えば、俺も自然と笑える。それでいい」

 

すでに暗くなり、夕日が沈んでいくのを見るリト。

その表情は儚げで、彼女達の胸を締め付ける。

 

「…平沢よもう一人の儂の事は何と読んどったんじゃ?」

「祭さん…だけど?」

「そうか、じゃったら次からはそう呼べ」

「それって真名で呼べって事?」

「まあの。この前の試合でぼろくそにされたんじゃ。それに策殿を救ってくれた礼もあるしの」

「雪蓮を救ったのかい!?ならあたしも真名を預けないとねぇ…」

「では私達も…」

「そうじゃの…」

「おいおい、オレも預ける雰囲気になってんじゃねぇか」

 

次々と言い出す黄蓋達。

リトは呆気にとられている。

璃々はそんなリトの膝元に座っているのだが。

 

「あたしは孫堅。字を文台。真名を海蓮(ハイレン)だよ」

「名前は黄忠、真名を紫苑と言います。よろしくね、リト君」

「姓を厳、名を顔、真名を桔梗じゃ」

「オレは蓬だ。まあ、よろしくだな」

「儂はもう知っとるじゃろうが祭じゃ」

「…こりゃまた凄いな」

 

一気に真名を預けられたのは宴以来だったので少し動揺。

すると、葵がリトの肩に腕を回して来た。

 

「なーにふけってんだよ。お前も飲もうぜ」

「いや、だから未成年に酒飲ませんなって」

「みせいねんん…?」

「二十以下は飲んじゃいかん法じゃと」

「気にするでないわ、郷に入れば郷に従え…じゃ」

「そうですわ。と言うわけで一杯…」

「お酒くさ~い…」

「飲まないからな。てかいつの間にかそん…海蓮飲んでるぞ」

「ぷはぁ…やっぱり酒は旨いねぇ…」

 

ずいずいと迫ってくる熟…いや美女達。

正直右腕が葵の胸に埋ってるし、左から紫苑の胸が迫ってきてる。

そして上がる心拍数…顔が赤くなるのがわかる。

 

「なんだよ、オレ達の酒が飲めねぇってのかよ。じゃあ口移しでもするか?」

「すっ…するかよ!?誰が!?」

「初じゃのぉ…もしかして、まだヤった事がないのかの?」

「当たり前だよ、俺モテないからな」

「どの口が言うんじゃ…」

「まあ、じゃあ私達で初めて…やりましょうか…?」

 

そう言って完全に腕に密着する紫苑。

耳元で色っぽく囁かれてどきりとするリト。

すると…海蓮がすすり泣いている声が聞こえる。

 

「うう…ああぁ…!」

「あれ…?どったの?」

「…しまった!忘れとった!」

「どうしたんだよ、ありゃ」

「堅殿は…酒癖が悪くての。一定量飲むと、ああなるんじゃ」

「…あたしは…母親失格だぁ…。まだ小さかった雪蓮と蓮華とシャオを置いてきぼりにして戦三昧…」

「…とりあえず、慰めるぞ」

 

目に光が灯っていない海蓮を見て、蓬と祭は両脇に座る。

あっちはあっちで大丈夫だろう…そう思った紫苑と桔梗はさらにリトに詰め寄った。

桔梗は蓬が抜けた場所に移り、ガッチリとリトの腕を掴んで。

 

そして冒頭に至る。

 

「おにーちゃん、モテモテだね!」

「嬉しいんだか悲しいんだか……とりあえず腕離してぇぇぇ!」

 

リトの叫びは夜に消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

リト「リトと!」

一刀「一刀の!」

一リ「「後書きコーナー!」」

 

一刀「…あれ、作者は?」

リト「前回のダメージまだ残ってるから欠席。とりあえずメモ用紙持ってきた」

一刀「さいでっか…。で、正直兵達かわいそすぎだろ」

リト「俺ちゃんと手を抜いたよ?悪いの軟弱な兵」

一刀「鬼!悪魔!」

リト「魔神だよ」

一刀「それで孫堅の真名は…?」

リト「えーと、母親ポジションだから母が書いてある海を使って海蓮にしたんだと」

一刀「酒癖は?」

リト「もしかして酒弱かったりする!?な、妄想でそうなったんだと」

一刀「それとさっきのメンバーのチョイスって…」

リト「言うな、下手すりゃ蜂の巣だ」

 

一刀「…言わぬが仏。さぁ、次回の真・恋姫†無双巡る外史と仮面の魔神十九話は!」

リト「仮面編 “言われなくとも”。あと数回で拠点呉に移るってさ」

一刀「呉か…なんか思春に脅される光景が見える…」

リト「一種の悟りだなそりゃ」

ΟωΟ Ο∀Ο再見ノシ


 
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