No.645920

一刀の晋王転生録 最終章二十一話

k3さん

姜維は待ち望んでいた。目の前の好敵手を。
一刀は認める。目の前の漢を。

2013-12-17 17:37:11 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1942   閲覧ユーザー数:1769

 姓:司馬 名:昭  性別:男

 

 字:子上

 

 真名:一刀(カズト)

 

 北郷一刀が転生した者。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:懿  性別:女

 

 字:仲達 

 

 真名:理鎖(リサ)

 

 一刀と瑠理の偉大なる母。第三章で死亡した。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:師  性別:女

 

 字:子元

 

 真名:瑠理(ルリ)

 

 母を目標にする一刀の姉。一刀を異性として愛す。

 

 

 

 

 姓:張  名:春華 性別:男

 

 真名:解刀(カイト)

 

 一刀と瑠理の父にして、一刀の師。第四章前編で死亡した。

 

 

 

 

 姓:王  名:元姫 性別:女

 

 真名:美華(ミカ)

 

 一刀に異常なまでに執着する一刀の妻。

 

 

 

 

 姓:鄧  名:艾  性別:女

 

 字:士載

 

 真名:江里香(エリカ)

 

 後の司馬家軍の宿将。司馬家に対して恩を感じている。

 

 

 

 

 姓:賈  名:充  性別:女

 

 字:公閭

 

 真名:闇那(アンナ)

 

 司馬家の隠密。一刀のために働くことを生きがいとする。

 

 

 

 

 姓:王  名:濬  性別:女

 

 字:士治

 

 真名:澪羅(レイラ)

 

 後の司馬家の水軍の将。一刀を気に入り、司馬家のために戦う。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:望  性別:女

 

 字:子初

 

 真名:理奈(リナ)

 

 一刀達親戚で、一刀と瑠理とっては義姉という立場。

 

 

 

 

 

 

 姓:杜  名:預   性別:女

 

 字:元凱

 

 真名:綺羅(キラ)

 

 一刀とは同期。親同士の仲は良くないが、当人達の仲は良い。  

  第二十一話

   「勝つ為の唯一の方法」

 

 

 一刀が洛陽を目にして、最初に感じたものは驚愕だった。

 

(!? もうあそこまでやられていたのか!?)

 

 そう、間に合ったとは言え、洛陽は限界を迎えようとしていた。

 

 一刀は急いで洛陽に辿り着こうと兵と共に馬を走らせる。

 

 だが、此処で敵兵の動きに変化が訪れるのを確認する。

 

(ん? 敵兵が集まっている? ……!? あれは、姜維か!?)

 

 一刀は、姜維が既に此方の援軍に気付いて、迎撃の準備をしているだと知る。

 

(く! ああも集まってしまうと突破は難しい!)

 

 同時に洛陽を攻略する敵兵が減ったのではと一刀は予想する。そのため、ひとまず姜維と戦う事に予定を変更する。

 

「皆! このまま姜維とぶつかるぞ!」

 

 一刀に指示に兵達は迷い無く従う。

 

 彼等は一刀を追いかけるように進軍する。

 

「来たか!」

 

 姜維はそれに呼応するかのように一刀達を待ち構える。そして両軍は激突。

 

 両軍の武器が激しくぶつかる音が木霊する。互いに臆すること無く敵を倒して行く。

 

(ん?)

 

 そんな中、一刀は僅かに違和感を感じる。

 

(何だこの感じ?)

 

 一刀は改めて状況を確認する。まずは此方と敵兵の状況だ。姜維は此方と同じぐらいの兵数を用意し、迎撃している。これは特に異

 

常では無い。欲張りなところはあるが、洛陽を落とすまでの間の時間稼ぎと同時に自分を討つつもりなら、互角かその前後の兵を用意

 

するのは可笑しなことでは無い。

 

 続いて洛陽の状況だ。相変わらず危険な状態だ。それは分かる。故に急がなければならない。

 

 そこで、一刀は気付く。

 

(洛陽の状況が……変わっていない……だと?)

 

 つまり、攻略速度が変わらないという事だ。此方の迎撃で兵を減らしたにも関わらず、である。では何故そうなるのかと考えると、

 

必然、一刀が来た瞬間に攻略速度を上げたに他ならない。

 

「冗談じゃない……俺が来るまで手加減していたって言うのか!?」

 

 思わず声に出してしまう。

 

「そのとうりだ! 司馬昭!」

 

 一刀は驚いて声がする方向に振り返る。やはりそこには姜維が居た。

 

「どういう事だ!? 姜維!?」

 

「言葉どうりだ、この洛陽を攻めたのはお前を釣り出すためだ。もっと正確に言えば……今、この状況を作る為だな」

 

「何だと!?」

 

「そう、誰にも邪魔されず……お前と決着を付ける為に!」

 

「馬鹿な!? 洛陽を落とせる事を捨ててまで俺と戦うつもりか!?」

 

「そうだ」

 

 一刀は唖然としてしまう。確実な勝利を捨ててまで自分との決着を優先する。これは狂気の沙汰と言える。

 

「まぁ、完全に洛陽落としを捨ては訳では無いがな。今も洛陽への攻撃は行われている。そうする事でお前には洛陽の救出という枷が

 

出来る。つまり、お前は洛陽が落とされる前に俺を倒しに行かねばならないという事だな」

 

 要約すると、他に援軍が来るまでの時間稼ぎは出来ないぞと姜維は言っているのだ。これも余計な事も無く、一刀との決着を付ける

 

為のものだ。

 

「何故だ! 何故そこまで俺との決着を付ける事に拘る!? 漢を滅ぼすという目的はどうなった!?」

 

 一刀には分からなかった。彼はてっきりそのつもりで今まで自分と戦っていたのだと思っていたからだ。

 

「そんなくだらない事はもうどうでも良い!」

 

「なっ!?」

 

「最早、漢などどうでも良い! 司馬昭! 貴様に勝つ! それが! 今の俺の全てだぁ!」

 

 一刀は悟った。

 

 彼は本当に漢に眼中は無いという事を。その根拠に、彼のその目には怒りや憎しみは無い。ただ渇望があった。武人の、いや漢が持

 

つ願望がそこにはあった。

 

 故に分かった。この決戦は避けられない。決着を付ける事が勝つための唯一の方法であると。

 

「どうやら、お前だけは俺の手で決着をつけなきゃならないようだな!」

 

 一刀は剣を構える。目の前の漢に勝つ為に。

 

 姜維もまた拳を構える。目の前の好敵手に勝つ為に。

 

「行くぞ! 姜維ぃ!」

 

「来い! 司馬昭ぉ!」


 
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